ベンダーマネジメントとは?4つの役割と活用ポイントを徹底解説
- ベンダーマネジメントの役割とは?
- ベンダーマネジメントを活用するポイントとは?
- ベンダーマネジメントの課題とは?
自社のシステム開発を外部のITベンダーに委託する際は、ベンダーマネジメントが重要になります。委託先にシステム開発のすべてを任せっきりにするのではなく、発注側が正しくマネジメントすることが成功への近道です。
当記事では、ベンダーマネジメントを知らない社内のシステム担当者に向けて、ベンダーマネジメントの役割を解説しています。求められる背景や活用ポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
ベンダーマネジメントとは:ITベンダーを正しくマネジメントする
ベンダーマネジメントとは、システム開発を行う際に外部のITベンダーを正しくマネジメントすることです。ITベンダーと一緒に目指すべきゴールを設定し、密にコミュニケ−ションを取りながら推進していきます。
システム開発では、当初想定していなかったリスクや課題が発生します。ベンダーマネジメントが機能していないと、納期遅延や品質低下・仕様相違のトラブルを引き起こしかねません。
ITベンダーとの契約や進捗の管理だけでなく、モチベーションの維持やリスクを管理することもベンダーマネジメントに含まれます。システム開発の依頼内容をITベンダーに丸投げせずに、開発工程を正しくマネジメントしてシステムを完成に導きましょう。
ベンダーマネジメントの5つの役割
ベンダーマネジメントには、以下の5つの役割があります。
- 契約を管理する
- リスクを管理する
- モチベーションを管理する
- パフォーマンスを管理する
- ITベンダーとの信頼関係を築く
1. 契約を管理する
ITベンダーとの契約内容をマネジメントします。長く付き合いのあるITベンダーであっても最初の契約条項は非常に重要です。お互いに納得する形で契約締結しましょう。
契約では、システム開発の料金や納期・お互いの責任範囲を明確にします。納品後のシステム保守サポート内容もシステム開発の契約時に取り決めしておくと安心です。システム開発の工程や納品後にトラブルが起こった際に、契約内容に立ち戻って確認できるようにしましょう。
2. リスクを管理する
ベンダーマネジメントでは、幅広いリスク管理が重要です。契約時は、委託するITベンダーの信用調査に始まり、プロジェクトリーダーやメンバーのスキルや人柄、体制について確認します。
トラブル発生時の対応方法や報告のフローを事前に決めておきましょう。トラブルが発生しないようにすることが大切ですが、ベンダーマネジメントではトラブル時に迅速に対応できるマネジメントが求められます。
3. モチベーションを管理する
ITベンダーと良好な関係を築けるように、プロジェクトメンバーのモチベーションを管理します。
システム開発をするITベンダーのモチベーションが低いと品質が低下しやすく、サポート体制も充実しません。他の発注企業よりも優先順位を落とされて、長い付き合いができなくなってしまいます。
指示・命令でITベンダーを管理するのではなく、お互いに同じ目的を持ったパートナーとしてコミュニケ−ションを取るようにしましょう。
4. パフォーマンスを管理する
決められた期限に納品されるよう、ITベンダーのパフォーマンスを管理します。
スケジュール作成後も進捗状況の管理・確認を都度行い、システム開発が順調に進捗しているのかを確認します。スケジュールに遅延があったときは、ITベンダーと一緒に要因を分析し対策を立てましょう。
システム開発の過程では、仕様書には記載のない課題が多く発生します。ITベンダーが作成した課題管理表への回答と協議に積極的に参加し、プロジェクト全体のパフォーマンスが落ちないようにマネジメントしましょう。
5. ITベンダーとの信頼関係を築く
システム開発のプロジェクトを成功させるためには、ITベンダーとの信頼関係が重要です。
ITベンダーと信頼関係が築けていると、発注側で漏れていた仕様が見つかったときや想定外のトラブルが起こったときに、一緒に解決に動いてくれます。
信頼関係を築くためには、人と人とのコミュニケーションが重要です。契約書や仕様書でお互いの認識を合わせることも大切ですが、目的達成に向けて協力し合える関係性を築いていきましょう。
ベンダーマネジメントが求められる背景
ベンダーマネジメントが求められる背景は、以下のとおりです。
- ITの重要性が高まっている
- エンジニアが不足している
ITの重要性が高まっている
社会のIT化やDXのスピードは早まっており、ITを活用したビジネスモデルの構築は必要不可欠です。ITベンダーを活用することで、スピーディで効率的にシステム開発が実現できます。
ITベンダーのパフォーマンスが自社のビジネスに大きく影響するため、ベンダーマネジメントの重要性が高まっているのです。
エンジニアが不足している
ITが中心の社会になり、エンジニアの需要は高まっています。エンジニアの数が不足しており、自社で採用して抱え込むことが容易ではなくなりました。新卒採用からエンジニアを育てるのには時間と労力がかかります。
