【2024年版】製造業の利益率は?業種別の平均目安と企業ランキングを解説

株式会社Pro-D-use
監修者
株式会社Pro-D-use 取締役副社長 岡島 光太郎
最終更新日:2024年02月02日
【2024年版】製造業の利益率は?業種別の平均目安と企業ランキングを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 製造業の利益率はどれくらい?
  • 製造業における企業の利益率ランキングは?
  • 製造業の利益率を上げるには?

「製造業の利益率を把握し、自社の利益を上げたい」とお悩みの方、必見です。

一般的な営業利益率は5.0%です。製造業の営業利益率は3.4%のため、やや低い傾向にあります。業務効率を上げる、原価率を下げるなどの工夫をし、利益率を向上させましょう。

この記事では、製造業における企業の経営者・営業担当者向けに、数種類ある利益率の計算方法や利益率を向上させるポイントを解説します。この記事を読み終わった頃には、自社の利益率を見直し、利益向上のための行動を起こせるようになるでしょう。

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製造業の「営業利益率」は平均3.4%で他業界より低い

経済産業省が実施した企業活動基本調査で、製造業の営業利益率は平均3.4%であることがわかりました。一般的には5%前後の利益率が標準のため、やや低い傾向にあります。

営業利率は売上総利益から販売管理費を差し引いた金額です。手元にいくら残るのかを表す数値であるため、重視するべき利益率の1つです。

【業種別】製造業における利益率の平均目安

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製造業全体の営業利益率の平均は3.4%ですが、業種別に分けると大きな差が出ます。製造業における主な業種は、以下のとおりです。

  • 食料品製造業
  • 衣服・繊維製品製造業
  • 印刷・製版業
  • プラスチック製品製造業
  • 金属製品製造業
  • 一般機械器具製造業

1. 食料品製造業

平均値黒字・自己資本プラス企業平均
売上高総利益率40.7%42.2%
売上高営業利益率-5.0%3.5%
売上高経常利益率-3.1%3.5%
ROE(自己資本利益率)-0.5%84.3%
ROA(総資産利益率)-3.5%5.6%

参照:業種別経営指標(2021年更新版)|日本政策金融公庫

食料品製造業は商品のブランドを確立させるのが難しく、競合が多いというハードルがあります。製造業全体において、収益性は比較的低いのが特徴です。販売費や管理費などのコストがかかりやすく、利益が出にくいという点も、利益率が下がる要因です。

2. 衣服・繊維製品製造業

平均値黒字・自己資本プラス企業平均
売上高総利益率41.3%41.6%
売上高営業利益率-4.0%3.5%
売上高経常利益率-2.5%3.2%
ROE(自己資本利益率)-11.1%90.3%
ROA(総資産利益率)-2.6%6.1%

参照:業種別経営指標(2021年更新版)|日本政策金融公庫

衣服・繊維製品製造業は、売上高経常利益率・売上高純利益率がともに低い傾向です。日本での市場状況を見てみると1991年がピークで、以降は市場規模が小さくなっています。

現在はコストパフォーマンスの高い海外製品が入ってきているため、十分な収益を得ることが難しいでしょう。

3. 印刷・製版業

平均値黒字・自己資本プラス企業平均
売上高総利益率47.5%47.3%
売上高営業利益率-2.0%3.9%
売上高経常利益率-0.7%4.1%
ROE(自己資本利益率)13.8%74.1%
ROA(総資産利益率)-0.9%6.3%

参照:業種別経営指標(2021年更新版)|日本政策金融公庫

印刷・製版業は、売上高総利益率が比較的高い数値です。売上高営業利益率は低く、ユーザーのニーズに対応するための販売・管理費などが、利益率低下を招いていると考えられます。

資材にかかるコストは、原油相場や為替相場などにも深く関係しているため、情勢に左右されます。

4. プラスチック製品製造業

平均値黒字・自己資本プラス企業平均
売上高総利益率38.5%38.6%
売上高営業利益率-1.4%4.3%
売上高経常利益率-0.9%4.5%
ROE(自己資本利益率)14.1%72.2%
ROA(総資産利益率)-1.6%6.5%

参照:業種別経営指標(2021年更新版)|日本政策金融公庫

プラスチック製品製造業は、製造業全体で見てみると、利益率が低い傾向です。他業種の製品と比べると、商品単価が安いという特性があるため、利益が伸びにくくなっています。

近年ではエコロジーに対する意識が高まり、生分解性プラスチックが注目されていることも関係しているでしょう。

5. 金属製品製造業

平均値黒字・自己資本プラス企業平均
売上高総利益率41.1%42.8%
売上高営業利益率-1.2%5.1%
売上高経常利益率-0.2%5.3%
ROE(自己資本利益率)26.4%61.7%
ROA(総資産利益率)0.6%7.4%

