見積書解説シリーズ(一覧に戻る)

【製造業必見】生産管理システムの構築費用・見積例を解説

更新日:2020年10月01日 発注カテゴリ: 業務システム開発
【製造業必見】生産管理システムの構築費用・見積例を解説

製品や部品を作成する製造業において、生産管理システムを導入している事業者は多いです。しかしながら、生産管理システムって何をしているシステムなのかは曖昧です。それは、作っている物の種類や特徴により、システムおよび業務の全体像、詳細ともに様々だからです。生産管理システムを導入して、どのように業務の改善を図ればよいのか。本記事では生産管理システムの目的、概要からシステム構築の費用相場、発注時のポイントなどを解説します。

他の見積書解説の記事

生産管理システムとは

生産管理システムとは、製品や部品といった物を生産する製造業において、その生産の計画や各工程での実績等を管理するシステムです。

一般に製造業では工場で物を作ります。その工場の中には生産ラインと呼ばれる物を作るための一筋の流れがあり、生産ラインに設置された設備、機器を動かすことで物を作ることができるイメージです。生産ラインとは文字通り製造業の生命線というわけです。

という説明を聞いても、まだ曖昧に感じるかもしれません。世間でいう生産管理システムは以下で説明する二つの系統(およびそれを合わせたもの)があるからです。

生産計画系と実績管理系(工程管理系)

製品や部品といった物を作るにあたり、まずはいつ何をどれくらい作るのかを決めます。そして、そこで決めた通りに複数の工程(プロセス)を経て物を作っていくことが一般的でしょう。

生産管理システムの一つの系統は、この「いつ何をどれくらい」作るのかという「生産計画」を立てるためのシステムです。これを本文では生産計画系と呼びます。

もう一方の系統は、各工程で計画したとおりに物が出来てきているかを管理する「実績管理系」というシステムです。これを本文では実績管理系(工程管理系)と呼びます。

多くの製造業の現場では、生産計画系と実績管理系の両方が必要となります。そのため、両方のシステムを導入していたり、2つを合わせたシステムの場合もあります。

先ほどの生産ラインの話に当てはめると、どのように設備、機器を動かす指示を出していくかの予定を決めるのが生産計画系です。そして、設備、機器に生産計画にのっとった作業指示を出して物を作り、その実績を収集するのが実績管理系となります。

目的

生産計画系、実績管理系を合わせた生産管理システム全体での目的は、製造における業務の改善です。作業コストの削減、業務効率の向上、作業の正確性向上など、その向かう先は製造コストの削減に繋がっていることが多いです。製品の品質向上、納期達成が目的となっていることもあります。

また昨今では業務上で発生するデータを蓄積して、分析し、新たな価値を生み出すいわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みも盛んです。DXにより新たな価値を生み出すための基盤としても、製造管理システムでの業務データ取得は必要となるのです。

生産計画系では、ロスなく、効率的な生産計画を立てることがそのミッションとなります。製造業における物の製造順序、量を決めるのは受注と在庫の状況、そして需要予想です。受注データを持つ販売管理システムや在庫量を持つ在庫管理システムと連携し、過去の生産計画や生産実績などから需要を予測し、最適な物の製造順序、量を決めることが生産計画系では必要となります。

実績管理系では、物の製造における手順を工程として管理します。各工程の着手と完了を実績情報として収集し、製品や部品の完成をカウントします。これにより製造業務の進捗と実績を取得することで製造を管理します。また、出来上がったものは在庫となるため、在庫管理システムや販売管理システムと連携することで、物の製造と出荷や販売の業務をシームレスに繋ぐことができます。

機能概要

生産計画系

生産計画は製造工程より前に作られるます。主にPC上の画面から生産計画の作成を行うことが想定されます。設備や機器への連携はあまり発生しません。

  • 生産計画登録

生産計画を登録する機能です。生産計画は作る物により様々な形をとります。複雑な物を作る場合は、工程の数が増え複雑な計画ができます。システム機能としては画面からの登録やCSV等のファイルで複数件を一度に登録する機能が想定されます。

  • 資材調達

物を作るにあたり、その材料となる資材の調達が必要です。在庫や仕入れにより資材を調達します。システム上では在庫管理システムや仕入、調達系のシステムと連動する形が想定されます。

