カスタマーサクセスとは?注目されている理由と成功するポイント2つを解説

最終更新日:2023年05月30日
カスタマーサクセスとは?注目されている理由と成功するポイント2つを解説
この記事で解決できるお悩み
  • カスタマーサクセスとカスタマーサポートってどう違うの?
  • カスタマーサクセスの役割や業務の内容って何があるの?
  • カスタマーサクセスの実際の成功例ってどこなの?

顧客を成功へ導くために欠かせない「カスタマーサクセス」。しかし、カスタマーサポートとの違いや役割、業務の流れを正しく理解していない人も多くみられます。この記事では、カスタマーサクセスが注目されている背景や役割、業務の流れを詳しく解説していきます。 重要なKPIや成功のポイント、成功例も紹介しますのでご覧ください。

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カスタマーサクセスとは

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カスタマーサクセスとは言葉を文字通り訳すと「顧客の成功」という意味です。コンサルのように能動的に働きかけて、顧客の思う成功体験へと導くことを指します。

サービス導入支援を通じ、契約後も顧客の成功を第一の目的として支援をおこないます。
現在HuluやNetflixなど、サブスクリプションサービスを提供している企業で重要視されています。

カスタマーサポートとの違い

顧客に対して働きかけをし満足度を上げるという点を見ると、カスタマーサポートと同じように見えるかもしれません。しかし、マーケターの姿勢という点で、カスタマーサクセスとは根本的な違いがあります。

  カスタマーサクセス カスタマーサポート
役割 成功体験へ導く 課題解決、クレーム対応
顧客に対する姿勢 能動的、先回り 受動的、問い合わせ次第
目指す目標 解約率低下、単価向上など 問い合わせ対応件数、問題解決数など
必要なスキル 「顧客の成功とは何か」を理解し、体現する
潜在的なニーズにも対応する
問い合わせに対し迅速かつ適切に対応する
関わり方 継続 単発

カスタマーサクセスが注目されている理由

カスタマーサクセスは先回りした行動を含めて、通常のカスタマーサポートよりも時間と労力がかかる手法です。しかし、その手間をかけるだけの価値がある行動となります。カスタマーサクセスが注目されている理由として、以下の2つの変化が要因といえます。

  • ビジネスモデルの変化
  • 営業スタイルの変化

ビジネスモデルの変化

時代の変化に伴って、ビジネスモデルがモノを買うことから利用することへ大きく変化しました。今までは「1つの商品を購入してずっと使い続ける」が基本的な消費の流れでした。

今はレンタルやサブスクリプションなど、必要な時や欲しい時だけ依頼して使うという消費行動が増えています。「1度の購入で十分」という考え方ではなく、繰り返し使ってもらったり長期継続の契約をしてもらったりする必要性が高まっているのです。

サブスクリプションサービスはカスタマーサクセスが必要

サブスクリプションモデルはカスタマーサクセスに取り組むことが必要です。契約をしてもらっても、不必要と判断したらすぐに解約されてしまうためです。短期的に売り上げを伸ばすことよりも、同じユーザーにできるだけ長くサービスに留まってもらうためのマーケティングが重要になります。

営業スタイルの変化

ビジネスモデルが変化したことに合わせて営業スタイルも変わりました。今までは顧客側に商品を売ったら終わりの時代でした。今は合わないとすぐに解約されてしまうため、継続してもらえる営業をしなければなりません。

ユーザーが使い続けたいと思うサービスの設計や、ユーザー視点に立つこと、顧客の課題は何か先回りして考えることが必要です。

カスタマーサクセスの役割や機能

今のビジネスモデルに必須なカスタマーサクセスですが、具体的な役割や機能は以下の4つです。

  • LTVの向上
  • 継続利用の促進
  • 顧客単価の向上
  • サービス・プロダクトの強化

LTVの向上

LTVとは「Life Time Value」の略で日本語で「顧客生涯価値」と呼ばれるものです。1人の顧客が企業と取引をして契約を終えるまで、どれくらいの利益をもたらすのかを指します。

LTVはいくつか計算式がありますが、一般的なものは「購入単価×購入回数×継続期間」です。

サブスクリプションモデルは、新規顧客よりも既存顧客に何度もリピートしてもらう方が効率がいいため、LTVを向上させることはカスタマーサクセスにおける要の施策となります。

 継続利用の促進

カスタマーサクセスの役割に継続利用の促進があります。

顧客と契約を結んでも、飽きられたり不必要なサービスであればすぐに解約されてしまいます。新規顧客を増やすよりも既存顧客に継続してもらえるよう既存顧客を大切にし、継続利用を促すことが大切です。

 顧客単価の向上

カスタマーサクセスの役割には顧客単価を向上させる効果があります。

アップセルやクロスセルといった手法を使い、契約内容のグレードアップや関連商品を購入してもらえるためです。既存顧客に販売するものが増えていき、顧客単価が上がることで収益がアップします。

サービス・プロダクトの強化

カスタマーサクセスに取り組むことで、サービス・プロダクトを改善し強化することができます。ユーザーにサービスや商品を何度も継続して利用してもらうためには、そのサービスや商品に魅力がなくてはなりません。

