ダイバーシティ経営とは?メリット・デメリットや推進のポイントを徹底解説!

最終更新日:2023年11月17日
ダイバーシティ経営とは?メリット・デメリットや推進のポイントを徹底解説!
この記事で解決できるお悩み
  • ダイバーシティ経営とは何?
  • ダイバーシティ経営のメリット・デメリットは?
  • ダイバーシティ経営を成功させるポイントは?

「ダイバーシティ経営とは?」「自社にも取り入れられる?」とお考えの企業経営者、必見です。ダイバーシティ経営とは、従業員の多様性を活かし能力を発揮できる機会を提供する経営手法です。

この記事では、ダイバーシティ経営のメリット・デメリットを解説します。記事を読み終わる頃には、ダイバーシティ経営を成功させるポイントがわかります。

ダイバーシティ経営を成功させた企業も紹介するため、経営者の方は参考にしてください。

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ダイバーシティ経営とは多様性を活かす経営手法

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ダイバーシティ経営とは、人材の多様性を活かし、従業員1人ひとりが能力を最大限発揮できる機会を提供する経営手法です。個々の能力を最大限引き出すことにより、より革新的なアイデアやイノベーションを生み出すことを目指します。

ダイバーシティ経営で重要となる多様性には、年齢や性別、国籍、言語、障がいの有無をはじめ、以下の内面的・深層的なものが該当します。

  • 宗教・信条
  • 性的指向
  • 価値観
  • ライフスタイル
  • キャリア
  • 経験
  • 働き方

ダイバーシティ経営が推進される背景

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ダイバーシティ経営が推進される背景には、以下の状況が影響しています。

  1. 労働人口の減少
  2. 人材市場のグローバル化
  3. 顧客ニーズの多様化

上記3つの背景の状況は、さらに激しくなっていくことが予想されます。ダイバーシティ経営で柔軟な人材登用を行うことがさらに求められていくでしょう。

1. 労働人口の減少

ダイバーシティ経営が推進される背景には、労働人口の減少があります。総務省統計局が行った2022年の 労働力調査(基本集計)では、2022年の労働力人口が前年と比べて5万人減少したことがわかりました。

人口の3分の1が65歳以上となる2030年以降、さらなる労働人口の低下が懸念されています。労働力を少しでも補うため、多様な人材を採用するダイバーシティ経営が求められている状況です。

2. 人材市場のグローバル化

ダイバーシティ経営の背景には、人材市場のグローバル化も関係しています。外国人労働者も多く来日し、外国人を雇用するサポート体制も整ってきました。日本企業の海外進出、外資系企業の日本市場への参入も増加しており、グローバル化に対応できる人材が求められています。

企業は国内外の競合他社と戦わなければならないため、従来の経営スタイルで勝ち残ることが難しい現状です。ダイバーシティ経営により、固定概念を覆すアイデアや破壊的イノベーションを創出することが企業に求められています。

3. 顧客ニーズの多様化

ダイバーシティ経営が求められている理由の1つが、顧客ニーズの多様化です。かつては1つの商品・サービスを開発することで、幅広い顧客層の支持を集めることができました。

現代では顧客ニーズが細分化・多様化しているため、商品開発にもさまざまな視点を持たなければなりません。女性、性的マイノリティ、外国人など幅広い領域からの人材採用により、多様化されたニーズに応えられます。

ダイバーシティ経営のメリット5つ

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主なダイバーシティ経営のメリットは、以下の5つです。

  1. 優秀な人材を確保できる
  2. リスクマネジメントをしやすくなる
  3. イノベーションの創出ができる
  4. 従業員のワークライフバランスが向上する
  5. 社外からの評価が高まる

ダイバーシティ経営を進めるためには、従来の経営手法や経営方針を大きく変更しなければならないことがあります。時代の変化に対応していくために、どのようなメリットがあるか理解することは非常に重要です。

1. 優秀な人材を確保できる

ダイバーシティ経営により、優秀な人材の確保が可能となるメリットがあります。多様化を推進することで、応募者の母数が大きくなるため、より優秀な人材を発見できる可能性が広がるでしょう。

たとえば、英語圏の外国人を雇用するために英語のマニュアルを作成する、子育て中の人でも働きやすいよう時短勤務を導入するなどの方法が考えられます。優秀な人材を幅広い領域から獲得することで、今までにはなかったイノベーションが起こる可能性もあるでしょう。

