失敗しない事業計画書の書き方は?コンサルタントに聞いた書き方とポイントも解説
- 事業計画書で伝わる書き方のコツとは?
- 融資担当が納得する事業計画書の書き方とは?
- 事業計画書を作る役割・目的とは?
「失敗しない事業計画書を作成したい」とお悩み方の必見!
事業計画書は「6W2H」を意識して作成することで、金融機関やベンチャーキャピタルなどからの資金調達の可能性を高めることができます。
この記事では事業計画書を作成したい経営者向けに、事業計画書の作成に役立つ6W2H、融資担当が納得する事業計画書の書き方を解説しています。
最後まで読めば、事業計画書の書き方や目的がしっかりと理解できるでしょう。
「上手な事業計画書で事業の発展を目指したい」という方はぜひ参考にしてください。
事業計画書を作る役割・目的
そもそも事業計画書はどのような役割を持つもので、どのような目的で作られるのでしょうか?
事業計画書の役割
事業計画書は、事業を行っていくにあたり、どのような事業を行ない、どのように発展させていくかを記したものになります。
事業に取り組んでいくにあたり、役員や従業員と事業の目的を共有したり、事業の判断をするにあたっての拠り所になったりといった役割を持ちます。
もう一つ、重要な役割として銀行から融資を受ける場合や、ベンチャーキャピタルなどの資産化から資金調達する際に求められるということがあります。
こうしてみると、事業計画書は、社内的には会社の目指すべき方向を共有し、対外的に会社や事業の信用をつくるものだと考えることができるでしょう。
事業計画書を作る目的
上記のように、事業を展開していく際に内向きにも外向きにも重要な役割を担うのが事業計画書です。
事業計画書がなくても事業を行なうことができるため、特に事業の規模が小さいときは詳細に落とし込むのは不要と考える方も事業を発展させていくには大切と考え、真剣に作るようにしましょう。
事業計画書を作る目的としては、先述の通り、金融機関や資産から資金調達することや、役員や社員の意思統一を図ることで事業を円滑に進めるといったことが挙げられます。
事業計画書の作成に役立つ6W2H
事業計画書を作成するときには、「6W2H」を意識するとよいでしょう。
以下で、それぞれについて解説していきます。
Why
なぜその事業をやるのかを盛り込みます。
事業として成功するものは社会に求められている事業であることが多いため、そうした、自分の事業の社会的存在意義についてもここで確認しておきます。
What
事業で取り扱う具体的な商品やサービスを盛り込みます。また、それら商品やサービスが市場や顧客に受け入れられるものかも確認します。
Where
どんな市場で事業を展開するかを具体的に絞り込みます。市場が鮮明になるほど具体的なアプローチを検討できるようになります。
Whom
どんな顧客に商品やサービスを提供するかを絞り込みます。
Whereが市場、Whomが顧客を対象に、できるだけ絞り込んだものにしていくことが求められます。
When
人材や資金など、経営資源をどのタイミングで投入するかを盛り込みます。具体的にどのくらいの経営資源が必要かを、時間軸の概念を取り入れながら検討していきます。
Who
誰が事業を行うのか、どんな人材が必要になるのかを盛り込みます。
自分や事業パートナーの能力を判断し、その他、事業を進めるうえでどんな人材が何名必要かを検討します。
How much
事業を始めるにあたって必要な資金や、売上高、利益の目標を盛り込みます。
これにより、具体的な資金計画を作成すると共に、資金調達が必要であれば、どんなところからいくらくらい調達する必要があるのか検討します。
How to
商品やサービスを市場や顧客にどのように提供していくかを検討します。自分やパートナーの販売力や販売する商品の競合優位性など具体的に分析します。
