開業届のデメリットとは?提出するメリットや提出方法も解説

株式会社キュリー
監修者
株式会社キュリー 代表 荒井 勇太
最終更新日:2024年04月16日
開業届のデメリットとは?提出するメリットや提出方法も解説
この記事で解決できるお悩み
  • 開業届のデメリットは?
  • 開業届のメリットはある?
  • 開業届の提出方法は?

「開業届は提出するべき?」とお悩みの個人事業主の方、必見です。所得税法では、事業所得があれば開業届を提出することになっています。提出しない場合の罰則はないため、メリット・デメリットを確認してから判断する方も多いです。

この記事では、開業届を提出するメリット・デメリットや提出方法を解説します。記事を読み終わった頃には、開業届を提出するか判断できるでしょう。

開業届を提出する最大のメリットである「青色申告」についても詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

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開業届の3つのデメリット

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開業届のデメリットは、以下の3つが挙げられます。

  • 扶養に入れない
  • 失業保険を受給できない
  • 帳簿付けの手間が増える

開業届は正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、個人が事業を始めることを税務署に知らせる書類です。事業を開始して1カ月以内に税務署へ届け出ることが所得税法により義務付けられていますが、1カ月以上過ぎた状態でも提出できます。提出が遅れたり、提出しなかったりしても罰則はありません。

各デメリットをくわしく解説します。

扶養に入れない

開業届を提出して個人事業主になることで、家族や配偶者の加入している健康保険の扶養から外れる場合があります。開業届を提出して個人事業主になることで、一定の収入があるとみなされるためです。

個人事業主は就職したことと同じになるため、一定の収入があると扶養対象にならない制度が存在します。加入している健康保険組合によっては、個人事業主は扶養対象と認めない場合もあるため、扶養に入っている場合は考慮が必要です。

失業保険を受給できない

会社を退職して失業保険を受給している場合、開業届を提出して個人事業主になると失業保険の受給がストップします。失業保険は、就職しようとする意志といつでも就職できる能力があることが受給要件です。個人事業主になると就職したことと同じ扱いになります。

2022年7月1日から、事業開始等による受給期間の特例が新設されました。離職後に事業を開始した場合、最大3年間は失業保険の受給期間に算入しない制度です。休廃業時に一定の要件を満たせば、再就職活動の際に基本手当を受給できる可能性があります。

帳簿付けの手間が増える

開業届を提出して個人事業主になることで、帳簿付けの手間が増えます。個人事業主は、毎年確定申告が必要になるためです。会社員とは異なり、収入の計上は自身で行わなければなりません。確定申告を怠ると「収入隠し」となり、懲罰の対象となります。

個人事業主の場合、青色申告に切り替えることによるメリットが大きいです。青色申告にする場合は複式簿記で帳簿をつける必要があるため、帳簿が複雑になり手間が増えるでしょう。

開業届の最大のメリットは青色申告ができること

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開業届を提出する最大のメリットは、青色申告ができることです。開業届と一緒に「青色申告承認申請書」を提出します。通常、確定申告では白色申告と呼ばれる方法で申告を行いますが、青色申告には、白色申告にはない以下のメリットがあります。

  • 青色申告で最大65万円の控除を受けられる
  • 家族に対する給与を経費にできる
  • 赤字が出た場合に3年繰り越して計算できる

青色申告で最大65万円の控除を受けられる

青色申告のメリットは最大65万円の控除を受けられることです。得られた事業所得の金額から控除額65万円を引くことで、課税対象の金額を小さくできます。税制優遇の1つで、青色申告では最大で65万円の控除が可能です。

青色申告で65万円の控除を受けるためには、複式簿記による帳簿付けと電子申告が必要になります。電子申告をしない場合は55万円の控除、単式簿記による申告の場合は白色申告と同様の10万円の控除です。自身の事業規模との兼ね合いを見ながら選択しましょう。

家族に対する給与を経費にできる

青色申告をすると、青色事業専従者給与制度により、家族の給与を経費に算入可能です。夫婦で事業を行う場合や家族を従業員として雇う場合に利用できます。白色申告の場合は上限がありますが、青色申告では届出書に記載した金額を経費に算入できる点が特徴です。

青色事業専従者給与を行うためには要件があります。事業者と生計を共にする配偶者または親族であること・その年の12月31日で15歳以上であることです。さらにその年で6カ月を超える期間を事業に従事していなければなりません。届出書に必要事項を記入して提出すると利用できます。

赤字が出た場合に3年繰り越して計算できる

青色申告では最長3年間の赤字を繰越し・繰戻しができます。事業を始めたての頃は赤字になりやすいです。その赤字を繰り越すことで、翌年の税制優遇が受けられる可能性があります。

例を挙げてみましょう。事業初年度と次年度に年20万円の赤字、3年目に50万円の黒字が出たとします。通常は、3年目には黒字である50万円が課税対象になりますが、初年度と次年度の赤字合計額40万円を繰越しできると10万円が課税対象です。1・2年目の赤字40万円を黒字の50万円から引けるため税制優遇を受けられます。

