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スタディサプリのようなサービス開発における3つの注意点|機能や費用を解説

株式会社エン・PCサービス
監修者
最終更新日:2023年11月21日
スタディサプリのようなサービス開発における3つの注意点|機能や費用を解説
この記事で解決できるお悩み
  • スタディサプリのようなサービスを開発したい
  • 開発方法や開発費用は?
  • サービス構築で気をつけるべきポイントは?

「スタディサプリのようなWEB学習サービスを開発したい…」と考えている方必見!この記事ではWEB学習サービスの構築を考えている事業者に向けて、搭載するべき機能や開発費用をスタディサプリを用いて解説します。

最後まで読めば、サービスの構築方法がひととおりわかります。費用を抑える方法や開発時の注意点も紹介するため「サービス作りに失敗したらどうしよう」と不安を抱えている方もぜひ参考にしてください。

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スタディサプリをはじめとしたeラーニングサービスとは

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スタディサプリをはじめとしたインターネットを介して利用者が学習するサービスを、eラーニングサービスといいます。

主な学習方法は、テキスト学習や講座の受講です。学習の理解度を図るためにテストをおこなう機能もあります。他にも、学習内容の進捗情報やテスト結果の管理など、効率的な学習サポートが可能です。

eラーニングは主に次の2つのサービスにわけられます。

  • LANなどの限られたネットワーク内での組織内向けサービス
  • インターネット経由で接続可能な全ユーザー向けサービス

本記事では後者を対象とし、月々の利用料を定めてサービスを展開する「クラウド型のeラーニングサービス」を開発する場合を想定しています。

スタディサプリのようなサービス構築に必要な機能

下記の表は、クラウド型のeラーニングサービスを実現するために必要な機能です。大きくはユーザー側と運営側にわけて機能をグルーピングし、必須かどうかを判定しています。

※本記事ではWebブラウザを通して利用可能なeラーニングサービスを対象としているため、アプリを介したサービスは対象としていません。

スマートフォンやPCなどを対象としてアプリを配布するプラットフォームの提供は、Webブラウザでのサービス提供と併用されることが多いです。併用する場合は、利用ユーザー向け機能の二重開発が必要となるイメージになります。

NO 利用ユーザー 機能グループ 機能 種別 必須
1-1 利用者向け ユーザー管理 ログイン 画面
1-2 ユーザー登録/更新 画面
1-3 ユーザー支払管理 画面
1-4 ユーザーコンテンツ利用データ管理 画面
1-5 コンテンツ利用 メニュー生成 画面
1-6 コンテンツ利用(動画) 画面
1-7 コンテンツ利用(テキスト) 画面  
1-8 個別指導機能(オプション) 画面  
2-1 運営側向け コンテンツ管理 コンテンツ登録(動画) 画面
2-2 コンテンツ登録(テキスト) 画面  
2-3 コンテンツ管理 画面
2-4 ユーザー管理 ユーザー一覧検索 画面
2-5 ユーザー情報更新 画面
2-6 支払管理 利用プラン、入金確認 画面
2-7 実績サマリ 画面  
2-8 利用履歴管理 利用履歴検索 画面  
2-9 利用履歴分析 画面  
2-10 ユーザー告知 お知らせ登録 画面
2-11 利用ガイドライン、Q&A 画面  
3-1 バックグラウンド サーバー    
3-2 DB    
3-3 WEBサーバー    

ユーザー向け

eラーニングサービスのユーザー向け機能を紹介します。主な利用者として想定されるのは、次のとおりです。

  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生
  • 大学受験生
  • 社会人
  • 学生の保護者

学年や受験先の学校などにより開発するべきコンテンツも変わるため、ユーザーが変わっても柔軟に対応できるシステム作りが大切です。

ユーザー管理

eラーニングサービスを利用するユーザーの登録、管理、ログイン認証などの機能です。

  • No.1-1ログイン

ユーザーを認証し、ログイン/ログオフをおこなう機能です。最近ではGoogleIDやFacebookIDと連携して、ログインIDに利用できるサービスも増えています。ユーザーの利便性を考慮して、どのレベルまで実装するかを検討しましょう。

