システム保守の費用・相場と保守内容を徹底解説
- システム保守・運用料金の内訳を知りたい
- システム保守運営委託の適正稼働率の試算法を知りたい
- システムの保守費用管理には数値の指標を知りたい
自社でシステムを開発するためには多くの予算を必要とします。しかし忘れてはいけないのは、システムの保守費用です。システムは構築した後にもいろいろなトラブルが起こるのが普通なので、開発の段階で保守費用を計算に入れておかなければなりません。
システムの保守費用は、自社で行う場合と外部に委託する場合で大きく変わってきます。そこでシステムの保守費用がどのくらいになるのか、その相場について見ていくことにしましょう。
システム保守とは何か?
システム保守とは、リリースしたシステムが障害なく安定稼働し続けられるようにメンテナンスすることです。
システムを保守していく中で、何かしらのトラブルが発生した際にすぐ対応できる体制を整えることが大切です。
システム開発よりは作業負担は減りますが、ユーザーからの問い合わせや急なトラブルが起きた時は迅速に対応しなければなりません。
システム運用との違いは?
システム運用とは、24時間365日、サーバーやネットワークが停止しないように、問題なくシステムを安定稼働させることです。日々のシステム管理や監視をする業務が多く、問題が起きなければ特に何もする必要はありません。
例えば、システム障害や不正アクセスなどの発見はシステム運用のお仕事ですが、その原因を探ることや、復旧させることはシステム保守といった違いがあります。
保守費用の内容とは?
システムの保守費用がどのくらいになるのかは、どんな内容の保守を行うかに大きく左右されます。ですからシステムの保守を外部に委託することを考えているのであれば、そもそも保守の内容について検討する必要があるでしょう。
システム保守の3つの分野
システム保守は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
- 「ソフトウェア関連」
- 「ハードウェア関連」
- 「サービス委託」
ここでは、それぞれの保守内容について解説していきます。
ソフトウェア関連
ソフトウェア関連の保守の場合は、主に以下のような内容を指します。
- 構築したアプリケーションにバグのなどの問題が起きた時の対処
- システム運用上のトラブル対応
- ユーザーが操作方法等わからない時などの問い合わせ対応
このソフトウェア関連の保守はパッケージとして料金に含まれていることが多いです。
そのため、どの会社に委託してもそれほど料金に差はありません。
ハードウェア関連
次に、ハードウェア関連を解説します。ハードウェア関連の保守の場合は、以下のような業務があります。- パソコンの調子が悪くなってしまった時の対処
- データのバックアップ処理
- データが飛んでしまった時に可能な限り復旧すること
ハードウェア関連の保守の場合でも、委託する会社がどこであっても大きく料金が変わるということはないです。
サービス委託
最後にサービス委託です。サービス委託も重要なので、頭に入れておきましょう。
サービス委託はどちらかと言えば、システム運営における分野ですがECサイト運営やヘルプデスクなどのことを言います。
例えば、自社の商品をウェブ上で販売するためのECサイトの構築、インターネットサイトを通して顧客の掘り起こしを行うコンテンツマーケティング、より多くの人にサイトを訪問してもらうためのSEO対策、顧客のデータベースづくり、顧客からの問い合わせなどがサービス委託に含まれます。
この部分はシステム保守を請け負っている会社によっていろいろなサービスを提供しており、どのサービスをどの程度選ぶかによって料金が大きく変わってきます。自社が必要とするサービスすべてを委託することもできますが、料金が高くなることは言うまでもありません。
ある程度自社の人員を割いてできる部分は自社で行い、自社でできない部分を委託するという方法を利用すれば料金を抑えることも可能です。
システム保守・運用で必要な料金の内訳とは
システムのことを理解するには、専門知識が必要となり、依頼者側からすれば発生する費用の項目について不明点も多いかと思います。
「なぜそんなに費用が発生するのか?」「システム保守・運用はなんで必要なの?」と思う方もいるでしょう。
ここでは、外注する際に必要な費用を見分けるためにも、システム保守・運用の費用の内訳や業務内容を紹介していきます。
システム保守・運用にかかる費用の内訳としては、以下の通りです。
内訳 | 内容 |
---|---|
ソフトウェア運用・保守費 | アプリケーションシステムのバグやトラブル対応。システムの修正、仕様変更、操作方法に関するお問い合わせ対応など |
ハードウェア運用・保守費 | ネットワーク障害の対応・改善、セキュリティ対策、データバックアップ、サーバの性能監視、メンテナンス、OSアップデートなど |
サービス委託費 | ECサイト運営、コンテンツマーケティング運用、SEO対策、インバウンドマーケティング、リスティング広告対策、MA対策、問い合わせ対応、データベースメンテナンス、ヘルプデスクなど |
通信費 | 電話料金や郵便代金などの通信のために必要とした費用 |
オペレーション人件費 | 日々発生する業務に対応するための人件費 |
外部委託費 | 他の会社や個人事業主と業務請負契約を結んで業務の一部を外部委託した場合の費用 |
新しく構築したシステムは、入念に対策を行ったとしても使用具合などでトラブルが起こる可能性は大いにあります。
そのため、ソフトウェア保守・運用費は、新しいシステムの導入初期には特に検討しておきたい内容です。
コスト削減のために固定費を支払うのが嫌でも、システムが安定に稼働するまではシステム保守・運用をしっかりしておく方が後々後悔することにはならないです。
システムが安定稼働してきたら、初期ほど修正等の費用も少なくなることもあります。無駄なコストを抑えるためにも、依頼しているシステム保守・運用の内容をしっかり見直してみましょう。
システムの保守費用の目安とは?
