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旅行比較サイトを開発する際に必要な機能と概算費用を解説

更新日:2020年05月27日 発注カテゴリ: Webシステム開発
旅行比較サイトを開発する際に必要な機能と概算費用を解説

近年、旅行に際して、移動手段、宿泊施設、ツアーをネット予約するのは当たり前。ネット予約の中で、サービス内容が一番希望に近く、低価格なものを簡単に探せるのが旅行比較サイトです。トラベルコやtrivago、じゃらんネットなどテレビでCMをよく見ますね。この旅行比較サイト、どのような仕組みで情報を比較しているのかというと、複数の検索サイトを横断して情報を取得するメタサーチという技術が主に使われています。メタサーチを用いた旅行比較サイトを開発しようと思ったら、どんな機能が必要で費用はどれくらいかかるのでしょうか?この記事ではその問題に答えるべく、様々な角度から解説をしております。

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OTA(Online Travel Agent)とメタサーチ

Online Travel Agentとはインターネット上のみで取引を行う旅行会社のことを指します。実店舗を持たず、システム上の投資のみで開始することができるため、他業種からの参入なども多く見られます。各OTAはそれぞれ飛行機等の移動手段のチケットや宿泊施設を手配しており、その価格は同じ施設、同じサービス内容でも様々に分かれることがあります。

OTAの扱う商品は各OTAごとの自社サイトなどに掲載されています。利用者はGoogleのような検索サイトから商品を探すことになります。しかし、検索サイトから探すといっても、その情報量は膨大です。またその検索では抜け落ちてしまう情報もあるかもしれません。

そこで登場するのがメタサーチという技術です。このメタサーチ、複数のサイトを横断して検索を行うという機能です。複数のサイトで行った検索結果をまとめて取得することで網羅性の高い情報を得ることが出来ます。その検索結果をまとめあげて比べやすく表示してくれるのが旅行比較サイトです。

OTAではサイトに販売する商品の情報を登録する必要があります。商品特性上、頻繁にデータ登録が発生します。宿泊施設や旅行会社がその登録を行う形式もあります。そのようにして商品をネット上で売り込み、販売した商品から利益をとってOTAは成り立っています。

一方の旅行比較サイトは、比較した結果を表示し、OTAや旅行販売代理店などのサイトに誘導します。顧客を呼び込んだ報酬として、誘導先からアフィリエイト収入を得て成り立っています。

OTAと旅行比較サイトは互いに複合しあってビジネスは重なってきています。本記事ではもともとOTAが担っていたデータ登録を行う部分の機能は除外して機能と費用を見積ります。

必須機能とあると嬉しい機能

上記の旅行比較サイトを実現するために必要な機能を洗い出します。大きくは利用するユーザの種別で分けて、機能のグループ分けを行い、機能が必須かどうかを判定しています。

NO 利用ユーザ 機能グループ 機能 種別 必須
1-1 旅行者向け 検索画面 国内・ホテル検索画面 画面
1-2 国内・航空券検索画面 画面
1-3 国内・ツアー検索画面 画面
1-4 国内・その他検索画面 画面
1-5 海外・ホテル検索画面 画面
1-6 海外・航空券検索画面 画面
1-7 海外・ツアー検索画面 画面
1-8 海外・その他検索画面 画面
1-9 メタサーチエンジン メタサーチエンジン 検索エンジン
1-10 メタサーチエンジン連携 共通機能
1-11 検索結果表示 検索結果表示 画面
1-12 絞り込み検索 画面
1-13 その他 メニュー表示 画面
1-14 履歴・お気に入り 画面
2-1 運営側向け 利用履歴管理 利用履歴検索 画面
2-2 利用履歴分析 画面
2-3 アフィリエイト管理 利用実績確認 画面
2-4 利用実績サマリ 画面
2-5 ユーザ告知 お知らせ登録 画面
2-6 利用ガイドライン、QA 画面
3-1 バックグラウンド サーバー
3-2 DB
3-3 WEBサーバー