参照:業種別経営指標(2021年更新版)|日本政策金融公庫

金属製品製造業は、他業種の中でも利益率が高いという特徴があります。国内で製造された金属製品は、高品質であることで評価され、海外への輸出も積極的に行われています。

国内向けのサービスになると、多品種小ロット生産が求められるため、収益性低下を招くケースも少なくありません。

6. 一般機械器具製造業

平均値黒字・自己資本プラス企業平均
売上高総利益率40.0%42.8%
売上高営業利益率-3.0%5.4%
売上高経常利益率1.8%6.1%
ROE(自己資本利益率)18.2%94.6%
ROA(総資産利益率)-0.9%7.5%

参照:業種別経営指標(2021年更新版)|日本政策金融公庫

一般機械器具製造業は、全体を見ると販売管理費のコスト削減を実現している傾向にあります。結果的に売上高営業利益率・売上高経常利益率が高い状態です。

近年ではアフターサービスが積極的に行われている業種でもあり、製品以外にも価値があることで、多くのユーザーから期待されています。

製造業における企業の利益率ランキング一覧

過去には製造業における企業の、利益率ランキングが発表されています。2019年11月時点で、東京商工リサーチの財務データベースに登録されている80万社の中から抽出しているランキングです。

順位社名5期平均の営業利益率所在地社員数事業概要売上高
1位ペプチドリーム52.5%川崎市104名医薬品候補物質の開発72憶1662万円
2位成和インターナショナル45.2%町田市18名化粧品製造・販売33憶3646万円
3位アルファ40.8%沼津市50名ヒートシンクの製造23憶3545万円
4位山本漢方製薬29.7%小牧市37名健康食品製造66憶4818万円
5位念治錦江29.6%八尾市55名ステンレス部品製造50憶1805万円
6位エーワン精密28.5%府中市95名コレットチャック製造20憶8420万円
7位帝王チャック25.5%八尾市163名チャック製造48憶5916万円
8位ワシノ機器24.6%名古屋市92名産業用配管機器製造22憶732万円
9位三貴工業24.5%雲仙市100名産業機械の製造25憶6598万円
10位アタゴ25.0%港区190名精密測定器製造32憶7956万円

【種類別】製造業における利益率の計算方法

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利益率は5種類に分類されます。5種類の中で特に重要なのが、売上高総利益率と売上高営業利益率です。

  • 売上高総利益率(粗利益率)
  • 売上高営業利益率
  • 売上高経常利益率
  • 自己資本経常利益率(ROE)
  • 総資本経常利益率(ROA)

以下では具体的な計算方法を解説します。自社の利益率を計算したいときは、参考にしながら実践してみましょう。

1. 売上高総利益率(粗利益率)

売上総利益率は、最もポピュラーな利益率で「粗利率」とも呼ばれています。企業が提供する商品・サービスで得られた利益をダイレクトに表す数値です。製造業においては、売上高から製造原価を差し引いて売上総利益を導き出し、下記の計算式を使います。

計算方法

売上高総利益率=売上総利益÷売上高×100

売上高総利益率は、景気による影響を受けやすいという特徴があります。製造業全体の平均値は41.8%です。

2. 売上高営業利益率

売上高営業利益率は、企業の主力業務の収益を表します。売上高総利益率と比較し、利益率の対象範囲が広いです。製造業においては売上総利益率から、広告宣伝費や人件費などを差し引いて営業利益を導き出し、下記の計算式を使います。

計算方法

売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100

支払利息をマイナスする前の数値であり、財務活動による影響を受けません。事業で得られた収益を、そのまま形にできるという利点があります。製造業全体の平均値は4.5%です。

3. 売上高経常利益率

売上高経常利益率は、企業全体での収益力を表します。企業活動全体のことを示すイメージです。売上高経常利益率は、下記の計算式を使います。

計算方法

売上高経常利益率=経常利益÷売上高×100

製造業を本業とし、不動産収入がある場合は、製造業で得た利益と不動産収入を合算して計算する仕組みです。企業の収益性が合理的に把握できる方法でしょう。製造業全体の平均値は4.6%です。

4. 自己資本経常利益率(ROE)

自己資本経常利益率は、自己資本の運用効率を表した数値です。ROEという名前でも呼ばれています。基本的には経営者ではなく、投資家の間で使用されています。経常利益から特別損益と法人税などを差し引いて、当期純利益を算出したら、以下の計算式を使います。

計算方法

売上高税引前当期純利益率=税引前当期純利益÷売上高×100

自己資本利益率が投資家の間で使用されているのが、リターンに深く関わっている数値であるためです。資金調達が必要なときに、非常に注目される数値と言えます。製造業全体の平均値は7.5%です。

5. 総資産利益率(ROA)