システム開発案件を自社で完結するのではなく、ITベンダーと共に進める方が現実的で効率的です。ITベンダーと共に目的を達成する手段として、ベンダーマネジメントが注目されるようになりました。
ベンダーマネジメントの活用ポイント
ベンダーマネジメントの活用ポイントは、以下の5つです。
- VMOを編成する
- 組織のゴールを設定する
- パートナーとなるベンダーを選定する
- プロジェクトごとに総括を実施する
- VMOの活動をIT化する
1. VMOを編成する
ベンダーマネジメントに特化した組織のことを「VMO(Vender Management Office)」といいます。ベンダーマネジメントの効果を最大限に発揮するためには、社内の組織にVMOを編成しましょう。
VMOの編成メンバーは、契約から発注・進捗管理・モチベーション管理・運営管理などのフェーズを通してマネジメントしましょう。ベンダーマネジメントに集中して取り組めるため、システム開発を成功に導きやすくなります。
社内にベンダーマネジメントのノウハウが蓄積するメリットもあります。ITベンダーの評価やベンダーマネジメントのフレームワークを構築し、継続的にシステム開発の品質を維持できるでしょう。
2. 組織のゴールを設定する
VMOのゴール設定をしましょう。システム開発で目指すべきゴールが社内のコスト削減なのか、新たな価値の創出なのかによって取り組み方が変わります。委託するITベンダーの選定にも影響するでしょう。
VMOのゴールが設定されていれば、プロジェクトの途中で課題が発生した際に軌道修正しやすくなります。例えば、スケジュールが遅延したときに、部分的にリリースすべきなのかスケジュールを見直すべきかなど迅速な判断ができるようになるでしょう。
3. パートナーとなるベンダーを選定する
パートナーとなるベンダーの選定は、ベンダーマネジメントを活かすための重要なポイントです。選定したITベンダーとは開発件名が終わるまでの長い付き合いになり、今後も取引が継続することがあるでしょう。
スキルや技術力の高さだけでITベンダーを選定するのではなく、自社の考え方に同意し協力体制が構築できるITベンダーを選定します。自社にITベンダー選定のガイドラインがあると、選定基準にブレが生じにくくなるでしょう。
4. プロジェクトごとに総括を実施する
プロジェクトが完了したときには、必ず総括を実施します。プロジェクト推進中に発生した課題の真因分析を行い、課題に対して取った対策を評価しましょう。VMOのベンダーマネジメント力が向上し、次のプロジェクトに活かせます。
5. VMOの活動をIT化する
VMOの活動自体を効率化するために、IT化の検討をします。
例えば、ベンダーマネジメントで得た知識やスキルをノウハウとして蓄積するために、専用データベースに格納する方法があります。今後のベンダーマネジメントに活かせる社内の財産として残せるでしょう。
ベンダーマネジメントの課題
IT化社会が進む中でベンダーマネジメントは、これからも注目される取り組みになるでしょう。ITベンダーの得意分野や特徴は多様化が進み、選定基準が難しくなっている課題があります。
経営層は価格が安いITベンダーを求めるでしょうし、現場から見れば安定して取引ができるITベンダーを求めます。常に同じITベンダーに発注すれば、品質は安定するのですが企業としての成長範囲は限られるでしょう。
継続した成長を実現するために、VMOによるIT化を推進し、会社としてITベンダーに何を求めるべきかを明確にしましょう。
まとめ
ベンダーマネジメントには、契約管理やリスク管理、モチベーション管理などが求められています。ITベンダーとの信頼関係を築くことが、ベンダーマネジメントではとても重要になるでしょう。
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2006年よりシステム開発を行う。ユーザビリティ重視のアジャイル開発を得意とする。大手監査法人に採用された翻訳支援アプリや教育用アプリ、EC サイト、顧客管理システム等の設計、開発を手掛ける。機械学習/AI を用いた開発も行っている。
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ちょうど家を新築する際には頻繁に顔を出して職人さんとの良好な関係を保つのと同じように、ベンダーとのやり取り一つ一つが良好な関係を築き上げるベンダーマネジメントとなります。
システム開発における VMO ではシステムを実際に使う人とのコミュニケーションも大切です。プロトタイプ作成時や各イテレーション終了時に、実際のユーザにシステムを使ってもらい、使いやすさを確認しましょう。
開発スタイルに応じて請負契約にするのか準委任契約にするのか決定し、双方が納得のいく契約を作成します。一般的に、ウォーターフォール開発には請負契約、アジャイル開発には準委任契約が向いているとされています。
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