  • No.1-2ユーザー登録/更新

eラーニングを利用するユーザーの情報を登録する機能です。名称、地域、学年、メールアドレスなどのサービス利用に必要となる情報を登録します。

  • No.1-3ユーザー支払管理

スタディサプリは課金型のサービスのため、プランの設定および支払情報の登録機能が必要です。プランにより利用できるサービス内容が変わります。

  • No.1-4ユーザーコンテンツ利用データ管理

ユーザーが利用履歴や成績などを確認する機能です。テストの機能があるeラーニングでは、実績を累積して表示したり不得意分野を抽出したりする機能が求められます。

  • h4:コンテンツ利用

eラーニングのコンテンツを利用するための機能です。

  • No.1-5メニュー生成

ログインしているユーザーの情報から、表示すべきメニューを構成して表示する機能です。学年、利用コース、成績、対象の受験先などで表示するメニューが変わります。個別指導機能を利用している場合は、示指されたコンテンツを表示する機能もあります。

  • No.1-6コンテンツ利用(動画)

動画コンテンツを利用するための機能です。ブラウザ上で動かすことを前提に、動画コンテンツを制御します。

  • 1-7コンテンツ利用(テキスト)

テキスト学習のコンテンツを利用するための機能です。テキストや過去問などのコンテンツはスクロールを使い、見やすく表示する必要があります。ミニテストや復習機能もあるとよいでしょう。

  • 1-8個別指導機能(オプション)

学年、地域、成績、受験先などの情報からおすすめの講座、テキストを選択して学習する機能です。eラーニングでは、自分のレベルにあった講座やテキストを判断して、適切なものを選択する必要があります。

個別指導機能に関しては、別途料金のかかる有料サービスとしているeラーニングサービスも多いです。

運営者向け

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eラーニングサービスの運営者が利用する機能を紹介します。

コンテンツ管理

ユーザーが利用する講義、テキストなどのコンテンツを登録・管理する機能です。

  • 2-1コンテンツ登録(動画)

講座の動画をサイトに登録するための機能です。講座名、対象の学年、コース、講師の情報、講座の概要やテキストのファイルなどコンテンツを構成する各要素も一緒に登録する必要があります。

外部の教育機関(予備校、塾など)からコンテンツを購入して登録する場合は、フォーマットをあわせておくと便利です。

  • 2-2コンテンツ登録(テキスト)

テキスト型のコンテンツをサイトに登録するための機能です。教科、対象の学年、コース、対象範囲などの情報も一緒に登録できる必要があります。ミニテストや復習などのコンテンツを利用可能とする場合には、問題と選択肢、回答なども登録できる機能が必要です。

  • 2-3コンテンツ管理

動画やテキスト型のコンテンツを検索し、更新/削除をおこなう機能です。情報のアップデートや有効期間などの修正に用います。

ユーザー管理

利用するユーザーの情報を管理するための機能です。

  • 2-4ユーザー一覧検索

登録されているユーザー情報を検索する機能です。コースや学年、地域などの条件でユーザーを検索します。

  • 2-5ユーザー情報更新

ユーザーの情報を更新するための機能です。コースの変更やユーザーの停止などに利用します。

支払管理

ユーザーの利用料金支払を確認するための機能です。

  • 2-6利用プラン、入金確認

ユーザーの利用プランおよび入金情報を確認するための機能です。支払方法が複数ある場合は、より詳細に確認できる必要があります。

  • 2-7実績サマリ

ユーザーの支払状況の実績を集計する機能です。売上の算出や予測に利用します。

利用履歴管理

コンテンツの利用履歴を管理する機能です。よく使われるコンテンツを分析することで、業務の改善に役立てます。

  • 2-8利用履歴検索

コンテンツに対し、利用回数、利用ユーザー数、利用プラットフォーム、利用時間帯などの情報を取得するための機能です。利用履歴を分析するための情報を得ます。

  • 2-9利用履歴分析

コンテンツの利用履歴情報より、人気のあるコンテンツの傾向、需要などを推測するための機能です。サービスの人気を向上させるために必要となります。

ユーザー告知

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  • 2-10お知らせ登録

システムへのコンテンツ登録、機能追加、障害情報などのお知らせをおこなうための機能です。登録したお知らせ情報は画面上への表示やメール配信を用いてユーザーに知らせます。