旅行者向け

旅行をするために航空券などの移動手段のチケットや宿泊先を探したいユーザが利用する機能です。

検索画面

旅行者が移動手段や宿泊先、ツアーなどの商品を探すための機能です。

  • No.1-1国内・ホテル検索画面
  • No.1-2国内・航空券検索画面
  • No.1-3国内・ツアー検索画面
  • No.1-4国内・その他検索画面
  • No.1-5海外・ホテル検索画面
  • No.1-6海外・航空券検索画面
  • No.1-7海外・ツアー検索画面
  • No.1-8海外・その他検索画面

旅行者が必要とする商品の情報を検索する機能です。多くの旅行比較サイトでは、トップページで検索条件を指定して、商品を探すことができるようになっています。

そのユーザインタフェースは様々です。目的地と利用する人数、日程を指定すると移動手段や宿泊施設まで検索してくれるサイトもあります。

国内、海外の区分や移動手段、宿泊施設などの商品ごとに検索ページが別れているサイトもあり、前者は利用者の手間が省ける、後者は商品の比較結果が見やすいといったメリットがあります。

各サイトが工夫を凝らし、利用しやすさや独自性を競う点でもあります。サイトで扱う商品によっても使いやすいデザインは異なるでしょう。もちろん開発コストにも差異の出る部分です。

メタサーチエンジン

旅行比較サイトの核となるメタサーチを行う機能です。

  • No.1-9メタサーチエンジン

メタサーチを行う場合のコアとなる機能です。システム内にエンジンを持つ場合と外部のエンジンを利用する場合が考えられます。

  • No.1-10メタサーチエンジン連携

メタサーチエンジンに接続し、指定する検索条件を指定、検索の実行命令を行い、返される結果を加工するための機能です。サイト内の画面とメタサーチエンジンをつなぐ役割を担います。

検索結果表示

メタサーチの結果をまとめ、画面に表示する機能です。

  • No.1-11検索結果表示

メタサーチの結果をまとめ、比較、ソート(並べ替え)を行い一覧表示を行う機能です。基本的には比較サイトでは価格が低い順にソートしますが、他の表示項目でもソートができると便利です。

  • No.1-12絞り込み検索

検索結果の表示に対し、さらに絞り込みのための検索を行う機能です。検索画面で指定しなかった条件の指定や航空券であれば航空会社ごとや発着時間の指定など、さらに細かな条件指定ができるとユーザが使いやすくなります。

その他

ユーザが旅行比較サイトを利用するにあたり便利に使えるようにするための機能です。

  • No.1-13メニュー表示

人気のある商品や目的地、サービス内容などを整理してメニューとし、簡単に検索条件に指定できるようにする機能です。運営側でおすすめするメニュー表示なども可能です。

  • No.1-14履歴、お気に入り

過去の検索実績から履歴情報を保持し、次回の検索時にサジェストとして提案する機能です。さらにユーザ登録の機能を追加して組み合わせた場合、より高機能を実現可能です。

運営側向け

旅行比較サイトを運営する人向けの機能です。

利用履歴管理

ユーザが行った検索等の結果を保持し、管理する機能です。ユーザの登録を伴う場合、より詳細な情報が保持できます。

  • No.2-1利用履歴検索

主にユーザがどのような条件で検索し、検索結果から他の予約サイトにジャンプしたかを登録しておく機能です。マーケティング上の利用やアフィリエイト先への誘導実績などをトレースするのに利用します。

  • No.2-2利用履歴分析

利用したユーザの傾向、人気のある商品などを見つけ出すために利用履歴をまとめ、分析する機能です。サービスのマーケティングの傾向によって、構成の変わる機能となります。

