システム開発の流れとは?開発手法や成功へ導くためのポイントも紹介

最終更新日:2024年02月08日
システム開発の流れとは?開発手法や成功へ導くためのポイントも紹介
この記事で解決できるお悩み
  • システム開発の流れとは?
  • システム開発の開発手法とは?
  • システム開発を成功させるためのポイントとは?

システム開発の流れはウォーターフォール開発やアジャイル開発など、選択した開発手法によって異なります。トラブルを避けるには基本的な開発の流れを知ったうえで、開発手法ごとの特徴を把握することが重要です。

この記事では、システム開発の流れや開発手法、成功するためのポイントを紹介します。最後まで読めば、システム開発への理解が深まり、事業の成功につながるでしょう。

新たにシステムの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

システム開発の流れ

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以下の手順に沿ってシステム開発を進めていきます。

  1. 要件定義
  2. 基本設計
  3. 詳細設計
  4. コーディング
  5. テスト
  6. リリース
  7. 運用と保守

システム開発の流れのなかでユーザー側がもっとも意識すべき工程は要件定義です。要件定義で開発側との認識がズレていると、修正工数の増大や追加費用の発生を招く可能性が高まります。

要件定義

要件定義とは、開発側の視点でユーザーからの要求内容をまとめる作業です。要件定義書に記載する例を以下にまとめました。

主な例
機能要件・商品検索
・顧客分析
・販売実績
・受発注管理
非機能要件・操作画面
・ユーザーインターフェース
・システムの停止要件
・障害対策
性能要件・システムの処理速度
・ページの読み込み速度
・応答時間
・バッチ処理時間
セキュリティ要件・機密情報の保護体制
・サイバー攻撃対策
・マルウェア感染対策
・サーバーダウンしてから復旧までの時間
保守要件・システムの拡張性や互換性
・異常を検知した後の対応
・メンテナンス頻度
・ソフトウェアのバージョンアップ頻度

要件定義はユーザーにとってシステム開発の工程でもっとも重要な工程です。システム開発を外注する場合、担当者と認識が一致していないと、本来の意図からズレたシステムに仕上がる可能性が生じます。仮に修正作業を依頼した場合、追加費用の発生は避けられないでしょう。

要件定義は、システム開発の工程でユーザー側が積極的に関与できる貴重な工程です。トラブルの発生を避けるため、細部まで自社の要望を正確に伝えましょう。

基本設計

基本設計とは要件定義の内容をもとに、システム全体の構造を決める工程です。実装予定の機能や操作画面、ユーザーインターフェースなど、ユーザーの目や手に触れる部分に関する仕様を固めます。

ユーザーは要件定義で決めた内容が反映されているか、確認する姿勢が重要です。基本設計の内容をもとにシステム内部の設計を進めていくため、認識がズレていると手戻りや修正工数の増大を招きます。

ユーザーが積極的に関与できる最後の工程となるため、確認に十分な時間を割きましょう。基本設計の作業がある程度進んだ段階で、基本設計書が作成されます。開発側から提出される文書を以下にまとめました。

  • 機能一覧
  • 業務フロー図
  • システム構成図
  • 画面設計図
  • バッチ設計図
  • データベース設計図
  • 外部インターフェース設計図

詳細設計

詳細設計とは、システム内部の動作やデータ処理の流れなどを設計する工程です。コーディング担当者がプログラミングをスムーズに進められるよう、各機能の役割やデータベースの構造などに関してまとめます。

システム開発に携わる関係者にしか公開されないため、ユーザーが閲覧することはありません。詳細設計が終わると、主に以下の成果物が提出されます。

  • 機能仕様書
  • データフロー図
  • データベース物理設計書
  • クラス図
  • モジュール構造図
  • 入出力設計書
  • バッチ処理設計書

コーディング

プログラミング言語を使って、ソースコードを記述します。ソースコードとは、PCにどのような動作や処理をさせたいかを記載したプログラムのことです。PCが指示内容を理解できるよう、プログラミング言語を使ってソースコードを作成します。

プログラミング言語は開発対象や開発者のスキルによって、使い分けるのが一般的です。たとえば、基幹システムを開発する場合はC言語やC++を使い、ECサイトをシステムで構築する場合はRubyなどが候補に挙げられます。

フレームワークやライブラリを使うと、開発を効率化しつつソースコードの可読性を高められるでしょう。

フレームワークとライブラリに関して

フレームワークとは、システムやアプリ開発に必要な機能を搭載した枠組みです。共有コードや設計パターンなどが利用できるため、コード作成の手間を省けます。

ライブラリとは関数処理や画像解析、機械学習など、開発で使用頻度の高い特定の機能をまとめた部品です。フレームワークと異なり、単体では稼働しません。

テスト

システムを運用するまで、計4段階のテストを実施します。各テストの概要を以下の表にまとめました。

概要
単体テスト・機能単位での動作確認 ・要件定義の基準を満たしているかを確認
結合テスト・他のプログラムと連携したうえでの動作確認
・単体テストで問題なかったとしても、結合テストで異常が発生する可能性もあるため、必ず実施
総合テスト・すべてのプログラムが要件定義の基準を満たしているかを確認
・エラー表示の有無やアクセスへの耐久性、処理速度なども確認
運用テスト・システムを実際に稼働させる環境を想定し、不具合が起きないかを確認
・運用テストで問題がなければ、移行に向けての準備を開始

