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請求管理システムを現役エンジニアが解説

更新日:2020年06月18日 発注カテゴリ: 業務システム開発
請求管理システムを現役エンジニアが解説

請求管理システムはあらゆる物、サービスを販売している事業者が利用するシステムです(現金やクレジットカードなどその場で決済を行う小売業は除く)。請求書を作って、印刷し、顧客に送付、入金が確認でき次第請求完了という手続きを手作業で実施すると、作業のミスが発生したり、保管が必要な資料は増え続け、期末には資料をまとめる作業も発生します。なにより人員コストが発生してしまいます。そこで、請求管理システムを導入し、業務の効率化を図るという形が請求管理システムの一般的な使われ方です。本記事では、請求管理システムの目的、概要からシステム構築の費用相場、発注時のポイントなどを解説します。

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請求管理システムとは

請求管理システムとは、物やサービスを販売し、その対価を受け取って成り立つ事業において、物やサービスを販売後の対価となるお金の請求管理に関わる業務をシステム化したものです。販売の流れにおける受注、出荷、納品といった業務のあとで発生するため、販売管理システムに含まれることもあります。

主な機能としては、受注データや出荷データから請求書を発行する機能や、未入金の請求データを検索、参照する機能等があります。

近似のシステムとして、請求書発行システムと呼ばれるものがあります。請求管理システムは請求業務およびそのステータス管理がメインとなるのに対し、請求書発行システムは請求書の発行そのものがターゲットとなっている点が違いです。

目的

請求管理システムの主な導入目的は下記となります。

  • 請求業務をシステム化することでミスを削減、効率化を図り、コストダウンを行う
  • 他のシステムと連動させることによりシームレスな業務を実現する

機能概要

本記事では請求管理、請求処理に関する他システム連携を対象の機能として説明します。また、受注業務については別途、販売管理システム等が存在し、受注データおよびそのステータス(出荷済み、納品済み等)を連携したものを請求の元データとします。

  • 請求データ検索、参照

請求対象のデータを検索、参照する機能です。取引先や請求期限、金額、請求の状態など、業務でよく利用する条件で検索できるように画面の要件を定めましょう。

  • 請求書発行

請求データに対し、請求書を発行する機能です。紙での出力やPDFファイル等、業務で利用するアウトプット形式を想定しておきましょう。また、顧客ごとに指定の帳票フォーマットがある場合は、拡張機能として追加実装する必要があります。

  • 請求書発送(eメール、郵送、Web)

請求書発行機能により作成した請求書を、請求先に送付する機能です。請求先が対応している形式を準備しておく必要があります。また一部のクラウドサービスでは有料オプションで発行した請求書を郵送することもできます。

  • 入金消込

請求データに対し入金があった場合に、請求データを完了の状態に更新する機能です。入金の確認ごとに消し込める機能と、振り込み口座等に紐づけて連動させる形が考えられます。

  • 支払督促

請求データの請求期限超過または期限が近づいた際に、請求先に支払の督促連絡を行う機能です。eメールやFAX、紙に出力して郵送等の方法があります。

請求処理に関する他システム連携

  • 販売管理システムからの受注データ取得

請求管理機能における元のデータは、基本的には販売時(受注時)のデータです。販売管理システムから受注データを取得して、請求データ作成を自動化することができます。請求書作成業務によるミスを防ぎ、効率的なデータ作成を実現します。

  • 会計システムへの会計仕訳の登録

入金があった請求データは請求の業務としては完了の状態となります。その際に、会計のシステムへデータを登録する機能です。

請求管理システムを導入した方が良い状況

請求業務におけるシステム導入の目安です。もちろん、この目安に加えてシステム導入による費用対効果面の検討も必要です。

  • 請求業務でのミスが発生する

請求業務でデータ入力ミス、計算ミス等の単純ミスが発生する場合、システムの導入を検討したほうが良いでしょう。システムを導入して業務を明確に定め、自動化することでミスを削減することができます。

