出会い系アプリの開発費用を実際に見積もってみた【第8弾】
実際に見積もりを取ってみたシリーズも第8弾となりました。今回はアプリ開発会社に出会い系アプリ(マッチングアプリ)の一括見積もりをしてみました。比較ビズ出展者様のご協力のもと作成してるため、あくまで見積もりを取られる際の参考として楽しんで頂ければ幸いです。
他の見積書解説の記事
こんな感じで見積もり依頼をしてみた
目的 | マッチングアプリの開発 |
---|---|
開発OS | Android、iPhone |
具体的な内容 | ペアーズ(Pairs)のような男女が出会えるアプリを開発したい |
機能 | SNS認証、メッセージ、ポイント(課金)機能など、一般的な出会い系のアプリに必要な機能 |
決済機能 | 必要(ポイント購入) |
デザインの有無 | デザインはないのでお願いしたい |
800万人が利用する恋愛・結婚マッチングアプリ。実名制のFacebook、または電話番号で登録することができます。顔写真から相手を探すことができ、年齢や身長、体型、学歴、職業、年収、趣味などの詳細プロフィールを見ることができます。マッチング成立後、メッセージを行う際に男性側が有料でポイントを購入するというビジネスモデルで、女性側は基本的に無料となります。
上記の内容で、比較ビズに掲載しているアプリ開発会社様に、今回の趣旨を伝えた上で見積もり依頼をお願いしました。
見積もりしてみた結果
各社の見積もり金額と提案内容
A社 | B社 | C社 | |
---|---|---|---|
見積金額 | 977万円 | 847万円 | 1,020万円 |
開発期間 | 3カ月 | 4〜5カ月 | 4〜5カ月 |
所在地 | 渋谷区 | 新宿区 | 港区 |
A社(渋谷区:977万円)
東京都渋谷区にあるアプリ開発会社で977万円でお見積りを頂きました。
A社の見積書
A社の見積書の内訳 | |
---|---|
項目名 | 金額 |
基本設計 | 5,160,000 |
画面・内部 | 360,000 |
20画面 | 1,800,000 |
デザイン費用 | 3,000,000 |
サイト機能 | 3,300,000 |
一般会員登録 | 30,0000 |
掲示板機能 | 200,000 |
検索機能 | 450,000 |
マッチング機能 | 500,000 |
マイページ(男女) | 300,000 |
プッシュ通知機能 | 300,000 |
メッセージ機能 | 500,000 |
GPS機能 | 350,000 |
ポイント課金機能 | 300,000 |
ヘルプ・サポートコンテンツ | 100,000 |
管理画面 | 510,000 |
アクセス分析 | 100,000 |
ユーザ分析 | 150,000 |
お知らせ機能 | 10,000 |
課金状況確認機能 | 250,000 |
サーバー設定・DB構築 | 500,000 |
進行管理費 | 300,000 |
小計(税別) | 9,770,000 |
・会員登録は携帯番号もしくはFacebookアカウント+年齢認証機能
・検索機能はユーザの住所や傾向、性別を想定
・マイページ(男女)は男性と女性で閲覧する内容が異なるため
・プッシュ機能通知はメッセージ・興味あり・お気に入りなどの動作でスマートフォンに通知される
・ヘルプ、サポートコンテンツは使い方の説明をするページでhtmlで編集できるようにする予定
A社の所感
見積書の中に、機能の前提条件が詳細に記載されており、どんな機能か把握することができるのでとても親切な印象を受けます。GPS機能に関してはこちら側が要望したものではありませんが、出会い系という特性柄、近くの人を探すという機能があっても面白いと思います。
各機能ごとに費用が算出されているので、予算を抑えたい場合は機能を削減することにより、どのくらいの費用が安くなるか把握することができます。
運用・保守を依頼する場合は月額20万円〜の見積もりとなるようです。
A社の特徴・メリット
- 中国、ベトナムでオフショア開発を行っている
- AIを活用したマッチング機能を開発可能
- 出会い系・婚活アプリの開発実績あり
B社(新宿区:847万円)
東京都新宿区にあるアプリ開発会社で847万円でお見積りを頂きました。
B社の見積書
B社の見積書の内訳 | |
---|---|
項目名 | 金額 |
企画・構築設計費 | 30,0000 |
デザイン・コーディング | 1100000 |
基本デザイン料(TOPページ+共通レイアウト) | 200,000 |
