整骨院開業までの流れとは?必要となる資格や利用可能な補助金も解説
- 整骨院開業までの流れとは?
- 整骨院開業の際に利用できる補助金とは?
- 整骨院の開業を成功させるためのポイントとは?
整骨院を開業するまでには事業計画書の作成や物件の選定など、さまざまな準備を進めなければなりません。整骨院の運営には多くの費用がかかるため、運転資金の確保も必要です。どのような流れで開業までの準備を進めていくのでしょうか。
この記事では、整骨院を開業するまでの流れや利用可能な補助金、成功へ導くポイントなどについて解説します。最後まで読めば、開業する際にかかる費用や資格、届け出についてもわかります。
独立を検討している柔道整復師の方は、ぜひ参考にしてください。
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整骨院開業の流れ
整骨院を開業する際は、以下の手順に沿って準備を進めていきます。
- 施術管理者の要件を確認する
- 事業計画書を作成する
- 資金計画を立てる
- 整骨院の出店場所を決める
- 医療機器や備品を揃える
- 内部のレイアウトを設計する
- 内装工事と看板の設置をおこなう
- 開業に必要な申請手続きをおこなう
- 集客をおこなう
内容を1つひとつ確認していきましょう。
1. 施術管理者の要件を確認する
整骨院の開業には柔道整復師の資格取得に加え、一定の実務経験と施術管理者研修の受講が必要です。実務経験は3年以上積む必要があります。開業前に、勤務先の整骨院から実務経験期間証明書を受け取っておきましょう。
施術管理者研修では安全な臨床方法や保険請求の仕組み、施術所管理など、整骨院を運営するうえで必要な知識や技術を学びます。施術管理者の資格を取得する目的は、健康保険内での施術の実施や療養費を受領するためです。
16時間以上研修を受けなければ、研修受講を証明する「施術管理者研修修了証」は発行されません。
施術管理者とは
健康保険制度に則った施術を実施し、患者の代わりに療養費支給申請書の作成と提出をおこなう受領委任を管理する責任者です。
受領委任制度を導入している場合、施術後に患者から一部の負担金を受け取り、申請書提出後に受領委任代行として保険者から療養費を受け取れます。
受領委任を導入していない場合、患者は施術後に医療費を全額支払い、療養費の一部を受け取るには役所で支給申請手続きをしなければなりません。
2. 事業計画書を作成する
どのような店舗にしたいか、どのような目標を達成したいかなど、整骨院開業に向けて具体的な計画案を作成します。整骨院向けの事業計画書に記載すべき事項を以下にまとめました。
- 整骨院の開業に至った経緯
- 経営者の経歴
- 施術サービス
- 患者のターゲット
- 競合店や市場の動向
- 医療機器の仕入れ先
- 借入状況
- 必要な資金と調達方法
- 売上や経費の予想
事業計画書は運転資金の融資を金融機関に依頼する際、提出する書類です。融資を得るには、リピーターの獲得や収益の早期確保が実現できる印象を担当者に与えなければなりません。ターゲット層や借り入れ状況、資金の調達方法などを明確化しておきましょう。
3. 資金計画を立てる
整骨院の開業にどのくらいの資金が必要か、どういった用途に資金がかかるかを明確化する作業です。一般的に整骨院の開業に必要な資金は、数百万〜1,000万円です。開業資金の内訳を以下にまとめました。
- 店舗の内装費用
- 看板の設置費用
- 医療機器の導入費
- 事務用備品の導入費
- 店舗の家賃
- 人件費
人件費削減のため、開業当初は1人で整骨院を運営するのが賢明です。整骨院の運営には毎月多額の固定費がかかり、リピーターを早期に獲得できない場合、経営が圧迫します。
従業員の雇用は、リピーターを獲得してからでも遅くはありません。金融機関から早期に融資を得るため、事業計画書と資金計画を一緒に提出できるように準備しておきましょう。資金計画に関して税理士に相談するのも1つの方法です。
