不動産コンサルタントとは?依頼できること・コンサルティング費用・注意点を解説!

有限会社兼子経営
監修者
有限会社兼子経営 代表取締役 兼子俊
最終更新日:2023年10月02日
不動産コンサルタントとは?依頼できること・コンサルティング費用・注意点を解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 不動産コンサルタントとは?どんなことを依頼できる?
  • 不動産コンサルタントに依頼した場合の報酬は?費用体系は?
  • 不動産コンサルタントに相談しても大丈夫?依頼する際の注意点は?

数ある資産のなかでも法律や税金が絡み合い、管理が複雑になりがちなのが不動産です。資産価値を高めていくためには、状況に応じて売買・活用・運用を適切に判断する不動産の知識が欠かせませんが、専門家ではない個人・法人では困難であることが現実。そんなときに頼れるのが、近年注目の高まる「不動産コンサルタント」です。

しかし、名前は聞いたことがあっても、不動産コンサルタントが何者なのか?信頼できるのか?不安を感じる方も多いでしょう。そこで本記事では、依頼できること・コンサルティング費用を含めた不動産コンサルタントの概要を徹底解説!依頼する際の注意点、失敗しない不動産コンサルタントの選び方も紹介していきます。

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不動産コンサルタントとは

不動産コンサルタントとは、不動産の売買・活用・運用に関する適切なアドバイスのできる不動産スペシャリストのこと。一般的には、不動産コンサルティング技能試験に合格し、「公認不動産コンサルティングマスター」として登録された人が「不動産コンサルタント」だとされています。

公認不動産コンサルティングマスターとしての認定・登録は、複雑化する不動産コンサルティングに必要な知識・能力を有した人物であることを証明するものです。士業などのような国家資格ではありませんが「公益財団法人 不動産流通推進センター」が国土交通大臣の登録を受けて実施する登録証明事業であるため、公的資格に準じた資格だといえます。

公認不動産コンサルティングマスターになるには

公認不動産コンサルティングマスターになるためには、高いハードルをクリアしなければなりません。大前提として、認定証を取得するための不動産コンサルティング技能試験を受けるには、以下の3つのうちいずれかの資格を所持している必要があります。

  • 宅地建物取引士
  • 不動産鑑定士
  • 一級建築士

さらに、合格率40〜45%といわれる技能試験をクリアしても、公認不動産コンサルティングマスターとして登録するためには、それぞれの資格に5年以上の実務経験が求められます。たとえば、宅地建物取引士の資格を取得すれば、技能試験自体は受験できますが、合格しても5年間の実務経験を積まなければ公認不動産コンサルティングマスターとして登録できません。

不動産コンサルタントを名乗るには、依頼主の利益を保護するための不動産に関連する深い知識とともに、実務を通じた豊富な経験が求められることがおわかりでしょう。

参照元は下記リンクをご覧ください。

不動産コンサルタントの種類

不動産コンサルタントの仕事は、不動産に関連する多種多様な顧客ニーズに対し、最適な解決策をアドバイスすること。ただし不動産コンサルタントは、以下の通り大きく2つに分類されます。

  • 「提案型」

    コンサルティングのみに徹します。相談後に契約を締結してから、提案内容を書面で提示するまでの業務になります。

  • 「実務型」

    提案した解決策の実行まで請け負います。進捗管理や手続きなどの業務実行も担当しており、実務型の場合は士業と連携した登記手続きまでを依頼できる場合もあります。

不動産コンサルティングも手がける経営コンサルティング会社では、提案から実務までを依頼できる場合が多くなりますが、どこまでを依頼したいのかを念頭に、対応範囲を確認しておくことが重要です。

不動産コンサルタントなら中立的なアドバイスが得られる

「不動産コンサルタントに頼らなくても、土地・建物などの不動産に関することなら不動産会社や建設会社でも相談できるのでは?」と、思う方がいるかもしれません。たしかに、不動産売買に関することなら不動産会社、建て替えやリフォームに関することなら建設会社に相談できるかもしれませんが、相談先によっては利害関係が生じる場合があります。

たとえば、売買を中心とした不動産会社に相談を持ちかければ、本来は有効活用が最適解となる土地であるにもかかわらず、売却を勧められることもあるでしょう。こうした客観性を欠いたアドバイスではなく、顧客の利益になる最善かつ中立的なアドバイスをできるのが不動産コンサルタントなのです。