  • 原価計算

生産計画を作るにあたり、その大きな目的の一つが生産コストの削減です。生産計画を登録する前に、原価の計算を行い、どのような作業指示を出せば一番コストを削減して物を作れるかを算出、比較する機能が必要となります。

実績管理系

生産計画系で作成した生産計画のデータを元に、製造現場の作業者および生産設備に物の製造の開始を指示する作業指示機能が必要となります。

生産実績は物を作る各工程で、生産設備による着手、完了の信号を取得して、実績を収集します。また生産設備からの信号ではなく、作成中の物に付けたタグのバーコードやRFIDを読取ることで各工程の着手、完了の状況を集める場合もあります。

  • 作業指示

生産計画にしたがって、生産ラインの設備、機器および作業者に指示を出す機能です。設備や機器に直接指示を出す場合もあれば、作業者経由で実施する場合もあります。

  • 生産実績収集

生産ライン上の各工程における作業着手および作業完了を実績として収集します。物を大量に生産する現場では、その作業着手および完了をカウントすることで生産数量の確認にもなります。また、生産を行うことで実績とともに在庫が出来上がってきます。販売管理や在庫管理などの各システムにデータを連携することにより、業務をシームレスに進めることができます。

  • 生産状況照会

作業指示における生産状況を照会、確認する機能です。生産計画と生産実績をガントチャートなどに落とし込み、状況の可視化を行います。

  • 作業日報

作業者の日報を登録する機能です。作業指示の量や時間等を登録することで、作業者の動きを可視化し、コスト削減に結びつけることもあります。

※生産管理システムと呼ばれるシステムの中には、仕入、販売、在庫などの管理機能を持つ場合もあります。本記事では生産の計画および実績管理を行う部分を生産管理システムとし、その他の仕入、販売、在庫などの機能は外部システムと位置付けて記載します。

生産管理システムを導入した方が良い状況

製造現場に生産管理システムを導入するべきといえる状況をいくつか挙げてみましょう。

不良率、ロス率が高い、ムラがある

生産ラインにおいて製品や部品の不良率、ロス率が高い場合は、無駄な生産コストが発生している状況です。作業の品質が低いのか、気温や湿度などの状況が影響しているのか、原因を探し、対処することとなります。生産ラインでの業務を明確化し管理していく生産管理システムの導入は、その対処策となります。また、原因がわからない場合にも、生産管理システムを導入してデータを蓄積することで、業務の分析がしやすくなります。無駄なコストが発生している日のデータを蓄積して、傾向を分析、要因を割り出すことで業務改善につなげることが可能です。

業務の属人化が発生している

受注状況や在庫の状態をみて生産計画を立てるには、コストなどを綿密に計算することが必要となります。これを作業者のスキルだけで補っていると、その作業者に業務が依存する状態を作ってしまいます。これを作業の属人化といいます。作業の属人化が発生した状況は、大変リスクの高いものです。属人化の対象となっている作業者が休む場合や引退する場合など、他の作業者ができない業務が発生しえるからです。この問題に根本的に対処するには、作業者が業務で行っていること、その時に頭の中で考えていることを明らかにし、誰でも実施可能なように手順を用意しておくことです。生産管理システムの導入により、作業を明確にすることで属人化を防ぐ手立てとなります。

余剰在庫が多く、無駄が発生している

物を作れば在庫が出来上がります。物が売れて出荷されるまでは、事業者は在庫を抱え込むことになります。物が小さく、管理が楽ならばよいのですが、多くの製品や部品などは在庫として置いておくだけで場所を取ったり、管理に工数が掛かったりとコストがかかるものです。販売、受注系のシステムおよび在庫管理系のシステムと上手に調整を行って無駄のない生産計画を立てるシステムを構築することで、このコストの削減を図ることができます。

経営層や販売部門が製造現場の状況を知ることができない

物を生産する工場と経営層や販売部門が仕事をしているオフィスはロケーションが違うことがよくあります。物を作って搬出する工場は郊外に大きな土地を用意したほうが合理的で、オフィスは都心部にあったほうがビジネスを行いやすいといったような事情です。このロケーションの違いにより、経営層や販売部門は製造現場で製品や部品がどれくらいの数量をいつ作っていくのかという状況が見通せない状況が起き得ます。この状況はビジネスチャンスの損失などに繋がりえてしまいます。生産管理システムを導入して、状況を可視化、共有することで、この状況の解決策とすることが可能です。