事業計画書で伝わる書き方のコツ
ここでは、事業計画書を実際に書く際に取り入れたい伝わる書き方のコツをお伝えしていきます。
書き方(1)創業の動機
創業期は基本的に実績がないことが前提となるため、事業の明確さ以外に、創業者の想いといったものも重要なポイントとなります。
なぜ創業しようと思ったのか、社会のどのような問題を解決しようとしているのか、その同期を盛り込王ようにしましょう。
書き方(2)経営者のプロフィール
事業がうまくいくかどうかは経営者の手腕によります。
これまで経営者はどんな仕事に取り組んできており、事業に取り組むにあたってどのくらいの成果を期待できるのかをアピールします。
書き方(3)事業理念
事業を進めていくうえで、経営者自身はもちろんのことですが、従業員や顧客に響く事業理念となっているかを確認します。
書き方(4)事業概要
具体的にどのような事業を行なうのか、その概要を記載します。
ここはシンプルなものでも構わないでしょう。
書き方(5)商品・サービス
どのような商品、サービスを扱うのかを記載します。
商品やサービス自体に販売力があったり他社にははにユニークさがあったりする場合には、ここでその内容をしっかりアピールします。
書き方(6)市場動向・競合
提供する事業や商品、サービスに対してどのような競合がいるのか等、市場の動向を盛り込みます。
また、それら競合に対してどのように打ち勝っていくのかについても記載するとよいでしょう。
書き方(7)販売戦略・マーケティング戦略
商品やサービスをどのようなチャネルで、どのような顧客に届けるのか、販売戦略やマーケティング戦略を盛り込みます。
どんな層をターゲットとしているか
どんな層の人に商品やサービスを提供するのか、具体的に盛り込みます。
年代や性別等階層に分け、またそれぞれの特徴を想定して、それに対してどのように対策するかといったことも記載するとよいでしょう。
どんな販売チャネルを想定しているのか
商品やサービスを提供するにあたり、店舗を設置するのか、インターネットで販売するのかなど記載します。
具体的にどのくらいの規模で、どんな場所に店舗を設置するのか、またインターネットであればどのようなWebサービスで商品を提供するのかといったことも記載します。
書き方(8)生産方法・仕入先
どのように商品を生産するのか、また仕入先はどこかといったことを記載します。
仕入先とのトラブルで事業がうまくいかなくなる可能性もあるため、そうならないために複数の候補を確保しているのか、またそれぞれとの関係性はどのようなものかも検討できるとよりよいでしょう。
書き方(9)売上予想
月毎の売上予想を記載します。
提供する商品やサービスの単価はどのくらいで販売戦略に基づいて毎月どのくらい販売できるのかを予想し、売上高を検討します。
書き方(10)損益計算書予想
売上予想から毎月の経費(人件費や広告費、賃料等)を差し引いた損益計算書予想を記載します。
毎月最低いくらの売上があれば黒字になるのか、損益分岐点についても言及するとよいでしょう。
書き方(11)開業資金と調達方法
開業資金がいくらあり、また事業に取り組んでいくのにどの程度の資金が必要で、その資金を調達するのにどのような方法を検討しているのかを記載します。
開業資金はいくらかかる?
まず、開業するのにどのくらいの費用が必要かを算出しましょう。
店舗や事務所を設置するのであれば、その賃料や設備費用を具体的に計算しておきましょう。
また、事業が開始すれば毎月人件費や広告費、店舗や事務所の賃料を支払う必要がありますが、これら毎月の経費について、少なくとも半年程度は無収入でも問題ない額の開業資金を用意しておくことが大切です。
どんな調達方法がある?
