BCP策定にはどれくらいの費用がかかる?補助金制度や申請方法も解説

株式会社Pro-D-use
監修者
株式会社Pro-D-use 取締役副社長 岡島 光太郎
最終更新日:2025年05月13日
BCP策定にはどれくらいの費用がかかる?補助金制度や申請方法も解説
この記事で解決できるお悩み
  • BCP策定にかかる費用は?
  • BCP策定に関する補助金は?
  • BCPを策定する手順は?

BCPとは、事業継続計画(Business Continuity Planning)の略称です。災害やテロなどの緊急事態が起きたとき、企業や団体が損害を最小限にして業務を継続し、早急な復旧につなげるために計画を立てます。

コンサルティング会社や行政書士事務所を利用して策定した場合、100万円以上の費用がかかることもあるでしょう。この記事では、BCP策定にかかる費用や補助金制度を解説します。策定手順やメリットもあわせて解説するため、BCPの策定をお考えの方はぜひ参考にしてください。

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BCP(事業継続計画)とは

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BCPとは、事業継続計画(Business Continuity Planning)のことです。災害やテロなどの緊急事態が起きたときに、起業や団体が損害を最小限にして業務を継続することで、復旧を早急に行うために計画を立てます。

日本では、地震や台風などの自然災害による被害が大きいため、緊急事態が起きたときのために事前に備えておくことは重要です。特に日本では、2011年の東日本大震災が、BCP策定の重要性を認知される大きなきっかけになりました。

BCP策定にかかる費用

BCP策定には、自社の重要な業務を割り出したり、緊急時にどのような動きをして早期復旧を目指すのか、細かく決める必要があります。

自社で策定もできますが、時間がかかることが多いです。策定の負担が大きい場合は、コンサルティング会社や行政書士事務所に依頼する方法もあります。

自社で策定する場合、必要な費用は人件費のみです。専門家に依頼する場合はコンサル費用が30万〜100万円かかることもあります。依頼する会社や自社の規模などによって、コンサル費用は大きく変動するため、相談して見積もりを出してもらうことが大切です。

設備設置費用

緊急事態に備えて会社に設備を設置するためにも、多額の費用が必要です。たとえば、以下の設備があります。

  • 自家発電設備
  • 排水ポンプ
  • 制震・免震装置
  • 浄水装置
  • 揚水ポンプ

設備によって、数万円で購入できるものもあれば、数百万円必要なものもあります。設置だけではなく、緊急事態に必ず使えるように、定期点検を行うことも重要です。点検にも費用が継続的にかかるため、予算にあらかじめ組み込んでおきましょう。

BCP策定の補助金

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BCP策定や設備設置には多額の費用が必要となるため、必要とわかっていてもすぐに策定が難しい場合があるでしょう。BCPは政府も策定の後押しをしており、自治体によっては補助金を出しているところもあります。

以下2つの自治体が出している補助金を紹介するので、参考にしてください。

  • 東京都江戸川区
  • 愛知県豊橋市

【事例】東京都江戸川区

東京都江戸川区のBCP策定における補助金は、以下のとおりです。

補助対象者 ・中小企業基本法第2条に規定する中小企業者
・江戸川区内に本社を有する区内事業所
・前年度の法人住民税および法人事業税を完納している
・公序良俗に反せず、東京信用保証協会の保証対象業種である
・風俗営業等を営む事業者でないこと
補助対象経費 ・コンサルタントによる指導に要する費用
・内部研修の実施に係る講師派遣等の費用
・外部研修の参加費用
補助金の額 補助対象経費の2分の1以内(上限20万円)
利用回数 補助対象のなかで同一年度内1回

【事例】愛知県豊橋市

愛知県豊橋市のBCP策定における補助金は、以下のとおりです。

補助対象者 ・市内に事業所を有する中小事業者または中小企業団体
・市税の滞納がないこと
補助対象経費 BCPまたは事業継続力強化計画の策定又は改訂に際し、コンサルタントやアドバイザーなどに対して支払った費用
補助金の額 対象となる経費の2分の1の額
(策定の場合上限10万円、改定の場合上限3万円)
利用回数 1年に1回まで

補助金の申請方法

補助金の申請方法は、以下の流れで行います。

  1. BCP策定
  2. 申請予約
  3. 申請
  4. 審査会
  5. 交付決定
  6. 事業実施
  7. 完了報告
  8. 完了検査
  9. 補助金額確定
  10. 補助金請求
  11. 補助金支払い

補助金の申請には、BCP策定支援事業や、事業継続力強化計画の認定を受けていることが前提です。申請日の予約も、事前に行う必要があるため注意してください。

BCP策定の手順4つ

BCP策定の手順は、以下の4つです。

  1. 自社の重要な業務を特定する
  2. 必要な資源を洗い出す
  3. 想定できるリスクや被害を洗い出す
  4. 復旧時間の目標を設定する

1. 自社の重要な業務を特定する

まずは、自社が行っている業務のなかで「中断してはならないもの」を明確にしましょう。緊急事態に陥ったとき、最優先で継続すべき事業を特定しておくと、効率よく復旧を行ったり、収益を安定させたりできます。重要な業務とは、以下のポイントを加味して考えることが大切です。

  • 自社の売上に最も寄与している事業
  • 自社の評判を維持するために必要な事業
  • 損害や納期が一番シビアな事業
  • 法的・財政的な責務を満たすために必要な事業

2. 必要な資源を洗い出す

企業が存続していくためには資源が不可欠です。たとえば、代替できない人材・特定の設備・重要データなどを把握しておきましょう。災害時に利用できない状況を想定し、代替手段や予備資源も検討しておくことが重要です。