継続してもらうことが重要なため、常に改善して満足度を高めていく必要があります。新規顧客や既存顧客のニーズに応えることができれば、継続されやすくなり収益も上がっていきます。

以下の記事では、カスタマーサクセスで役立つツールを紹介しています。

カスタマーサクセスの業務内容

カスタマーサクセスとは一体どんな業務をおこなうのでしょうか?以下の4つのステップに分けて紹介します。

  1. 導入支援
  2. 活用支援
  3. アップセル・クロスセル
  4. サービス・プロダクトの改善

1. 導入支援

導入支援とは顧客が自社サービス・商品を理解し、スムーズに活用してもらえるように支援する段階です。使用方法や機能などを説明してサポートします。

実際に顧客に理解・体験してもらうことでユーザーの満足やロイヤルティ(愛着)が生まれ、LTVの向上にもつながります。

また、顧客の問題を聞き出して「顧客の成功とは何か」を定義しておくことも大切です。

2. 活用支援

導入が終わるとサービス・プロダクトの活用支援をして顧客の活用促進と育成をしていきます。顧客の活用イメージや目標達成までの課題を明確化したり、活動計画を練ったりして定着化を目指します。

必要に応じてミーティングや勉強会、ウェビナー、コンサルのプラン提案などを用意し支援しましょう。

3.アップセル・クロスセル

カスタマーサクセスの業務の中で、LTVを上げるために「アップセル」「クロスセル」という手法があります。

アップセル より高額なプランにグレードアップしてもらう
高額商品を購入してもらう
クロスセル サービス・プロダクトを追加で購入してもらう

高額商品の提案だけでは押し売りに感じられてしまいます。顧客の課題解決に焦点を当てて適した商材を選ぶことと、顧客と関係性を作っておくことが重要です。

4. サービス・プロダクトの改善

顧客の成功のために、より一層貢献できるようなサービス・プロダクトの改善をしていくことが必要になります。

顧客の生の声を集めて開発メンバーにフィードバックすることで、より良い内容のサービスが提供できるでしょう。日々のアップデートがなければ継続的な成長はなく、競合に抜かれる可能性があります。 如何に顧客の声を聞いて反映していくかが鍵になります。

カスタマーサクセスで重要なKPI

カスタマーサクセスに取り組むために注目すべきKPI(Key Performance Indicator)が5つあります。

  • 解約率
  • 維持率
  • オンボーディング完了率
  • アップセル率・クロスセル率
  • NPS

KPIとは重要業績評価指標のことです。目標達成のプロセスで、達成状況を計測・監視するための指標になります。

解約率

解約率とは、顧客がサービスを解約する割合のことで「チャーンレート」ともいいます。サブスクリプション型のサービスは如何に解約されないかが重要です。

また、「チャーンレート」は大きく2つに分けることができ、顧客を基準にしたものを「カスタマーチャーンレート」売り上げを基準にしたものを「レベニューチャーンレート」といいます。

解約率を求める計算式

2種類の解約率を求める計算式は以下の通りです。

カスタマーチャーンレート 解約数÷顧客数×100(%)
レベニューチャーンレート {(単価×解約数)÷売上}×100(%)

カスタマーチャーンレートは解約した顧客の発生割合を示し、レベニューチャーンレートは解約が売上に与えた割合を示しています。

維持率

維持率は「リテンションレート」「継続率」「定着率」ともいわれ、サービスを継続して利用している顧客の割合を指します。売上がどれだけ維持できているか、向上しているかを確認できます。

解約率は離れていった顧客の割合でしたが、維持率はそのまま残っていてくれる顧客の割合です

維持率を求める計算式

カスタマーリテンションレート (期間終了時の顧客数−増えた顧客数)÷開始時の顧客数×100(%)
レベニューリテンションレート {(期間終了時の収益−増えた収益)÷開始時の収益}×100(%)

計算結果が100%を上回っている場合、売上は好調に伸びておりカスタマーサクセスが効いていると考えられます。

オンボーディング完了率

オンボーディングとは、業務内容導入の段階のことです。ここを完了しているということは、その後も継続して利用してくれる可能性が高いです。

オンボーディング完了率は、導入の段階をどれだけの顧客が完了できたかの割合になります。

オンボーディング完了率を求める計算式

オンボーディング完了率 (オンボーディングが完了した顧客数÷オンボーディング期間の顧客数)×100(%)

アップセル率・クロスセル率

LTVを上げるためには2つの手法があり「アップセル」「クロスセル」といわれます。

アップセル より高額なプランにグレードアップしてもらう
高額商品を購入してもらう
クロスセル サービス・プロダクトを追加で購入してもらう

アップセル率はグレードアップした顧客数の割合で、クロスセル率は追加購入をしてくれた顧客数の割合です。全顧客に占める割合から算出することができます。

アップセル率・クロスセル率を求める計算式

アップセル率 アップセルした顧客数÷全顧客
クロスセル率 クロスセルした顧客数÷全顧客

NPS(顧客推奨度)

