株式会社と合同会社の違いとは?各会社形態のメリットや注意点を徹底解説

有限会社兼子経営
監修者
有限会社兼子経営 代表取締役 兼子俊
最終更新日:2023年07月18日
株式会社と合同会社の違いとは?各会社形態のメリットや注意点を徹底解説
この記事で解決できるお悩み
  • 株式会社と合同会社の違いは?
  • 株式会社と合同会社の各メリットは?
  • 会社形態を決めるときのポイントは?

「会社を設立したいが、株式会社と合同会社のどちらがいいかわからない…」という方必見!

この記事では企業経営者や起業家に向けて、 株式会社と合同会社の違いについて解説します。最後まで読めば、株式会社と合同会社のメリットや注意点もわかります。

株式会社と合同会社の特徴を総合的に考慮し、事業の特性や目標にあった会社形態を選択しましょう。会社形態を決めるときのポイントも紹介しているため、法人の形態やビジネスに関心を持つ個人事業主の方もぜひ参考にしてください。

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株式会社と合同会社の違い

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現在、日本で設立可能な会社の形態は4つあります。「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」ですが、合資会社と合名会社は設立件数が少なく、株式会社または合同会社を選ぶことが一般的です。株式会社と合同会社の違いは、以下のとおりです。

  株式会社 合同会社
意思決定 株主総会 総社員の同意
出資者の責任 間接有限責任 間接有限責任
役員の任期 最長10年 任期なし
代表者 代表取締役 代表社員
決算公告 必要 不要
定款認証 認証必要(5万円) 認証不要
利益の配分 出資比率に応じる(1株あたり〇円) 定款で自由に規定
資本金 1円〜 1円〜
設立費用 約20万円〜 約10万円〜

株式会社を設立するメリット3つ

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ここからは、株式会社を設立するメリットを3つ紹介します。

  1. 社会的信用度が高い
  2. 資本調達がしやすい
  3. 法人の節税メリットを受けられる

1. 社会的信用度が高い

株式会社は、社会的信用度が高いです。株式会社は法人として独立して存在し、組織的な体制が整備されています。公的な登記手続きを経て設立されるため、信頼性や透明性があり、社会的な信用を得やすいです。

株式会社は取締役会や株主総会という組織の決定機関を持ち、適切なガバナンス体制を構築することが求められます。企業の経営が透明化され、企業の社会的責任の履行や法令順守が促進されるでしょう。

株式会社としての存在は、長期的なビジネス展開や信用維持において有利であり、ビジネスパートナーや投資家からの信頼を高められます。

2. 資本調達がしやすい

株式会社は、株主からの出資により資金を調達できます。株主は株式を購入することで企業に投資し、その対価として株式を所有します。この仕組みにより、企業は新たな資金を集められ、事業の拡大や新規プロジェクトの実施などの資金ニーズに対応できるでしょう。

株主は自身の保有株を売却したり、他の投資家から新たな資金を調達したりできます。企業は柔軟かつ効率的に資金を調達し、成長と発展を促進できるでしょう。

3. 法人の節税メリットを受けられる

株式会社は、法人の節税メリットを受けられます。法人税率は個人の所得税率よりも低く設定されており、企業の利益に対してより少ない税金を支払います。

経費の適切な計上やビジネスに必要な支出の償却、配当形式やタイミングの選択などを通じて、企業の税負担を最小限に抑えられるでしょう。税金に関する法規制は常に変動する可能性があるため、最新の情報や法律に基づいて適切な節税手法を実施する必要があります。

株式会社を設立する注意点3つ

ここでは、株式会社を設立する注意点を3つ紹介します。

  1. 設立費用が高く手続きが多い
  2. 決算公告の義務がある
  3. 役員の任期がある

1. 設立費用が高く手続きが多い

株式会社を設立する際は、設立費用が高く手続きが多いことに注意しましょう。会社の定款作成や印鑑登録、登記申請など、手続きが多く複雑であり、正確な書類の作成と提出が求められます。

設立費用の内訳 金額
定款用収入印紙代 40,000円(電子定款では不要)
公証人に払う手数料(定款の認証) 30,000〜50,000円
・資本金100万円未満:30,000円
・資本金100万円以上300万円未満:40,000円
・資本金300万円以上:50,000円
定款の謄本手数料 約2,000円(250円/1ページ)
登録免許税(登記) 150,000円または資本金額の0.7% どちらか高い方

設立費用と手続きの面は、専門家の支援を受けることで、負担を軽減し効率的な手続きを進められます。

2. 決算公告の義務がある

株式会社は法的な要件として、年次の決算報告を行い、その内容を公告する必要があります。会社の財務状況や業績を公開し、利害関係者に情報を提供するための措置です。

決算公告には時間と手続きの負担が伴います。公告には定められた期限があり、それまでに財務諸表を作成し、監査を受ける必要があります。特定の形式や内容の要件があり、それらを満たすためには専門知識や経験が必要です。

