システム開発の外注先はどう選ぶ?注意点・選定のポイントを解説!

最終更新日:2023年03月24日
株式会社アンドソリューション
監修者
代表取締役 太田 寛
システム開発の外注先はどう選ぶ?注意点・選定のポイントを解説!

システム開発を検討しているが、外注先をどう選べばいいかわからない、そもそもシステム開発の方法として外注がベストなのかわからない。DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたIT環境整備が急務である現代では、そんな悩みを抱える企業・店舗担当者の方も少なくないはず。特に、これまでシステム開発してきた経験を持たない中小企業の方であれば、どこから手を付ければいいのか?わからないかもしれません。そこで本記事では、システム開発を外注した場合、内製した場合、それぞれどのようなメリットがあるのか?どのような企業が外注すべきなのか?外注するならシステム開発会社をどう選べばいいのか?よくある疑問を網羅的に解説!システム開発外注時に注意しておくポイントや外注費用相場も紹介していきます。

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システム開発を含むIT投資の市場規模

まず最初に、DXに向けて民間企業のシステム開発案件が増加しているといわれていますが、それは本当なのか?日本企業のIT投資市場規模を調査した、矢野経済研究所の資料を紹介しておきましょう。ソフトウェアだけでなく、ハードウェアも含んだ調査結果ですが、ある程度の指標にはなるはずです。

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参考元:株式会社矢野経済研究所「国内企業のIT投資に関する調査を実施(2020年)」

数値・グラフだけを見れば、2019年度までの市場規模は微増傾向にあったものの、2020年度は微減に転じていることがわかります。

これは感染症による影響で「IT投資を先送りにした企業」が増えたためです。逆に「リモートワークへの対応を含む働き方へのIT投資」を増やす予定の企業も増えており、2022年度以降の市場規模は緩やかに回復していく見込みです。

興味深いのは、企業規模が大きくなるほどIT投資への意欲が高まるのに対し、中堅・中小企業の動向には大きな変化が見られないと報告されていることです。

これは企業間のIT格差が拡大する傾向にあることを示しており、ギャップを埋めるためにも今すぐ中小企業がIT投資に取り組むべきであることを示唆しています。

システム開発の外注メリットはリソースの最適化

そんな中小企業の方がシステム開発を含むIT投資を検討する際、選択肢として上がってくるのが「システム開発会社へ外注」するか「自社でシステムを内製」するかです。

どのようなシステムを開発するのかによって最適な方法は異なりますが、外注・内製でどのようなメリット・違いがあるのか?前提として把握しておくことが重要です。まずはシステム開発を外注するメリット・特徴を簡単に解説しておきましょう。

システム開発を外部の開発会社に外注するメリットは、なんといってもあらゆるリソースを最適化できることでしょう。たとえば、開発に必要な人材・コストはプロジェクト中のみ、運用・保守フェーズではそれに携わる人材・コストのみ確保すれば済みます。外注に頼れば、自社内にITリソースがないケースでもシステム開発可能です。

要求を満たすシステムが完成するとは限らない

ただし、システム開発を外注しさえすれば、自社の要求を満たすシステムが完成するとは限らないことも事実。実際、中小・ベンチャー企業を対象にした調査では、実に4割もの担当者がシステム開発時のトラブルを経験しているという結果が報告されています。

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参考元:PR TIMES「GVA TECH株式会社のプレスリリース」

なかでも「納期」「システムの質」に関するトラブルがもっとも多くなっており、要因のほとんどは「意思の疎通・コミュニケーション」が充分ではなかったこと、「契約内容の確認」が充分ではなかったことが挙げられています。

システム開発の内製メリットは柔軟性

外注に対する、内製によるシステム開発のメリットは、あらゆる要因を自社内でコントロールできる柔軟性にあるといえるでしょう。

たとえば、開発中のシステムに追加の機能が欲しいといったケースでも、費用・コストを理由に断念する必要はありません。外部のシステム開発会社というクッションがないため、コミュニケーションコストの削減も期待でき、結果的にプロジェクトをスピーディーに進められます。

