経営戦略の3つの種類とは?具体的な手法を徹底解説!

株式会社Pro-D-use
監修者
株式会社Pro-D-use 取締役副社長 岡島 光太郎
最終更新日:2023年12月11日
経営戦略の3つの種類とは?具体的な手法を徹底解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 経営戦略の種類には何がある?
  • 経営戦略の具体的な方法は?
  • 経営戦略を立てるためのフレームワークとは?

「経営戦略にはどのような種類があるの?」「どのように経営戦略を立てればいいの?」とお悩みの経営者、必見です。経営戦略にはいくつかの種類があり、企業によって適した戦略は異なります。

この記事では、経営戦略の種類と具体的な手法、役立つフレームワークを紹介します。記事を読み終わる頃には、自社の経営戦略を考え始められるでしょう。

経営理念や経営計画との違いも紹介するため、企業経営者の方はぜひ参考にしてください。

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経営戦略の種類3つ

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経営戦略は以下の3つで構成されます。

  1. 企業戦略
  2. 事業戦略
  3. 機能戦略

企業戦略は全社戦略・全体戦略とも呼ばれ、会社が目指すビジョンや理念を定めるものです。効果的な経営戦略を立てることで、競合他社に差をつけ、自社の強みを十分に活かせるでしょう。

1. 企業戦略

企業戦略とは、会社全体が目指す方向性を決める戦略です。細かな戦略ではなく、会社が決定を下す際の基本原理や注力する事業の選定が主な内容となります。

たとえば、経営理念の策定や経営資源の配分方法の決定が企業戦略の1つです。新しい事業に参入することや特定の事業を縮小・撤退することも企業戦略となります。複数の事業を展開する企業では、企業戦略を基に次の事業戦略・機能戦略を決定することになるでしょう。

2. 事業戦略

事業戦略は、策定された企業戦略を個別の事業に落とし込んだ戦略です。各事業で扱っている商品やサービスが異なるとしても、基本原則となる企業戦略が決まっているため、従業員全員が同じ方向性で働くことができます。

具体的な事業戦略は、市場調査やターゲット層の設定、提供する商品・サービスの決定、収益が得られる事業モデルの構築などが該当するでしょう。1つの事業のみを行っている企業では、企業戦略がすなわち事業戦略になります。

3. 機能戦略

機能戦略は、策定された企業戦略・事業戦略を遂行するために社内の機能を最適化する戦略です。事業戦略で決定したターゲット層へのアプローチや商品・サービス開発、実際の市場調査などが機能戦略に該当します。

機能戦略のポイントは、機能間の戦略に整合性をとることです。機能戦略は事業戦略の遂行を目的としているため、マーケティング部や開発部、営業部などがターゲット層や市場のニーズに関する共通認識を持っている必要があります。

経営戦略の具体的な手法6つ

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経営戦略で用いられる具体的な手法は、以下の6つです。

  1. 価格戦略
  2. 差別化戦略
  3. 集中戦略
  4. 成長戦略
  5. グローバル戦略
  6. クロスセル戦略

いずれの戦略も労力やコストがかかるものの、経営戦略が軌道に乗れば経営資源を効率的に利用できます。複数の経営戦略を組みあわせることで、大きな利益をもたらす可能性もあるでしょう。

1. 価格戦略

価格戦略は、競合他社と比較して顧客に利益のある価格を設定する戦略です。商品・サービスの品質を上げ品質に見合う高価格を設定する(高価格戦略)、他社にまねできない低価格の商品を大量に販売する(コストリーダーシップ戦略)などの戦略が用いられます。

価格戦略でポイントは、売り手の利益と買い手が納得できる価格のバランスを取ることです。単に商品・サービスの価格を上げる・下げるのではなく、価格戦略の目的を決めたうえで適正な価格を定めましょう。

2. 差別化戦略

差別化戦略は、競合他社と何らかの差別化を図ることで優位性を確保する戦略です。独自の技術やブランド、希少な材料、店舗数、顧客サービスの充実度など、差別化を図れる分野はさまざまあります。

差別化戦略を成功させることにより、競合他社との価格競争に巻き込まれない点が大きなメリットです。差別化戦略では、価格よりも付加価値に重きが置かれるため、価格が高くても利益を上げ続けられます。デメリットは、ニーズの調査に多くの時間と労力が必要であること、失敗すると既存顧客を失うことなどです。