これは、不動産コンサルティング業務が「不動産に関する専門的な知識・能力を活用し、公正かつ客観的な立場から、不動産の利用、取得、処分、管理、事業経営及び投資等について、不動産の物件・市場等の調査・分析等をもとに、依頼者が最善の選択や意思決定を行えるように企画、調整し、提案する業務」と定義づけられているからです。

不動産コンサルタントに依頼できること

それでは、不動産コンサルタントには、具体的にどのようなことを依頼できるのでしょうか?依頼先に応じて対応範囲は異なりますが、基本的には不動産に関連するすべてのことに関するアドバイスが得られます。代表的な例を以下の4つから紹介しておきましょう。

  • 不動産の売買サポート
  • 不動産相続・贈与のサポート
  • 不動産の有効活用サポート
  • 賃貸不動産の経営サポート

不動産の売買サポート

購入したい不動産物件の評価、売却にともなう不動産物件の客観的査定など、不動産の売買に関連するサポートを不動産コンサルタントに依頼できます。税務面に関するアドバイスや、売却を有利に進めるための進捗管理なども依頼可能。コンサルティングファームによっては、売り物件情報の案内や、投資家向けの不動産小口商品を案内できる場合もあります。

不動産相続・贈与のサポート

相続税対策・資産分割対策を含む、不動産の相続・贈与に関連するサポートも不動産コンサルタントに依頼可能です。贈与・譲渡・貸与を比較して、もっとも節税効果の高いプランをアドバイスするなど、不動産節税コンサルティングをサービス提供するファームも。

経営者個人の相続、事業承継に関連する不動産手続きなども依頼可能であり、近年では不動産相続を専門とする不動産コンサルタントも登場しています。

不動産の有効活用サポート

周辺調査・市場調査をもとにした、不動産の有効活用サポートも、不動産コンサルタントに依頼できる業務です。マンション・コンテナ・駐車場などの転用、太陽光発電や事業用貸地としての活用を提案できるほか、建徳コストの比較検討などに対応できるファームもあります。

賃貸不動産の経営サポート

アパート・マンションなど、賃貸不動産の経営サポートを提供する不動産コンサルタントも少なくありません。空室対策をはじめとした収益改善策の検討・提案や、修繕計画やリフォーム費用の検証・改善提案、管理会社や金融機関の妥当性検証・見直し提案などに対応可能です。

このほかにも、借地権の買取や譲渡案の策定、海外不動産取得による節税提案などに対応できる不動産コンサルタントも存在します。

不動産コンサルタントはCRE戦略に欠かせない存在

不動産は個人にとっても重要な資産ですが、法人にとっても、自社の企業価値を高めるために活用・運用したい重要な資産です。

このように、不動産を経営戦略として活用していくことを「CRE(Corporate Real Estate)戦略」といいますが、CRE戦略を展開していくためには法律・税金を含む不動産の専門知識が必要不可欠。企業財務や経営面にも秀でた不動産コンサルタントの存在は、CRE戦略にとって欠かせないといえるのです。

CRE戦略とはなにか

国土交通省の定義によれば、CRE戦略とは、企業不動産(Corporate Real Estate)を「企業価値向上」という観点から、経営戦略的視点に立って見直しを行い、不動産投資の効率性を最大限向上させていこうという考え方です。

たとえば、事業を展開していくうえで必要な不動産がある場合に、保有したほうがいいのか?賃借にしたほうがいいのか?といった判断を下すのもCRE戦略です。個々の企業によってCRE戦略のあり方は異なりますが、会社には必ず「本店という拠点」が必要となるため、不動産を数多く所有している企業のみが取り組むことではないのもCRE戦略の特徴です。

CREマネジメントサイクルとは

CRE戦略を成功させることによって、企業不動産の管理・運用に対する方針が明確になり、運用効率を検証することでコスト削減も実現できます。

しかし、自社内部の環境変化、市場動向の変動、法改正などの内部・外部要因により、一度策定したCRE戦略を定期的に見直していく必要があります。具体的には、「リサーチ」「プランニング」「プラクティス」「レビュー」「アクト」を繰り返す「CREマネジメントサイクル」の実行が提唱されているのです。

