【システム開発】オープン系とは?汎用系・Web系との違いを解説!

最終更新日:2023年03月06日
AOIS Consulting株式会社
監修者
代表取締役 青井真吾
【システム開発】オープン系とは?汎用系・Web系との違いを解説!
この記事で解決できるお悩み
  • オープン系・汎用系・Web系とは?
  • システム開発で最適な種類を選ぶ基準は?
  • システム開発会社を選ぶポイントは?

オープン系とはシステム開発の種類の1つです。ほかの選択肢として汎用系やWeb系などの種類があります。目的に応じたシステムを開発するには、システム開発の種類の違いを正確に把握し、最適なものを選ぶことが重要です。

本記事は、システム開発を検討する方に向け、オープン系・汎用系・Web系の違いについて解説します。システム開発で最適な種類を選ぶ基準についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

【システム開発】オープン系・汎用系・Web系の比較一覧

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システム開発の主な種類として3つの比較をまとめました。

システム開発の種類 向いているシステム 共有方法 開発コスト 開発期間
オープン系 業務システム インターネット・イントラネット 高い 長い
汎用系 高速性・堅牢性の求められる業務システム インターネット・イントラネット 非常に高い 非常に長い
Web系 Webアプリケーション・モバイルアプリ インターネット 比較的低い 比較的短い

現在、システム開発で最も主流なのはオープン系です。一方で、性能の高い業務システム開発には汎用系、アプリケーション開発にはWeb系が適しています。それぞれの種類について詳しく見ていきましょう。

オープン系システム開発とは

オープン系システム開発とは、技術的な仕様やソースコードが公開されているソフトウェア・ハードウェアを組み合わせて構築・開発されるシステム開発のことです。

  • ハードウェア

    サーバ・ルーター・スイッチなどを含め、一般に入手できるもの

  • ソフトウェア

    仕様・ソースコードが公開されているパッケージ・アプリケーションのほか、ゼロベースからシステム開発するスクラッチも含む

オープン系システム開発の場合、必ずしもWeb環境を必要としません。インターネットに接続してWeb共有されるケースのほかに、IP-VPNなどのプライベートネットワーク・イントラネット、社内LANネットワークに限定して活用される場合もあります。

オープン系の特徴・技術

  • 一般に入手しやすいハードウェア・ソフトウェアを組み合わせて活用
  • 開発工数・コストを減らしながら柔軟性の高いシステムを開発できる

たとえば、Linux、Windows、UNIXなどのOSを活用すれば、開発基盤をゼロから構築する必要はありません。パッケージを活用してシステムを構築するなら、工数も大幅に削減できるでしょう。サーバ・ルーター・スイッチなどのハードウェアも、年々高性能化・低価格化が進んでいるうえ、AWSなどのパブリッククラウドを安価に利用できます。

システム開発の目的・用途に応じて、幅広い選択肢から最適な組み合わせを検討できる柔軟性もオープン系の特徴です。比較的簡単にアップデート・改修できるのもオープン系のメリットです。

ハードウェア一般に入手しやすいサーバ・ルーター・スイッチ、パブリッククラウドなど
OSLinux、Windows、UNIXなど
プログラミング言語C#、C++、VB.NET、PHP、Ruby、Python、Javaなど

オープン系の中心は業務システム

オープン系で開発されるシステムは、基幹系システムや情報系システムなどの業務系アプリケーションが中心です。主に以下のシステム開発が挙げられます。

  • 販売管理
  • 受発注管理・在庫管理
  • 顧客管理
  • 勤怠管理

これらの管理システムは、スクラッチで開発される場合も少なくありませんが、豊富に存在するパッケージやフレームワークをカスタマイズし、工数・コストを抑えたシステム開発が優先される場合もあります。

オープン系システム開発は、ハードウェアに依存した開発が不要なため、依頼先の選択肢を幅広く持てるのも特徴です。規模・対応する分野・得意な領域の異なる、さまざまなシステム開発会社に依頼できます。

オープン系はさらに業務システム開発の主流に

オープン系システム開発は、現在でも多くの業務システム開発に使われていますが、その傾向は今後より一層加速すると考えられます。理由は以下の2つです。

  • 一般に入手しやすいハードウェアの高性能化・低価格化がより一層進んでいるため
  • 柔軟性・拡張性の高いシステムを開発・構築できるため

従来のオープン系は、汎用機ほどの処理能力の高さ・高速性を必要としない業務システムに採用される傾向がありました。しかし現在オープン系で活用されるハードウェアは汎用機に迫る性能を持つものも少なくありません。

これまで汎用系でシステム開発していた企業も、開発費用を抑えられ、より柔軟なシステムを構築できるオープン系に移行する流れが加速しています。

汎用系システム開発とは

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汎用系システム開発とは、一般では入手できない「汎用機」と呼ばれる専用コピューターをベースに、ゼロからシステムをスクラッチ開発するシステム開発のことです。インターネット、イントラネット、社内LANなどで共有されるケースが一般的ですが、あくまでも汎用機という「クローズドな環境」で開発・構築されます。