総資産利益率は、企業の総資産を用いて生み出した利益を表した数値です。ROAという名前でも呼ばれています。自己資本と比べ、大まかな総資本となり、財務構成に左右されません。総資産利益率は、以下の計算式を使います。

計算方法

売上高当期純利益率=当期純利益÷売上高×100

総資産利益率は、運用利回りを同業他社と比較するときに役立ちます。企業の規模や財務構成が異なる場合でも、同業他社との比較は可能です。製造業全体の平均値は4.5%です。

製造業で利益率を向上させるポイント

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製造業は比較的利益率が低い傾向にあることが把握できたのではないでしょうか。以下で紹介する、製造業で利益率を向上させるポイントを実践してみましょう。

  • 業務効率を上げる
  • 原価率を下げる
  • 人件費を下げる

上記は製造業において、利益率を向上させるためのポイントです。早めに対策を行えば、現状を変えることは十分可能でしょう。以下のポイントを参考にしながら、対策を実践してみてください。

1. 業務効率を上げる

業務効率を向上させると、利益率が上がりやすくなります。生産性もアップし、余分なコストがかかるリスクも回避できるでしょう。時間を効率よく使えるようになるという利点もあります。

近年ではITを取り入れて、業務効率化を図る企業が増加しています。ホームページにチャットボットを導入して、自動的に質問への回答を行ったり、RPAツールを導入して、人的ミスを防いだりすることも可能です。

2. 原価率を下げる

原価率が下がれば、商品サービスによる売上利益が生まれやすくなります。目先の売上増加に着目するのではなく、原価率を最初に下げるように心掛けるだけで、かなり状況が改善されるでしょう。製品製造に使用している素材を見直して、必要に応じて変更してみるのがおすすめです。

原価の削減は非常に効果的ですが、誰でも簡単に削減できるものではありません。最初に光熱費や消耗品などを、できる限り削減することから始めてみましょう。毎日使用するものを削減するだけで、かなりのコストカットが実現できます。

3. 人件費を下げる

人件費は販売管理費などのコストで、最も大きな割合を占める要素です。人件費を可能な限りカットできれば、営業利益率にも大きな影響を与えてくれます。人件費を下げるためには、上述したITを取り入れる方法が一般的です。

短期的に見ると大きなコストがかかることもありますが、長期的に取り組めば、人件費を大幅に下げることにつながります。従業員は、他の作業に集中できる環境になるため、同時に業務効率化も実現可能でしょう。

まとめ

本記事では営業利益率の種類や算出方法、製造業における平均値などを解説しました。製造業は比較的利益率が低い傾向にあります。

まずは自社の状況を冷静に分析し、対策を実施してみましょう。

比較ビズでは、製造業の利益率向上をはじめとする経営改善コンサルタント会社を多数紹介しています。2分程度で必要事項を入力でき、実績豊富な経営コンサルティング会社をスピーディーに探せます。

税理士や社労士に無料で相談できるのもうれしいポイントです。営業利益率でお悩みの製造業の方は、比較ビズをご利用ください。

監修者のコメント
株式会社Pro-D-use
取締役副社長 岡島 光太郎

2009年:(株)リクルートに新卒で入社。営業部署・企画部署にて責任者を務める。(在籍中は、MVPやマネジメント賞など、多数受賞。)
2013年:(株)データX(旧:フロムスクラッチ)の創業期に転職。営業や新卒・中途採用の責任者を務める。
2014年:アソビュー(株)に転職。その後、営業責任者、新規事業責任者、事業企画を歴任。
2015年:(株)Pro-D-useを創業。取締役副社長(現任)に就任。新規事業の立上げ〜収益化、成果を上げる営業の仕組み作り、採用〜組織の構築、Webマーケティングを主軸とした売れる仕組み作り、業務システムの導入・運用、融資を中心とした資金調達〜財務のコンサルティングを得意としている。
また、個人でも中小企業の融資を支援するサービス「中小企業の融資代行プロ.com」を運営するなど、一貫して中小企業を支援することを生業にしている。

製造業の利益率向上には、「業務効率の改善」、「原価率の低減」、「人件費の削減」が大きなポイントとなってきます。

昨今においては、特に「IT活用」「DX推進」で業務効率化と見える化、経営の現代化を図ることで、余分なコストを下げ生産性を高めたり、能動的に顧客に求められる商品の開発や提案をすることが可能になります。

この際にポイントになるのは、「製造現場だけ」「営業現場だけ」「在庫管理だけ」といった、個別最適で業務効率化を進めるのではなく、経営全体から業務効率化を目指して業務フローを整備して、IT・DXを進めることがとても重要になってきます。

これらの対策を中長期で愚直に、かつ適切に実施することで利益率の大きな向上を実現することができます。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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