アフィリエイト管理

サービスの利益を生み出すアフィリエイトの仕組みを管理する機能です。

  • No.2-3利用実績確認

アフィリエイトサイトへの誘導の実績を管理する機能です。検索結果表示からの誘導先サイトへのジャンプを記録し、実績として確認できるようにします。

  • No.2-4利用実績サマリ

アフィリエイトサイトへの誘導の実績をサマリし、サイトの収益確認、誘導先サイトへの請求を行うための機能です。サイトの運営をスムーズに行うための機能です。

ユーザ告知

旅行者にサイトからの情報やサイトの利用の仕方を伝えるための機能です。

  • No.2-5お知らせ告知

商品の案内や旅行に関する注意喚起、システム上の連絡事項などをユーザに知らせるために登録する機能です。登録した告知内容は、各画面に表示します。

  • No.2-5利用ガイドライン、QA

旅行比較サイトはユーザが利用し、検索を行い、他サイトへの誘導がされることによって収益を得ています。このため、ユーザの利用を促進し、利用数を増やす必要があります。ユーザが使いやすいよう利用のガイドラインやよくある質問をまとめて掲載し、業務を効率化します。

バックグラウンド

旅行比較サイトを動かす環境はその規模によって異なります。同時利用数やメタサーチエンジンをシステム内に持つかなどでその環境は決まります。

サイトが大規模になれば、処理性能、処理の分散化などの性能を満たす実行環境が必要となります。サービスが小さい場合はレンタルサーバなどでも実現可能です。

規模が大きくなるにつれ自社でサーバー構築をしたり、大規模なクラウドサービスの利用などでハイスペックな環境を作る必要があるでしょう。

また機能の実現を考えた場合、Webサーバーなどのミドルウェアも必要となります。こちらも規模が小さいうちはフリーウェアなどで構築できますが、大規模化した場合レスポンス確保、サポートの有無などの観点から商用のライセンス取得が必要となるケースもあります。

※本記事の見積もりではバックグラウンドのハードウェアやミドルウェアは費用から除外しています。

旅行比較サイトを作る場合の概算費用

前提として初期構築のみを想定しています。実際には運用しながら改善が発生するため、ランニングコスト + 改修費用を掛けてのブラッシュアップが必要となります。

またサービス構築後の運営や広告に関する費用、利用するサーバーやミドルウェアの購入費用などは入れていません。

最低限の場合

先にあげた機能一覧より必須の機能を最低限の実装でサービス構築した場合で、人月80万円で算出した費用見積もりです。検索対象の商品(航空券、宿泊など)を一つに絞り、最低限の機能でサービスを構築する場合の見積もりです。

開発規模 6機能
想定工数 3.5人月
想定価格 280万円

検索画面での検索対象を絞って特化型サービスを作り上げる想定です。またメタサーチエンジンは外部のエンジンを利用します。

高いクオリティを目指す場合

先にあげた機能一覧のすべての機能を実装し、サービス構築した場合で、人月80万円で算出した費用見積もりです。国内/海外の移動手段(航空券)、宿泊施設、パッケージツアー、その他の検索と比較ができるサービスのための機能を対象としています。自システム内にメタサーチエンジンを持つ想定です。

開発規模 20機能
想定工数 30人月
想定価格 2400万円

ただし、これは洗い出した機能を実現するために必要な費用であり、各種検索機能の共通化やユーザインタフェース向上は、追加でコストを掛けてブラッシュアップしなければなりません。また、QA、ガイドラインなどサービス運営を行いながらノウハウをためてコンテンツ化するものは、ブレ幅が大きいため算出対象外としています。

メタサーチエンジンを自社システム内に持つ想定としています。自社システム内にメタサーチエンジンを持つことにより、検索対象とするサイトや表示順位、処理速度などをチューニング可能です。

一般的な料金相場

旅行比較サイトを作ろうとした場合、核となるのは検索機能です。自分がユーザ側になって利用することを考え、商品を検索する画面を作る必要があります。

商品ごとに検索画面を分ける場合はプログラムの流用を、検索画面を共通化し複数の商品を検索可能とする場合は設計に注力しなければならないでしょう。検索を助ける機能としてキーワードのサジェストがあるとユーザビリティが高まります。

検索機能を一通り作ることを前提に、システムベンダーにこれらの設計〜構築を依頼した場合、必須の機能でスタートすることを考えると、6機能で600万円程度は必要になってくるでしょう。最初から検索条件の入力や結果の表示などは、ある程度工数を掛けても利用しやすいように設計しておくとよいです。