個別ページデザイン料 | 500,000 |
基本コーディング料(TOPページ+共通レイアウト) | 100,000 |
個別ページコーディング料 | 300,000 |
サイト機能 | 3,050,000 |
主要機能 | 250,000 |
検索 | 320,000 |
コミュニティ | 160,000 |
足跡 | 160,000 |
お気に入り登録 | 160,000 |
いいね履歴 | 160,000 |
お知らせ | 80,000 |
会員ステータス | 160,000 |
設定 | 160,000 |
ログイン | 80,000 |
プッシュ通知 | 160,000 |
会員登録 | 160,000 |
プロフィール | 320,000 |
メッセージ | 720,000 |
テスト(単体・結合) | 1,200,000 |
DB設計 | 240,000 |
論理設計 | 80,000 |
物理設計 | 80,000 |
パラメータ設計 | 80,000 |
実装 | 600,000 |
管理機能 | 1,500,000 |
会員管理 | 400,000 |
承認 | 600,000 |
年齢確認 | 250,000 |
メッセージ管理 | 250,000 |
サーバー構築 | 480000 |
サーバー設計 | 160,000 |
サーバー構築 | 160,000 |
結合テスト | 160000 |
小計(税別) | 8,470,000 |
・メッセージ機能は予算の関係上、NGワードの設定は組み込まない
・各プラットフォームへの登録は場合によっては何度も修正が必要になる可能性があるため、見積書には含んでいない
B社の所感
担当者と色々と電話で話しをしましたが、同社は基本的に500万円以下の案件は対応しないという方針のようで、受注する価格帯は1000万〜1億程度のアプリが多いようです。
A社の見積書と比べると金額だけでなく、それぞれの項目の内容が大きく違うことがわかります。足跡や会員ステータスなどの機能があり、足跡は自分のプロフィールを見に来てくれたユーザを見る機能、会員ステータスは料金プランに応じて制限された機能を使える、といったところでしょうか。
アプリの開発を受託する際、デザインはデザイン事務所に外注するケースが多いようですが、同社では在籍しているデザイナーが対応するため、全て内製で開発ができる強みがあるようです。
運用・保守を依頼する場合は月額25万円〜の見積もりとなるようです。
B社の特徴・メリット
- 企画・デザインから開発まで全て対応
- 漫画・コミック系のアプリの開発実績が多い
- ナショナルクライアントが多い
C社(港区:1,020万円)
東京都港区にあるアプリ開発会社で1,020万円でお見積りを頂きました。
C社の見積書
C社の見積書の内訳 | |
---|---|
項目名 | 金額 |
UI開発 | 300,000 |
データベース設計 | 500,000 |
組み込み機能(iOS) | 3,750,000 |
SNS登録・ログイン | 250,000 |
絞り込み検索 | 750,000 |
メッセージ機能 | 1,000,000 |
いいね機能 | 750,000 |
ポイント購入・決済機能 | 1,000,000 |
テスト・修正(iOS) | 700,000 |
Apps Store登録・リリース(iOS) | 250,000 |
組み込み機能(Android) | 3,750,000 |
SNS登録・ログイン | 250,000 |
絞り込み検索 | 750,000 |
メッセージ機能 | 1,000,000 |
いいね機能 | 750,000 |
ポイント購入・決済機能 | 1,000,000 |
テスト・修正(Android) | 700,000 |
Apps Store登録・リリース(Android) | 250,000 |
小計(税別) | 1,020,0000 |
・サーバー構築費は含んでいない
C社の所感
iOSとAndroidで分かれた見積書ですが、費用は全て同じになっています。
他社の見積もりではデザイン、管理画面側機能などの項目がありましたが、同社の見積書は見当たりません。質問したところ、それらを含んで開発するとの回答がありました。ただサーバーの構築は色々と話しを聞いた上でないと概算も出せないということでしたので、それらの費用が含まれていない状態です。
同社はパートナー先が同様のアプリを開発した実績があり、そのシステムを流用すれば、300万円で開発が可能とのことでした。ただライセンス料が毎月発生するという仕組みになっており、それは応相談とのことです。そのシステムを買切ることもできるようです。