NPSは「Net Promoter Score」の略で日本語では「顧客推奨度」といい、顧客ロイヤリティをはかることができます。顧客ロイヤリティとは顧客がどれだけ自社のサービスに愛着・信頼を持っているかを表す指標です。「そのサービスを友人や同僚にどれくらいおすすめしたいですか?」の質問を10段階評価で答えてもらいます。

顧客の回答を、批判者(0〜6点)、中立者(7〜8点)、推奨者(9〜10点)に分けて集計します。全体の推奨者の割合から、全体の批判者の割合を引くとNPSが出ます。

カスタマーサクセスで成功するポイント

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カスタマーサクセスで成功するためには2つのポイントが重要になります。

  • ROIを追求する
  • 顧客やユーザーの声を反映する

 ROIを追求する

カスタマーサクセスを成功させるためには、ROIをどれだけ高められるかが成功のポイントになります。ROIとは「Return On Investment(投資利益率)」のことで、投資対効果ともいいます。

投資に対してどれだけの利益を生み出せたのかはかることができます。値が高いほど効率のいい投資ができているといえるでしょう。

顧客の声を集めて改善をする

顧客の声を集めてサービス・プロダクトの改善をしていくことも、カスタマーサクセス成功のポイントです。

実際にサービスを使って意見を出しているため、顧客の生の声を反映しなければユーザーは合わないと感じ、解約してしまう可能性があります。開発チームにフィードバックをして顧客の声を反映させていきましょう。

カスタマーサクセスの成功事例

 Sansan株式会社

Sansan株式会社は法人向けにクラウド名刺管理サービスを提供している会社です。2012年にカスタマーサクセス部を立ち上げており、日本でもカスタマーサクセスの先駆者と言える企業です。

Sansanはプラットフォームの「Gainsight」を導入し、顧客データを分析しています。アップセルとクロスセルの売り上げを含む利用継続率を見て、何%の上乗せが必要かを把握しています。

参照:MarkeZine(マーケジン) Sansanが解き明かす、カスタマーサクセスからの既存顧客マーケティングの仕組み

 Slack Technologies, Inc

Slack Technologies, Incはコミュニケーションツールを開発しているアメリカの会社です。

顧客が価値を感じているか測定するために、ユーザーのログイン状況、チャット以外の機能の使用状況、業務の自動化状況、ユーザーの満足度をスコアリングしています。

Slackは「お客様の声はSlack全社に向けられたメッセージ」と捉えれており、顧客の声を大切にしています。実際に対面式のミーティングを重ね、満足しているか、ギャップはないか、抱えている問題は何か、どうしたら解決できるかなど日々検討しているのです。

参照:ITreviewLaBo Slackのカスタマーサクセス事例 世界1200万人ユーザーの利用状況の把握方法とは?

以下の記事では、カスタマーサクセスの事例をBtoBとBtoCごとに解説しています。

まとめ

今回はカスタマーサクセスに関して、役割や注目すべきKPI、成功するポイントなどを解説してきました。

近年サブスクリプションビジネスを導入する企業が増えています。顧客の選択肢がますます多様なものになるため、競合のサービス・商品に乗り換えられないよう、カスタマーサクセスにより力を入れて取り組んでいくことが必要でしょう。

監修者のコメント
Long Lasting Line (ロングラスティングライン)
代表者 福住 和久

実践戦略経営コンサルティングロング ロングラスティングライン代表。同志社大学商学部出身。大手米国系企業“P&Gジャパン”および“リーバイスジャパン”にて営業・マーケティング・戦略構築・組織構築の実務担当・責任者を経てフランスのフレグランスブランド “ディプティック ジャパン”にて日本法人社長。その後日本の企業アルファネット(株)にてCEO。それらの実践経験を基にビジネスコンサルティングファーム“ロング ラスティング ライン”を東京にて起業。経営・マーケティング・営業・評価制度・組織構築などの企業成長の要パートを専門に主に日本全国の中小企業・個人企業を支援。B to B およびB to B to Cモデルの企業を中心に支援。

”カスタマーサクセス”とは顧客の満足度を高めること。と一般的に訳します。当然の事でありとても当たり前の事です。

では何故昨今これがビジネスの成功モデルの一つの様に言われているかと言えば、実は多くの企業が実際には顧客の満足度を高めるアクションを実際の行動として取っていないからです。記事にもありますが購買者は買って終わるわけではないのです。

知る ー 発見する ー 見る ー 触る ー 理解する ー 買う ー 持って帰る ー 自宅で使う ー 収納する ー 再度使う ー ーーー と永遠のプロセスでその商品なりサービスを体験するのです。 

このそれぞれのオケージョンでの体験を”エクスペリエンス”と表現します。この各オケージョンでのエクスペリエンスでの満足感を最大限に高める活動を企業として能動的に行いましょうという事が”カスタマーサクセス”です。

商品の品質以外で”も”勝負しましょうと考えると分かり易いと思います。品質がNo1でなくとも勝てると言う事です。No1であればさらに圧倒的に強くなれると言う事です。そう考えると絶対に行って行きたい考え方です。これを具現化しプランとするものにカスタマージャーニーと言うコンセプトがあります。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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