決算公告の義務は企業の透明性と信頼性を高めるために重要な要素ですが、手続きや負担には注意が必要です。

3. 役員の任期がある

株式会社では役員(取締役)が経営の責任を担い、会社の運営や意思決定を行いますが、役員の任期は一定期間であり、再任や交代が必要です。役員の任期が切れるタイミングでの人材の入れ替えにより、経験や専門知識が失われたり、組織の安定性に影響を及ぼしたりする可能性があります。

役員の任期切れに伴い、役員人事の手続きや選任プロセスを行う必要があります。適切な役員の選任と組織の継続的な人材マネジメントが求められるため、人事戦略の慎重な計画と実行が重要です。

合同会社を設立するメリット3つ

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ここからは、合同会社を設立するメリットを3つ紹介します。

  1. 株式会社よりも設立費用が安い
  2. 経営の自由度が高い
  3. ランニングコストを抑えられる

1. 株式会社よりも設立費用が安い

合同会社の設立は、株式会社に比べて設立費用を安く抑えられます。定款の認証手数料や株主総会の開催に伴う手続き・費用が不要なため、設立費用を軽減させることが可能です。

設立費用の内訳 金額
定款用収入印紙代 40,000円(電子定款では不要)
公証人に払う手数料(定款の認証) 0円
定款の謄本手数料 0円
登録免許税(登記) 60,000円または資本金の0.7% いずれか高い方

合同会社の設立は、株式会社に比べて手続きの複雑さが少なくなります。株式発行には証券報告書の作成や登録、証券取引所への上場などの費用と手間がかかりますが、合同会社ではこれらの手続きが不要です。

2. 経営の自由度が高い

合同会社で、経営に関する内部ルールや組織の構築に関して、株式会社に比べると制約が少ないです。

合同会社は、会社の運営や役員の任命、業務の決定、利益配分などのルールを合同会社契約書で自由に定められます。株式会社の株主総会での決定や株主の合意を必要とせず、柔軟な経営が可能です。

ただし、経営の自由度が高い分、責任も重要な要素です。経営者は慎重な意思決定と適切な経営計画の策定を行い、法令順守や利害関係者への配慮を忘れずに行う必要があります。

3. ランニングコストを抑えられる

合同会社のランニングコストは、株式会社に比べて低くなります。株式会社の株主総会や役員の任期更新、株主への配当の手続きが不要なためです。株式の発行や株主への報告書作成、上場取引所への登録費用も不要です。

決算報告の公開義務が株式会社に比べて緩和されているため、報告書の作成や公告の手間や費用を節約できます。

合同会社を設立する注意点4つ

ここからは、合同会社を設立する注意点を4つ紹介します。

  1. 株式会社と比較すると信頼性は劣る
  2. 資金調達の方法に限りがある
  3. 社員同士の対立で意思決定が困難になる可能性がある
  4. 上場できない

1. 株式会社と比較すると信頼性は劣る

合同会社を設立する際の注意点の1つは、株式会社と比較して信頼性が劣る可能性があることです。

合同会社は、株式会社に比べて内部監査体制や組織の公開義務が緩やかです。合同会社の経営者や出資者は、情報開示や意思決定において株主や第三者に対して責任を負う必要があります。しかし、公的な監査や開示要件は株式会社ほど厳格ではありません。

信頼性の向上には、適切な内部統制の確立や財務報告の透明性の向上、外部の専門家のアドバイスを受けるなどの取り組みが必要です。

2. 資金調達の方法に限りがある

合同会社の資金調達は、株式会社に比べて制約があります。合同会社は、出資者からの出資や利益の積み立てを通じて資金を調達します。株式会社のように株式を発行して資金を調達することはできません。そのため、大規模な資金調達や成長資金の確保が難しい場合があります。

合同会社の資金調達は主に出資者や金融機関からの借入、自己資金の積み立て、クラウドファンディングなど限られた手段に頼ることが一般的です。事業計画や、資金ニーズにあわせた適切な資金調達の戦略を立てることが重要です。

3. 社員同士の対立で意思決定が困難になる可能性がある

合同会社は、出資者が経営に参画するため、経営メンバーの間で意見の相違や対立が生じることがあります。異なる出資者の間で意見の食い違いや利益配分に関する意見の相違がある場合、意思決定の遅延や決定の難航につながる可能性があります。

対立を避けるためには、合同会社の設立時に明確な経営メンバーの役割や責任、意思決定プロセスを定めることが重要です。適切なコミュニケーションや協議の場を設け、出資者間の意見の調整や合意形成を図ることも重要です。

4. 上場できない

合同会社は、株式会社と比べて上場することが制約されています。合同会社は出資者制度に基づく会社形態であり、株式を発行できないため、一般的な証券取引所での上場は困難です。

代わりに、資本パートナーや戦略的な提携先との関係強化、クラウドファンディングや個別の投資家との協業など、他の資金調達手段を活用しましょう。

会社形態を決めるときのポイント

会社を設立する際に、株式会社か合同会社のどちらを選ぶか迷う可能性があります。事業の内容や規模により、どちらの会社形態が最適かは異なります。以下のポイントを参考に、設立を進めてみてください。