テストを実施する目的はバグや不具合の早期発見です。テストの実施回数が不十分では、リリース後に不具合が発生する可能性が高まります。システムの安定稼働を実現するため、テストは入念におこないましょう。

リリース

運用テストで問題がなければ、既存システムから新システムへ移行する準備を始めます。移行方法は一括移行と段階的移行、並行運用の3種類です。個々のメリットとデメリットを以下の表にまとめました。

  一括移行 段階的移行 並行運用
概要 ・既存システムを停止し、新システムへ一気に移行する
・システムを止めても影響が少ない長期休暇に作業をおこなう
・業務内容や拠点ごとなど、段階的に新システムへ移行していく
・長期間システムを停止できない業種に適している
・新システムへの切替が問題ないと判断されるまで、既存システムも利用する
・通常業務への支障を抑えたい企業に適している
メリット ・システム移行の手間を抑えられる
・移行に失敗しても既存システムを使える
・移行作業でのトラブル発生を避けられる
・1回でかかる時間は少ない
・顧客とのトラブルを避けられる
・今までと同じように通常業務を進められる
デメリット ・時間がかかる
・移行作業を実施可能な期間が限られる
・移行作業がすべて終わるまで時間がかかる
・手間と費用が増えやすい
・特定の社員に負担がかかりやすい
・業務効率が下がる

一括移行の場合はしばらく業務を止めるかたちとなるため、GWや夏季休暇など、長期休暇に移行作業をすべて終えなければなりません。数日間業務を中断するのが難しい場合は、段階的移行か並行運用を選びましょう。

運用と保守

システム開発は、新しいシステムを納品して終わりではありません。安定稼働を実現するには、定期的なメンテナンスやアップデートが必要です。システムの運用を進めるなかで、バグや欠陥が見つかる可能性もあるでしょう。

システムの運用と保守を自社で対応するかどうかは、自社のリソースをみて判断してください。システム開発会社によっては、システムの開発〜運用代行まで依頼できます。

システム開発の手法

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システム開発の手法は主に以下の4種類に分類できます。

  • ウォーターフォール開発
  • アジャイル開発
  • プロトタイプ開発
  • スパイラル開発

各手法の特徴をみていきましょう。

ウォーターフォール開発

ウォーターフォール開発とは要件定義〜リリースまで、一連の工程を順番に進めていく開発手法です。上流から下流に流れるように工程が進む様子から、ウォーターフォールと名付けられました。

ウォーターフォール開発は進捗状況を把握しやすい点が特徴です。各工程を完了させない限り、次の工程に進みません。大規模なシステムを開発する場合も、スケジュール管理と予算管理をスムーズに進められます。

前工程への手戻りは想定しておらず、開発途中で急な仕様変更が発生しても、素早い対応は望めないでしょう。大幅な手戻りによって修正工数が増大し、開発期間の長期化と追加費用の発生を招きます。

アジャイル開発

アジャイル開発とは要件定義〜テストまで、一連の工程を機能単位で繰り返していく開発手法です。テストが終わった段階でリリースし、機能ごとにリリースを繰り返しながら仕様を固めていきます。

テストまでの工程はイテレーション(反復)と呼ばれ、2週間〜4週間で機能を開発していく流れです。

アジャイル開発の採用によって、仕様変更にともなう手戻りを最小限に抑えられます。要件定義では必要以上に作り込みをしません。開発途中での動作検証やユーザーからのフィードバックをもとに改良を重ね、システムの仕様を固めていきます。

システム開発のコンセプトがブレやすいため、ユーザーとの密なコミュニケーションが必要です。

プロトタイプ開発

プロトタイプ開発とは、開発の初期段階から試作品を活用する開発手法です。試作品となる簡易版システムには、必要最低限の機能しか搭載されていません。動作検証の結果やユーザーからのフィードバックをもとに改良を重ね、仕様を固めていきます。

プロトタイプ開発の特徴は、システムの完成イメージをユーザーと正確に共有できる点です。開発の初期段階からシステムの機能性や動作をユーザーと確認するため、認識のズレにともなうトラブルの発生を避けられます。

要件定義では細部まで作り込まないため、仕様変更や機能追加の要望にも対応しやすいです。反面、試作品の作成頻度が増えると開発費用が高騰するため、注意しましょう。

スパイラル開発

スパイラル開発とは要件定義〜評価までの作業を機能単位で繰り返し、システムの完成度を高めていく手法です。優先度の高い機能から開発に着手し、開発を進める際は簡易版システムを試作品として活用します。

試作品の動作検証や改良を通じてシステムの仕様を固めるため、要件定義では細部まで作り込みません。開発途中で仕様変更があったとしても、柔軟に対応できます。開発の初期段階からシステムの完成イメージをユーザーと共有できる点もプラスです。

