マッチングアプリを開発!費用を実際に見積もってみた【第8弾】
- マッチングアプリの開発にはいくらかかる?
- アプリ開発の見積もり相場は?
- 見積もりをとる際の注意点は?
出会い系アプリの見積もり依頼を検討しているという方必見!この記事ではアプリ開発に向けて、開発会社に見積もりを取った場合の体験談をレポートしました。最後まで読むことで、アプリ開発の見積もり相場や、依頼前の準備のポイントがわかります。
実際の見積もり内訳についても紹介するため、条件比較をしてからアプリ開発会社に依頼したい方もぜひ参考にしてください。
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依頼した見積もり内容
今回は、以下の内容でアプリ開発会社3社へ見積もり依頼をします。
目的 | マッチングアプリの開発 |
---|---|
開発OS | Android、iPhone |
具体的な内容 | ペアーズ(Pairs)のような男女が出会えるアプリを開発したい |
機能 | SNS認証、メッセージ、ポイント(課金)機能など、一般的な出会い系のアプリに必要な機能 |
決済機能 | 必要(ポイント購入) |
デザインの有無 | デザインはないためお願いしたい |
累計登録者数800万人を超える恋愛・結婚マッチングアプリです。(2023年2月時点)利用者は実名制のFacebookまたは電話番号で登録することができます。顔写真から相手を探すことができ、年齢や身長、体型、学歴、職業、年収、趣味などの詳細プロフィールの閲覧が可能です。マッチング成立後、メッセージを行う際に男性側が有料でポイントを購入するビジネスモデルで、女性側は基本的に無料です。
上記の内容で、比較ビズに掲載しているアプリ開発会社3社に、今回の趣旨を伝えた上で見積もり依頼をお願いしました。
見積もりしてみた結果
次の3社のアプリ開発会社に見積もりを依頼しました。
- A社:東京都渋谷区
- B社:東京都新宿区
- C社:東京都港区
A社 | B社 | C社 | |
---|---|---|---|
見積金額 | 977万円 | 847万円 | 1,020万円 |
開発期間 | 3カ月 | 4〜5カ月 | 4〜5カ月 |
所在地 | 渋谷区 | 新宿区 | 港区 |
※見積金額はすべて税別で記載しております
A社(渋谷区:977万円)
東京都渋谷区にあるアプリ開発会社で977万円で見積もりをいただきました。
見積書の詳しい内訳は次のとおりです。
A社の見積書の内訳 | |
---|---|
項目名 | 金額 |
基本設計 | 5,160,000 |
画面・内部 | 360,000 |
20画面 | 1,800,000 |
デザイン費用 | 3,000,000 |
サイト機能 | 3,300,000 |
一般会員登録 | 300,000 |
掲示板機能 | 200,000 |
検索機能 | 450,000 |
マッチング機能 | 500,000 |
マイページ(男女) | 300,000 |
プッシュ通知機能 | 300,000 |
メッセージ機能 | 500,000 |
GPS機能 | 350,000 |
ポイント課金機能 | 300,000 |
ヘルプ・サポートコンテンツ | 100,000 |
管理画面 | 510,000 |
アクセス分析 | 100,000 |
ユーザ分析 | 150,000 |
お知らせ機能 | 10,000 |
課金状況確認機能 | 250,000 |
サーバー設定・DB構築 | 500,000 |
進行管理費 | 300,000 |
小計(税別) | 9,770,000 |
・会員登録は「携帯番号もしくはFacebookアカウント+年齢認証機能」
・検索機能はユーザの住所や傾向を想定
・マイページ(男女)は男性と女性で閲覧する内容が異なる
・プッシュ機能通知(メッセージ・興味あり・お気に入りなどのアクション)
・ヘルプ、サポートコンテンツは「使い方」ページをhtmlで編集できるようにする予定
A社の所感
機能の前提条件が詳細に記載されており、どのような機能か把握でき検討しやすい見積書です。各機能ごとに費用が算出されているため、機能削減による費用の変化を把握できます。 運用・保守を依頼する場合は+月額20万円〜となるようです。
GPS機能に関してはこちら側が要望したものではありませんが、出会い系アプリの特性上、近くの人を探せる面白い提案でした。
A社の特徴
A社の特徴は、次のとおりです。
- 中国、ベトナムでオフショア開発を行っている
- AIを活用したマッチング機能を開発可能
- 出会い系・婚活アプリの開発実績あり
B社(新宿区:847万円)
東京都新宿区にあるアプリ開発会社で847万円で見積もりをいただきました。