4. 整骨院の出店場所を決める
整骨院の物件選びは、開業の成功率に大きな影響を与える重要な要素です。得意な施術内容や患者のターゲット層に応じて、出店場所を決めます。
たとえば、手技での筋肉ほぐしや温熱療法、骨格矯正を組み合わせた施術を得意としていたとしましょう。駅の近くに整骨院を出店した場合、肩こりや腰痛に悩む会社員を獲得しやすくなります。
スポーツ外傷やリハビリをメインに対応する場合は中学校や高校、大学の近くに出店しましょう。物件調査の際に競合店の有無も調べておくことも重要です。競合店が少ない地域を選ぶと、比較的スムーズにリピーターを獲得できます。
5. 医療機器や備品を揃える
整骨院開業の際に必要な主な医療機器や備品に関して以下の表にまとめました。
医療機器 | 備品 | |
---|---|---|
該当品 | ・低周波治療器 ・中周波治療器 ・高周波治療器 ・超音波治療器 ・微弱電流治療器 ・赤外線治療器 |
・ベッド ・カーテン ・スリッパ ・ソファ ・椅子 |
参照:全国柔整鍼灸協同組合
複数の医療機器を導入する場合、収納スペースの確保と多額の資金が必要です。まずは自身の得意分野に関連した機器から集めましょう。患者が必ずしも医療機器を活用した治療を求めているとは限りません。
筋肉ほぐしや骨盤矯正、ストレッチの指導など、柔道整復師の手技を中心とした治療を求めている方もいます。医療機器を購入する際、リースを利用するのも有効です。多額の支出を抑えられるだけではなく、購入にかかった全額を経費で処理できます。
店内のレイアウトを決めるため、ベッドの設置数は医療機器とともに早めに決めましょう。
6. 内部のレイアウトを設計する
整骨院内部のレイアウトは、柔道整復師法施行規則の内容を守らなければなりません。以下の構造設備基準と衛生上必要な措置に関して、頭に入れておきましょう。
構造設備基準 | 衛生上必要な措置 | |
---|---|---|
規則内容 | ・専用の施術室の広さが6.6平方メートル以上 ・待合室の広さが3.3平方メートル以上 ・施術室面積の7分の1以上を外部に開放可能(開放できない場合は、空気清浄機を設置) ・医療機器や指先の消毒設備を常備 |
・整骨院全体が常に清潔な状態 ・採光や照明、換気が十分な状態 |
参照:REHASAKU
理想どおりの設計を実現するため、物件選びの前にレイアウトのイメージをある程度固めておくことが重要です。イメージの具体性が高いほど、物件選びやレイアウトの見直しに割く時間を削減できます。
全柔協(全国柔整鍼灸協同組合)が紹介している物件選びのチェックポイントもあわせて活用しましょう。以下が主なチェックポイントです。
- ベッドをいくつ置けるか
- 家賃や保証金は予算の範囲内か
- 看板設置の規制があるか
- 水回りは綺麗か
- トイレが使いやすい位置にあるか
- 退去時の条件はあるか
参照:全国柔整鍼灸協同組合
7. 内装工事と看板の設置をおこなう
内装のレイアウトが決まり次第、内装工事を専門業者に依頼します。ミスマッチを避けるため、整骨院の施行実績が豊富な業者を選定することが重要です。豊富なノウハウを持っており、レイアウトや室内の導線に関する提案も得られます。
内装工事の期間は、最低2〜3カ月は必要です。工期に余裕を持っておくと、突然のアクシデントにも対応できます。工事業者に看板設置も依頼する場合は、景品表示法と薬機法を守らなければなりません。看板に掲載可能な主な内容を以下にまとめました。
- 整骨院の名称
- 営業時間や定休日
- 柔道整復師の資格保持
- 施術者の氏名
- 休日や夜間の施術対応可否
- 出張施術の対応可否
- 駐車場の有無
参照:REHASAKU
施術料金や骨盤矯正などを看板に記載すると、修正依頼を受ける可能性があるため、注意が必要です。