  • 請求管理業務のコストを削減したい

請求管理業務にコストが掛かり過ぎている場合、システム導入による業務の効率化、自動化でコスト削減へのアプローチを行うことが出来ます。

  • ペーパーレスでの業務運用を行いたい

請求書の発行を今すぐに全て無くすのは難しいです。何より、全ての請求先がペーパーレスには対応していないからです。しかしながら、紙での運用を無くしていく対応を全くしないのは、時代の変化に対応しきれていない状態かもしれません。エコロジーでサステナブルな事業の展開という面でも、紙のコストの削減という面でも情報のデジタルデータ化が必要とされているのです。

  • スムーズな接続で業務サイクルの短縮を行いたい

販売管理および物の出荷、納品、検収といった業務から、システム化により自動的に請求につなげることで、全業務のサイクルの短縮に貢献できます。部門間の連携で時間がかかってしまうところを、システムの連携で実現する、業務のシームレス化の一環となります。

クラウド/パッケージ/オンプレミス(独自システム構築)の違い

システムを導入を考える場合、方式や環境といったものを決めていけなければなりません。ここでは大まかに三種類の方式、環境について概要とメリット・デメリットを説明します。

  • クラウドサービスの利用(SaaS)
  • パッケージ製品の利用(オンプレミス)
  • 業務に合わせた独自システムの構築(オンプレミス)

ここでいう、クラウド/オンプレミスというのはシステムをどこで動かすかという環境の違いです。クラウドサービスとはインターネット上に別の事業者が持つ環境、システムを利用する方式です。オンプレミスの場合は自社でサーバー他のハードウェアを方式となります。

オンプレミスでは、さらにパッケージ製品と独自システムの構築に分かれます。パッケージ製品はよくある業務をシステム化し、完成させてパッケージとして販売しているものです。独自システムの構築は、ここでは業務の要件にあわせてシステムを開発することを指しています。

クラウドサービス利用のメリット・デメリット

メリット

  • ハードウェアは利用端末以外用意しなくてよいため、初期投資やハードウェアメンテナンスは比較的安価で済む
  • 一般化されたシステムのため、よくある業務はコストを抑えて利用可能
  • インターネット接続環境がある端末ならばアクセスでき、複数端末での利用も可能

デメリット

  • 継続的に費用が掛かる。システム利用が増えると利用料金も増える場合もある
  • 業務上の機密情報となりえるデータをクラウドサービスに預けることになる。ハッキング、情報漏洩等のリスクは高い
  • 拡張性は低い。バーコード、RFIDなどと組み合わせて現物管理するには一工夫必要
  • 柔軟性は無く、自社業務に合わせたカスタマイズ、改修などはできないことが多い
  • クラウドサービスの運用停止(メンテナンスなど)やネットワーク切断に業務が影響される

パッケージ(オンプレミス)のメリット・デメリット

メリット

  • 独自システム構築よりは安価なことが多い
  • 買い切りや年単位のライセンスなどの契約形態が選べる
  • 一般化されたシステムのため、よくある業務はコストを掛けずに利用可能

デメリット

  • 柔軟性は低く、自社業務に合わせた機能追加、カスタマイズ、改修が不可能だったり、大きなコストがかかることもある
  • パッケージの更新に影響を受ける
  • 独自にシステム構築した場合と同様にハードウェア等の導入、運用が必要となる

オンプレミスで独自システム構築のメリット・デメリット

メリット

  • 業務に合わせて柔軟なシステム開発が可能
  • HHT(ハンディ端末)、RFID等デバイスとの組み合わせも自由にでき、大きな効率化を図ることも可能
  • 拡張性が高く、機能の追加はしやすい

デメリット

  • コストは構築するシステムによっては高価になる
  • 規模によっては開発期間が長期的になることもある
  • ハードウェアやサーバーの運用、保守業務が必要となる

請求管理システムで気軽にクラウドサービスを利用できない理由

クラウドでの請求管理システムは昨今増え続けており、利用価格もとても安いものも多いです。どこからでもインターネットを経由して接続できるという利点もあります。とても便利なものですが、クラウドサービスを利用することにより、データの消失や悪意あるサイバー攻撃による情報漏洩のターゲットとなってしまう大きなリスクを抱えます。

特に請求管理で取り扱うデータは顧客の情報、製品の金額の情報など業務上機密性の高いデータです。また、どこでも接続できるという利点はユーザID、パスワードなどのログイン情報がフィッシング等により流出してしまった場合、簡単に機密情報が見られ、悪用されてしまう可能性があるのです。本当に信頼できるクラウドサービスであるかを見極めるのは、かなり難しいといえます。

