美容室の開業資金の目安は?開業費用の内訳や資金調達の方法も解説!

有限会社兼子経営
監修者
有限会社兼子経営 代表取締役 兼子俊
最終更新日:2023年10月02日
美容室の開業資金の目安は?開業費用の内訳や資金調達の方法も解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 美容室の開業資金はいくら必要?
  • 貯金以外で資金調達する方法はある?
  • 自己資金0円でも開業できる?

美容師としてのスキルと経験を磨いてきたら、独立して自分の美容室を持ちたいと思っている方も多いと思います。さまざまな準備や時間もお金も必要なので、どれくらい費用がかかるのか、どこから資金を調達するのかを前もって考えることは大事です。

今回は美容室の開業にかかる費用の相場や詳細な内訳、資金を調達する方法を紹介します。 美容室の開業の準備を何から進めたらいいか知りたい方はぜひ読んでみてください。

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美容室の開業費用の相場は800〜2,000万円程度

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美容室の開業にかかる費用を合計すると、開業の段階で通常800万円〜2,000万円程度かかります。美容室の立地や広さ、内装にかける費用などによってもかなりの差が出ます。

開業費用に加えて運用費用が毎月50万円〜80万円、従業員がいれば人件費も上乗せでかかります。開業したばかりの時期はそれほど固定客が多くないため、営業が軌道に乗るまで時間がかかることがほとんどです。ある程度運転資金をプールしておくことも求められるため、ゆとりのあるプランを立てるようにしましょう。

美容室開業にかかる費用の内訳

美容室開業にかかる費用の内訳は以下の通りです。それぞれみていきましょう。

  • 物件取得費:200万円程度
  • 内装費:300万円〜800万円
  • 施術用器具・道具費:100万円〜200万円
  • 営業ツールや予約システムの導入:20万円〜50万円
  • 消耗品費:数万円〜40万円
  • 運用費:40万円〜50万円

物件取得費:200万円程度

店舗物件を契約する際は保証金や前賃金が必要ですが、美容室を開業する際はトータルで200万円程度かかります。家賃は20万円〜50万円近くかかることが多いです。

家賃は地域によって3か月分前払い、半年分前払いが必要なこともあるため、その分も用意しておく必要があります。敷金や礼金がそれぞれ家賃1か月分程度、不動産仲介手数料や保証会社手数料として、やはり家賃1か月分程度かかります。火災保険料も負担するという契約になっていれば、5万円程度を別途支払うことになるでしょう。

内装費:300万円〜800万円

美容室の内装費は壁紙やフロア、照明器具、間仕切りなどを変更することが多く、おおがかりなリフォームとなるため、最もコストがかかる部分です。

デザインもしくは設計費、備品・材料費、工賃などが具体的な費用内訳です。トイレなどの設備も変える場合は設備代金が大きくなります。どこまで内装に力を入れるかは、かなり予算によって変わってきますので、内装費のための予算組はしっかり考えましょう。

施術用器具・道具費:100万円〜200万円

美容室にはシャンプー台やセット椅子などの設備が欠かせませんが、開業の際は100万円〜200万円の設備費が必要になる傾向があります。すでに美容師として働いているのであれば、新しく購入しなくてもいいものもあるでしょう。

できるだけ費用を抑えるためには、ネットの通販ショップでコスパの良いものを探す、中古で探すという手もあります。

営業ツールや予約システムの導入:20万円〜50万円

予約受付のためのネット回線や電話、パソコン、集客ツールの導入も必要です。自前で行うのであれば20万円程度、広告宣伝を外注する場合は全体で50万円程度の費用が発生します。営業は顧客の獲得に直接関わるものですので、どのくらいの費用をかけるかをきちんと検討した方が良いでしょう。

営業用のチラシや顧客用のサロンカードの作成や印刷も事前に準備する必要があるでしょう。印刷費用自体は数万円ですが、デザイン会社にデザインを依頼するとさらに数万円から10万円オーバーの費用が発生します。

消耗品費:数万円〜40万円

どのメーカーのものを使うか、どの程度購入するかによっても変わってきますが、数万円〜40万円程度かかることもあります。 タオルや衛生用品などの消耗品は美容室でかなり使うため、前もってそれなりの量をまとめて購入した方が安く付きます。

運用にかかる費用:40万円〜50万円

開業の段階でかかるコストに加えて、運用にかかる費用(=ランニングコスト)も必要です。トータルで、毎月40万円〜50万円ほどかかります。

  • 店舗賃料:30万円
  • 通信費:1万円
  • 消耗品費:5万円〜10万円
  • 雑費:5万円〜10万円
  • 水道光熱費:4万円〜6万円
  • 集客ツール利用費:5万円〜15万円

このうち最も費用がかかるのが店舗賃料で、月の相場は約30万円です。 通信費は電話とネット回線くらいですので、1万円程度に収まることがほとんどでしょう。

消耗品費や雑費は、業務に直接関わる衛生品費用やパーマ液などの費用があり、だいたい5万円〜10万円程度かかります。観葉植物などを置く場合は、その分の費用も考えましょう。水道光熱費は4万円〜6万円が平均的です。集客ツール費用としては、自分たちで営業をするのであればそれほどかかりませんが、外注すると5万円から15万円程度かかることもあります。

自己資本金0円でも美容室は開業できる?