8. 開業に必要な申請手続きをおこなう
整骨院の開業には受領委任の取り扱いに加え、さまざまな書類を提出しなければなりません。開業に必要な提出書類を以下にまとめました。
必要書類 | 提出先 | 備考 | |
---|---|---|---|
施術所開設届 | ・開設届 ・施術所の平面図 ・施術所の周辺図 ・柔道整復師免許の原本とコピー ・身分証明書類 |
管轄の保健所 | ・整骨院開業後、10日以内での書類提出が必要 ・整骨院を賃貸で借りている場合、店舗賃貸契約書のコピーも添付 ・法人化する場合、登記簿謄本のコピーが必要 |
受領委任の取り扱いに関わる申し出 | ・実務経験期間証明書 ・施術管理者研修修了証のコピー ・確約書(様式第1号) ・柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに係る申し出(様式第2号) ・柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに係る申し出(同意書) ・誓約書(様式2号の3) ・保健所開設届の写し ・欠格事由非該当届出書 |
管轄の地方厚生局 | 書類に不備がある場合、保険請求ができない施術しか対応不可 |
共済組合・防衛省などへの届出 | ・柔道整復師免許のコピー ・申請書(様式第1号) ・確約書(様式第2号) ・通知書(様式第3号) |
・共済組合連盟 ・地方公務員共済組合協議会 ・防衛省 |
公務員として働く方の施術や保険料請求に必要な手続き |
労災保険の届出 | ・申請書(様式第1号) ・確約書 ・指定/指名機関登録(変更)報告書 ・保健所開設届 ・施術所の平面図 ・施術所の周辺図 ・柔道整復師免許のコピー |
管轄の都道府県労働局 | 書類作成に多くの時間が必要 |
税務署への届出 | 開業届(個人事業の開業/廃業等届出書) | 管轄の税務署 | 青色申告を受けるには開業後、1カ月以内の提出が必要 |
参照:全国柔整鍼灸協同組合
書類ごとに提出先が異なるため、間違えないように注意が必要です。全柔協や日本柔道整復師会などに加入した場合、受領委任取扱い契約や共済組合などへの届け出をサポートしてもらえます。
院内のレイアウト設計や資金調達、広告宣伝などに関するアドバイスも得られるため、加入して損することはないでしょう。
9. 集客をおこなう
整骨院の存在を認知してもらえるよう、情報発信に積極的に取り組むことが重要です。ホームページの設立やSNSでの投稿、チラシ作成などによって、多くの方に整骨院の特徴や施術内容をアピールします。
ホームページやSNSの更新頻度は、整骨院の繁盛度合いを示すバロメーターの1つです。開業後も定期的に新しい情報を発信しましょう。本格的な営業を始める前に、プレオープンを実施するのも有効です。
整骨院開業に利用できる補助金・助成金
整骨院の開業時または開業した後、利用できる補助金と助成金は以下の4つです。
- IT導入補助金
- 持続化補助金
- ものづくり補助金
- 地域雇用開発助成金
各制度の概要をみていきましょう。
IT導入補助金
IT導入補助金はITツールを導入し、業務プロセスのデジタル化や業務効率改善に取り組む事業者を支援する補助金です。主に小規模事業者や中小企業が対象になります。
整骨院開業の際に利用可能な補助金の枠は、通常枠とインボイス枠です。通常枠は、業務プロセスの数に応じて補助金額が変動します。概要を以下の表にまとめました。
1プロセス | 4プロセス | |
---|---|---|
補助の上限額 | 5万〜150万円 | 150万〜450万円 |
補助率 | 2分の1以内 | 2分の1以内 |
補助対象 | ・ソフトウェア購入費(最大2年分) ・クラウドサービス利用料金(最大2年分) ・導入関連費(機能拡張やデータ連携) ・導入関連費(コンサルティング料金や設定代行費など) |