唯一この会社のみ、アプリストアへの登録を見積書に入れており、25万円×2(50万円)で代行してくれています。運用・保守を依頼する場合は月額20万円〜の見積もりとなるようです。
C社の特徴・メリット
- 年間500件以上のWebサイト構築の実績
- アプリ開発の実績はゲーム系のジャンルが多い
- 会社のスタッフは数人だが案件ごとにパートナーと提携している
アプリ開発で気をつけたいポイント
サーバーに関して
昨今、サーバーはAWSで構築する手法が一般的なようです。AWSはAmazonのクラウドサービスで、従量課金制という特徴があります。
出会い系アプリのようなサービスは流行れば莫大なユーザ数を確保できますが、流行らなければ全くユーザ数を確保できず、サーバーの負荷がどのくらいになるのか、全く読めません。
ユーザ数が増えても対応できるように、高額な専用サーバーを初めから導入する会社もありますが、流行らなければ無駄に高スペックのサーバーをずっと使うことになり、毎月高額な費用を支払う必要があります。
そのためユーザ数が少ない時は費用が安く、増えると高額になる、AWSを代表とするクラウドサーバーが流行っているという経緯があります。ただメルカリのような超有名所のアプリはサーバー維持費だけで月額1千万円程度かかると思われますので、予め覚悟しておいた方が良いでしょう。
メッセージ機能の注意点
アプリのメッセージ上で電話番号やLINEのIDなど、直接やり取りできる連絡先を載せてしまうと、ユーザ側にメッセージ課金ができなくなるため、それらをNGワードとして登録し、メッセージ送信をできなくする必要があります。
ただユーザ側は課金したくないため色々と制限を掻い潜ろうとする可能性があるため、こういった機能は、随時NGワードをアップデートしていく必要性があります。
ペアーズやタップルのような大手アプリのクオリティを求めるのであれば、この機能の開発に数百万円程度、かかるかと思われます。
出会い系アプリ特有の機能
出会い系アプリの質を高めるために、Facebookの友達が一定以上いないと登録できなかったり、Facebook認証後に本人確認書類の提出を求められたりと、大手の出会い系アプリではこういった機能が組み込まれています。
またゲーム性を持たせるために、ログインするとポイントをボーナスしたり、出会いのキッカケを増やすために随時イベントページを作成したりと、マナーの悪いユーザを違反できる機能があったりと、色々な機能が存在しています。
これらの機能をどれくらい組み込むかによって、大きく費用が変わるので、予めしっかり定義しておくようにしましょう。
アプリをプラットフォームへ申請するのはどっちか
アプリをユーザに使ってもらうには、開発して納品してもらって終わり、ではなくiOSなら「Apps Store」、Androidなら「Google Play」というようにプラットフォームに申請して審査をしてもらう必要があります。
ここの申請ですが、アプリ開発会社に話しを聞いたところ、iOSはAndroidと違って審査が長く、リジェクト(申請拒否)される可能性があるため、なるべく対応したくないとのことで、ソースを納品して終了という契約内容にしている会社もあるようです。
リジェクトされた場合はアプリの機能の仕様や設計を見直す必要があり、場合によっては莫大な費用が発生してしまう可能性があります。リジェクトされる要件はApple側が随時更新しているので、開発会社も随時把握するのが大変、という現状があるようです。
そのため、契約書を締結する際に、どの部分をもって終了とするかというのはしっかり把握しておくようにしましょう。
まとめ
出会い系アプリの開発見積もりをしてみた結果、会社によって見積書の項目や前提条件が大きく異なることがわかりました。より正確に見積書が欲しいのであれば、発注前に必要になりそうな機能を全て洗い出し、それらをしっかり伝える、ということが重要だと実感しました。
今回はペアーズ(Pairs)のようなアプリということで、800万〜1000万の見積もりになりましたが、予算がないような個人の方が開発を検討しているのであれば、最初は課金機能や検索機能をつけずにシンプルに構築し、あとあと流行ってから機能を追加する、というやり方もありかと思います。
このシリーズではアプリだけでなく、ホームページやシステム開発、さらには税理士や社労士など、様々な業界で見積もりを取っていますので、ぜひ色んな記事を見てもらえればと思います。