製造に関わるデータを蓄積し、業務分析を行い、業務改善につなげたい

昨今、製造業をはじめとしたモノづくりの分野ではIoTによりデータを収集し、ビッグデータ化、そのデータを分析することで業務の改善や新しい価値を生み出すという取り組みが盛んに行われています。デジタルトランスフォーメーション(DX)にも繋がる仕組みです。生産管理システムの導入によりデータを収集、蓄積することで、この業務改善モデルを導入する基礎作りが可能です。

クラウド/パッケージ/オンプレミス(独自システム構築)の違い

システムを導入を考える場合、方式や環境といったものを決めていけなければなりません。ここでは大まかに三種類の方式、環境について概要とメリット・デメリットを説明します。

  • クラウドサービスの利用(SaaS)
  • パッケージ製品の利用(オンプレミス)
  • 業務に合わせた独自システムの構築(オンプレミス)

ここでいう、クラウド/オンプレミスというのはシステムをどこで動かすかという環境の違いです。クラウドサービスとはインターネット上に別の事業者が持つ環境、システムを利用する方式です。オンプレミスの場合は自社でサーバー他のハードウェアを方式となります。

オンプレミスでは、さらにパッケージ製品と独自システムの構築に分かれます。パッケージ製品はよくある業務をシステム化し、完成させてパッケージとして販売しているものです。独自システムの構築は、ここでは業務の要件にあわせてシステムを開発することを指しています。

クラウドサービス利用のメリット・デメリット

メリット

  • ハードウェアは利用端末以外用意しなくてよいため、初期投資やハードウェアメンテナンスは比較的安価で済む
  • 一般化されたシステムのため、よくある業務はコストを抑えて利用可能
  • インターネット接続環境がある端末ならばアクセスでき、複数端末での利用も可能

デメリット

  • 継続的に費用が掛かる。システム利用が増えると利用料金も増える場合もある
  • 業務上の機密情報となりえるデータをクラウドサービスに預けることになる。ハッキング、情報漏洩等のリスクは高い
  • 拡張性は低い。バーコード、RFIDなどと組み合わせて現物管理するには一工夫必要
  • 柔軟性は無く、自社業務に合わせたカスタマイズ、改修などはできないことが多い
  • クラウドサービスの運用停止(メンテナンスなど)やネットワーク切断に業務が影響される

パッケージ(オンプレミス)のメリット・デメリット

メリット

  • 独自システム構築よりは安価なことが多い
  • 買い切りや年単位のライセンスなどの契約形態が選べる
  • 一般化されたシステムのため、よくある業務はコストを掛けずに利用可能

デメリット

  • 柔軟性は低く、自社業務に合わせた機能追加、カスタマイズ、改修が不可能だったり、大きなコストがかかることもある
  • パッケージの更新に影響を受ける
  • 独自にシステム構築した場合と同様にハードウェア等の導入、運用が必要となる

オンプレミスで独自システム構築のメリット・デメリット

メリット

  • 業務に合わせて柔軟なシステム開発が可能
  • HHT(ハンディ端末)、RFID等デバイスとの組み合わせも自由にでき、大きな効率化を図ることも可能
  • 拡張性が高く、機能の追加はしやすい

デメリット

  • コストは構築するシステムによっては高価になる
  • 規模によっては開発期間が長期的になることもある
  • ハードウェアやサーバーの運用、保守業務が必要となる
    

生産管理システムの一般的な費用相場

先にあげた三つの方式で価格帯は様々です。もちろん機能の充実性、使いやすさといった面でも費用は変わってきます。

クラウドの生産管理システムを利用する場合、多くが期間(および使用量、使用人数)による課金制となっています。月額や年額といった単位で支払いを行う形です。その価格はビジネスの現場で利用可能な物では月額数万円〜が主流のようです。ただし、生産管理システムについては価格でシステムを選択するよりは業務に当てはまるシステムを選ぶべきです。また、製造業の生命線ともいえるラインの情報をクラウドに預ける危険性もあります。

オンプレミスでパッケージ製品を利用する場合、パッケージ製品本体価格とカスタマイズ費用、セットアップ費用、ハードウェア等の設備費用が必要となります。パッケージ本体の価格は高機能でシステム連携機能なども充実したものは数百万円単位〜が主流です。パッケージの導入とそのカスタマイズを組み合わせたプランを持っているシステムベンダーと相談してみると、より明確になります。