・ソフトウェア購入費(最大2年分) ・クラウドサービス利用料金(最大2年分) ・導入関連費(機能拡張やデータ連携) ・導入関連費(コンサルティング料金や設定代行費など) |
参照:IT導入補助金2024
ITツールを1つ導入する場合は最大150万円、複数のITツールをまとめて導入する場合は最大450万円の補助金が支給されます。
インボイス枠に関してはインボイス制度に対応した決済や受発注、会計ソフトを導入する際に利用可能です。ハードウェアやPCの購入にも補助金が支給されます。
1機能以上 | 2機能以上 | |
---|---|---|
補助額 | 50万円以下 | 50万円〜350万円 |
補助率 | 4分の3または5分の4以内 | 3分の2以内 |
機能要件 | 会計や受発注、決済いずれかの機能を搭載 | 会計や受発注、決済のうち2つ以上の機能を搭載 |
対象経費 | ・ソフトウェア購入費(最大2年分) ・クラウドサービス利用料金(最大2年分) ・導入関連費(機能拡張やデータ連携) ・導入関連費(コンサルティング料金や設定代行費など) |
・ソフトウェア購入費(最大2年分) ・クラウドサービス利用料金(最大2年分) ・導入関連費(機能拡張やデータ連携) ・導入関連費(コンサルティング料金や設定代行費など) |
備考 | ・中小企業は補助率が4分の3以内 ・小規模事業者は5分の4以内 |
- |
参照:IT導入補助金2024
PC・タブレット | レジ・券売機 | |
---|---|---|
補助額 | 10万円以内 | 20万円以内 |
補助率 | 2分の1以内 | 2分の1以内 |
支給対象 | 会計や受発注、決済いずれかの機能を搭載 | 会計や受発注、決済いずれかの機能を搭載 |
補助対象 | ・PC ・タブレット ・プリンター ・スキャナ ・複合機 | ・POSレジ ・モバイルPOSレジ ・券売機 |
参照:IT導入補助金2024
通常枠の業務プロセスとは
通常枠を利用する場合、P1〜P7に該当する機能を最低でも1つ搭載したソフトウェアを導入しなければなりません。業務プロセスを以下の表にまとめました。
プロセス | 主な該当システム | 備考 | |
---|---|---|---|
P1 | ・顧客対応 ・販売支援 |
・SFA ・MA ・予約管理システム |
- |
P2 | ・決済 ・債権債務 ・資金回収管理 |
・決済システム ・債権管理システム |
- |
P3 | ・供給 ・在庫 ・物流 |
・在庫管理システム ・物流管理システム |
- |
P4 | ・会計 ・財務 ・経営 |
・会計ソフト ・財務システム ・経営管理システム |
- |
P5 | ・総務 ・人事 ・給与 ・労務 ・教育訓練 ・法務 ・情報システム |
・総務支援システム ・人事システム ・タレントマネジメント ・給与計算システム ・労務管理システム |
- |
P6 | その他業務固有のプロセス | ・レセプトシステム ・電子カルテ |
- |
P7 | ・汎用 ・自動化 ・分析ツール |
・RPA ・テスト自動化ツール |
・単独での使用不可 |
参照:IT導入補助金2024
1プロセスは、P1〜P6に該当するソフトを1つ導入する際に活用します。4プロセスの場合は、P1〜P6に該当するソフトを4つ以上導入しない限り、補助金は支給されません。
持続化補助金(小規模事業者持続化補助金)
持続化補助金とは販路拡大や賃上げなど、さまざまな取り組みをおこなう小規模事業者を支援する制度です。商工会や商工会議所の支援を受けながら、収益拡大や地域活性化に取り組む事業者が利用できます。
整骨院はサービス業に該当するため、従業員が5人以下の場合が対象です。持続化補助金の概要と補助対象を以下にまとめました。
補助率 | 補助額上限 | インボイス特例 | 追加申請要件 | |
---|---|---|---|---|