開業届のその他のメリット

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開業届のその他のメリットは、以下の4つです。

  • 屋号名で銀行口座を作れる
  • 融資の審査に役立つ
  • 小規模企業共済に入れる
  • 法人用クレジットカードを作れる

開業届を提出することで個人事業主としての証明が可能です。事務所や店舗などの不動産を借りるときや金融機関に融資を依頼するときに開業届の控えを求められる場合があります。子どもを保育園に入園させるときの就労証明としても利用可能です。

屋号名で銀行口座を作れる

開業届に屋号を記入し提出することで、屋号名の銀行口座を作れます。屋号とは、ビジネスでの名称のことです。屋号名で銀行口座を作るためには、屋号が存在する証明書として税務署の受領印がある開業届が必要になります。

屋号名での銀行口座があることで、プライベート用と事業用の口座を分けられるため、帳簿付けが簡単です。取引先に対しても、本格的に事業を営んでいる印象を与えられ、振込時の信用にもつながります。

融資の審査に役立つ

開業届を提出することで融資の審査に役立ちます。通常、金融機関からの融資を受ける場合は本人確認書類が必要です。個人事業主が融資を受ける場合でも同様ですが、事業用融資を受ける場合は事業を証明するものが求められます。

開業届は事業を証明する書類になるため、事業用融資が可能です。店舗で営業をするときに、屋号名で賃貸契約する際も同様に開業届が必要になります。事業を円滑に進めるために開業届は重要な書類です。

小規模企業共済に入れる

開業届があると小規模企業共済への加入が可能です。小規模企業共済とは、中小企業の経営者や個人事業主などの積立による退職金制度で、掛金に応じて給付を受けられます。掛金は全額控除となるため税制優遇にも利用可能です。

個人事業主が小規模企業共済に加入するためには確定申告の控えが必要になります。開業したばかりで、確定申告を1度もしていない場合は開業届の控えも利用可能です。早めに小規模企業共済に入りたい場合は、開業届を使い申し込みましょう。

法人用クレジットカードを作れる

開業届を提出することで、法人用クレジットカードを作れます。法人用クレジットカードは、確定申告を済ませた後であれば個人事業主も作成可能です。開業届があると事業を始めたばかりでも作れるようになります。

開業届が個人事業主としての証明になるためです。法人用クレジットカードを作ることのメリットは帳簿付けや金銭管理を容易にできる点が挙げられます。事業用の支出を法人用クレジットカードで行うことで、支出をまとめられ、帳簿付けがスムーズになるでしょう。

開業届の提出方法

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開業届の提出方法は、以下の3つです。

  • 税務署窓口にて提出
  • 郵送
  • e-Taxを利用してオンライン提出

開業届の申請用紙は、税務署の窓口や国税庁のWebサイトで入手可能です。屋号や事業所住所などの必要事項を記入し、事業を開始した日から1カ月以内に直轄の税務署へ届け出しましょう。

税務署窓口に提出

1つ目は税務署へ行き、直接窓口に提出する方法です。届け出たことを自身で確認でき、開業届の控えを直接受け取れます。開業届の控えを使って口座を早く作りたい場合は、窓口での提出がおすすめです。

郵送

2つ目は直轄の税務署へ郵送する方法です。郵送の場合は、控用の開業届・マイナンバー確認書類のコピー・切手を貼った返信用封筒を同封します。忙しくて提出に行く時間がない場合は郵送を検討しましょう。郵送代がかかる・控えが届くまでに時間がかかる点がデメリットです。

e-Taxを利用してオンライン提出

最後はe-Taxを利用してオンラインで提出する方法です。e-Taxを利用している場合はオンライン上で提出でき、手間がかかりません。e-Taxでは確定申告もオンラインで行えて、青色申告で最大控除を受ける要件にもなっています。個人で事業を始める場合は、e-Taxの利用がおすすめです。

まとめ

開業届を提出するデメリットは、扶養に入れない・失業保険を受給できない・帳簿付けの手間がかかるの3点です。メリットは、青色申告で最大65万円控除を受けられる・家族への給与を経費にできる・赤字を3年繰り越して計上できる点などさまざまあります。

自身の状況によっては開業届の提出がマイナスに働く可能性もありますが、開業届の提出は事業を始める際の義務です。開業届はデメリットよりもメリットのほうが大きいため、事業を開始する際は必ず提出してください。

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監修者のコメント
株式会社キュリー
代表 荒井 勇太

AI集客支援コンサルティングを提供する「キュリーサポート」の代表。WEB集客に必要な3つのマーケティング領域とAIを組み合わせ、各事業者様に最適な集客プランを提案し、支援。

開業届は原則、提出するものです。提出が不安な場合は、必ずご家族などと相談し、懸念点をすべて洗い出すことが大切です。

また、開業届の提出によって、「副業がバレるかもしれない」と心配されている方もいるかもしれません。開業届によって、会社に副業がバレることはないので、提出することをおすすめします。

基本的に、開業届を出さない方が良くなるケースのほうが少ないです。懸念点を洗い出し、すべて解消されたら、開業届を提出しましょう。開業届は、ビジネス成功への第一歩となります。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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