システム開発の体制を整えるのは容易ではない

ただし、自社内にシステム開発の体制を整えるのは容易なことではありません。IT部門を組織化するだけでも時間がかかることはもちろん、そもそも現代では優秀なITエンジニアの確保自体が難しくなっているからです。

仮に優秀なITエンジニアを確保できても、繁閑期の差が激しい企業では、固定費としての人件費が重くのしかかってくる場合もあります。確保した人材を教育・育成するためのコスト・時間を投資する必要もあります。

システム開発を外注すべき企業とは

外注・内製のメリット・特徴を踏まえ、どのような企業がシステム開発を外注すべきなのか?あるいは内製化を視野に入れるべきなのか?一般的だと思われるいくつかのパターンをもとに検証してみましょう。

自社IT部門を持たない・リソースのない企業

自社IT部門を持たない企業、あるいは企画したシステムを開発するために充分なリソースを持たない企業は、システム開発の外注が前提となります。

上述したように、システム開発の内製体制を整えるためには膨大な時間を要します。システム化の企画を思い立った時点で体制構築に取りかかっても、いつプロジェクトをスタートできるのかわからない状況に陥ってしまうでしょう。適切な時期を逃さないためにも、外注を検討した方が合理的です。

システムで業務を改善したい企業

自社業務に明確な課題があり、システムで改善できることが明白ならば、外注によるシステム開発がおすすめです。システム運用・保守は必要となるものの、目的・ゴールのハッキリした単発システム開発案件なら、外注することによってリソースを最適化しやすくなるからです。

ただし、充分なコミュニケーションが取れなかったばかりに、プロジェクトが失敗に終わってしまう可能性があることも事実。事前準備を怠らないこと、パートナーとなるシステム開発会社の選定が重要になります。

ITサービスを提供するなら内製も視野に

エンドユーザーの反応・フィードバックを得ながら改善していくITサービス・システムを開発したいのであれば、システム開発の内製を視野に入れるべきかもしれません。たとえば、新たな視点のBtoC向けWebサービスをローンチしたい、需要がどのように変動していくか分からない事業に取り組みたい、などが当てはまるでしょう。

こうしたITサービスの開発には、アジャイル型システム開発が適していますが、はじめから内製化の体制を整えることは難しいというケースも。優良なシステム開発会社へ外注して開発を進めながら、同時進行で社内体制を整えていくという方法がおすすめです。

システム開発の外注費用はどのくらい?

システム開発の内製体制を整えるためには、膨大なコスト・時間が必要であることは事実ですが、外注するにあたって担当者の方が気になるのも「費用がどのくらいかかるのか?」であるはずです。

そんな方の参考になるよう、システム開発の外注費がどのように決まるのか?どのようなシステムを開発するためにどのくらいの費用がかかるのか?紹介しておきましょう。

システム開発外注費用の8割は人件費

サーバ・ネットワークなどのハードウェア費用も必要ではありますが、成果物に形のないシステム開発の外注費用は、その8割が人件費だといわれています。AWSなどのパブリッククラウドを活用するケースが多い現代では、よりその傾向が強いといってもいいかもしれません。

具体的には、システム開発に携わるPM(プロジェクトマネージャー)・SE(システムエンジニア)・PG(プログラマー)それぞれに人月単価(1名が1ケ月稼働した場合の単価)が定められており、プロジェクトの参加人数・期間に応じて開発コストが膨らんでいく計算です。

エンジニアのレベル 人月単価
PG(下請・フリーランス) 40〜80万円
PG(大手システム開発会社) 60〜100万円
SE(初級) 80〜100万円
SE(中級) 100〜120万円
SE(上級) 120〜200万円
平均 80〜120万円

たとえば、平均人月単価100万円のSE1名、PG2名が参加するシステム開発プロジェクトが、2ケ月間で完了するのであれば「100万円 × 3名 × 2か月 = 600万円」の人件費がかかります。