通常枠 | 3分の2 | 50万円 | インボイス制度の要件を満たすと、50万円追加支給 | なし |
賃金引上げ枠 | 3分の2(赤字事業者は4分の3) | 200万円 | インボイス制度の要件を満たすと、50万円追加支給 | 要確認 |
卒業枠 | 3分の2 | 200万円 | インボイス制度の要件を満たすと、50万円追加支給 | 要確認 |
後継者支援枠 | 3分の2 | 200万円 | インボイス制度の要件を満たすと、50万円追加支給 | 要確認 |
創業枠 | 3分の2 | 200万円 | インボイス制度の要件を満たすと、50万円追加支給 | 要確認 |
参照:小規模事業者持続化補助金
整骨院開業の際に利用可能な枠は通常枠です。Webサイトの制作や看板の設置など、集客活動に最大50万円の補助金が支給されます。補助対象を以下にまとめました。
- 医療機器をはじめとした設備導入費
- 医療機器をはじめとした設備のリース代
- チラシ作成や看板の設置などにかかった広報費
- Webサイト関連費
- 販路開拓にかかった旅費
- 内装工事をはじめとした外注費用
参照:小規模事業者持続化補助金
卒業枠や賃上げ枠は開業開始時点では利用できません。
ものづくり補助金
ものづくり補助金とはデジタル技術を活用し、省人化や新商品開発などに取り組む事業者を支援する制度です。小規模事業者や中小企業がターゲットになります。
整骨院運営で利用可能な枠は省力化枠です。省力化枠の概要を以下の表にまとめました。
内容 | |
---|---|
補助金上限額 | 750万〜8,000万円 |
補助率 | ・小規模事業者:3分の2(補助金額が1,500万円超の場合、3分の1) ・中小企業:2分の1(補助金額が1,500万円超の場合、3分の1) |
主な補助対象 | ・ソフトウェア購入費 ・設備の導入費 ・運搬費 ・クラウドサービスの利用料金 ・外注費 ・広告宣伝費 |
主な提出書類 | ・事業計画書 ・補助経費と賃上げ計画に関する誓約書 ・過去2年の貸借対照表と損益計算書 ・労働者名簿 |
参照:ものづくり補助金事務局
補助金の支給額は従業員が5人以下で750万、6人〜20人は1,500万など、従業員の人数に応じて変動します。
過去2年分の決算書類や労働者名簿などの提出が求められるため、開業後すぐには利用できません。従業員を雇用して数年が経過したタイミングでの利用となります。省力化枠を利用する際は、以下の要件をすべて満たした事業計画書を作成しなければなりません。
- 営業利益や人件費などを合計した付加価値額の年平均成長率を3%以上増加
- 給与支給総額の年平均成長率を1.5%以上増加
- 事業場内の最低賃金は地域別最低賃金+30円以上の水準に設定
- 設備導入前と比べて生産性が2倍以上
- 3〜5年以内に投資額の改修が見込める事業計画を策定
- 外部SIerを活用する場合は、保守・メンテナンス契約を中小企業等と締結
参照:ものづくり補助金事務局
地域雇用開発助成金
地域雇用開発助成金とは雇用が乏しい地域へ整骨院を出店し、設備導入とともに一定数の従業員を雇用した場合に利用できる助成金です。以下に概要をまとめました。
3〜4人 | 5〜9人 | 10〜19人 | 20人以上 | |
---|---|---|---|---|
300万以上〜1,000万円以下 | 50万円(開業時:100万円) | 80万円(開業時:160万円) | 150万円(開業時:300万円) | 300万円(開業時:600万円) |
1,000万以上〜3,000万円未満 | 60万円(開業時:120万円) | 100万円(開業時:200万円) | 200万円(開業時:400万円) | 400万円(開業時:800万円) |
3,000万円以上〜5,000万円未満 | 90万円(開業時:180万円) | 150万円(開業時:300万円) | 300万円(開業時:600万円) | 600万円(開業時:1,200万円) |