オンプレミスで独自システム構築を考えた場合は、SIerやシステムベンダーと呼ばれる業者に開発を依頼する形となります。この場合、システムで実現することを決める要件定義(仕様定義)、設計、開発、試験といった各工程を実施するための工数から料金が決まってきます。

システム構築は実現機能や方式により複数のレベルの価格が考えられます。業務に合わせ生産ラインの設備、機器と連携可能な生産管理システムを構築する場合を考えると、ソフトウェア開発費用はパッケージ製品を利用した場合と同等かそれ以上となります。オンプレミスで独自システム構築を行う場合は、要件定義で必要な機能をきちんと決めることで、コストが削減できる場合もあります。

※ハードウェアや設備費用は除く

生産管理システムの見積例

オンプレミスでパッケージ製品を業務に合わせてカスタマイズする場合の見積もり例

実現機能

7画面3バッチ1帳票

※生産計画登録、資材調達は画面内で手入力およびファイルアップロードでの登録が可能とする。

機能 種別 作成方法
生産計画系 原価計算 画面 A
生産計画登録 画面+ファイルアップロード A
資材調達 画面+ファイルアップロード A
外部インタフェース バッチなど B
実績管理系 作業指示 画面 A
生産実績登録 画面

バッチ

A
生産状況照会 画面

帳票

A
作業日報登録 画面 A
外部インタフェース バッチなど B
 

※作成方法 A:パッケージの機能+カスタマイズ、B:新規作成

開発工程

  • 要件定義(FIT&GAP)
  • 設計
  • プログラミング
  • テスト
  • 運用保守

Webシステム(パッケージ製品+カスタマイズ)

パッケージ製品費用 500万円 -
SE費用 240万円 3.0人月

パッケージ製品を使ってシステムを構築する場合、パッケージそのものの費用と、パッケージのセットアップ、機能のカスタマイズ、追加機能の作成などのSEの作業に掛かる費用が発生します。パッケージ製品費用は定価が定められているものです。SE費用は業務にシステムを導入するための設計およびカスタマイズの作業量を人月で算出し、それに開発者の単価を欠ける形で算出されます。

※別途、ハードウェア、設備等に関する費用が必要となります。既存資産の流用なども可能ですので、システムベンダーにご相談ください。

生産管理システム開発時の注意点

生産管理システムを開発する際は、製品、部品の製造における特性や工程を把握して、システムとして実現する必要があります。生産管理システムを導入する生産ラインは製品の品質に関わるため、無理にシステムに合わて利用するより、作るものに合わせたシステムの開発が必要となります。

システムの導入で業務運用が変わる場合は、システム利用者の教育を行っていくことが必要となります。教育計画を立てて、スムーズに業務が実施できるように事前に準備しておかないと、システム導入で見込んだ効率化等の実現は出来ません。

実績管理系、製造工程へのシステム導入には、起こりえるイレギュラーを想定し、システムが原因で生産ラインが止まらないような配慮が必要です。生産ラインがシステム要因で止まってしまう可能性がある場合は、システムが止まっても製造の業務を行えるように手順を用意しておく必要があるでしょう。

総括

生産管理を行うことは、現代の日本の製造業では一般的です。それが情報システムを使ったものなのか、Excelベースでの運用なのか、紙ベースの運用なのかは企業によって様々です。生産管理に情報システムを導入することは、他の設備、機器との連動や製品の品質を落とせないことなどから、大がかりな取り組みとなりやすいです。しかし、グローバルな競争を勝ち抜くためには、生産性、品質の向上とコストの削減が図れる生産管理システムの導入は避けて通れません。世界的な製造業の流れであるIndustry4.0やDXの実現に向けても、その第一歩として生産管理システムが必要となってくるのです。

カテゴリ一覧

人気記事

業務システム開発の最新記事

不透明な見積もりを可視化できる「比較ビズ」

比較ビズは「お仕事を依頼したい人と受けたい人を繋ぐ」ビジネスマッチングサービスです。
日本最大級の掲載企業・発注会員数を誇り、今年で運営15年目となります。
比較ビズでは失敗できない発注業務を全力で支援します。

日々の営業活動で
こんなお悩みはありませんか?

営業活動でよくある悩み

そのお悩み比較ビズが解決します!

詳しくはこちら
お電話での見積もりはこちら