業務系システム開発の費用相場

エンジニアの人月単価だけではシステム開発外注費をイメージしにくい、という方のために、一般的な業務システムを開発した場合の平均費用も紹介しておきましょう。

業務システムの種類 外注費用の平均
顧客管理システム 972万円
販売管理システム 847万円
営業管理システム 942万円
生産管理システム 1,377万円
物流管理システム 1,671万円
受発注管理システム 1,322万円
グループウェア 466万円

システム開発を外注する前に!注意ポイント

追加で内製体制を整えるためのコスト・時間が必要であることを考えれば、システム開発の外注はコストも最適化できるメリットがあります。ただし、すでに解説したように「発注するだけでうまくいく」ほど、システム開発の外注は簡単ではありません。

プロジェクトを成功に導くためには、事前準備とパートナー選びが重要。まずはシステム開発を外注する前に、気を付けておくべき注意点を解説していきます。

システム開発の目的・ゴールの明確化

システム開発を企画・検討する際にもっとも重要となるポイントは、システム開発の目的・ゴールを明確にしておくこと。これは外注する場合でも内製する場合でも変わらない、システム開発の基本です。

特にシステム開発を外注する場合は重要。なぜなら、外注先のシステム開発会社は、顧客であるクライアントの要求をシステムで実現させる役割のみを担うからです。目的・ゴールが曖昧なままシステム開発プロジェクトをスタートさせれば、完成したシステムも曖昧なものとなってしまうでしょう。

業務の「As-Is」と「To-Be」(業務設計)

設定した目的・ゴールをより明確化するためには、自社業務における「現状の課題(As-Is)」および「あるべき理想の姿(To-Be)」を明らかにし、ギャップを埋めるために必要なもの・システムに求める機能を洗い出す(業務設計)ことがポイントです。

システム開発会社との「ヒアリング」時に、担当者としっかり話し合えばいい、そう考える方がいるかもしれませんが、外注先の担当者は「あなたの事業のエキスパートではない」ことを忘れてはなりません。システムに対する要求を明確にするためにも、自社で業務設計することが重要です。

システムへの要求を文書化

システム開発の目的・ゴールの設定、As-Is / To-Beをもとにした業務設計が完了したら、それを文書化しておきましょう。システムに求める要求が明確になっていても、ミスコミュニケーションによる認識のズレというものは起こり得るからです。要求がキチンと文書化されていれば、こうしたリスクを避けられます。

できれば、システム開発の目的・ゴール・要求をまとめた提案依頼書「RFP(Request for Proposal)」を作成することがベストですが、難しければ箇条書きでまとめておくだけでも問題ありません。RFPの作成フェーズからサポートしてくれるシステム開発会社も存在します。

システム開発の外注先を選定するポイント

システム開発を外注するための事前準備が整ったら、次はパートナーとなる外注先を選定するステップに移ります。これまでにシステム開発プロジェクトを手掛けたことのない方であれば、どこに依頼すればいいのか?迷ってしまうことが多いでしょう。

そんな方のヒントとなるよう、以下からシステム開発の外出先を選定する際のポイントを紹介していきます。

提案・見積もりは複数の候補先に依頼

まず大前提として、提案・見積もりは候補となる複数のシステム開発会社に依頼し、対応・内容を見極めたうえで外注先を選定すること。最初から1社のみに決め込むようなことはおすすめできません。

外注前の事前準備で、RFP(提案依頼書)を作成しておくことがベストであるのはこのため。統一された内容のRFPを活用することによって、各社からの提案内容・見積もり金額の比較がしやすくなるメリットが得られます。

開発したいシステムの実績が豊富か?

それでは、外注先の候補となるシステム開発会社は、どのようにピックアップしたらいいでしょうか?インターネットでめぼしい外注先を検索する方法がもっともポピュラーだといえますが、取引先企業や自社従業員のリファレル(縁故・知り合い)を頼るという手も良いでしょう。

いずれの場合でも重要なのは、自社が要求するシステムに近いシステムの開発実績が豊富か?ということ。システム開発会社とひとことにいっても、得意な業界や分野が大きく異なることも少なくないからです。候補先のピックアップに迷うようなことがあれば、比較ビズのようなビジネスマッチングサイトを活用してみるのもひとつの方法です。

自社開発をメインとしているか?

