開業届の書き方は?提出方法や提出する6つのメリット・デメリットを解説

株式会社キュリー
監修者
株式会社キュリー 代表 荒井 勇太
最終更新日:2024年04月16日
開業届の書き方は?提出方法や提出する6つのメリット・デメリットを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 開業届の書き方は?
  • 開業届の提出方法は?
  • 開業届を提出するメリット・デメリットは?

「開業届の書き方がわからない」とお悩みの個人事業主、必見です。開業届は、個人が事業を開始する際に提出する書類です。

提出を怠ると、確定申告の際に事業収入として計上できなくなり、青色申告特別控除が受けられません。事業を開始してから1カ月以内に提出しましょう。

この記事では、開業届の書き方や提出方法・提出する6つのメリット・デメリットを解説します。記事を読み終わった頃には、開業届の書き方を理解できるでしょう。

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開業届の書き方

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開業届は以下の手順で書き、住所地を管轄している税務署に提出します。記載箇所が非常に多いため、記入漏れのないように確認しましょう。国税庁のホームページから取得できる個人事業の開業・廃業等届出書を参照しながら以下の解説を参考にしてください。

提出日・納税地の税務署名提出日と開業する住所を直轄している税務署の名称を「税務署長」の前にある空欄に記入
納税地/上記以外の住所地・事業所等納税を行う住所を記入する。住所は自宅を指す「住所地」と、住所地以外に事務所を構える際に選ぶ「事務所等」を選択し、海外で生活している場合は居所地を選択。記載する電話番号は固定電話と携帯電話のどちらでも可能
氏名/生年月日開業届を提出する人の氏名と生年月日を記入
個人番号マイナンバーカードや通知カードを確認し、個人番号を記載
職業開業する職業を記入。特段厳格な決まりがないため迷ったときは税務署に相談したり、総務省が発表している「日本標準職業分類」を参考にする。複数の事業を展開する場合はメインの職業を記入
屋号開業時に使う屋号がある場合、記入。必須ではないため空欄でもよい
届出の区分開業届の場合は「開業」に○をつける
所得の種類個人でビジネスをスタートさせる場合は「事業所得」に○をつける
開業・廃業等日開業する日付を記入
事業所等を新増設、移転、廃止した場合新規開業の場合は記入しない
廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合新規開業の場合は記入しない
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無開業届と一緒に青色申告承認申請書や課税事業者選択届出書を提出する場合「有」に○をつける
事業の概要職業欄へ記入した内容を具体的に記入。万人に伝わるよう客観的な文章にする
給与等の支払の状況従業員を雇う予定がある場合、従業員数や給与の決定方法、源泉徴収を行うかどうかを記入
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無源泉徴収税の申請書を提出する場合に「有」に○をつける
給与支払を開始する年月日従業員へ給与を支払う場合、すでに支払いが始まっている場合や予定日が決まっている場合に開始日を記入

開業届の書き方は以上のとおりです。記入漏れがあると書き直しになるため注意しましょう。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無で、納期の特例を給与支払い開始日から受けたい場合は注意が必要です。必ず支払いを開始する前月までに開業届と付随する申請書を提出しなければなりません。

そもそも開業届とは

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開業届とは、個人事業を始めたことを税務署に報告するための書類です。所得税法で「事業を開始する場合は開業届を提出する」と定められています。「開業届は必ず提出するもの」と覚えておきましょう。

開業届とは個人事業の開始を知らせる書類

開業届とは、個人事業の開始を税務署に知らせるための書類です。開業届の提出は個人が事業を開始する際に行う義務であることが所得税法で定められています。

提出しない場合は、事業収入が認められず、収支を計上できません。確定申告を行う際にもさまざまな税制優遇を受けられないため、必ず提出してください。

開業届の入手方法

開業届の入手方法は、下記の2とおりです。

  • 税務署の窓口で受け取る
  • 国税庁のHPからPDFで取得する

直轄の税務署が遠い場合や受け取りが難しい場合は、国税庁のホームページからダウンロードする方法がおすすめです。

開業届の提出期限

開業届の提出期限は、開業日から1カ月以内と決められています。有効期限は所得税法で定められており、必ず期限内に直轄の税務署に提出しましょう。

開業届の提出方法

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開業届を提出する方法は、以下の3つです。

  • 税務署窓口に直接出向く
  • 郵送する
  • e-Taxを利用してオンライン提出をする

開業届を提出する方法はさまざまあります。スケジュールを考慮しスムーズに提出できる方法を選択しましょう。

税務署窓口に直接出向く

開業届を直轄の税務署へ持参する方法があります。税務署の窓口に直接出向き、その場で提出が可能です。有効期限の1カ月以内に直轄の税務署の受付時間内に持参し、手続きを済ませましょう。

