PPM分析とは何?経営に役立てる方法を解説!

株式会社Pro-D-use
監修者
株式会社Pro-D-use 取締役副社長 岡島 光太郎
最終更新日:2023年11月20日
PPM分析とは何?経営に役立てる方法を解説!
この記事で解決できるお悩み
  • PPM分析とは何?
  • PPM分析4つの分類とは?
  • PPM分析のメリット・デメリットは?

「PPM分析とは何?」「PPM分析を経営に活用したい」とお考えの経営者、必見です。PPM分析は、企業の経営戦略やコスト削減の立案に用いられるフレームワークの1つです。

この記事ではPPM分析のメリット・デメリットや分析方法を解説します。記事を読み終わる頃には、PPM分析の概要がわかるでしょう。

PPM分析の基礎から実例まで知りたい経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

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PPM分析とは経営資源の投資配分を判断するワークフレーム

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PPM分析とは、経営資源の投資配分を判断するフレームワークの1つです。「Product Portfolio Management(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)」の頭文字を取ったもので、市場成長率と市場占有率の座標上で、他社と自社の立ち位置を比較し分析を行います。

企業にはヒト、モノ、カネ、情報などさまざまな経営資源があり、経営資源を適切に配分することで利益を最大化することが可能です。投資を増やすべき事業、撤退を検討するべき事業、アプローチの方法を変えるべき事業など、事業を分類する際に役立ちます。

PPM分析の分類4つ

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PPM分析の分類は以下の4つです。

  • 花形
  • 金のなる木
  • 問題児
  • 負け犬

それぞれの経営資源をさらに投入するか、撤退して他の事業に再配分するかを判断する材料となります。

1. 花形

PPM分析における花形は、市場成長率と市場占有率が高い事業を指します。市場成長率が高い分野では、投資を続けることでさらなる利益が見込めるでしょう。市場占有率が高いため、すでに多くの利益を上げられており、事業のさらなる拡大も視野に入ります。

市場成長率が高い分野では、競合他社が多く参入するのが一般的です。積極的なマーケティング戦略に加え、モノやヒト、情報、ブランドなど他の経営資源を投入することで、他社への優位性を確保しましょう。

2. 金のなる木

PPM分析で金のなる木は、市場成長率は低く市場占有率が高い事業を指します。市場成長率が低いため、競合他社が少ない状況です。市場占有率が高い場合、引き続き事業を継続していくことで安定した利益を上げられるでしょう。

金のなる木では、将来的な市場の成長が見込めないため、事業の拡大や投資の増額はあまり適切とはいえません。安定した利益を花形や問題児の事業に投資する方法が効果的です。

3. 問題児

PPM分析における問題児とは、市場成長率が高い一方、市場占有率が低い事業を指します。市場成長率が高いため、競合他社が多数参入しており、自社よりもさらにシェア率の高い企業が多くいることでしょう。問題児の状態の事業は、大きな利益を上げるのは難しいです。

競合他社が多いとはいえ、市場成長率が高い分野での事業展開を諦める必要はありません。勝機がある場合は、積極的な投資を続けることで市場占有率を高められるでしょう。

4. 負け犬

負け犬はPPM分析において、市場成長率・市場占有率ともに低い事業を指します。市場成長率が低いため、将来的な市場の拡大は見込めません。加えて市場占有率が低い場合、投資を続けても大きな利益を上げるのは難しいでしょう。

負け犬の事業では、赤字が拡大し経営を圧迫するおそれがあるため、段階的な撤退・規模の縮小が必要です。撤退により生じた余剰資金は、花形や問題児の事業に投資することで効果的に資金を運用できます。

PPM分析のメリット4つ

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PPM分析を行うことには、以下の4つのメリットがあります。

  1. 自社と他社の市場における立ち位置を確認できる
  2. 投資配分に優先順位をつけられる
  3. 無駄なコストを削減できる
  4. 効果的な経営戦略を立てられる