汎用系が「さまざまな用途や分野に広く用いる」という汎用の意味から大きく離れた「クローズドな環境」でシステム開発されることに違和感を感じる方がいるかもしれません。これは汎用機以前に「専用機」が使われていたからです。

過去には、計算の目的別に複数の専用機を用意する必要がありましたが、高性能な「汎用機」1台ですべてを統合できるようになった = さまざまな用途・分野に広く使われるようになりました。これが汎用系と呼ばれる由来です。

汎用系の特徴・技術

  • メインフレーム・ホストコンピューターともいわれる高性能「汎用機」がベース
  • 高速処理・堅牢性を重視したシステムを開発・構築できる

汎用機自体が高額であることに加え、開発基盤・アプリケーションを含めたスクラッチ開発が必須です。当然、システム開発にかかる費用はオープン系よりも高額になります。機械語に近いプログラミング言語でコンパイルされるため、処理速度が非常に高速なのも特徴です。

クローズドな環境で動作するシステムのため、外部システムとの連携やデータ運用に弱みがあります。

ハードウェアメインフレーム・ホストコンピューターなどの汎用機
OS独自の開発基盤を構築
プログラミング言語COBOL、FORTRAN、PL/SQL、Java、Cなど

汎用系の中心は金融・物流・製造

汎用系で開発されるシステムは、金融・物流・製造など、高速処理・堅牢性・機密性が重視される業界・業種の基幹系システム開発・構築で採用される場合がほとんどです。

代表的な開発として以下の3つなどが挙げられるでしょう。

  • 銀行・証券・保険会社などの勘定系システム
  • 物流会社などの流通管理システム
  • 製造会社・メーカーなどの生産管理システム

富士通・IBM・日立などの汎用機(メインフレーム・ホストコンピューター)を活用してシステム開発するため、個々のハードウェアに依存した開発が必要です。必然的に、依頼先はメーカー系のシステム開発会社、あるいは特定のハードウェアに精通したシステム開発会社になります。

汎用系の今後は保守が中心に

オープン系とは対照的に、汎用系システム開発の今後は、従来システムの保守・メンテナンス、再構築などが中心になり、汎用系による新規システム開発は減少していく見込みです。

理由は以下の2つがあります。

  • 高価なメインフレーム・ホストコンピューターを導入・維持・管理する負担が大きいため
  • さらにハードウェアに依存する開発コストが高額になる傾向があるため

汎用系でもっとも活用されるプログラミング言語「COBOL」を扱えるエンジニアが減少しているのも、開発コストが高騰する理由です。勘定系システムなど、高速かつ堅牢性の求められる大規模システムでの需要は依然高いものの、パフォーマンスの高まるオープン系に移行する企業が増えていくでしょう。

Web系システム開発とは

Web系システム開発とは、クライアントマシン(PC・モバイルデバイスなど)をインターネットに接続して利用することを前提に、Web環境にシステムを構築するシステム開発のことです。閲覧するだけのWebサイト・ホームページではなく、クライアントのアクションを受付けて処理する、なんらかのシステムが搭載されているものをWeb系と呼びます。

Web環境にシステムを構築するという意味では、スマートフォンアプリ・タブレットアプリ開発などもWeb系システム開発の範囲です。Web系システム開発は以下の点からオープン系に近い傾向があります。

  • 一般に入手できるハードウェア、オープンなソフトウェアを活用する
  • ゼロベースのスクラッチ開発も含まれる

Web系の特徴・技術

  • パブリッククラウドやホスティングサービスなどを活用
  • 比較的安価にBtoC向けWebアプリケーションを構築・開発できる

主にユーザーの目に触れるフロントエンド開発、フロントエンドを支えるユーザーの目に触れないバックエンド開発に分類できます。ストレスなく通信できるようなトラフィック処理、使い勝手を意識したUI / UXなどに注力した開発が得意です。

ハードウェアパブリッククラウド、ホスティングサービス
OSLinux、Windows、UNIXなど
プログラミング言語Java、PHP、Ruby、Python、Objective-C、HTML、JavaScriptなど

Web系の中心はアプリケーション・サービス

Web系で開発されるシステムは、BtoC向けのWebアプリケーション・サービス、モバイルアプリである場合がほとんどです。代表的な開発として以下があります。

  • ECサイト
  • 口コミサイト
  • ポータルサイト
  • 予約サイト
  • SNS、およびそれらのモバイルアプリ

Web共有を前提にしたオープン系システム開発に近い一面があるWeb系ですが、開発するシステムの方向性は180度異なります。依頼先は多数の候補から選定可能ではあるものの、得意分野をしっかりと見極めていくことが重要です。