ここでは、開業時の資金調達法にどのようなものがあるのかお伝えしていきます。
- 補助金・助成金
「創業補助金」や「小規模事業者持続化補助金」等、創業時に受けられる補助金や助成金で資金調達できないか検討します。
補助金については審査をパスする必要があるため、どのような内容であれば審査に通りやすいかよく調査しておくことが大切です。
- 融資
通常、金融機関から融資を受けるには実績があることが求められますが、日本政策金融公庫や、中小企業への融資を積極的に行っている信用金庫であれば、創業時の企業でも融資を受けられる可能性があります。
- 出資
友人や知人に出資をお願いしたり、ベンチャーキャピタルから出資を取り付けたりします。また、自己資金を資本金に充てることも出資に該当します。
- クラウドファンディング
インターネットを介して、不特定多数の個人から資金を集めるクラウドファンディングという方法を利用する手もあります。
特に社会的に意義のある事業である場合や、革新性の高い事業であれば注目される可能性は高くなるでしょう。
融資担当が納得する事業計画書の書き方
実際のところ、事業計画書を作りこむ理由としては融資を受けるためということが多いでしょう。
ここでは、融資担当が納得する事業計画書の書き方について見ていきたいと思います。
納得する書き方(1)数字に根拠がある
事業計画書では売上予想や損益予想など記載しますが、これはあくまでも予想の数字です。
創業ですから、実際の売上を確認することもできないため、その数字にどのような根拠があるのかをしっかり示す必要があります。
納得する書き方(2)事業に説得力がある
事業内容に対して、市場や顧客からどのような反応があるかといった説得力を持たせることが大切です。
例えば、事業計画書の売上予想など、市場の状況と乖離している内容になっていると説得力がないと判断されやすくなってしまうでしょう。
納得する書き方(3)わかりやすい内容である
専門用語や業界知識を前提とした内容にするのではなく、世間一般の人にでも分かりやすい内容にすることが大切です。
融資担当も、業界のことについてある程度勉強しているとはいえ、実際に業界で働いている人のように理解できるわけではありません。
第三者にチェックしてもらうのがオススメ 「多くの人に、複数の視点で見てもらう」
事業計画書を作成した当人は、完璧な内容だと思っていても、第三者の視点で見ると分かりづらい内容になっていることは少なくありません。
事業計画書は基本的に第三者に見てもらうために作成するものなので、融資担当に見せる前に、友人や知人に見せてその反応を見ておくことが大切だといえます。
融資担当は事業計画書以外にも見ているポイント
創業融資を取り付けるために事業計画書を提出することになりますが、実際に面接を行なう際には事業計画書の内容だけが見られるわけではありません。
まず、前提として融資したお金をしっかり返済してくれるかどうか、創業者の人間性もチェックされると考えておくとよいでしょう。
過去に融資の返済を延滞しているかどうかはもちろん、公共料金や税金についても滞納がない状態にしておくなど注意が必要です。
また、事業がうまくいくかどうかは経営者次第ですので、事業を魅力的に語ることができるかどうかも重要なポイントとなります。
事業計画書をコンサルタントに依頼するメリット
この様に、たくさんの押さえなければいけない項目があるのが事業計画書です。大抵の人は書くのも初めてでしょうから、戸惑うのも当然です。
金融機関によってはテンプレートを用意して、埋めるべき項目を用意している場合もありますが、その様な項目を機械的に埋めるだけでは、人に訴えかける計画書にはなりません。
創業者の熱意を伝え、投資家の疑問に答え、見る相手をワクワクさせるようなストーリーがあることが良い事業計画書だと言えます。
そういったものを完璧に書く自信がある人はそういないでしょう。コンサルタントならば経験豊富で様々なノウハウを持っています。完璧な事業計画書を求めるならば、コンサルタントに依頼することも必要なのではないでしょうか。
東京都出身。大学卒業後、メーカー、コンサルティング会社勤務を経て、コンサルタントとして独立。主に中堅・中小企業を対象に様々な業種で経営を“見える化”して、経営改革をおこなう。企業の種々の経営課題から改善への道筋・目標をわかりやすく見える化し、改善に取り組むサポートをおこなう。実行性を高め、成果に繋げるコンサルティングを実践する。得意分野は企業風土改革、経営戦略策定、方針目標管理、日常業務管理、業務改革、収益管理改善、営業力強化、工場管理改善、人事評価制度構築、運用支援など。企業の実情をふまえて改革プランを作成後、経営現場で実践的なサポートを実施する。マネジメントの質とスピードが変革され、マネージャーのマネジメント力(管理力と改善力)が向上し、社員の自発性・実行力が向上する“人が育ち職場風土が活性化”されるコンサルティングに定評がある。

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事業計画は、会社の問題点を発見するツールであり、目標にたどり着くための未来地図でもあります。作成のステップとしては、事業計画に必要な経営理念、経営ビジョンを作成し、経営環境の変化に対応した将来ビジョンを策定し、目指すべき姿、目標を構想したうえで、狙うべき姿・やるべきことを数値で見えるようにし、経営目標、経営方針、利益計画の策定をおこないます。そして、目標達成のために必要な取り組みを主要施策、行動計画で表していきます。
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