見積書の内訳は、次のとおりです。
B社の見積書の内訳 | |
---|---|
項目名 | 金額 |
企画・構築設計費 | 300,000 |
デザイン・コーディング | 1,100,000 |
基本デザイン料(TOPページ+共通レイアウト) | 200,000 |
個別ページデザイン料 | 500,000 |
基本コーディング料(TOPページ+共通レイアウト) | 100,000 |
個別ページコーディング料 | 300,000 |
サイト機能 | 3,050,000 |
主要機能 | 250,000 |
検索 | 320,000 |
コミュニティ | 160,000 |
足跡 | 160,000 |
お気に入り登録 | 160,000 |
いいね履歴 | 160,000 |
お知らせ | 80,000 |
会員ステータス | 160,000 |
設定 | 160,000 |
ログイン | 80,000 |
プッシュ通知 | 160,000 |
会員登録 | 160,000 |
プロフィール | 320,000 |
メッセージ | 720,000 |
テスト(単体・結合) | 1,200,000 |
DB設計 | 240,000 |
論理設計 | 80,000 |
物理設計 | 80,000 |
パラメータ設計 | 80,000 |
実装 | 600,000 |
管理機能 | 1,500,000 |
会員管理 | 400,000 |
承認 | 600,000 |
年齢確認 | 250,000 |
メッセージ管理 | 250,000 |
サーバー構築 | 480,000 |
サーバー設計 | 160,000 |
サーバー構築 | 160,000 |
結合テスト | 160,000 |
小計(税別) | 8,470,000 |
・メッセージ機能のNGワード設定は予算の都合上組み込まない
・各プラットフォームへの登録は見積書には含んでいない(何度も修正が必要になる可能性があるため)
B社の所感
A社の見積書と比べると金額だけではなく、それぞれの項目内容の違いがわかります。B社の見積もりでは、足跡や会員ステータスなどの機能があります。足跡は自分のプロフィールを見に来てくれたユーザを見る機能、会員ステータスは料金プランに応じて制限された機能です。
B社の受注案件の価格帯は1000万〜1億円が多いようです。担当者と電話で打ち合わせをした際、基本的に500万円以下の案件は対応しない方針と話していました。
B社では在籍しているデザイナーが対応するため、すべて内製で開発ができる強みがあります。運用・保守を依頼する場合は月額25万円〜の見積もりを提示されました。
B社の特徴
B社の特徴は、次のとおりです。
- 企画・デザインから開発まで一貫対応
- 漫画・コミック系のアプリの開発実績が多い
- ナショナルクライアントが多い
C社(港区:1,020万円)
東京都港区にあるアプリ開発会社で1,020万円で見積もりをいただきました。
見積書の内訳は、次のとおりです。
C社の見積書の内訳 | |
---|---|
項目名 | 金額 |
UI開発 | 300,000 |
データベース設計 | 500,000 |
組み込み機能(iOS) | 3,750,000 |
SNS登録・ログイン | 250,000 |
絞り込み検索 | 750,000 |
メッセージ機能 | 1,000,000 |
いいね機能 | 750,000 |
ポイント購入・決済機能 | 1,000,000 |
テスト・修正(iOS) | 700,000 |
App Store登録・リリース(iOS) | 250,000 |
組み込み機能(Android) | 3,750,000 |
SNS登録・ログイン | 250,000 |
絞り込み検索 | 750,000 |
メッセージ機能 | 1,000,000 |
いいね機能 | 750,000 |
ポイント購入・決済機能 | 1,000,000 |
テスト・修正(Android) | 700,000 |
App Store登録・リリース(Android) | 250,000 |
小計(税別) | 10,200,000 |
・サーバー構築費は含んでいない
C社の所感
他社の見積もりでは「デザイン」「管理画面側機能」などの項目がありましたが、C社の見積書は見当たりません。質問したところ、デザインや管理画面機能は見積もりにすでに含まれていると回答がありました。
C社では、細かい打ち合わせなしではサーバー構築費用の見積もりが出せず、一部の費用が含まれていない状態です。iOSとAndroidで分かれた見積書ですが、費用はすべて同じです。
唯一C社のみ、アプリストアへの登録を見積書に入れており、25万円×2(50万円)で代行してくれています。運用・保守を依頼する場合は月額20万円〜の見積もりとなるようです。