  株式会社 合同会社
事業内容 “モノ”が資本の中心となる事業 “ヒト”が資本の中心となる事業
事業規模 自社の規模に関係なく、大企業を相手に事業を行おうと考える場合 スタートアップ時期の小規模事業
資金調達 ・株式による資金調達を行いたい場合
・株式上場を目指したい場合
大きな資金調達を必要としない場合
その他 ・代表取締役の肩書が必要な場合(合同会社でも名乗ることはできるが登記上は代表社員)
・対外的な信用力を向上したい場合
・少額で法人化したい、法人格が急ぎでほしい場合
・経営の自由度を重視する場合

1度決めた会社形態でずっと経営しなければならないルールはありません。必要に応じて手続きを行い、合同会社から株式会社への組織変更も可能です。

会社設立をスムーズに進めるポイント

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以下の方法を組みあわせて活用することで、会社設立の手続きをスムーズに進められます。

  • オンライン手続きを活用する
  • 専門家のサポートを受ける
  • 書類作成にテンプレートやサンプルを活用する
  • 必要な情報や資料を事前に整理しておく

会社設立には一定の時間がかかります。手続きのスケジュールを把握し、必要な手続きのタイムラインを設定しましょう。早めの段階で手続きを開始することで、余裕を持ったスケジュール管理ができます。

まとめ

株式会社と合同会社の特徴を総合的に考慮し、事業の特性や目標にあった会社形態を選択しましょう。

どちらが適切か迷った際は、税理士や弁護士などの専門家から意見を聞くことが重要です。事業の性質や将来の展望に基づいたアドバイスを受けることで、より適切な会社形態を選択できます。

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よくある質問とその回答

  • 合同会社から株式会社に変更できる?

    合同会社から株式会社への変更は可能です。合同会社から株式会社への組織変更を行うためには、組織変更計画書を作成する・社員全員の同意を得る・債権者保護手続きを行う・必要書類をそろえて登記を申請する・合同会社の解散登記を行いましょう。

    組織変更を検討する場合は、専門家や登記関係の専門機関に相談することをおすすめします。具体的な手続きや条件を説明し、スムーズな組織変更の手続きをサポートしてくれるでしょう。

  • 個人事業主が法人化させるタイミングは?

    一般的な所得金額の目安は、個人事業の利益が800万円を超えたタイミングで、法人への変更が適切とされています。年収800万円の個人事業主の税率は33%です。法人化させると税率は25.5%へ逆転します。

    ただし、所得控除や他の収入の有無などにより、条件が異なる可能性があります。法人に変更するかどうかの判断をする場合は、税理士へ相談してみましょう。具体的な状況を考慮し、最適なアドバイスを提供してくれます。

監修者のコメント
有限会社兼子経営
代表取締役 兼子俊

埼玉大学電気工学科卒業、同専攻科修了後、製造業に勤務し、広島で中小企業診断士の資格取得を機にコンサルティング会社を起業する。現在起業より24年目になるが、当初は経営の営業、製造等の個別の機能、ISO取得等をコンサルティング支援しており、約十年経過後ISO関連事業を協力者に譲り、当初独立の目標であった経営・事業支援を中心に事業活動をはじめ現在に至る。この間広島中小企業診断協会の理事、専務理事、現中小企業基盤整備機構のチーフアドバイザー、中国経済産業局の事業評価委員などを務めた。特に経済産業局の事業評価委員の6年の経験はのちのコンサルティングに大きな影響をのこす。経済産業省中国経済産業局、財務省中国財務局の認定になる「経営革新等支援機関」として昨年再認定をいただき、活動している。個人としては中小企業診断士、ITコーディネータの資格を持ちコンサルティングに勤めている。

平成18年の会社法により、現在の会社の形態がそれ以前から変化しました。記事にある通り、株式会社か合同会社を起業・開業をされるかたは選択が迫られるわけですが、この記事は平易に解説がなされ、概要を頭に入れるには適しておりご参考になると思います。

またどちらを設立するかの判断に必要な、メリット/デメリット、株式会社向き/合同会社向き比較、合同会社から株式会社への変更(組織変更)のガイドから合同会社と株式会社の合併まで短いですが、説明がなされています。会社組織の入門書の面目躍如の場面です。

最後に、有限会社という会社組織があるのではとお思いの方はいらっしゃることと思います。それについては、会社法制定前には有限会社という名前の会社組織がありました。しかし廃止されました。それでは今でも有限会社を名乗っている会社があるのはなぜだ、と通常はなります。

その答えは、有限会社●●という名称の会社があったとしますと、以前は●●が会社名で、組織形態が有限会社だったわけですが、今は、有限会社●●という会社名の株式会社であるという定義になっています。したがって名称変更の必要性はなく、現在も有限会社●●という会社は存在するということになります。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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