1. 自社と他社の市場における立ち位置を確認できる

PPM分析のメリットの1つは、特定の分野における自社と他社の立ち位置を確認できることです。新事業を始めた場合、市場の将来性や事業を継続するべきか判断するのが難しいことがあります。自社の事業を客観的に判断するのにPPM分析は役立つでしょう。

自社と他社の優位性を確認する点でもPPM分析は非常に有効です。現在の市場において自社と競合他社の優位性、市場占有率の差、シェアの拡大可能性を視覚的に確認できます。

2. 投資配分に優先順位をつけられる

PPM分析では、投資配分に優先順位を付けられる点もメリットです。ヒト、カネ、モノ、情報などの経営資源は有限であり、効率よく配分しなければ大きな利益を上げることはできません。

PPM分析で投資の優先順位が高いのは花形です。金のなる木や問題児では、市場の将来性や市場占有率の高さを基準に投資するべきかどうかを判断しなければなりません。

3. 無駄なコストを削減できる

PPM分析では投資するべき事業と撤退・縮小するべき事業が明確になるため、無駄なコストを削減できるメリットがあります。

注意点は、削減したコストを他の事業に回さなければならないことです。経営資源は保有するだけでは会社に利益をもたらしません。積極的に他の分野に投資することにより、経営資源を有効活用し利益を最大化できるでしょう。

4. 効果的な経営戦略を立てられる

PPM分析を行えば、効果的な経営戦略を立てられます。現在の状況だけに注目するだけではなく、将来性を考慮に入れた判断ができるでしょう。

財務諸表のみで事業を判断すると、赤字事業は撤退する、黒字事業にはさらに投資すると判断しかねません。PPM分析を行うことで、現在は赤字でも将来大きな利益を上げられる事業であれば投資を続ける経営判断を下せます。黒字を出している事業も、今後の市場の伸びが期待できなければ投資を控える選択もあるでしょう。

PPM分析のデメリット2つ

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PPM分析のデメリットとして、次の2つが挙げられます。

  1. 事業全体を見ることはできない
  2. 新規事業の立ち上げには向いていない

1. 事業全体を見ることはできない

PPM分析は4つの限られた指標のみで判断しているため事業全体を俯瞰することは難しいです。事業や商品を単体でしか評価できないため、企業間、事業間、商品・サービス間の相乗効果は考慮されません。結果的に好調で将来性のある事業から撤退・縮小する判断を下さなければならないケースもあります。

2. 新規事業の立ち上げには向いていない

PPM分析は、新規事業の立ち上げには向かない特徴があります。PPM分析では既存事業の財務指標を用いて分析を行います。データが少ない新規事業では正確な分析結果が得られないでしょう。

PPM分析は既存事業に対するアプローチであるため、斬新なアイデアや破壊的イノベーションが生まれません。PPM分析だけに頼ると商機を逃すおそれがあります。

PPM分析の方法

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PPM分析は4つのステップで行います。

  1. 市場成長率の計算
  2. 市場占有率の計算
  3. 自社の立ち位置の確認
  4. 自社と競合他社の立ち位置の確認

市場成長率と市場占有率の計算では、必要な情報を収集するための時間がかかります。PPM分析は主観が入ると正確な分析結果が出ないため、情報を用いて結論を導き出すことが重要といえます。

1. 市場成長率の計算

PPM分析において非常に重要な指標となるのが市場成長率です。市場成長率は、前年と本年の市場規模の変化を表すものです。「市場成長率=本年度の市場規模 ÷ 昨年度の市場規模」で計算します。

市場規模の大きさは官公庁が公表しているデータや業界団体のデータを参考にしましょう。市場成長率が100%を超えていれば、将来的にさらに利益を上げられる可能性があります。急激に成長している段階なのか、市場が成熟しつつある段階なのか慎重に見極めなければなりません。

2. 市場占有率の計算

PPM分析では市場占有率も非常に重要な指標となります。市場占有率は、マーケットシェアとも呼ばれ「市場占有率=事業部門の売上高 ÷ 市場規模」で算出可能です。

市場占有率は自社の分だけではなく、競合他社の状況も計算します。業界・業種によっては市場占有率が公開されているWebサイトもあるため、有効活用しましょう。

3. 自社の立ち位置の確認

PPM分析では、市場成長率と市場占有率を計算し、自社の立ち位置を視覚的に確認することが可能です。市場成長率と市場占有率をそれぞれ縦軸・横軸にし、自社の立ち位置をプロットします。