5,000万円以上 | 120万円(開業時:240万円) | 200万円(開業時:400万円) | 400万円(開業時:800万円) | 800万円(開業時:1,600万円) |
参照:厚生労働省
開業の際に従業員を3人または4人雇用した場合、100万円が支給されます。経費対象として認められる設備を以下にまとめました。
- 整骨院の新設費用
- 整骨院の内装工事費
- 不動産購入費用
- 医療機器の導入費またはリース費用
購入費用は1点あたり20万円以上、合計金額が300万円以上でない限り、助成金の支給が認められません。
参照:厚生労働省
整骨院開業を成功させるための7つのポイント
以下7つのポイントを理解し、整骨院開業の成功確率を高めましょう。
- 全柔協の制度を活用する
- 日本政策金融公庫に相談する
- 自費診療のメニューを拡充する
- ターゲット層にあわせた宣伝をおこなう
- 従業員をいきなり雇わない
- 税理士に相談する
- 行政書士に相談する
ポイントの内容を1つひとつみていきます。
1. 全柔協の制度を活用する
全柔協に所属すると、整骨院開業に向けて手厚いサポートが得られます。全柔協は40年以上の歴史を誇り、2,000以上の整骨院開業をサポートしてきました。
資金調達や物件選び、広告宣伝など、幅広い内容に関してアドバイスが得られます。保険請求業務や入金確認など、煩雑な事務作業を依頼できる点も魅力です。
開業に向けた準備と整骨院の運営をスムーズに進められるため、全柔協への所属を検討しましょう。
2. 日本政策金融公庫に相談する
金融機関からの資金調達を検討している場合、日本政策金融公庫を活用するのがおすすめです。日本政策金融公庫は他の金融機関と比べて、低金利融資や長期融資が得やすく、整骨院の経営者も多数利用しています。
担保や保証人がなくても、融資を受けられる制度が用意されている点も魅力です。融資の相談をする際は、多くの書類を準備しなければなりません。面談で必要な主な書類を以下にまとめました。
- 借入申込書
- 事業計画書
- 内装工事や医療機器購入の際の見積書
- 柔道整復師の免許書
- 預金通帳
- 賃貸借契約書
参照:全国柔整鍼灸協同組合
全柔協に所属すると、事業計画書の作成や事前相談の同席など、さまざまなサポートを依頼できます。融資の通過率が高まるでしょう。
3. 自費診療のメニューを拡充する
自費診療とは、健康保険が適用されない症状を緩和および快方へ導くための施術です。肩こりや首痛、腰痛などの症状は急性の怪我ではないため、保険が適用されません。
治療費は患者の自己負担となるため、1回の施術で多くの収入が得られます。整骨院の主な自費診療メニューを以下にまとめました。
- ストレッチや筋力トレーニングを交えた運動療法
- 産後の骨盤矯正
- 姿勢矯正
- もみほぐしやヘッドスパ
- 鍼灸
- 超音波治療
自費診療メニューで重要なのは料金設定です。患者は効果的な施術を安く受けたいため、高額な料金に設定すると、ほとんど利用してもらえません。競合店を参考に、利用しやすい価格に設定しましょう。
4. ターゲット層にあわせた宣伝をおこなう
新規顧客獲得やリピート率向上を実現するには、患者の年齢層にあった宣伝方法の選択が重要です。たとえば、10〜20代の学生を獲得したい場合は、SNSを選択します。
SNSの特徴は拡散力に優れている点です。有益な情報を投稿した場合、興味を持ったユーザー同士がシェアやリツイートによって情報を共有するため、不特定多数の方へ情報を拡散できます。
中高年や高齢者層をターゲットとしている場合は、チラシの作成がおすすめです。視認性や即時性が高く、チラシ配布後すぐの集客効果が期待できます。ターゲット層に応じた宣伝方法を選択し、費用対効果を高めましょう。
5. 従業員をいきなり雇わない
