オフショア開発の問題点とは?失敗事例から学ぶ成功のコツ

- オフショア開発のリスクが知りたい
- リスクを回避するコツが知りたい
オフショア開発の狙いは、利益追求によるコスト削減です。ITバブルまでの黎明期は中国がオフショア開発の最前線でした。しかし中国での人件費の高騰を受けて、コスト面での旨味がなくなります。そうなると、次のオフショア開発をどこで行うのかといった問題が出てくるのです。
それがインド、東南アジアといった国々へと推移していきます。安価な人件費を考えて『国替え』を行っていくと様々な問題に直面してしまいます。ここでは、オフショア開発においての失敗事例から成功に導く方法について解説していきます。
オフショア開発で実際に起きた失敗事例
オフショア開発は一部では成功しないといった声も聞こえてきます。オフショア開発は結局は委託案件であるため、国の内外を問わず外部に開発依頼を出すことは多少のリスクはつきものです。ここでは、オフショア開発でおきた失敗事例を2つご紹介します。
失敗事例(1)仕様書の読み間違いが発生
オフショア開発において留意しなくてはいけない点は、扱う言語の違いです。日本で設計したシステムは、当然日本語で作成されています。
それを英語などに翻訳することは可能ですが、オフショア開発を行うところは東南アジアがメインです。そうなると英語の通じるところならまだしも、日本と同様で英語力に乏しい国がほとんどでしょう。
そのため、現地の言葉に翻訳しなくてはいけないのですが、翻訳が謝っていたり表現が曖昧であったりすると、仕様書の読み間違いが発生してしまうのです。結果として意図とは違った成果物ができてしまいます。
失敗事例(2)ルーズな国民性で納期遅れが発生
日本は鉄道にも代表されるように時間通りに動く国民性です。それが日本の常識ですが、それが常に国外で通用するわけではありません。
オフショア開発地によっては時間にルーズな国民性で、納期に間に合わないといったことも起こります。そのようなこともリスクとしてしっかりと認識してオフショア開発を行う必要があります。
オフショア開発でよくでる問題点
オフショア開発には国内での開発と違って様々な問題点が浮き彫りになってきます。当然それらを考慮したうえでオフショア開発を進める必要があります。
問題点(1)コミュニケーションの壁
まず1つはコミュニケーションの壁です。これは母国語が違うのですから、言葉遣い1つをとっても現地の言葉に言い換えなくてはいけません。そこに言葉の齟齬が起きてしまうのです。一緒に仕事を進める上でコミュニケーションの壁をいかに無くしていくかが問われます。
問題点(2)文化の壁
元々の風土が違うのですから、カルチャーショックはどうしても起こりえます。このような文化の壁を考慮したオフショア開発をしなくてはいけません。郷に入れば郷に従う…相手に合わすのかこちらに合わせてもらうのか、さじ加減も重要になってくるのです。
問題点(3)時差
日本とオフショア開発地の経度が違えば、当然時差が発生します。この時差の差が、オフショア開発をする上で障壁となる場合もあります。常に現地時間というものを意識して、国内時間と対比していかなくてはいけません。
問題点(4)進捗管理の難しさ
国民性の違いから来る意識の違いがあらゆる面で見られます。仕事に対する完遂意識もそうです。1つ1つに納期を設け、進捗管理を徹底させる意識作りが大切となります。
オフショア開発の失敗原因
オフショア開発における永遠の課題とも言える失敗原因を2つ挙げてみます。オフショア開発が成功するか失敗するかはこの2点にかかっているといっていいでしょう。
失敗原因(1)コミュニケーション不足
国内開発においてもそうですが、コミュニケーション不足は絶対的に成果物が劣ります。分からないことは聞くこと、疑問点があればそれをクリアすることは、どのような開発においても絶対条件です。
オフショア開発においては言語の違いをクリアしなくてはならず、その点においてもコミュニケーションの不足は致命的なミスになりかねません。
失敗原因(2)現地開発のブラックボックス化
オフショア開発において成果物が良ければ万事良しということにはなりません。プログラムにおいてはバグがつきものですし、成果物の不具合に対しては迅速な対応が求められます。
その中で、現地開発がブラックボックス化していると、現地でどのような過程で開発が行われていたのかを把握することができません。結果として不具合に対する対応が後手に回り、信用を落としてしまうことにもなりかねません。
オフショア開発で失敗を回避するコツ
オフショア開発を成功させることで大きな利益をあげることになります。そのためにも、失敗を回避させるコツがあります。以下にオフショア開発を成功させる3つの点をご紹介します。
失敗回避のコツ(1)コミュニケーションを密に取る
失敗回避のコツの第一は、コミュニケーションを密に取ることです。それによって進捗状況を確認することができます。
成果物やゴールに近いところで間違いを発見するよりも、もっと早い時点で間違いに気がつくことができるのです。そのためにもコミュニケーションを円滑に取ることがオフショア開発には欠かせません。
オフショア開発地に自社スタッフを常駐させることも大切です。また、コミュニケーションをしっかり取るために現地訪問を欠かさず行うことが大切です。お土産をたくさんふるまうなどで現地開発スタッフの士気を高め、オフショア開発を成功に導いた事例もあります。
失敗回避のコツ(2)文化・商習慣の違いを理解する
文化や商習慣の違いは想定内です。しかし、想定の範囲外のことが起きることもあります。そのためにも、事前に文化・商習慣の違いをしっかりと理解し、何か起きてもしっかりと対処することが大切です。
まとめ
オフショア開発の目的はコスト削減による利益の追求です。しかし、そのためには多くのリスク管理が必要となります。
そのため、軽い気持ちでオフショア開発に乗り出して、やけどを負ってしまうこともあるかもしれません。オフショア開発をハイリスク・ハイリターンにするのか、ローリスク・ハイリターンにするのかは取り組み方1つで変わってくると言えるでしょう。
ここで、何度も挙げていますが、何よりもコミュニケーションが大切です。オフショア開発に終わりがないとすれば、コミュニケーションにかけた時間は無駄にはなりません。ノウハウは積み上げられ、より完成度の高い成果物を得ることができるようになるでしょう。
すでに、オフショア開発に参入して、多くの実績を残している企業があります。何もないところでゼロから参入するよりも、こういった企業の成功事例を参考にすることで、最初からトップスピードに近い形でオフショア開発に取り組むことができます。
オフショア開発のリスクを少しでも取り除きたい、失敗事例を知ることでオフショア開発に対する不安を払拭したいという方は、こちらのサイトを是非参考にしてください。