次に、システム保守費用の見極め方について解説していきます。 特に、システム開発費の約15%が保守費用の目安になることは重要な指標です。以下の3つに分けて具体的に解説していきます。
- システム開発費の約15%が保守費用の目安
- システム保守・運用費は変動しやすい
- システム保守のコスト削減のポイント
システム開発費の約15%が保守費用の目安
システム保守費用の基本的な考え方
ソフトウェア関連とハードウェア関連の保守を合わせた金額が、システム開発にかかった費用の15%程度になります。
システム開発費用の15%にプラスしてサービス委託の費用がかかると考えておけば間違いないでしょう。例えば3,000万円をかけてシステム開発を行ったのであれば、保守費用は450万円プラスサービス委託分の費用ということになります。
システム開発にお金をかけすぎてしまうと、今度は保守費用が捻出できなくなるので開発を企画している段階で保守費用についても熟考しておくことが大切です。では、サービス委託分の費用はどのように計算すべきなのでしょうか。
保守費用を考える際のポイント
まず考えるべきは、自社で行えるのは何かということです。社内にシステム保守に詳しい社員がいるのであれば、ある程度の業務を任せることができるでしょう。自社で行えない部分だけを外部委託にすれば最低限の保守費用で済みます。
システム保守・運用費は変動しやすい
システム運用・保守は、対応範囲が複数の項目に分かれています。そのため、システム保守・運用費は変動しやすいです。
自社の開発したシステムがユーザーの個人情報を扱う場合の例
いくつかの例を見てみましょう。もし自社の開発したシステムがユーザーの個人情報を扱うものであれば、会員制のアプリやサイトにしたいと思うかもしれません。個人情報の登録には10万円から20万円ほど、会員データの新規取得には50万円から70万円前後かかると考えておいた方がいいでしょう。
自社の商品を買ってもらうために決済システムを導入する場合の例
もし自社の商品を買ってもらうために決済システムを導入したいのであれば20万円から50万円ほどが目安となります。デザインを委託するのにもお金がかかります。どの程度を外部に委託するかによって費用は異なりますが、最低限のデザインを自社で用意するのであれば20万円前後の場合もありますし、企画から委託するのであれば50万円から100万円ほどかかることもあります。
システムの保守費用の目安を算出する際に重要なこと
それはズバリ費用対効果です。少し高いと感じる料金であっても自社の売り上げが伸びる可能性が高いように思えるのであれば迷いなく委託する人もいます。一方で費用はそれほどかからなくても効果が薄い場合にはその部分はカットするという選択肢もあるでしょう。システムの保守費用の目安を算出するためには、慎重な検討が必要なのです。
システム保守のコスト削減のポイント
システム保守・運用の費用において、サービス委託費の費用をいかに押さえられるかがポイントとなります。
サービス委託費が、大きく費用に差が出てきます。
サービス委託費は、基本的に目安の15%には入っていないです。そのため、自社でおこなえる作業は依頼しないようにすれば5%〜15%とコストカットができるでしょう。
ただし、大幅なコスト削減を目指すのであればソフトウェア関連やハードウェア関連の保守費用だけでなく、運用に関するサービス委託のコスト削減を目指すことが大切です。運用に関する費用の方が開発会社によって金額に大きな差があるためです。
自社でおこなえる作業については依頼しないに越したことはありませんが、システムと外部サービスの運用は、切り離せないことが大半です。
システムを開発する際に、自社に開発のスキルが乏しいいなくても、現代では役立つツールなどがたくさん公開されています。このようなツールを使って自社で賄い費用を抑えるのも1つの手段です。
システム保守運営委託の適正稼働率の試算法
システム開発時に発生した費用の15%程度というのがシステム保守の目安と述べました。実際の費用の算出方法に関して疑問に思う人もいると思います。システム保守費をしっかり管理するためにも保守運営委託の適正稼働率を見ておきましょう。
例えば、以下のような指標を設けて、開発会社に提示できるようにしておけば、料金の交渉時に有利になることもあります。
- 即答率(即答件数÷相談件数)
- 引受数(引受件数÷相談件数)
- 保守時間達成率(実績時間÷見積もり時間)
- 納期達成率(納期達成件数÷引受件数)
システム保守費の管理を明確にするためにも、保守運営委託の適性稼働率の算出方法を解説していきます。