整骨院を開業してしばらくは1人で施術や接客に取り組むのが無難な選択です。整骨院の運営には家賃や電気代、消耗品購入費など、毎月多くの経費がかかります。黒字確保には、複数のリピーターを早期に確保しなければなりません。
整骨院の存在を認知してもらうまでには、ある程度時間が必要です。簡単に集客できない可能性も十分考えられます。
経営への圧迫を避けるため、一定のリピーターを獲得できた段階で、従業員の雇用を検討しましょう。
6. 税理士に相談する
資金面に不安を抱えている方向けの選択肢です。税理士には事業計画書の課題抽出や資金計画の作成、融資の面接対策など、資金調達全般に関する内容を相談できます。
金融機関に精通している税理士を選ぶと、事業計画書のチェックポイントや融資での質問内容も教えてもらえるでしょう。補助金に強い税理士を選んだ場合は、補助金申請に必要な書類作成や手続きの代行を依頼できます。
すべての分野を得意としている税理士はほとんどいなく、特定の分野に特化しているパターンがほとんどです。金融機関からの融資と補助金の活用、どちらを得意とする税理士を選ぶか、事前に決めておきましょう。
7. 行政書士に相談する
整骨院開業に必要な書類作成の手間を削減したい方向けの選択肢になります。行政書士は地方自治体や税務署など、官公署向けの書類作成を手がける専門家です。行政書士への依頼によって、資金計画の作成や集客など、別の業務に労力を割けます。
行政書士も税理士と同様、建設業や農業、運輸交通など、特定の業種に特化しているケースが一般的です。整骨院の開業手続きが豊富な行政書士を選び、手続きをスムーズに進めましょう。
まとめ
今回の記事では以下の3点に関して述べてきました。
- 整骨院開業までの流れ
- 整骨院開業の際に利用可能な補助金と助成金
- 整骨院の開業を成功させるためのポイント
整骨院を開業するまでには、事業計画書の作成や出店場所の選定など、さまざまな準備を進めなければなりません。内装工事の依頼や医療機器の導入など、多額の初期費用も必要です。
開業前に十分な資金を確保できずに不安な方は、税理士に相談しましょう。金融機関からの融資対策や補助金申請書類の作成など、資金調達全般に関する内容を相談可能です。
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大学卒業後、信用金庫で融資と営業を経験。リーマンショックの影響で融資先企業の業績が悪化する中、目の前で苦しむ企業を十分に支援できない自らの力不足を痛感。困っている企業の力になりたいと思い投資会社に転職し、中小企業の事業再生業務に従事。多くの再生案件に携わる中で現場の経営に関わりたいという思いが強くなり、副業で経営コンサルティング事業を開始。その後、視野を広げるために信用調査会社に転職し調査業務を行った後に独立。現在は経営者のパートナーとして、戦略立案・計画策定・資金調達・組織作り・人材育成・実行支援などを中心に、経営課題の解決を支援している。
それに対して、2014年に5,580億あった柔道整復市場(保険適用分のみ)は、2018年に4,810億と4年間で13.8%縮小しました。その要因としては、整形外科やリハビリテーション科を持つ医療機関、鍼灸院、整体院、マッサージ店(リラクゼーションも含む)などとの競合が激化したことなどが挙げられます。
このような厳しい環境下で整骨院・接骨院の経営を成功させるポイントは、「地域一番店になれるかどうか」にかかっています。
整骨院・接骨院の商圏は、よほど有名でない限り都心部で半径500m、郊外で半径2〜3劼噺世錣譴討い泙后どんなに良い技術があったとしても商圏選びを間違えばうまく行きませんし、どんなに良い商圏を選んだとしても新たに参入してきた施術所に顧客を奪われてしまっては安定した経営を続けることはできません。
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