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出典は下記リンクをご覧ください。

CREマネジメントサイクルにおけるすべてのプロセスで、不動産コンサルタントが大きな役割を果たせるのです。

不動産コンサルタントの報酬・費用体系

それでは、実際に不動産コンサルタントに依頼した場合、支払うべき報酬はどのくらいなのでしょうか。一般的な以下の3つの費用体系とともに、不動産コンサルタントの報酬相場を紹介していきましょう。

  • 顧問契約
  • 時間制
  • 成果報酬型

顧問契約

士業などと同じように顧問契約を締結し、不動産コンサルタントが定期的に不動産に関する相談を受け付け、アドバイスするパターンです。一度策定したCRE戦略をもとに、長期的かつ継続したアドバイスが欲しい、といったケースで利用されることの多い契約形態だといえるでしょう。

不動産コンサルタントの報酬はコンサルティングファームによって異なりますが、一般的には月に一度程度の定期的なアドバイスとなる場合が多く、おおよそ年間10万円程度からといったところが相場感です。

時間制

簡単な相談・作業などを依頼したい際に、不動産コンサルタントが稼働した時間に応じて発生する形の報酬が時間制です。たとえば、プロジェクトとしてCRE戦略を立ち上げる前の相談、ある程度の方向性は決まっているが専門家のアドバイスが欲しい、などのケースで利用されます。

不動産コンサルタントとしての経験やスキル、相談の内容に応じて報酬は変動しますが、一般的には1時間あたり5,000円程度からといったところが相場感です。

また、時間制とは別に、依頼する案件に応じて報酬額が決められている、案件制を採用する不動産コンサルタントも少なくありません。たとえば、対象不動産の周辺調査・市場調査を書面にまとめるなどが案件として挙げられますが、少なくとも1案件5万円程度からといったところが相場感のようです。

成果報酬型

不動産コンサルティングの結果としての成果に応じ、報酬が発生する形となるのが成果報酬型であり、多くの不動産コンサルタントが採用する費用体系です。たとえば、不動産売買であれば、売買価格のパーセンテージで報酬額が決まることになり、一般的には5〜15%程度の水準に設定されることが多いようです。

成果の度合いに応じて報酬が発生するため、依頼する側としては安心できる費用体系だとはいえますが、コンサルティングの成果が必ずしも「金額」という明確な形で現れるわけではないことに注意が必要。不動産コンサルタントと事前にしっかり協議しておくことが重要です。

不動産コンサルティングを依頼する際の注意点

不動産コンサルタントとは何者なのか?どのような知識・経験を積んでいるのか?概要が理解できたとしても、これまでに関わりのなかった方であれば、依頼するのに不安を感じてしまうかもしれません。そんな不安を解消するため、不動産コンサルティングを依頼する際に、注意しておくべきポイントを以下の2つから紹介しておきます。

  • 契約内容・費用をしっかり確認
  • 不動産の知識を身に付けておく

契約内容・費用をしっかり確認

上述したように、不動産コンサルタントの費用体系や報酬は、依頼先のコンサルティングファームによって大きく異なります。費用体系が複雑化する傾向もあるため、契約書の内容・費用をしっかりと確認することが重要です。

特に、不動産コンサルタントでもっとも多いといわれる成果報酬型の場合は、なにを持って成果とするのか?成果報酬のパーセンテージはどのくらいなのか?思いがけずに高額な報酬を請求されないよう、チェックしておく必要があります。

不動産の知識を身に付けておく

本末転倒のように思えるかもしれませんが、不動産コンサルティングを依頼する側も、基本的な不動産の知識を身に付けておくべきです。不動産コンサルティング業務は、本来、依頼者が最善の選択や意思決定を行えるように企画、調整し、提案することではありますが、なかには自分自身や自社の利益を優先する不動産コンサルタントも存在するからです。

こうした悪質な不動産コンサルタントに対抗するためには、不動産に関する基本的な知識が必要不可欠。ムダにコンサルティング費用を支払わないためにも、相手のいいなりにならない程度の不動産知識を身に付けておくようにしましょう。

優良な不動産コンサルタントを選ぶには?