指標を知った上で、適正価格について開発会社と交渉することは大切です。是非参考にしてみてください。
即答率(即答件数÷相談件数)
システム開発会社に相談をした場合、相談の回答へのレスポンスの迅速度は重要な指標の1つです。また、いただいた回答により疑問点が明確に解決できたのかどうかも、適正価格を見直す上で大切になってきます。
引受数(引受件数÷相談件数)
相談した件数に対して、実際に相談を引き受けてくれた数も指標の一つとして見ておきましょう。
保守時間達成率(実績時間÷見積もり時間)
見積もりで提示された時間と実績時間の差を算出した上で、適正価格の設定を見直すと良いです。
納期達成率(納期達成件数÷引受件数)
納期は守られているかという実績を数値化するための指標です。
引き受けたi依頼に対して、どのくらい納期が守られているのか、実績を数値化していきます。
システムの保守費用管理には数値の指標を
システムの保守費用を適切に管理するためには、一定期間ごとに費用を見直すことが必要になります。3ヶ月ごと、半年ごと、1年ごとといった期間を区切って、必要ない保守費用は削り、どのサービスにおいて効果が出ているのかを見極めるのです。
しかしどのサービスで効果が出ているのかを知るためには数値化された指標が必要になります。指標があれば社内の理解も得やすくなりますし、委託している会社との話し合いもスムーズに行くからです。システムの保守費用に関する指標はたくさんあります。
ここでは、上記で紹介した適正稼働率の試算法に基づき、システム保守費用管理の数値の活用例を一部紹介していきます。
その Я蠱迷答率の活用例
相談即答率とは、問い合わせにどれだけ素早く回答してくれているかを示す指標です。即答件数÷相談件数で算出することができます。例えば、200件の相談に対して即答件数が150件だったのであれば即答率は75%ということになります。
この数字と問い合わせのために支払っている費用を比較して妥当な料金かどうかを考慮できるのです。さらに自社作業完了率というのも注目すべき指標です。最初は社内のスキルが高くなかったために外部にシステムの保守をすべて委託していたかもしれません。
その◆Ъ社作業完了率の活用例
社内でメンテナンスが行えるようになってくると委託する必要が無くなってしまうものもあります。そこで活用できる指標が自社作業完了率です。
自社作業完了率は「自社で行ったメンテナンスの数÷委託数」で算出できます。この割合が高くなると、外部に委託する必要性が少なくなるので、ある分野においては自社内だけで解決できると判断できるかもしれません。
こうした数値化された指標を使って、委託している会社とも十分な協議ができるはずです。外部に委託している会社から送られてくる見積書の中には詳細が不明なものもありますから、何となくすべてを依頼するのではなく、しっかりと精査するようにしましょう。
ただしシステムの保守を請け負う会社にも引き受けられるギリギリのラインがあるので、あまりに大幅な譲歩を要求するのはやめた方が賢明です。
おおよそ目安通りの料金が提示されているのであれば、システム保守の質を確保するためにもある程度のところで妥協することが重要なのです。
まとめ
システムの保守にはシステム開発費用の15%程度の費用がかかることがわかります。かなり大きな金額になりますが、システムが順調に稼働し会社に利益をもたらすようにするためには絶対に必要な費用と考えて無理にコストを削減しないようにしましょう。
システムの保守費用の目安をしっかり考慮しつつ、自社に必要なものだけを選び抜いて外部に委託すれば、きっと最低限の費用で最高の結果を得られるはずです。
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記事にもある通り、システムの保守に関しては絶対に必要な要素です。ですが、システムを開発するスタートの段階では、この予算が確保されていない事が多いです。そのため、後から金額が高いような気がしてきます。
システムを開発する際には、必ず運用保守コストを予め考えるようにしましょう。システム開発自体を業者に依頼する場合には、保守もきっちり見積もられているか確認したほうが良いです。また、システム開発をする場合には、自社がシステム開発専門で無い限り、自社でメンテナンスが出来るという考えは捨てて、必ず専門業者に依頼するほうが安全です。
なお、金額の妥当性などは判断がとても難しいため、ITの顧問パートナーと契約して判断してもらうか、必ず相見積もりを取るなどして、適正な金額になるようにする事もとても重要なポイントです。