2. リスクマネジメントをしやすくなる

ダイバーシティ経営を推進することでリスクマネジメントをしやすくなる点もメリットです。統一された価値観や均質的な組織は柔軟性に欠け、的確な状況判断ができなくなるおそれがあります。たとえば、独身の男性従業員しかいない会社は、既婚者や女性のニーズの変化に対応するのは難しくなるでしょう。

ダイバーシティ経営で多様な人材を雇用することで、問題や課題に対してさまざまな角度からのアプローチが可能になります。急激な外部環境・内部環境の変化にも対応しやすくなるため、企業にとって大きなメリットがあるといえるでしょう。

3. イノベーションの創出ができる

ダイバーシティ経営は、イノベーションの創出に役立つ点もメリットです。イノベーションには、プロダクトイノベーションとプロセスイノベーションがあり、多様性はどちらにもいい影響を及ぼします。

多用な人材がいることで、商品やサービスをと異なる視点から評価し、改良を加えることが可能です。経験や知識を活かし、開発・製造・販売のプロセスを効率化することもできるでしょう。それぞれの経験や能力を活かし、業務を進めるため生産性の向上が期待できます。

4. 従業員のワークライフバランスが向上する

ダイバーシティ経営における多様性には働き方やライフスタイルが含まれるため、従業員のワークライフバランスを向上させる効果もあります。在宅勤務や時短勤務、サテライトオフィス、フレックスタイムの導入により、多様な働き方が実現可能です。

多様な働き方が容認されることにより、モチベーションやメンタルヘルスの向上が期待できるでしょう。働きやすい職場環境が整えば、従業員の忠誠心は高まり、離職率を下げることにもつながります。

5. 社外からの評価が高まる

ダイバーシティ経営は、会社の評判を高める効果もあります。多様性の許容は従業員を高く評価していることの表れです。さまざまな背景を持つ人材を雇用することで、取引先や顧客の評価が高まる可能性もあるでしょう。

女性や外国人、性的マイノリティ、障がいを持つ従業員を雇用することで、顧客の細分化されたニーズにあった対応ができるため、顧客満足度が向上する可能性もあります。

ダイバーシティ経営のデメリット3つ

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ダイバーシティ経営を検討する際、以下の3つのデメリットに注意しましょう。

  1. 人材の多様化によりコミュニケーションに支障が出る
  2. チーム内での信頼構築が難しい
  3. 社内の制度を整えるのが難しい

どの程度まで多様性を許容する環境を整えるかによって、会社のコストや労力が大きく変動します。ダイバーシティ経営に限らず取り組まなければならない課題もあるため、より多様な人材に対応できないか常に検討することが必要です。

1. 人材の多様化によりコミュニケーションに支障が出る

ダイバーシティ経営で多様な人材を雇用するため、相互のコミュニケーションが難しくなるデメリットがあります。日本人の従業員しかいない会社でも、密なコミュニケーションを図ることは簡単ではありません。

日本語を十分に話せない外国人の場合、コミュニケーションを取るのはかなり難しいでしょう。時短勤務や在宅勤務の従業員がいるケースでも、フルタイム勤務や出社している従業員と連絡を取り合うのが困難になることがあります。結果的に生産性が落ち、会社の不利益になりかねません。

2. チーム内での信頼構築が難しい

ダイバーシティ経営では、同じチームで働く従業員同士の信頼を醸成するのが難しくなることがあります。コミュニケーションの問題に加え、働き方やアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)の問題があるからです。

時短勤務・フレックスタイムで働いている従業員は、フルタイムの従業員に気を使うことがあり得ます。特定の国籍の従業員に偏見を持っていることも珍しくありません。職場内・チーム内で信頼を構築するためには異文化理解をはじめとした努力が求められます。

3. 社内の制度を整えるのが難しい

ダイバーシティ経営に見合う制度を整えるのが難しい点もデメリットの1つです。ダイバーシティ経営では、人種や性別など表層的な多様性に加え、信条や働き方、ライフスタイル、経歴などの深層的な多様性にも対応しなければなりません。

多様な人材を雇用しても、革新的なイノベーションが起こるわけではありません。人事制度や労務管理、資格の取得を支援する制度、時短・在宅勤務に対応した業務内容の整備など課題は多くあります。ダイバーシティ経営を推進するためには、周到な準備と相当の時間が必要でしょう。

ダイバーシティ経営を成功させるポイント3つ

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以下のポイントを押さえることで、ダイバーシティ経営の成功につながります。

  1. コミュニケーションツールを活用する
  2. ダイバーシティ経営の必要性を周知する
  3. 人事評価の基準を明確化する

ダイバーシティ経営では、すべての従業員が円滑に業務を行えるよう配慮することが重要です。現場任せにするのではなく、経営陣が率先してダイバーシティ経営の周知を行うことで、成功につながります。