1976年生まれ、東北大学大学院工学研究科修了、グロービス経営大学院経営研究科修了。株式会社富士通に入社後、富士通研究所にて次世代ハードディスクの基礎研究に携わる。株式会社アイディーエスでは、営業部門、開発部門、管理部門等の部門長を経験し、現在は執行役員として各事業の戦略策定・実行支援を担当。2021年よりIDSVietnamのCEOに着任し、会社運営全般並びにオフショアラボビジネスの拡大を担当。

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初めてのオフショア開発では、「出来る」「分かった」を言葉通りに受け止めるべきではありません。言語の違いだけではなく、商習慣や文化の違いから、日本側で常識だと思っていることも全く理解されていないこともよくあります。
現場メンバーが「仕様が分からない」「教えてほしい」を素直に聞ける環境を作っていくことは、オフショア開発においても最も大事なことの一つだと言えるでしょう。
用語集の作成や定期的なQAMTGに加え、プロジェクトメンバー内で一番質問した人を人事制度上で評価するなど、一工夫すると活発な意見交換がされるようになるでしょう。
なお、チームビルディングを成立させるためには、タックマンモデルにあるストーミングと言われるプロセスを意図して発生させることも重要です。
コロナ禍ではやりにくいことかもしれませんが、プロジェクトのキックオフなど初期段階で日本とオフショア側で膝を突き合わせて、仕様やアーキテクチャについて喧々諤々の議論になるように誘導することも有効な手段の一つでしょう。