3. 集中戦略

集中戦略は、特定の地域や分野、ターゲットに絞って経営資源を集中的に投入する戦略です。たとえば、コンビニエンスストアのなかには、特定の地方や地域に集中して出店することにより、大手コンビニに対抗している企業も少なくありません。

集中戦略にはコスト削減を目的としたコスト集中戦略と、他社が狙わない市場に目を向けて経営資源を集中させる差別化集中戦略があります。特定のターゲットや市場に的を絞ってヒトやカネを投入するニッチ戦略は、狭い範囲でもマーケットシェアを拡大していくうえで非常に有効です。

4. 成長戦略

成長戦略は、将来的にどのように利益を拡大していくか、調査をもとに決定していく戦略です。既存の事業を継続していくのか、多角化経営に移行していくのかなどを検討できるでしょう。

市場調査に加え、顧客満足度調査やペルソナ設定の見直しを行うことも有効です。新製品の開発や既存製品の改良が必要である、現在のマーケットでのシェア拡大を図る、新たな分野や地域に事業を拡大するなどの戦略が考えられます。場合によってはM&Aを利用した大規模な改革が必要になるケースもあるでしょう。

5. グローバル戦略

グローバル戦略とは、世界規模での事業拡大を行う戦略です。国内市場だけにとどまらず、海外に新たな市場を求める企業は年々増加しています。

グローバル戦略最大のメリットは、市場規模の拡大による利益の増大です。人件費の安い国に工場を建設し、材料を現地調達することで大幅なコストカットが行えるでしょう。海外進出には多額のコストがかかるため、数年は事業が赤字になる可能性があります。

グローバル戦略について詳しくは以下の記事も参考にしてください。

6. クロスセル戦略

クロスセル戦略は、ある商品を購入した顧客に対して関連商品を推奨する戦略です。ファストフード店でおすすめされるサイドメニューがクロスセル戦略の代表例といえます。

クロスセル戦略の大きなメリットは、顧客の客単価を上げリピータ―を作りやすくなる点です。関連商品を進めるだけであるため、既存顧客に対するアプローチだけで利益を伸ばせる点も利点の1つです。クロスセル戦略の進め方を間違えると、顧客離れが進むおそれがあるため、注意しましょう。

経営戦略に似ている言葉との違い

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経営戦略を策定するうえで、似ている言葉との違いに注意する必要があります。経営戦略と経営戦術・経営計画・経営理念にはそれぞれ意味の違いがあるため、使い方に注意を払いましょう。

経営戦略と経営戦術の違い

経営戦略と経営戦術の大きな違いは、計画か行動かです。経営戦略は事業拡大や利益を伸ばすための計画を、経営戦術は計画を実行するための具体的な行動を意味します。

企業の経営戦略として価格戦略を行うことを決定した場合、具体的なコスト削減方法を検討しなければなりません。在庫管理の方法や物流の効率化、人員の削減など具体的な施策が経営戦術といえます。

経営戦略と経営計画の違い

経営戦略と経営計画は似ている言葉ですが、経営戦略をもとに経営計画が作られる点で趣旨がやや異なります。経営戦略によって会社が向かう方向性を定め、経営計画で具体的な事業を決めることになるでしょう。各事業の内容は事業戦略で決定します。

経営戦略は価格戦略やグローバル戦略など今後のビジョンを明確にするものです。経営計画はKPIの設定を含む効果の測定を中心に、経営戦略で設定したビジョンを実現するプロセスを明確にするために役立ちます。

経営戦略と経営理念の違い

経営戦略は経営理念で示した理想を実現するための手段で、経営理念は会社設立の目的や会社が目指す姿、理想的な顧客との関わりを文章化したものです。

経営戦略は、時代や環境にあわせて変更することが求められます。戦略が失敗した場合、別の経営戦略を立てる必要もあるでしょう。経営理念は、社長の交代や事業の大幅な変更など特別な事情がある場合、刷新されるのが一般的です。

経営戦略を立てるためのフレームワーク3つ

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経営戦略を立てるためには、フレームワークを使用するのが効果的といえます。よく用いられるのは以下のフレームワークです。