旅行比較サイトの収益モデル

多くの旅行比較サイトの収益モデルは検索結果のサイトへの誘導によるアフィリエイト収入です。

サイトへの誘導1件につきいくらという形のため、できるだけ多くサイトが利用され、利用した人が誘導先で商品を購入してもらうことが利益の拡大に繋がります。ユーザが満足できる検索、比較結果を表示することがポイントとなります。

発注費用を抑えるポイント

要件定義をしっかりする

実際にサービスを作るにあたり、実現したいことを明確にし、できることとできないこと(不要なこと)をきちんと決めておくと、発注先でも不要な機能は省くことができます。

旅行比較サイトの場合は、検索条件の設定と取り扱う商品が大きな要件となります。見積りを依頼する前にきちんと要件を確認し、システムの開発工数を抑えましょう。

デザインを妥協する

エンドユーザが利用するユーザインタフェースはとても大事な要素の一つです。しかし、デザインは定まった正解はなく、こだわり続けるといくら時間と費用があっても足りません。

まずは機能の実現に重点をおき、デザインはほどほどで納得しておくのが良いでしょう。一度サービスを公開してからでも、後からデザインだけ修正することも可能です。

技術ノウハウをもったシステムベンダーを探す

旅行比較サイトの構築は、一般的なECサイトなどの構築に比べて、メタサーチエンジンという特殊な技術への対応が必要になります。メタサーチのシステム構築事例、知見を持ったシステムベンダーを探すことで、開発工数増大を防ぎ、高品質なシステムの納品を期待することができます。

旅行比較サイトを作る際に気を付けたいポイント

国内、外資系を含め複数のサイトがしのぎを削る旅行比較サイト。異業種からの参入も多く、今なお増え続けています。これは旅行比較サイト業界にはまだまだ需要があるということも示しています。一方で多くのサイトに埋もれてしまわないように、気を付けなければならないポイントもあります。

競合の旅行比較サイトとの差別化

旅行比較サイトの場合、商品の質や価格ではあまり差別化を図れません。直接商品を販売するわけではなく、メタサーチで検索する先が同じサイトであれば同じ商品の紹介となるからです。

一つポイントとなりそうなのが、サイトへの誘導および誘導先に関するサポートです。多くの旅行比較サイトでは、販売サイトへの誘導で処理が完結します。

旅行比較サイトが海外のサイトの場合や誘導先が海外のサイトの場合、価格が安い商品に導くことができても、手続き等のサポートがほとんどされていないという問題があります。ユーザへの手厚いサポートは差別化のポイントとなるでしょう。

当然ながらサービスそのものの出来、使いやすさも重要視されるポイントです。比較の見やすさや価格以外の点での評価が出来れば利用するユーザにとっては喜ばしいことです。

ユーザ情報の取得とマーケティング

旅行比較サイトでもユーザ情報を取得することは、大きな意味を持ちます。ユーザ情報を取得し、誘導したサイトの情報と紐づけることにより、ユーザの傾向など有用な分析が可能となります。マーケティングの観点からは大きな意味を持つでしょう。

ただし、デメリットもあります。ユーザは利用時にユーザの登録やログインなど要求するアクションが増えてしまうため利用へのハードルが上がってしまうのです。

旅行比較サイトにとって利用者となるユーザの登録は必須ではありません。アフィリエイト収入を得るのには直接関係ないからです。

他にSEOを高めるなどの方法で集客が出来れば、ユーザ登録の仕組みは不要ですが、ビジネスを大きくしようとすると必要性を感じることもあるかと思います。サイトの特性を考えて導入を検討してください。

総括

旅行比較サイトはすでにいくつもあり、最近では異業種からの参入が多々見られます。これは、新たなサイトでも扱うのが商品を検索した情報であるため、参入ハードルが高くないという面を示しています。ユーザの利用しやすさや集客方法が確立されたサイトが作れれば競争することが可能といえるでしょう。

またメタサーチは旅行業界にとどまらず、引越見積、求人情報、飲食店情報など検索対象を差し替えても流行の兆しを見せています。新ビジネスモデルを生み出し、その第一人者となることで新たな市場を開拓するチャンスとも言えます。

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