それでは、依頼者が最善の選択や意思決定を行えるように企画、調整し、提案できる、優良な不動産コンサルタントはどうやって選べばいいのでしょうか?不動産コンサルタントを選定する際の、ヒントとなるポイントを以下の2つから紹介しておきます。

  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • メリット・デメリットの両方を示せるか

コンサル会社についてもっと詳しく知りたい方は、下記リンクをご覧ください。

公認不動産コンサルティングマスター

まず大前提として、公認不動産コンサルティングマスターとして登録されている不動産コンサルタントなのか?認定証も含めて確認しておくことが重要です。一般的には、公認不動産コンサルティングマスターとして登録されている人を不動産コンサルタントと呼びますが、実際には公認登録されていなくても不動産コンサルタントを名乗る人もいるからです。

こうした「自称不動産コンサルタント」ほど、依頼者よりも自社の利益を優先する傾向があるため注意が必要。また、認定証を保有していても登録がまだであれば「登録できるほどの経験がない」ことを意味します。経験がすべてではないものの、適切なアドバイスができるかは未知数であるため、認定証を保有しているだけの不動産コンサルタントも避けるべきです。

メリット・デメリットの両方を示せるか

不動産コンサルタントが依頼者の利益になる、中立な立場でアドバイスしているかを見極めるためには、提案内容に対するメリット・デメリット、両方をキチンと示しているかを見るのがおすすめ。なぜなら、どのようなアクションを起こすにしても、メリット・デメリット・リスクがともなうからです。

自社の利益を優先したい不動産コンサルタントは、デメリットやリスクをあえて伝えない、という選択をする可能性が大きくなります。不動産コンサルタントが依頼者に寄り添った提案をしてくれているのかを見極めるためにも、不動産に関する基本的な知識を身に付けておくことが重要です。

まとめ

不動産コンサルタントとは何者なのか?なにを依頼できるのか?知りたい方に向け、本記事では、依頼できること・コンサルティング費用を含めた不動産コンサルタントの概要を解説するとともに、依頼する際の注意点、失敗しない不動産コンサルタントの選び方も紹介してきました。

不動産に関する豊富な知識・経験を持つ不動産コンサルタントは、CRE戦略も含む、不動産に関するあらゆることを相談できる心強い専門家です。しかし、大きな金額が動く不動産の活用は慎重にしたいもの。依頼者の利益を優先した中立な提案のできる、優良な不動産コンサルタントを選定することが重要です。

そんなとき「比較ビズ」なら、必要事項を入力する2分程度の手間で、優良な不動産コンサルタントが在籍するコンサルティングファームをスピーディーに探せます。どこのコンサルティングファームに相談すべきなのか?迷うようなことがあれば、是非利用してみてください。

監修者のコメント
有限会社兼子経営
代表取締役 兼子俊

埼玉大学電気工学科卒業、同専攻科修了後、製造業に勤務し、広島で中小企業診断士の資格取得を機にコンサルティング会社を起業する。現在起業より24年目になるが、当初は経営の営業、製造等の個別の機能、ISO取得等をコンサルティング支援しており、約十年経過後ISO関連事業を協力者に譲り、当初独立の目標であった経営・事業支援を中心に事業活動をはじめ現在に至る。この間広島中小企業診断協会の理事、専務理事、現中小企業基盤整備機構のチーフアドバイザー、中国経済産業局の事業評価委員などを務めた。特に経済産業局の事業評価委員の6年の経験はのちのコンサルティングに大きな影響をのこす。経済産業省中国経済産業局、財務省中国財務局の認定になる「経営革新等支援機関」として昨年再認定をいただき、活動している。個人としては中小企業診断士、ITコーディネータの資格を持ちコンサルティングに勤めている。

この記事は、不動産に関し、不動産コンサルタントの肩書を持つ専門家が国家資格を背景に活躍している状況が記述されています。中小企業の社長様は、個人としてかかわる相続だけでなく経営者としてかかわる事業承継についても不動産コンサルティングについて深く関連する機会を持っています。

さらに通常の経営においても不動産の積極活用の点で深く関連性があり、その優劣は経営に大きなインパクトを与えます。CRE(※1)戦略です。事業運営のみでなく資産運営を経営の大きな部分として認識し活用することです。

その際に不動産コンサルタントを利用する時には、不動産コンサルタントの資格保持者であることは大事なことですが、その具体的選択においてはまた難しい部分もあることも確かです。中小企業経営者が利用する場合のポイントは経営者マインド・知見を持つ不動産コンサルタントにめぐり合うことでしょうか。

使い方によっては事業の側面にプラスし資産運用の側面において経営に利点を期待することができると思われます。(※1)CREはCorporate Real Estateの略で企業不動産のこと。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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