既存システムを応用することで300万円で開発可能
C社では、過去に開発したシステムを流用することで、300万円で開発可能と見積もり提示もありました。パートナー先が同様のアプリを開発した実績があるためです。
ライセンス料が毎月発生する仕組みであり、詳細の打ち合わせが必要になります。ライセンス料を月額で支払うのではなく、システムを買い切る方法もあります。
C社の特徴
C社の特徴は、次のとおりです。
- 年間500件以上のWebサイト構築の実績
- アプリ開発の実績はゲーム系のジャンルが多い
- 会社のスタッフは数人だが案件ごとにパートナーと提携している
アプリ開発で気をつけたいポイント
アプリ開発のために見積もりを依頼する場合、スムーズに進行するために次の4つのポイントに注意しましょう。
- 最適なサーバーを選ぶ
- メッセージ機能の注意点
- 出会い系アプリ特有の機能
- アプリをプラットフォームへ申請するのはどちらか
1. 最適なサーバーを選ぶ
アプリ開発におけるサーバーはAWSで構築する手法が一般的です。AWSはAmazonのクラウドサービスで「従量課金制」の特徴があるためです。
顧客がサービスを利用した量に従い、金額が決まる請求方法です。サーバーにおける従量課金制とは、通信が発生した分にあわせて請求額が増える仕組みです。
出会い系アプリは流行することで莫大なユーザー数を確保できますが、流行らなければ全くユーザー数を確保できません。そのためサーバーの負荷が予想しにくく、はじめから高額な大容量サーバーを導入するとリスクがともないます。
AWSを代表とするクラウドサーバーであれば、ユーザー数が少ないときは費用が安く、増えると従量課金されます。アプリの規模に応じてサーバー費用が変動するため、合理的なアプリ運営が可能です。
2. メッセージ機能の注意点
出会い系アプリでは、メッセージ機能にNGワードを登録し、メッセージを送信できなくする機能が必要です。出会い系アプリ上で電話番号やLINEのIDなど直接やり取りできる連絡先を載せられると、ユーザーへのメッセージ課金ができなくなるためです。
NGワードは随時アップデートしていく必要があります。ユーザーは課金しないために制限の穴を見つける可能性があるためです。ペアーズやタップルの大手マッチングアプリのクオリティを求めるのであれば、NGワード機能の開発に数百万円程度かかるでしょう。
3. 出会い系アプリ特有の機能
出会い系アプリの品質を高めるためには、安全性やエンターテインメント性を重視した機能の搭載が大切です。
たとえば、安全な出会いの場を提供するためには、利用者の登録に制限をかける必要があります。大手の出会い系アプリでは、以下の制限を設けています。
- Facebook認証
- Facebookの友達数が一定以上必要
- 本人確認書類の提出
他にも、出会い系アプリ内でのゲーム性を生むために、次の機能を搭載しているアプリがあります。
- ログインすることでポイントがもらえる機能
- 出会いのキッカケを増やすためのイベント機能
プラスアルファの機能をどの程度組み込むかによって、大きく費用が変わることもあります。見積もりを依頼する際は、あらかじめアプリ内容を定義しておきましょう。
4. アプリをプラットフォームへ申請するのはどちらか
契約書を締結する際に、どのような部分をもって「アプリ開発完了」とするかを把握しておきましょう。アプリ開発後のプラットフォーム申請を、依頼者と開発者どちらが担うかで意見の相違が生まれるケースがあるためです。
アプリをユーザーに使ってもらうためには、開発・納品後「App Store」や「Google Play」のプラットフォームに掲載する必要があります。各プラットフォームに掲載するためには、申請・審査をしてもらわなければなりません。
新規アプリの申請では、iOSの審査が長く申請拒否される可能性があります。申請拒否された場合はアプリ機能の仕様や設計を見直し、費用が発生するケースもあります。
まとめ
出会い系アプリの開発見積もりをした結果、会社により見積書の項目や前提条件が大きく異なることがわかりました。正確な見積書が欲しいのであれば、発注前に必要になる機能をすべて洗い出し、しっかり伝えることが重要です。
今回はペアーズ(Pairs)のようなアプリで、800万〜1000万の見積もりになりました。低予算の開発を目指す場合、最初は課金機能や検索機能をつけずにシンプルに構築してから機能を追加する方法もあります。
比較ビズでは、複数の業者から一括同時見積もりがとれます。条件比較をしながら業者を選びたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。