  • 2-11利用ガイドライン、Q&A

eラーニングの使い方やよくある質問とその回答をコンテンツとしてまとめる機能です。利用マニュアルを充実させることで利用者の満足度を上げ、問い合わせに回答する運営側のコストを低減します。

バックグラウンド

スタディサプリ規模のシステムを動かすことを考えると、容量、処理性能、処理の分散化などの性能を満たす実行環境が必要です。サービスが小さい場合はレンタルサーバーでも実現可能。

規模が大きくなるにつれ自社でのサーバー構築や、大規模なクラウドサービスの利用などでハイスペックな環境を作る必要があるでしょう。

eラーニングの機能実現には、WebサーバーやDBなどのミドルウェアも必要です。小規模であればフリーウェアで構築できますが、大規模化する場合はレスポンス確保やサポート有無の観点から商用のライセンス取得が必要となります。

eラーニングにおけるバックグラウンドで気をつけるべきポイント

eラーニングは、サーバーの格納領域やネットワークへの負荷も考慮してシステム基盤を構築する必要があります。特に動画のコンテンツを提供する場合は、利用するデータ量が多くなるため注意しましょう。

スタディサプリのようなサービス構築の概算費用

スタディサプリのようなeラーニングサービス構築にかかる概算費用を、開発の規模ごとにわけて紹介します。今回は初期構築のみを想定して算出。実際には運用しながら改善が発生するため、ランニングコスト+改修費用がかかります。

さらに重要なのはコンテンツの収集登録ですが、本見積には含まれておりません。サービス構築後の運営や広告に関する費用、利用するサーバーやミドルウェアの購入費用も除外しています。

最低限の機能を実装した場合(300万円)

eラーニングサービスとして最低限の機能を実装した場合の構築費用は300万円程度です。先にあげた機能一覧より必須の機能のみを実装した場合を想定しています。

単純に動画を登録し、ユーザーが参照できるレベルの機能構成です。

開発規模 12機能
想定工数 約3.75人月
想定価格 300万円(※1人あたりの月単価80万円で計算)

一般的な機能を実装した場合(300〜500万円)

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一般的な機能を実装したeラーニングサービスを作成する場合の構築費用は、300〜500万円程度です。デザインにこだわらなければ、実装するコンテンツはそこまで難易度が高くありません。

一般的なメインコンテンツの12機能を実装した場合、300万円強がスタートラインでしょう。eラーニングサービスはコンテンツの品質で競争されている部分があるため、実際にはプラスで費用が発生することが想定されます。

スタディサプリと同等の機能を実装した場合(900万円)

スタディサプリと同等の機能を実装した場合、概算費用は900万円程度です。先にあげた機能一覧すべての機能の実装を想定しています。利用しやすいインタフェースで動画やテキスト、ミニテストなどのコンテンツが利用可能です。

※コンテンツの充実は、別途検討が必要です。ユーザーインタフェースのデザイン性、ユーザーの利用しやすさを高める場合は、追加でコストがかかります。

開発規模 19機能
想定工数 11.25人月
想定価格 900万円(※1人あたりの月単価80万円で計算)

スタディサプリの収益モデル

スタディサプリの収益は、サブスクリプション型による利用者からの月々の使用料で成り立っています。

各種プランや、1年分まとめ払いにともなう値引きで金額には幅がありますが、1ユーザーの使用料は毎月1000〜3000円です。他にも、コンテンツごとに売り切りの形式をとる方式もあります。売り切り型を実装するには、個別での決済機能が必要です。

運営側にとって、ユーザー数の獲得が売上の上昇に直結します。

スタディサプリのようなサービス構築時の費用の抑え方3つ

スタディサプリのようなeラーニングサービスを開発する際に、費用を抑えるポイントを3つ紹介します。

  • 要件定義をしっかりおこなう
  • 最低限のデザインにする
  • 注力する機能を限定する

要件定義をしっかりおこなう

発注費用を抑えるポイントとして、要件定義をしっかりすることが挙げられます。

eラーニングサービスを構築する際には、提供するコンテンツの種類や入手方法まで含めて検討することが必要です。スタディサプリの場合も、オリジナルのコンテンツと有名予備校講師の講座コンテンツを用意しています。

