シンクタンクとコンサルティングファームの違いとは?依頼先の選び方も紹介

最終更新日:2024年02月05日
シンクタンクとコンサルティングファームの違いとは?依頼先の選び方も紹介
この記事で解決できるお悩み
  • シンクタンクとコンサルティングファームの違いとは?
  • シンクタンクとコンサルティングファームの選び方とは?
  • シンクタンクとコンサルティングファームの代表例とは?

シンクタンクとコンサルティングファームの違いは、扱うテーマです。シンクタンクは社会や経済に関する問題を扱う一方、コンサルティングファームは企業経営に関する依頼に対応します。

この記事では、シンクタンクとコンサルティングファームの違いや選び方、代表例を紹介します。最後まで読めば、シンクタンクとコンサルティングファームへの理解が深まり、事業の成功につながるでしょう。

双方へ仕事の発注を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

シンクタンクとは

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シンクタンクとは社会問題や市場経済、公共政策などに関する調査や分析をおこなう研究機関です。各分野に精通した専門家が在籍しており、受注した案件内容に応じて担当者を配置します。

シンクタンクの主な顧客は官公庁です。経済格差や雇用創出、地域振興など、官公庁から依頼されたテーマに対して調査し、調査結果を報告します。近年は民間企業を対象にした経営コンサルティングを実施する機関も増えています。

コンサルティングファームとは

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コンサルティングファームとは、企業経営全般に関するアドバイスをおこなう企業です。競合他社の動向や依頼先の経営課題、市場ニーズなどを分析し、収支改善や安定経営に向けた解決策を提示します。

財務戦略の立案や中長期的な経営戦略の策定、資金調達など、特定の分野に特化しているコンサルティングファームがほとんどです。シンクタンクと異なり、多くのコンサルティングファームは策定した施策内容の実行支援までサービスに含んでいます。

シンクタンクとコンサルティングファームの違い

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以下5つの内容が、シンクタンクとコンサルティングファームの違いに該当します。

  • 顧客の担当部門
  • コンサルティングテーマ
  • 担当者に求められるスキル
  • ビジネスモデル
  • 仕事の進め方

1つひとつ内容をみていきましょう。

顧客の担当部門

シンクタンクの場合、特定の部署や部門先からの依頼が多くなります。官公庁または民間企業からの依頼を問わず、シンクタンクに依頼する場合は調査内容がある程度決まっているケースが多いためです。担当者は事業を統括する部門長と相談し、調査を進めていきます。

コンサルティングファームの場合、企業内で強い権限を持つ社長や役員から相談されるケースが一般的です。業績低迷の分析や収支改善の提案など、抽象的な相談内容が多く、商談を重ねながらコンサルティングテーマを決めていきます。

コンサルティングテーマ

シンクタンクは官公庁からの依頼がメインとなるため、社会や経済、環境問題などに対する調査報告や解決案の提示が求められます。

中小企業の新事業創出支援や地方都市のインフラ整備計画など、調査内容が明確なケースが多いです。調査結果をまとめた報告書は原則的に公開されています。

コンサルティングファームの場合、依頼内容が曖昧な状態で相談されるケースが珍しくありません。経営課題抽出や収支改善、中長期的な経営戦略立案など、抽象的な内容が多く、依頼先と相談しながら内容を詰めていきます。

依頼先の利益を守るため、サポートが終わった後もコンサルティングの内容は原則的に非公開です。

担当者に求められるスキル

シンクタンクに在籍する専門家に求められるスキルを以下にまとめました。

  • 専門的な知識や知見
  • 調査能力
  • 数値に対する分析力と理解力
  • 資料作成能力

シンクタンクは特定のテーマに関する詳細な調査を依頼されます。少子高齢化社会対策や地方都市のインフラ整備など、特定の分野に関する専門性の高い知識と知見が必要です。

継続的な受注を実現するには、専門用語を極力排除したわかりやすい報告書を作成しなければなりません。国内外のトレンドや市場動向を織り交ぜた報告書を作成できると、依頼先から高い評価が得られるでしょう。

コンサルタントは経営や営業、マーケティングなど、幅広い分野の知識が求められます。具体的な依頼内容が決まっていない場合も多く、コミュニケーション能力や課題発見力も必要です。

ビジネスモデル

シンクタンクは官公庁から公示されたテーマに対して現状の課題や解決策、報酬金額などを提示し、総合的に高い評価を得た機関が案件を受注できます。受注後は依頼されたテーマに関して調査し、調査結果を報告書にまとめて報酬を得る流れです。

報酬は案件単位で、人件費や調査費にどのくらいの費用がかかっているか、依頼先に内訳を開示する必要はありません。

コンサルティングファームの場合、依頼先は主に民間企業です。商談で契約期間を定め、コンサルタントの単価×人数×契約期間で費用を算出します。契約期間は6カ月〜1年が相場です。

仕事の進め方

シンクタンクは数人がチームを組んで、調査や分析を進めます。依頼先からの要望に対してさまざまな角度から分析し、わかりやすい報告書を作成することが仕事です。

入札での受注金額を超えない限り、担当者の数を制限する必要はありません。専門性の高い調査を実施するため、個々の得意分野やスキルに応じて役割を分担するケースも多いです。チームとして動くため、協調性が求められます。

コンサルティングファームの場合、担当コンサルタントが1人で幅広い業務を担当するのが一般的です。担当者が増えるほど費用が高騰するため、人員を多く割けません。業務負担や責任は大きいものの、比較的自由に業務を進められます。

シンクタンクとコンサルティングファームの選び方

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シンクタンクとコンサルティングファーム、どちらに依頼するか迷っている場合、以下4つのポイントを意識することが重要です。