  • 3C分析
  • 5フォース分析
  • STP分析

フレームワークは多種多様であるため、自社にあったものを選ばなければなりません。フレームワークは特定の指標・分野に着目して分析を行うものであるため、複数のフレームワークを併用することでバランスの取れた分析が可能となります。

1. 3C分析

3C分析は、事業の成功要因を見出すためのフレームワークです。3C分析では以下の要素を考慮し、環境分析を行います。

  • 顧客(Customer)
  • 競合他社(Competitor)
  • 自社(Company)

市場のニーズ・顧客のニーズを把握し、競合他社と自社の強み・弱点を分析します。3C分析はシンプルでありながらマーケティングに必要な要素をすべて網羅できる点が大きなメリットです。デメリットは、競合他社の情報が収集できないケースがあること、競争が激しい市場では情報の分析に時間がかかることです。

2. 5フォース分析

5フォース分析とは、市場の競争要因を分析するためのフレームワークです。市場には収益性に影響する5つの脅威があると考えます。

  • 業界内の競合他社
  • 業界への新規参入企業
  • 代替品の出現
  • 買い手の交渉力
  • 売り手の交渉力

5フォース分析は、自社の強みや弱点を素早く把握し、脅威に対する対策を講じられる点がメリットです。5フォース分析では主観を排除することが難しいため客観的なデータをできる限り多く集めることが重要なポイントです。加えて分析する時間単位が月単位なのか年単位なのかによって分析結果が大きく変わる点にも注意しましょう。

3. STP分析

STP分析はマーケティング戦略の立案や他社と差別化するポイントの見極めに用いられるフレームワークです。STPはそれぞれ次の意味があり、通常S・T・Pの順に分析します。

  • S:セグメンテーション(Segmentation)
  • T:ターゲティング(Targeting)
  • P:ポジショニング(Positioning)

セグメンテーションで市場のニーズを調査し、ターゲティングで顧客の需要や狙うべき市場を決定します。ポジショニングでは競合他社と自社の強みや弱点を比較し、どのような優位性があるか分析できるでしょう。細かなペルソナ設定が行えないため、STP分析だけではなくさらに詳細な分析が必要になるケースもあります。

まとめ

経営戦略には企業戦略・事業戦略・機能戦略の3つがあり、それぞれ行うべき作業が異なります。経営戦略の手法によって、適した調査手法やフレームワークを利用しましょう。効果的な経営戦略を立てるため、時間と労力が必要になることも覚えておくべきです。

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監修者のコメント
株式会社Pro-D-use
取締役副社長 岡島 光太郎

2009年:(株)リクルートに新卒で入社。営業部署・企画部署にて責任者を務める。(在籍中は、MVPやマネジメント賞など、多数受賞。)
2013年:(株)データX(旧:フロムスクラッチ)の創業期に転職。営業や新卒・中途採用の責任者を務める。
2014年:アソビュー(株)に転職。その後、営業責任者、新規事業責任者、事業企画を歴任。
2015年:(株)Pro-D-useを創業。取締役副社長(現任)に就任。新規事業の立上げ〜収益化、成果を上げる営業の仕組み作り、採用〜組織の構築、Webマーケティングを主軸とした売れる仕組み作り、業務システムの導入・運用、融資を中心とした資金調達〜財務のコンサルティングを得意としている。
また、個人でも中小企業の融資を支援するサービス「中小企業の融資代行プロ.com」を運営するなど、一貫して中小企業を支援することを生業にしている。

一口に経営戦略といっても、多様な戦略が存在ます。本記事では「企業戦略」、「事業戦略」、「機能戦略」をご紹介しておりますが、使い分けには十分に気をつけましょう。

それぞれ「企業戦略=中長期」「事業戦略=中短期」「機能戦略=短期」と、時間軸に大きなズレがあります。

そのため、「経営層は企業戦略」を、「部課長層は事業戦略」を、リーダー・一般スタッフ層は機能戦略」を使いこなせるように、社内では統一することが大切です。

このことから、まずは企業戦略を立ててから、それを部課長に下ろし事業戦略を立て、その事業戦略を機能戦略に落とすというやり方がおすすめです。

経営戦略は一貫性がとても重要です。会社一丸となって経営戦略を実現するためにも、レイヤーの違いと時間軸の違いを意識して、使いこなせるようになりましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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