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結論から言うと、自己資本金0円での開業は難しいです。自己資本金は200〜300万円程度確保することが一般的といえます。開業にあたって多くの費用がかかりますが、全てを融資や補助金でまかなうのは現実的ではありません。

開業前に押さえておくべき!「自己資本比率」

自己資本比率とは、総資本の中で、返済不要な自己資本がどれくらいの比率を占めているかを示す数値です。企業や個人事業での財務面における安全性を示す指標として使われ、自己資本の比率が高いほど安定した経営ができていると判断されます。美容室で独立開業をする際には、この自己資本比率を25%程度にすることが一般的です。

自己資本比率の計算方法とは

自己資本比率の計算は、「自己資本÷総資産(自己資産+負債)×100(%)」で行われます。自己資本が300万円で、総資産が800万円だった場合、 自己資本比率は、「300万円÷800万円×100(%)=37.5%」になります。

自己資本は開業資金の1/4程度 200〜300万円が相場

日本政策金融公庫が発表した2019年度の小企業の経営指標調査によると、美容業で黒字かつ自己資本がプラスの企業101社のうち自己資本比率は平均23.4%となっております。

つまり、開業資金の1/4程度の自己資本を確保しておくことが融資の審査通過や開業費用の補填として適切だと考えられるでしょう。

開業資金の調達方法

開業資金の調達方法

自己資金を貯める

開業資金のうち1/4程度、200〜300万円程度は自己資金にて確保することが一般的です。普段からコツコツと貯められているかどうかという点は融資を申請する際にも評価されるポイントなので、安定した貯蓄癖をつけておくと信用を得やすいです。まずは自分で貯蓄をすることで開業資金に充てる方法を考えるといいでしょう。

親族や家族から借りる

親族や家族から借りる場合、開業資金のうち100〜200万円を親族や家族から借りるケースが多いです。身内とはいえ、金銭の貸し借りはトラブルの元になりやすいです。借用書(貸主に対して借主が差し入れる文書)を作成し、事業計画や借りる金額、返済条件などに同意してもらった上で借りるようにしましょう。

また借用書を交わさずにお金を借りてしまうと、贈与税の対象となることもあります。借用書なしに親子間で年間で110万円以上を借りた場合、借りた側に贈与の支払い義務が発生するので注意が必要です。

詳しく知りたい方は国税庁「贈与税がかかる場合」をご覧ください。

自治体の助成金・補助金を受ける

助成金・補助金といっても、美容室の開業に特化した助成金・補助金があるわけではなく、国や自治体などによって、さまざまな補助をしているのが実態です。原則返済が不要のため、資金負担になりません。

開業以前に使えるものは少ないので、多くの場合は開業後の費用の補助や従業員の雇用に対する助成を行うものになります。

日本政策金融公庫からの融資を受ける

日本政策金融公庫は100%日本政府出資の政策金融機関のため、美容室開業への融資実績が多いです。低金利での融資を利用でき、無担保・無保証人でも借入ができる制度がある、開業前の入金が可能など、民間の金融機関と比べてメリットが多い特徴があります。まずは銀行など民間金融機関への融資の前に検討してみるといいでしょう。

制度融資を受ける

制度融資とは、地方自治体、民間の金融機関、その地方の信用保証協会が連携して行う融資で、その地域で開業する中小企業者が金融機関から融資を受けやすくするための制度です。

利用するメリットは、低金利かつ金利が固定されている、金利の補助、据置期間が認められている、無担保・無保証人でも借入ができる制度があるなどがあります。

信用保証協会の利用を条件としているため、信用保証協会への審査を通過することが必要な場合が多いです。加えて、銀行の融資と利用する場合と比べて、申し込みから着金するまでに時間がかかる傾向にあります。

日本政策金融公庫からの融資を受ける方法

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ここでは、日本政策金融公庫からの融資を受けるために必要な準備・対応や、融資審査を通過しやすくするポイントを確認していきましょう。日本政策金融公庫に申し込んでから融資が実行されるまでに約1ヶ月ほどかかると言われておりますので、計画的に準備されることをおすすめします。