自社の事業を花形・金のなる木・問題児・負け犬のいずれかに分類することにより、どの事業を優先的に拡大・縮小するか判断できるでしょう。

4. 自社と競合他社の立ち位置の確認

PPM分析の最後のステップは、競合他社も座標に表示し自社と競合他社の立ち位置を確認することです。市場において自社と競合他社の位置を確認しなければなりません。

競合他社と比較することで、自社の経営資源をどのように活用するべきかが明確になり、経営戦略を立てやすくなります。

PPM分析の事例

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PPM分析により高い効果を得た企業として、任天堂とメルカリが挙げられます。企業がそれぞれの事業を分類し、経営資源を有効活用している様子がうかがえるでしょう。

任天堂

任天堂は、子供向けのおもちゃやゲームを開発・制作・販売する企業として有名です。ハードウェアのゲーム機、ソフトウェアであるゲームアプリなどをグローバルに展開し、多くの利益を上げています。

ゲームソフトの開発では他の企業を圧倒しており、金のなる木に分類可能です。アプリに関しては、市場が急成長しており、占有率も高いため花形に分類されます。半導体不足の影響で2022年度はハードウェアの売上が減少し、今後は映像や体験型施設に注力することを表明しました。

メルカリ

メルカリは高い人気を誇るフリマアプリを運営し、2023年6月期連結決算業績における営業利益は前年同期比207億円プラスの過去最高益を記録しました。2022年6月期の赤字から一転し黒字経営となっているため、非常に順調といえます。

フリマアプリを含むマーケットプレイス事業は大きな利益を上げ、市場占有率も高いため花形の事業に該当するでしょう。アメリカ合衆国で中古品販売市場に参入したUS事業ではマイナス成長や投資額の縮小を行っているため、負け犬の事業になっていると考えられます。

まとめ

PPM分析は、企業が自社の事業を客観的に判断し経営資源を有効活用するのに役立つフレームワークです。特定の事業が4つの分類のどこに該当するのか見極め、今後の施策を決定しましょう。PPM分析を用いることで、より効果的な経営戦略を立てやすくなります。

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監修者のコメント
株式会社Pro-D-use
取締役副社長 岡島 光太郎

2009年:(株)リクルートに新卒で入社。営業部署・企画部署にて責任者を務める。(在籍中は、MVPやマネジメント賞など、多数受賞。)
2013年:(株)データX(旧:フロムスクラッチ)の創業期に転職。営業や新卒・中途採用の責任者を務める。
2014年:アソビュー(株)に転職。その後、営業責任者、新規事業責任者、事業企画を歴任。
2015年:(株)Pro-D-useを創業。取締役副社長(現任)に就任。新規事業の立上げ〜収益化、成果を上げる営業の仕組み作り、採用〜組織の構築、Webマーケティングを主軸とした売れる仕組み作り、業務システムの導入・運用、融資を中心とした資金調達〜財務のコンサルティングを得意としている。
また、個人でも中小企業の融資を支援するサービス「中小企業の融資代行プロ.com」を運営するなど、一貫して中小企業を支援することを生業にしている。

PPMは、「市場成長率」×「市場シェア率」で事業の成長性と、経営資源の配分に見通しを立てられる有益なフレームワークです。伸びる分野に資源を張り付けたい経営者にとって、適切な意思決定を推進するに有効なフレームワークであることは間違いありません。

しかし、私が経営コンサルティングの現場で感じるのは、PPMは、儲かる事業の見極めよりも、「撤退すべき事業の見極め」にとても有効だと感じます。経営は、より無駄とムラを排除することで効率化されて、利益の幅が大きくなります。

そういった意味でも、PPMは利益を最大化するプロセスで非常に役に立つフレームワークだといえるでしょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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