1. コミュニケーションツールを活用する

ダイバーシティ経営を成功させるため、コミュニケーションツールを活用することが不可欠です。在宅勤務の従業員と出社している従業員の間ではコミュニケーションが不足しがちです。手軽にやり取りできるチャットツールやビデオ会議システムを使い、コミュニケーションを取るよう促しましょう。

部門を横断したプロジェクト、気軽に質問できるラフなミーティングなど、意思疎通の機会を設けることが重要なポイントです。疑問や不安、不満をすぐに解決できる風土を作ると、ダイバーシティ経営が円滑に進みます。

2. ダイバーシティ経営の必要性を周知する

ダイバーシティ経営の必要性を周知することにより、従業員の理解を得やすくなります。急にさまざまな人材を雇用した場合、以前から在籍している従業員は混乱するでしょう。

「なぜ今ダイバーシティ経営が必要なのか」「どのような施策が行われるのか」を事前に周知することで従業員が体制の変化を受け入れる準備を整えられます。ダイバーシティ経営によってどのような成果が得られたか定期的にフィードバックすると、従業員も効果を実感できるでしょう。

3. 人事評価の基準を明確化する

ダイバーシティ経営を成功させるカギは、人事評価の基準を明確にすることです。多様な人材を雇用し多様な働き方が拡大すると、評価の基準が不明確になります。自分より勤務時間の短い従業員が早く昇進する、フォローしていた外国人従業員が自分よりも給与が高いなどのケースでは、不満を抱える従業員が出てくることもあるでしょう。

多様な働き方を認めつつ、できる限り多くの従業員が納得できる人事評価の基準を設けることが必要です。従業員のモチベーションに直結するポイントであるため、慎重に検討しなければなりません。

ダイバーシティ経営の実例3つ

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ダイバーシティ経営を成功させた事例として、以下の3社が挙げられます。

  • カルビー株式会社
  • 株式会社小金井精機製作所
  • 株式会社ZOZO

ダイバーシティ経営を成功させた企業は多くありますが、従来と異なる商品・サービスの展開、知名度の向上を実現しています。ダイバーシティ経営による知名度の向上は、会社にとって大きなメリットといえるでしょう。

1. カルビー株式会社

カルビー株式会社は、女性の活躍を推進するダイバーシティ経営を行ってきました。2022年4月時点で女性管理職の比率は23.3%と他社と比較してかなり高い状態です。2024年3月期までにこの比率を30%以上にすることを目標として掲げています。

女性従業員を雇用する、管理職に就くことがゴールではない点が、カルビー株式会社におけるダイバーシティ経営の特徴の1つです。女性リーダー育成プログラム、育児休業復職時セミナー、食品企業合同女性社員研修など、女性が研鑽を積める機会を多く設けてダイバーシティ経営を推進しています。

2. 株式会社小金井精機製作所

株式会社小金井精機製作所は、海外からの人材を雇用する点でダイバーシティ経営を推進してきました。若手技術者不足という課題に直面した株式会社小金井精機製作所は、ベトナムから新卒学生を採用して人材不足を解決しています。

株式会社小金井精機製作所のダイバーシティ経営では、外国人労働者の雇用だけではなく遠い異国の地でのストレスを考慮し、配偶者も積極的に採用する方針を取って注目を集めました。ベトナムの学生が来日しやすい環境を整えた結果、2020年時点で300人の従業員のうち43人がベトナム人の技術者となっています。

3. 株式会社ZOZO

株式会社ZOZOは、6時間労働制を取り入れることでダイバーシティ経営を推進しています。6時間労働制の導入により、ライフワークバランスの向上や陣営をより充実させることが目的です。

午前9時から午後3時の6時間労働制におり、時短勤務の従業員が早退する必要がなくなりました。障がいを持つ方を積極的に雇用している背景もあり、余った時間を使って手話を学ぶ従業員もいます。ダイバーシティ経営により、社員のモチベーションが上がり、活性化が図られました。

まとめ

ダイバーシティ経営は、性別や年齢など表層的な多様性と経験やキャリアなど深層的な多様性を取り入れた経営方法です。多角的な視点で業務や商品・サービスをチェックできるため、斬新なアイデアやイノベーションが起こる可能性があります。人材不足や顧客ニーズの多様化に対応したい企業は、ダイバーシティ経営への移行を検討できるでしょう。

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比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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