  • 依頼内容を自力で整理できるか
  • 改善策の実行支援が必要か
  • 得意分野と依頼内容があっているか
  • 隙間時間を活用して依頼先を探せるか

どちらを選択する場合でも、外注先の選定前に依頼したい内容を1度整理しましょう。依頼内容がある程度絞れた場合は、民間企業に対応したシンクタンクを選択します。

依頼内容が絞り切れない場合、客観的な視点から課題抽出を依頼したい場合は、コンサルティングファームを選びましょう。

依頼内容を自力で整理できるか

調査内容を事前に明確にできるかが、1つのポイントです。民間企業へのコンサルティングに対応したシンクタンクに依頼する場合でも、調査内容をある程度決めておく必要があります。シンクタンクは調査力と分析力に優れていますが、テーマが決まっていないと特徴を活かせません。

仮にテーマが曖昧な状態で調査を依頼した場合、調査報告書の内容に専門的な知識は十分反映されていないでしょう。

依頼したい内容を自力で整理できなかった場合、コンサルティングファームに依頼します。コンサルタントは、コミュニケーション能力や課題発見力に優れた方が多いです。客観的な視点から自社の経営課題や経営資源、強みを分析してもらえます。

改善策の実行支援が必要か

課題解決に向けた提案が提示された後、自社だけで施策内容を実行できるか、判断することも重要です。シンクタンクの場合、依頼内容への調査と提案までしか基本的に対応していません。

コンサルティングファームの場合は経営戦略の立案に留まらず、提案した内容の実行支援まで対応が望めます。担当コンサルタントが従業員と共に現場で動いてもらえると、経営課題を早期に解決できる可能性が高まるでしょう。

シンクタンクとコンサルティングファーム、どちらに依頼するかを決める前に、依頼内容の範囲を明確化することが重要です。

得意分野と依頼内容があっているか

シンクタンクとコンサルティングファーム、どちらを選ぶ場合でも得意分野を把握しておく必要があります。すべての分野を高いレベルで対応している機関や企業はほとんどありません。シンクタンクは社会や経済、教育問題など、特定の分野に精通した人材が多数在籍しています。

コンサルティングファームも市場分析や資金調達、M&Aなど、特定の分野に特化しているケースが多いです。良質な提案を得るため、依頼先の得意分野や実績をホームページ上で確認しておきましょう。

ホームページ上に情報が掲載されていない場合は、商談の際に過去の実績や事例を確認します。

隙間時間を活用して依頼先を探せるか

ミスマッチを防ぐには、一定の時間を割いて依頼先を選定することが重要です。本業が忙しいと、調査に十分な時間を確保できないでしょう。短時間で多くの情報を集めるには、ビジネスマッチングを活用するのがおすすめです。

ビジネスマッチングとは、地域や業種など必要な情報を入力すると、条件に合致した企業が提示される仕組みです。得意分野や対応可能な業務、料金など、各企業の特徴がコンパクトにまとめられており、効率的に情報を収取できるしょう。

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シンクタンクとコンサルティングファームの代表例

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シンクタンクは政府系や金融機関系、証券会社系など、4種類に分類できます。各タイプの概要と代表的な機関を以下の表にまとめました。

  政府系 金融系 証券会社系 企業系
概要 ・国や地方自治体から案件を受注 ・銀行経営に関して調査を実施 ・金融や流通に関する調査を実施 ・企業経営に関する調査を実施
主な企業 ・経済社会総合研究所
・日本経済研究所
・みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
・三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
・株式会社野村総合研究所/NRI
・株式会社大和総研
・株式会社損保ジャパン総合研究所
・株式会社第一生命経済研究所

政府系以外のシンクタンクは、いずれも知名度が高い大手企業のグループ企業です。豊富な資金力と知名度を活用し、幅広い分野に関する調査を実施しています。

コンサルティングファームも戦略系や総合系など、大きく6種類に分類が可能です。各タイプの特徴や代表的な企業を以下の表にまとめました。

  戦略系 総合系 財務系 組織・人事系 再生系 医療系
概要 ・経営戦略の立案やアドバイスを実施
・新事業参入支援や成長戦略策定に強み
・企業経営に関する幅広い要望に対応
・比較的規模が大きい企業が多い傾向
・事業再生やM&A支援などに強み ・社員の能力開発や人事制度再編などに強み ・事業収益やキャッシュフロー改善などに強み ・病院や介護施設に特化したサービスを提供
主な企業 ・株式会社ボストンコンサルティンググループ
・マッキンゼーアンドカンパニーインコーポレイテッドジャパン
・アクセンチュア株式会社
・デロイトトーマツコンサルティング合同会社
・株式会社シグマクシス
・アドバンストビジネスダイレクションズ株式会社
・日本M&Aセンター
・有限責任監査法人トーマツ
・PwCコンサルティング合同会社
・マーサージャパン株式会社
・EYジャパン合同会社
・山田コンサルティンググループ株式会社
・株式会社AGSコンサルティング
・みそうパートナーズ株式会社
・株式会社ケアマックス
・株式会社CDIメディカル
・日本メディカルシステム株式会社

各タイプの特徴を把握したうえで、依頼先を選定しましょう。

まとめ

今回の記事では以下の3点に関して述べてきました。

  • シンクタンクとコンサルティングファームの違い
  • シンクタンクとコンサルティングファームの選び方
  • シンクタンクとコンサルティングファームの代表例

シンクタンクとコンサルティングファームは、ビジネスモデルやコンサルティングテーマなど、さまざまな点が異なります。

依頼先の選定ではミスマッチを避けるため、調査内容の整理や得意分野の確認など、複数の点に気を配らなければなりません。本業が忙しいと、事前準備に十分な時間を割けないでしょう。

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比較ビズ編集部
執筆者

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