申し込みの流れ

申し込みの流れを以下の3つからみていきましょう。

  1. 必要書類を準備して申し込む
  2. 面談を受ける
  3. 融資が下りる

1. 必要書類を準備して申し込む

日本政策金融公庫に申し込むためには、主に以下の書類の提出が必要です。

  • 借入申込書
  • 創業計画書
  • 事業計画書
  • 本人確認書類
  • 通帳原本

日本政策金融公庫「国民生活事業 各種書式ダウンロード」から詳しい書類の作成方法を確認できます。

2. 面談を受ける

提出した書類をもとに担当者との面談が行われます。主に創業計画書に記載した内容への質問や事業の見通し、資金調達に関する質問が中心です。スーツ一式やオフィスカジュアルなど服装や見た目にも気を遣い、担当者からの印象をアップさせましょう。

3. 融資が下りる

面談後からおよそ1週間ほどで融資担当者から融資実行可否の連絡が来ます。融資が無事に通った場合、正式な借入契約書が郵送されます。その契約書を日本政策金融公庫に返送し、およそ3営業日後に融資金額が振り込まれる流れです。

審査を通過するために押さえておきたい4つのポイント

審査を通過するために押さえておきたいポイントを以下の4つからみていきましょう。

  • 自己資金がある
  • 美容業界での勤続年数が長い
  • 税金や公共料金等の未納や滞納がない
  • 創業計画書がしっかりしている

自己資金がある

融資審査の際に自己資金の額は重要な判断材料の1つです。日本政策金融公庫の場合、自治体によっては融資額の1/10以上の自己資金を条件にしている場合もあります。改めて、開業資金のうち1/4程度、200~300万円程度は自己資金にて確保することや、普段からコツコツと貯蓄をすることを念頭に置きましょう。

美容業界での勤続年数が長い

日本政策金融公庫での審査では、開業する業界でのキャリア経験を必ず確認されます。マネージャーや店長の経験、事業経験など、マネジメント経験や起業経験も返済能力や経営能力を評価するポイントです。美容師としての技術だけでなく、それ以外のスキルも磨いておくといいでしょう。

税金や公共料金等の未納や滞納がない

返済能力の審査のため、過去の税金や公共料金の未納、滞納も必ず見られる項目です。普段から経営者としての自覚を持ち、シビアにお金の支出管理をしていくことが重要です。公共料金等の支払いは通帳からの引き落としに統一することで、通帳から信用力を可視化することができます。

創業計画書がしっかりしている

端的にいえば、実現可能性が高い事業計画が作れているかどうかが審査のポイントになります。創業計画書には、取り扱いサービス内容の強みや弱み、取引先情報、事業の見通しなどの記入欄があり、それぞれ事実ベースで具体的に記載することで、信用度を高めましょう。

自己資金を中心とした安定経営を目指そう

美容室の開業は自己資金ゼロでは難しく、将来的な経営の安定のためにも自己資金をある程度を確保していくことが重要です。美容室は物件の種類や設備、リフォーム代などの開業資金がかなりかかるので、資金調達という面でもきちんとプランを立てないといけません。

じっくりと時間をかけて、準備を着々と進めていくことで、目標の美容室独立開業を成功させるようにしていきましょう。

監修者のコメント
有限会社兼子経営
代表取締役 兼子俊

埼玉大学電気工学科卒業、同専攻科修了後、製造業に勤務し、広島で中小企業診断士の資格取得を機にコンサルティング会社を起業する。現在起業より24年目になるが、当初は経営の営業、製造等の個別の機能、ISO取得等をコンサルティング支援しており、約十年経過後ISO関連事業を協力者に譲り、当初独立の目標であった経営・事業支援を中心に事業活動をはじめ現在に至る。この間広島中小企業診断協会の理事、専務理事、現中小企業基盤整備機構のチーフアドバイザー、中国経済産業局の事業評価委員などを務めた。特に経済産業局の事業評価委員の6年の経験はのちのコンサルティングに大きな影響をのこす。経済産業省中国経済産業局、財務省中国財務局の認定になる「経営革新等支援機関」として昨年再認定をいただき、活動している。個人としては中小企業診断士、ITコーディネータの資格を持ちコンサルティングに勤めている。

この記事には、美容室の開業・経営に必要なもの、必要な資金、立地、物件について記述され、さらにスタッフの確保と教育、事業計画の策定までまとめられています。WEB、SNSがなかったころには、親が開業している、あるいは美容の勉強に加え事業・経営の勉強の機会を得られた人、つまり特別な人にしか機会は与えられなかった時代が長くありました。ひるがえって今はこの記事から意思と意欲をもって行動する人は起業・開業に進むことができます。

しかし開業をした人、組織には次の主たる活動がまっています。美容業務に加わえて力をいれるべき経営です。お客さんは来てくれるかどうか、きてくれていない場合、計画通りでやるべきことをやっているので増加していくはず、といえるかどうか。開業後にはこのような経営が待っています。

対策として事業計画を立てるという準備があります。立地場所の顧客層・競争相手と美容院の技術・雰囲気・特徴等を十分に整合させ計画しなければなりません。文字で数値で記述することが大事です。事業計画により、経営基盤の土台を固め、さらによりよい経営を目指しましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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