外注先のシステム開発会社が、自社開発メインかどうかということも選定の際に考慮に入れておきたいポイントです。なぜなら、PM・SE・PGをはじめとした、役割の異なるエンジニアがチームで開発にあたるシステム開発プロジェクトは、リソースが不足する分を下請け企業に頼るケースが多いからです。

下請け企業の活用自体が悪いわけではありませんが、下請構造が多段階になるとプログラムの品質に影響が及ぶ場合も。スタッフ全体のコントロールが難しくなる、ミスコミュニケーションが発生しやすくなる要因にもなり得ます。

費用よりも提案力・コミュニケーション力

システム開発にかかるコストをできる限り抑えたいのはどの企業も同じですが、見積もり金額のみで外注先を判断してはいけません。RFPの回答としての提案内容がどうだったか?提案・見積もり依頼時に担当者とうまく意思の疎通ができたか?見積もり金額よりも、提案力・コミュニケーション力を重視するべきです。

複数の外注候補先にイコールの条件で提案を促せる「RFP」は、ここでも非常に有効。提案内容に関する不明点にすぐ応えてくれるか?一連のやり取りのなかで、外注先の対応力もみておくといいでしょう。

運用・保守体制を確認する

システム開発は納品したら終わり、ではありません。開発したシステムを維持・活用していくためには、適切な「運用・保守」が必要です。つまり、開発・納品後の運用・保守を任せられるのか?システム開発会社の体制を確認しておくことが重要です。

近年では、システム運用・保守代行を専門とする「マネージド・サービスプロバイダ」も登場しているため、必ずしも開発を担当した会社に依頼する必要はありませんが、納品後のサービスはありませんでは、あまりにも心もとないのも事実でしょう。

開発したシステムの活用・定着支援も含め、サポートの充実したシステム開発会社を選定することがおすすめです。

プロジェクトスタート後の積極的な関与が重要

本記事では、システム開発を外注した場合、内製した場合、それぞれどのようなメリットがあるのか?どのような企業が外注すべきなのか?外注するならシステム開発会社をどう選べばいいのか?システム開発の外注がはじめての方によくある疑問を網羅的に解説してきました。

システム開発の外注は、リソースを最適化できるメリットがある反面、ミスコミュニケーションによる失敗例が少なくないことも事実。システム開発を成功させるためには、依頼側が積極的にプロジェクトへ関与していくべきであり、より良いシステムを開発するための協力を惜しまない、パートナーとしてのシステム開発会社を選定しなければなりません。

そんなとき「比較ビズ」なら、必要事項を入力する2分程度の手間で、優良なシステム開発会社をスピーディーに探せます。提案・見積もりを依頼する候補先をどう選べばいいのか?迷うようなことがあれば、是非利用してみてください。

監修者の一言

記事中にも書いてある通り、システム開発には「開発してみたらちょっと違った」はつきものです。これにはいくつか原因がありますが、よくある原因としてあげられるのは「システム開発会社側でのヒアリング力・理解力が足りていない」「発注会社側で本当に必要な内容がちゃんと整理されていない」「実際に使ってみたら実務とシステムが少しかみ合っていない」等があげられるかと思います。

このようなトラブルを避けるためには、やはり文中にもある通りシステム開発会社は「あなたの事業のエキスパートではない」ので発注会社様側でも最大限「伝える努力」をすべきである、という点と「システムは育てるもの」と考え、保守体制などが充実している開発会社を仕事をすることで、最終的に一番使いやすいシステムへと育てることが出来ます。

株式会社アンドソリューション
代表取締役 太田 寛
監修者

2015年に中野区でシステム開発会社として会社を設立。「ユーザは何を求めているか?」「本当は何をしたいのか?」などユーザビリティ・マーケティング両面から御社のサービス開発をサポートいたします。「開発&大きな付加価値」を追加できるような企画・提案をいたします。

比較ビズ編集部
執筆者
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
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