動画もテキストもミニテストも、と最初から機能を盛り込もうとすると、費用は高くなっていきます。見積りを依頼する前にきちんと要件を確認し、搭載する機能を選定しておくことが重要です。

最低限のデザインにする

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機能の実現と使いやすさに重点をおき、デザインは最低限にすることも費用を抑えるには重要です。デザインに定まった正解はなく、こだわり続けるといくら時間と費用があっても足りません。

一度サービスを公開してからでも、後からデザインだけ修正することも可能です。

注力する機能を限定する

サービス構築において、はじめは売りとなる機能を選定し、一部の機能に注力することも費用を抑えるポイントです。

他のサービスとの差別化を図るため各機能を充実させることは重要ですが、最初からすべてをハイレベルにする必要はありません。こだわり続けると無尽蔵のコストと時間が必要になります。

とはいえ、必要となる機能はある程度決まっているため構成は他のサービスと似てしまいがちです。差別化を図るには、自社で強みとなる売り込み要素を機能に盛り込み、強化するとよいでしょう。

スタディサプリのようなサービス構築時の注意点3つ

スタディサプリのようなサービスを開発する際に気を付けたいポイントを3つ紹介します。

  • 快適な動作速度を確保する
  • ユーザー層を限定的にする
  • 優良なコンテンツ作成につとめる

快適な動作速度を確保する

スタディサプリのようなサービスを構築する場合は、快適な動作速度の確保が重要です。講座などの動画コンテンツを配信する場合、動画の品質やユーザー数にもよりますが、大量のデータ通信が発生します。

特に学生向けの場合は、ユーザーの利用時間帯が集中することも考えられるため、通信容量は余裕をもって設計しましょう。現代のユーザーは動画の遅延や停止に敏感です。

リアルタイムのコンテンツ提供に難がある場合は、バックグラウンドでコンテンツダウンロードを可能にする工夫が必要となります。

ユーザー層を限定的にする

スタディサプリはじめ多くのサービスが立ち上がっているeラーニング業界で生き残るには、対象のユーザーを限定的にすることが大切です。

対象とする学年を絞る、志望校を絞る、教科を絞るなど自社の有利なコンテンツの策定とアピールポイント化を図る必要があります。他サービスよりも極端に安くして価格で勝負する戦略もいいでしょう。

優良なコンテンツ作成につとめる

eラーニングの商品である講座の動画やテキストは、品質の高さも重要な要素です。有名な予備校とコンテンツ提供の契約を結ぶことや、有望な講師を抱えてコンテンツを作成するなど、他のeラーニングと差別化を図れるとよいでしょう。

まとめ

近年増加傾向にあるスタディサプリをはじめとしたeラーニングサービス。本記事では、搭載するべき機能や開発費用、コストを抑えるポイントや開発時の注意点を解説しました。

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監修者のコメント
株式会社エン・PCサービス
代表 齋藤完次

株式会社エン・PCサービス代表。信州大学工学部情報工学科卒。卒業後富士通FIP(現富士通)に就職。某コンビニエンスをクライアントに基幹系、情報分析系、会計・SFAなどのシステム提案、構築、運用サポートを行う。他、ネットワーク構築やサーバー構築も行うなど、フルスタックエンジニアとして活躍。その後、広く多くの人にサービス提供を行いたいという想いから独立し、主にウェブ技術を用いて自社サービス構築と運営を行う。同時に日本のビジネスを底上げするという想いから、中小スタートアップ企業を対象にITシステム開発事業を、企画立案からマーケティング、運営サポートまでワンストップ対応している。

開発・実装における機能面において満遍なくまとめられた内容だと思います。イーラーニングなどコンテンツ配信を含めたシステムでは、「快適な動作速度」と記事にも記載がある通り、ネットワーク要件といった非機能要件についても確認した方がよいでしょう。

サービス提供において開発者目線で重要な資質は、アプリケーション開発力だけではなくサービスを過不足なく丁度良いところで的確に運用するといった視点です。その為にはサービス運営を実際に経験されているところにアドバイスを求める事が必要でしょう。

開発のみでなく保守経験を多く持たれているところがあれば話もスムーズだと思います。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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