直接出向くことにより、窓口で担当者と相談しながら不明点を解消できるメリットがあります。

郵送する

最寄りの税務署が遠い・直接出向く時間がないなどの場合は、郵送による提出が可能です。郵送時には控えを同封しなければなりません。開業届の控えやマイナンバーを確認できる書類のコピー・必要な送料分の切手を貼り付けた返信用封筒を用意しましょう。

税務署で受理されると、収受印が押された控えが返送されます。控えが手元に届いたら、屋号名義の銀行口座を作る際に必要になるため失くさないように保管してください。

e-Taxを利用してオンライン提出をする

オンライン上で手続きを進められるe-Taxを利用することで、開業届の提出が可能です。短時間で手続きを済ませられます。e-Taxは、個人事業主が必要な確定申告も行えるため非常に便利です。

e-Taxを使用するためには、マイナンバーカードとカードリーダーが必要になります。e-Taxを利用する場合は事前に準備しましょう。

開業届以外の6つの提出書類

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開業届以外に事業開始時に提出する可能性がある書類は、以下の6点です。

  1. 個人事業開始申告書
  2. 青色申告承認申請書
  3. 青色事業専従者給与に関する届出書
  4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
  5. 課税事業者選択届出書
  6. 各職種の許認可に関する書類

以上の書類は、必ずしも提出する書類ではありません。青色申告を行う場合・個人事業税が発生する場合・従業員を雇う場合など自分の状況を確認して、該当する場合は提出しましょう。

1. 個人事業開始申告書

個人事業開始申告書は事業を開始した旨を都道府県へ知らせるための書類です。個人事業税を納める必要がある場合に提出しなければなりません。開業届は所得税、個人事業開始申告書は個人事業税に関する書類と覚えておきましょう。

基本的に、個人事業税は290万円の控除を受けられます。売上から経費を差し引いた金額が290万円以上になると納税義務が発生します。

2. 青色申告承認申請書

青色申告承認申請書とは、確定申告の際に青色申告を行う場合に必要な書類です。青色申告を行うと、青色申告特別控除を受けられ、白色申告よりも税制優遇が大きくなります。個人事業主として、事業所得を計上する場合は青色申告がおすすめです。

白色申告との大きな違いは確定申告時の帳簿作成が難しい点が挙げられます。帳簿の書き間違えは申告違反となる可能性があるため、青色申告を選択する場合は正確な帳簿付けが必要です。

3. 青色事業専従者給与に関する届出書

青色事業専従者給与に関する届出書とは、青色事業を行い、個人事業主と生計をともにする配偶者や親族に給与を支払う場合に提出する書類です。提出することで、青色事業専従者給与の控除を受けられます。

一般的に、生計をともにする親族に給与を支払う場合は、全額分の給料の計上ができません。青色事業専従者給与に関する届出書を提出することで、親族に対する給料全額を経費として計上できます。

4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書は、従業員を雇う際に提出が必要です。従業員の給与から所得税を天引きして、事業主が預かって納付する必要があります。

源泉徴収税は毎月10日に納付するものですが、従業員が10人未満の場合は特例で半年分を1回にまとめての納付が可能です。特例を利用する際は、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書が必要です。

5. 課税事業者選択届出書

事業収入が1,000万円以上になる場合は課税事業者として、課税事業者選択届出書を提出しなければなりません。一般的に、消費税は事業者が消費者から預かって納税します。

開業時に設備投資を行った際に支払った消費税が、消費者から預かった消費税よりも高額になる場合があります。課税事業者選択届出書を提出して消費税の課税事業者として登録することで、余分に支払った消費税を還付金として受け取れるでしょう。

6. 各職種の許認可に関する書類

各職種でさまざまな許認可が必要な際には、該当する書類を提出しなければなりません。飲食店の営業許可や酒類販売免許の申請・防火管理者選任届などが該当します。それぞれ提出に規定があり、あらかじめ内容を理解することが重要です。

開業届を提出するメリット3つ

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開業届を提出するメリットは、以下の3点です。

  1. 屋号名で銀行口座を作れる
  2. 融資や賃貸契約の審査に役立つ
  3. 小規模企業共済に加入できる

開業届は、事業で必要な銀行口座の開設時や事務所開設時などに役立つメリットがありますが、証明書としても活用できます。小規模企業共済へ加入する際も開業届の提出が必要です。