クラウドサービス利用上の注意点(総務省)

請求管理システムの一般的な費用相場

先にあげた三つの方式で価格帯は様々です。もちろん機能の充実性、使いやすさといった面でも費用は変わってきます。

クラウドの請求管理システムを利用する場合、多くが期間(および使用量、使用人数)による課金制となっています。月額や年額といった単位で支払いを行う形です。その価格は中小企業や個人事業主向けの無料から月額数百円〜のものや、大量のデータに対応できるものでは月額数万円〜が主流のようです。

ただし、請求管理システムについては扱うデータの内容は自社業務の機密事項です。機密事項をクラウドに預けるリスクの考慮が必要です。

オンプレミスでパッケージ製品を利用する場合、パッケージ製品本体価格とカスタマイズ費用、セットアップ費用、ハードウェア等の設備費用が必要となります。パッケージ本体の価格は高機能でシステム連携機能なども充実したもので数十万円単位〜が主流です。

請求業務は比較的が業務が明確なため適用しやすいパッケージも探しやすいかもしれません。パッケージの導入とそのカスタマイズを組み合わせたプランを持っているシステムベンダーと相談してみると、より明確になります。

オンプレミスで独自システム構築を考えた場合は、SIerやシステムベンダーと呼ばれる業者に開発を依頼する形となります。この場合、システムで実現することを決める要件定義(仕様定義)、設計、開発、試験といった各工程を実施するための工数から料金が決まってきます。システム構築は実現機能や方式により複数のレベルの価格が考えられます。

業務に合わせて、販売管理、会計といったシステムと連携可能な請求管理システムを構築する場合を考えると、ソフトウェア開発費用はパッケージ製品を利用した場合と同等かそれ以上となります。オンプレミスで独自システム構築を行う場合は、要件定義で必要な機能をきちんと決めることで、コストが削減できる場合もあります。

請求管理システムの見積例

オンプレミスで業務に合わせて最低限必要となるシステム構築をする場合の見積もり例

※他の業務システムとの連携機能は、他のシステムの存在の有無等によりケースバイケースのため、今回は費用算出外とします。

実現機能

3画面1帳票2バッチ1口座連携

業務 機能 種別
請求 請求データ検索、参照 画面
請求書発行 画面、帳票
請求書発送(eメール、郵送、Web) バッチ、手作業
入金消込 画面、口座と連携
支払督促 バッチ、メール
請求処理に関する他システム連携 販売管理システムからの受注データの取り込み 外部システム連携
会計システムへの会計仕訳の登録 外部システム連携

開発工程

  • 要件定義
  • 設計
  • プログラミング
  • テスト
  • 運用保守

Webシステム(FWを利用した開発)

SE費用 160万円 2.0人月

Webシステムの開発でオープンソースのFWを利用する場合を想定しています。FW(フレームワーク)とは、プログラムのひな型のようななものが決まっていて、その分コストを抑え納期を縮めた開発が可能です。ただし、FW上の制約、有名なFWは脆弱性が狙われる等の課題もあります。

※別途、ハードウェア、設備等に関する費用が必要となります。既存資産の流用なども可能ですので、システムベンダーにご相談ください。

請求管理システム開発時の注意点

システムの導入で業務運用が変わる場合は、システム利用者の教育を行っていくことが必要となります。教育計画を立てて、スムーズに業務が実施できるように事前に準備しておかないと、システム導入で見込んだ効率化等の実現は出来ません。

請求業務へのシステム導入には、起こりえるイレギュラーを想定し、システムが原因で請求業務が止まらないような配慮が必要です。請求業務がシステムに依存する場合は、システムが止まっても業務を行えるように手順を用意しておく必要があるでしょう。

総括

請求管理システムは物、サービスを売る製造業、販売業では必ず発生する業務のシステム化にあたります。システム化した場合には、利用頻度も高いシステムとなります。高品質なシステムを作れれば、業務の効率化、正確性向上等に大きな貢献をしてくれるでしょう。やはり、自社業務の分析を行い、効率化と自動化を適宜取り入れながら自社製品の特性等に沿ったシステムを構築することが一番大切なポイントです。

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