3. 想定できるリスクや被害を洗い出す

次に、どのようなリスクが業務継続を脅かすかを想定します。地震・火災・洪水・サイバー攻撃・感染症など、発生確率や影響度を考えながらリストアップし、それぞれに対する被害想定を行いましょう。

緊急事態時の限られたリソース内で早急に復旧するために、優先順位をつけることが大切です。

4. 復旧時間の目標を設定する

最後に、緊急事態が起きてから復旧までにかかる時間の目標を設定します。復旧時間は、早ければ早いほど企業が存続できる可能性が高くなるでしょう。

目標時間の設定は、自社の中核事業の取引先に確認することが大切です。復旧が遅くなると、取引先との取引が中止になるおそれがあります。取引先が許容できる時間内に復旧時間を設定してください。

自社の財政状況も、復旧時間を考えるための重要な要素です。緊急事態が起こった場合、取引先へ違約金を支払ったり、災害による損失を補填したりする必要があります。復旧に時間がかかれば、支払う資金も増えるため注意が必要です。

BCP策定のメリット4つ

メリット

BCP策定のメリットは、以下の4つです。

  1. 倒産するリスクを軽減できる
  2. 顧客離れのリスクを軽減できる
  3. 信用度を高められる
  4. 業務内容を改めて確認できる

1. 倒産するリスクを軽減できる

緊急事態に陥ったあとの復旧に時間がかかると、損害が大きくなり倒産するリスクも高まります。しかしBCPを策定していると迅速に対応できるため、自社の損害を軽減可能です。損害が小さければ、倒産するリスクも少なくできるでしょう。

2. 顧客離れのリスクを軽減できる

災害をはじめとする非常時でも、迅速にサービスや製品の提供を再開できれば、顧客の信頼を損なわずに済みます。

BCPがある企業は、顧客に対して「安心して取引できる相手」と映り、非常時に競合との差をつけやすくなるでしょう。結果として、顧客離れを防ぎ、長期的な取引関係を守れます。

3. 信用度を高められる

取引先・金融機関・投資家などは、リスク対策がしっかりできている企業を高く評価します。BCPを策定していることを公表すると、組織としての信頼性・信用力を高められるでしょう。

4. 業務内容を改めて確認できる

BCPの策定過程では、業務の棚卸しや優先順位付けを行うため、日常業務を見直す絶好の機会になります。どの業務が本当に重要なのか、どこに無駄やリスクが潜んでいるのかを把握することで、平常時の業務改善にもつながるでしょう。

BCP策定のデメリット2つ

デメリット

BCP策定のデメリットは、以下の2つです。

  1. 対策の検討にコストがかかる
  2. 対策の実現にコストがかかる

1. 対策の検討にコストがかかる

BCPを策定するためには、リスクの洗い出し・被害想定・復旧手順などを綿密に検討する必要があります。検討には経営陣や各部門の担当者の時間と労力が求められ、外部の専門家にコンサルを依頼する場合は外注費も必要です。

2. 対策の実現にコストがかかる

BCPは策定しただけでは意味がなく、実際に対策を実行・維持してこそ効果を発揮します。しかし、予備設備の整備・代替拠点の確保・定期的な訓練の実施など、具体的な対策には多くの費用がかかります。

特に中小企業にとっては、日常業務と両立しながらの実行は負担になりやすいです。長期的な視点での投資が必要となるため、優先順位の判断が難しい場合もあるでしょう。

まとめ

BCP策定には多額の費用が必要です。しかし、緊急事態が発生したときの損害を想定すると、全体的な費用の軽減につながるでしょう。自治体の補助金があるため、上手に活用できればBCP策定にかかる費用を抑えられます。

自社だけでBCPの策定が難しい場合は、コンサルタントへの相談がおすすめです。比較ビズでは、さまざまな得意分野をもつコンサルティング会社が数多く在籍しています。

2分程度の入力で、自社のBCP策定にぴったりなコンサルティング会社を、全国から比較可能です。自社の負担を抑えてBCP策定を依頼したいと考えている方は、ぜひご利用ください。

監修者のコメント
株式会社Pro-D-use
取締役副社長 岡島 光太郎

2009年:(株)リクルートに新卒で入社。営業部署・企画部署にて責任者を務める。(在籍中は、MVPやマネジメント賞など、多数受賞。)
2013年:(株)データX(旧:フロムスクラッチ)の創業期に転職。営業や新卒・中途採用の責任者を務める。
2014年:アソビュー(株)に転職。その後、営業責任者、新規事業責任者、事業企画を歴任。
2015年:(株)Pro-D-useを創業。取締役副社長(現任)に就任。新規事業の立上げ〜収益化、成果を上げる営業の仕組み作り、採用〜組織の構築、Webマーケティングを主軸とした売れる仕組み作り、業務システムの導入・運用、融資を中心とした資金調達〜財務のコンサルティングを得意としている。
また、個人でも中小企業の融資を支援するサービス「中小企業の融資代行プロ.com」を運営するなど、一貫して中小企業を支援することを生業にしている。

BCP(事業継続計画)の作成は、「重要度は高いけど、緊急度が上がらない仕事」なのではないでしょうか?しかし、緊急時の対応を先に計画をしておくこと、また、決めていく過程で議論をするプロセスことがとても貴重で重要な財産となります。

緊急時は、パニックになることが予想されるため、事前に取り決めがあることで、他の会社と比較しても、早期に会社機能を復旧させることができるはずです。

会社のビジネス早期復旧は「顧客離反を防ぐ」「信用力を上げる」ことにもつながり、その結果として潰れにくい会社体質にすることができます。とはいえ、BCPを作り慣れている会社は多くはないため、BCP作成には専門家の力を借りることを強くオススメします。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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