1. 屋号名で銀行口座を作れる

開業届を提出することにより、屋号名を使って銀行口座を作れます。口座開設時に銀行から事業の証明書を求められる際、開業届を提示することで、銀行は信頼できる事業者と判断し、融資も円滑に進むでしょう。

2. 融資や賃貸契約の審査で必要

事業証明となる開業届を提出することで、融資や賃貸契約も有利に進められます。事業資金の融資や店舗・事務所の賃貸契約を行う際、事業の証明となる開業届が必要です。

3. 小規模企業共済に加入できる

小規模企業共済は、開業届を提示することで申し込めます。小規模企業共済は、積み立てたお金を退職金制度として活用でき、掛け金により給付を受け取れるシステムです。

退職後の生活にも備えられ、掛け金はすべて所得控除可能なため、税金の負担も抑えられるでしょう。小規模企業共済は開業届の控えを提示することで、確定申告を行っていない設立後すぐの時期でも契約できます。

開業届を提出するデメリット3つ

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開業届を提出するデメリットは、以下の3点です。

  1. 配偶者の扶養控除には入れない
  2. 失業保険を受け取れない
  3. 確定申告が必要になる

開業届を提出することで職業に就いたとみなされるため、配偶者の扶養に入れない・失業保険を受け取れないなどの可能性があります。個人事業主として活動するに伴い、毎年確定申告が必要になる点もデメリットといえるでしょう。

1. 配偶者の扶養控除には入れない

開業届を提出することで、配偶者の扶養に入れない可能性があります。扶養親族に一定の収入があると配偶者の扶養に入れなくなるためです。そもそも健康保険における被扶養者は「個人事業主は収入に関係なく扶養に入らない」という条件があります。

個人事業主として「一定金額の収入がある」とみなされると、扶養枠から外れてしまう可能性があるため、事前に確認しましょう。

配偶者の扶養から外れ健康保険がなくなった場合は、国民健康保険の手続きが必要です。開業届提出前に配偶者の被扶養者となっている場合は、加入している保険をチェックしましょう。

2. 失業保険を受け取れない

企業を退職後に雇用保険の失業手当を受け取っている場合は、開業届の提出後に受給できなくなります。個人事業主として開業届を提出することで、再就職の意志がないと判断されるためです。資金面で困らないよう、開業届を提出するタイミングに注意しましょう。

2022年7月1日より、新たに事業を開始した場合に失業保険の受給期間に関する特例を利用できるようになりました。離職後に個人事業を開始した際に、最大で3年間受給期間としない制度です。休廃業時に条件があり、一定条件をクリアすると特例を受けられます。

3. 確定申告が必要になる

開業届を提出して個人事業主になると、毎年確定申告を行わなければなりません。会社員は所得税が天引きされており、会社の指示により年末調整を行います。

個人事業主の場合は、収入を計上するすべが確定申告のみとなるため、確定申告を怠ると「収入隠し」となるでしょう。信用を失い、事業の継続が難しくなるため、必ず確定申告を行いましょう。

まとめ

開業届はビジネスをスタートする際、法律で提出が義務付けられた書類です。事業開始日から1カ月以内に、必要事項を記入して申請します。提出方法は多岐に渡るため自分にあった方法で提出すると便利です。

開業届と同時に青色申告承認申請書を提出すると、税制優遇を受けられる青色申告が可能になります。扶養から外れる・失業保険がもらえないなどのデメリットもありますが、事業を開始する際はスケジュールを守って必ず提出しましょう。

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監修者のコメント
株式会社キュリー
代表 荒井 勇太

AI集客支援コンサルティングを提供する「キュリーサポート」の代表。WEB集客に必要な3つのマーケティング領域とAIを組み合わせ、各事業者様に最適な集客プランを提案し、支援。

開業届は提出しなくても、罰則はありませんが、提出が義務付けられています。面倒に感じても、紙を記入するだけなので、提出しておくことをおすすめします。

また、インターネットの記事を見ても、よくわからない場合は、お近くの税務署に直接向かうと早いです。税務署に行けば、担当の方が、開業届の書き方をやさしく教えてくれます。税務署に行く際は、マイナンバーカードを忘れずに持参してください。

なお、ご自身の時給が高い場合は、税理士に依頼するのもひとつの手段です。面倒なことは専門家に依頼して、本業に集中しましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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