機能単位でシステム開発を進めていくため、スケジュール管理がしにくくなります。開発担当者の人数が増えるほど作業工数が増えるため、大規模システムの開発には向いていないでしょう。

システム開発を成功させるための6つのポイント

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システム開発を始める前に以下6つの点を整理しておきましょう。

  1. 開発手法ごとの特徴を理解する
  2. 専門知識を持つ人材がいるかを確認する
  3. RFPを作成する
  4. 担当者との相性を確認する
  5. システム開発会社の得意分野を確認する
  6. 外注先の選定にはビジネスマッチングを活用する

各ポイントの詳細をみていきます。

ポイント1. 開発手法ごとの特徴を理解する

ウォーターフォール開発やプロトタイプ開発など、各開発手法の特徴を理解しておくことが重要です。開発手法ごとにメリットやデメリット、開発の流れが異なります。

たとえば、ウォーターフォール開発は要件定義〜テストまで、1つひとつの工程を順番に進めていくのが特徴です。スケジュール管理がしやすい反面、仕様変更が発生した場合は開発費の増大や納入遅れを招く可能性が高まります。

プロトタイプ開発は試作品を改良しながら、システム全体の完成度を高めていく開発手法です。要件定義で内容を作り込まないため、仕様変更へも柔軟に対応できます。

状況によって選択すべき開発手法は異なるため、慎重に判断しましょう。

ポイント2. 専門知識を持つ人材がいるかを確認する

自社でシステム開発を検討している場合、専門知識を持つ人材がいるかを確認しておきましょう。システム開発にはプログラミング言語やコーディング、セキュリティなど、幅広い知識が必要です。

リリースまでに設計書の作成やテスト環境の整備など、多くの作業を進めなければいけません。システム開発に必要な知識を持つ人材が複数名自社に在籍していない限り、希望時期にシステムを完成させるのは難しいでしょう。

専門知識やスキルを持つ人材が不在の場合は、システム開発会社へ依頼しましょう。システム開発会社には豊富な実務経験や知識を持つエンジニアが多数在籍しており、自社の要望を反映したシステムの開発が望めます。

ポイント3. RFPを作成する

システム開発会社を選定する際、RFPを提出しましょう。RFP(Request for Proposal)とは、自社の要望をまとめた提案依頼書です。システムやアプリ開発の際、発注側が外注先の企業に提出します。RFPに記載する主な内容を以下にまとめました。

  • システム開発に至った背景
  • 既存システムの課題
  • 予算
  • 希望納期
  • 実装したい機能と不要な機能
  • 既存サーバーやPCに関する情報

RPAを作成するメリットは、自社の要望を正確に伝えられる点です。外注先を選定する際にRFPを提出すると、各企業の提案レベルや開発費の相場を正確に把握できます。口頭での伝達ミスによるトラブルも避けられるでしょう。

RFPの完成度が高まるほど良質な提案を得られるため、作成に十分時間を割くことが重要です。

ポイント4. 担当者との相性を確認する

担当者との相性もシステム開発会社を選ぶうえで重要なポイントです。メンテナンスやアップデートなど、システムを運用した後も外注先と取引が続く可能性があります。

長期的な付き合いとなるため、コミュニケーションが取りやすい担当者を選びましょう。スムーズに担当者と情報が共有できると、仮にトラブルが起きても早期解決が望めます。

専門用語を多用する方、開発費の説明が曖昧な方は発注後にトラブルを招く可能性が高いため、依頼は避けましょう。

ポイント5. システム開発会社の得意分野を確認しておく

発注を検討している外注先の導入事例を確認をしておきます。システム開発会社は基幹システムや予約管理システム、販売管理システムなど、特定のシステム開発に特化しているケースがほとんどです。

ミスマッチを避けるため、自社が開発を予定しているシステムが得意かどうか、ホームページ上で確認しておきましょう。ホームページに記載がない場合は、見積依頼の際に得意分野や導入事例に関する情報開示を依頼します。

ポイント6. 外注先の選定にはビジネスマッチングを活用する

システム開発会社を選定する際、ビジネスマッチングの活用を検討しましょう。ビジネスマッチングとは「仕事の発注先を探している企業」と「新規顧客を探している企業」をつなぐサイトです。

地域や業種などの情報を入力すると、条件に合致した企業が提示されます。得意分野や使用言語、対応可否業務など、各企業の特徴がコンパクトにまとめられている点も魅力です。本業が忙しい方も効率的に情報を集められるでしょう。

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まとめ

今回の記事では以下の3点に関して述べました。

  • システム開発の流れ
  • システム開発の開発手法
  • システム開発を成功させるためのポイント

システムが完成するまでには設計やプログラミング、テストなど、さまざまな作業をこなさなければいけません。自社でシステムを開発する場合、各開発手法の特徴や開発の流れに関しても理解しておく必要があります。

さまざまな知識が求められるため、専門知識を持つ人材が不在の場合は、システム開発会社に依頼しましょう。慢性的にIT人材は不足しており、短期間で優秀な人材を採用できる保証はありません。

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比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。