Web系は需要がますます高まる

Web系システム開発は、今後、オープン系以上に需要が高まっていくと考えられます。数少ない日本の成長産業が「eコマース」であることからもわかるように、BtoCを中心としたビジネス展開において、Webアプリケーションが欠かせない存在となっているためです。

Go、Pythonなど、主にバックエンド開発に用いられる、新しいプログラミング言語も続々登場しています。IT技術の進化にあわせた再構築需要も旺盛です。

システム開発で最適な種類を選ぶ基準2つ

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ここまでオープン系・汎用系・Web系について解説してきました。システム開発では、それぞれの特徴を理解し、適切なものを採用することが重要です。システム開発で最適な種類を選ぶ基準として、以下の2つがあります。それぞれみていきましょう。

  • 開発するシステムの種類
  • 費用対効果

開発するシステムの種類

1つ目の基準は、開発するシステムの種類です。開発するシステムが「業務システム」ならオープン系か汎用系、「Web・モバイルアプリケーション」ならWeb系と判断できます。自社で開発を検討しているのはどのシステムなのかを明確にしておきましょう。

費用対効果

2つ目の基準は、費用対効果です。たとえば、国内各拠点で共有する会計システムの開発・構築には、オープン系と汎用系のどちらでも対応できます。しかしコストが高額な汎用系の場合、企業規模によっては得られる業務効率化・生産性向上よりも、システム開発コストの負担が大きくなりかねません。

それぞれの特徴を把握したうえで、どの開発種類を選ぶべきかを検討することが重要です。

システム開発会社選定のポイント2つ

システム開発にあたって最適な開発種類を選ぶことはもちろん、依頼先であるシステム開発会社の選定も重要になります。同じオープン系を得意としていても、システム開発会社によって技術力・提案力・コストが大きく異なるためです。

適切なシステム開発会社を選定するポイント2つを解説します。それぞれみていきましょう。

システム開発会社選定のポイント2つ

システム開発会社の得意分野・開発実績を確認する

システム開発会社選びでは、システム開発会社の得意分野や開発実績を確認しましょう。公式サイトで以下をしっかりと確認しておくのがおすすめです。

  • どのような分野のシステム開発を得意としているのか?
  • これまでにどのような開発実績を積み重ねてきているのか?

オープン系・Web系で迷っているような場合は注意が必要です。業務システム開発に対応しているはずが、Webアプリケーションの実績しかないというケースもあります。

オンプレミス型でのシステム構築を検討しているなら、1社のみで完結できる技術力があるのかを確認しておきましょう。

複数のシステム開発会社に提案・見積もりを依頼する

少なくとも3〜4社程度の候補先をピックアップし、提案・見積もりを比較しましょう。RFP(提案依頼書)というプロジェクトの概要をまとめた書類を送るのがおすすめです。

共通のRFPに対する回答を複数社から得られれば、システム開発会社の提案力・技術力を比較でき、見積書の金額が適正かどうかも判断できます。事前準備を整えるだけでは得られない、ITのプロフェッショナルからの提案が複数得られるのもポイントです。

まとめ

本記事ではオープン系・汎用系・Web系の違い・特徴・技術など、システム開発の種類について解説してきました。システム開発では、それぞれの開発種類を把握して最適なものを選ぶことが重要です。さらにどのシステム開発会社に依頼すべきかの基準を知り、安心して依頼できる会社を見つけましょう。

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システム開発を成功させる場合は、委託先に要件を適切に伝えられるかどうかがポイントになります。RFPを作成する際は、システムに搭載したい具体的な機能だけではなく、解決したい課題や重視したい点も記載するようにしましょう。

具体的に開発したい機能が決まっている場合、それだけを書けば十分と考えがちですが、その機能で達成したい目的を記載するとより良いRFPになります。その理由は、システム開発会社からより適切な課題解決の提案を受けられる可能性があるからです。

たとえば、RFPを作成する過程で社内の関係者でシステムの検討をする際、少し要件が特殊であったため、フルスクラッチでシステム構築を検討していたとします。しかし、現在はクラウドサービスなどが普及しており、既存のサービスを利用することでその要件が実現できる可能性もあります。

その場合、一からシステムを作るよりもサービスを利用したほうが、費用面でメリットが大きくなる可能性が高いです。委託先に目的も伝えることで、クラウドサービスなど自社では思いつかない手段を提案してもらえることがあります。

このように、委託先にうまく要件を伝える形で、システム専門家の意見を引き出していけるようにすることがおすすめです。

AOIS Consulting株式会社
代表取締役 青井真吾
監修者

大学卒業後はIT企業に入社。システムエンジニアとして大手企業向けのERPシステム開発を経験。その後は、フリーのITコンサルタントとして、人材派遣会社の基幹システムの開発、不動産会社の商業施設での販促システムの導入、自動車メーカーでコネクティッドカー開発のプロジェクト管理、SIerでのSalesforceの導入、ファッション業界の企業でSalesforceと連携する周辺システムの導入を経験。現在は法人化し主に企業のシステム開発プロジェクトを支援。