システム運用・保守とは?業務内容・依頼先選びのポイントを徹底解説!
- システム運用とシステム保守の違いはなに?
- システム保守の重要性・業務内容は?
- 依頼先を選ぶ際のポイントはある?
「システム運用と保守の違いがわからない…」という方必見!
この記事ではシステム運用・保守の依頼を考えている方に向けて、システム運用・保守の重要性を解説します。
最後まで読めば、システム運用・保守についての理解が深まります。
依頼にあたっての注意点や業者選びのポイントについても解説するので、依頼先選びに不安がある方はぜひ参考にしてください。
システム保守とは?
システム保守の役割は、ソフトウェアやハードウェアに発生する障害やトラブルに対応し、再発させないよう改善していくことです。
システム保守の業務は、ITシステムに発生した障害・トラブルの原因を究明し復旧すると同時に、継続的な改善でシステムを安定稼働させていくというものになります。
突然の障害・トラブルへ迅速に対応する必要があるため、システム保守ではソフトウェアに対する深い知識が必要です。
システム保守とシステム運用の違い
システム保守とシステム運用でもっとも異なる点は「システムに改変を加えるかどうか」です。システム運用の一環としてセキュリティパッチを当てる場合はありますが、基本的に運用は監視業務が中心となります。
システム保守は、修正・復旧の過程でシステムの変更やバグの修正といったシステム改善も業務の範疇となります。システムへの機能追加もシステム保守で実施される場合があります
システム保守は運用との連携が重要
システム保守業務をスムーズに進めるためには、その前提となる「障害・トラブルを迅速に発見・検知する」システム運用との連携が欠かせません。
システムを安定稼働させるためには、システム保守・システム運用を個別に捉えるのではなく、セットで考える意識を持ちましょう。
システム運用・保守の重要性
システム運用・保守には大きく分けて以下の2つの役割があります。
- ビジネスの機会損失を防げる
- ユーザーからの信頼の安定
システムの監視でトラブルを未然に防ぐ運用、万一の障害に迅速に対応する保守の両方が揃ってこそ、スムーズな業務遂行が実現できるのです。
ビジネスの機会損失を防げる
ITシステムを安定稼働させることで、貴重なビジネスの機会損失を防げます。
ITシステムは開発・構築が目的ではなく、安定稼働によって業務効率化を図り、生産性を向上させることが目的です。
システムがダウンしてしまうと、ダウン中の収益やユーザーの利用が見込めないため、システムの運用・保守は重要と言えます。
ユーザーからの信頼の安定
システムダウンは管理・システム強度の脆弱性がユーザーに伝わってしまい、ユーザーからの信頼を失ってしまう可能性があります。
24時間365日稼働のWebサービスであれば特に、システムの運用・保守を徹底し、ユーザーからの信頼を安定させることを意識しましょう。
システム運用・保守の具体的な業務内容
システム運用・保守の具体的な業務内容と、運用と保守の区分は以下の通りです。
業務内容 | 担当 |
---|---|
システム監視 | システム運用 |
セキュリティパッチ | システム運用 |
サーバ再起動 | システム運用 |
バックアップ | システム運用 |
エスカレーション | システム運用 |
障害・トラブルの原因究明 | システム保守 |
障害・トラブルの修正・復旧 | システム保守 |
システムの改善・拡張 | システム保守 |
システム保守・運用に関する詳しい業務の区分は企業によって異なりますが、自社のリソースでまかなえるのかといった具体的なイメージをしていきましょう。
1. システム運用・保守の設計
トラブルを未然に防ぎ、万一の対応を迅速に実行するためには、システム運用保守業務をスムーズに実行するための「運用設計」が非常に重要となります。
運用設計を立てる際は以下の3点を意識しましょう。
- どのような監視体制を整えるか
- 障害を発見した際にどう対応するか
- だれがどのような役割を担うのか
システムを最大限に活用するためには、システムを深く理解できる技術力・設計・運用・保守までトータルに担える対応力が必要です。
2. システムの監視
運用保守の基本となる業務は「システム監視」です。業務システム・WEBシステムなどのソフトウェアだけでなく、サーバ・ストレージ・ネットワーク機器などのハードウェアも監視の対象です。
システム監視の主な業務は以下の3つとなります。
- システム・アプリケーションログの取得・確認
- 外部からPINGコマンドを送ってサーバの応答を確認する「死活監視」
- ハードウェアの稼働状況に応じてマシンルームの温度を管理
24時間365日体制で人力監視を検討している場合は、6名以上のスタッフによるシフト体制が必要でしょう。
3. システムの定期メンテナンス・バックアップ
ITシステムを安定的に稼働させるには、運用設計で作成された手順書に従い、スケジュール通りのサーバー管理が必要です。
システムの定期メンテナンス・バックアップの主な業務は以下の3つとなります。
- セキュリティパッチの適用
- メンテナンス・サーバの再起動
- バックアップなどの定期運用
万一の場合を考えて、データのバックアップは定期的に取るようにスケジューリングしておきましょう。
4. トラブル時のエスカレーション
システム運用保守の手順書は「一次対応・二次対応の二段階」に分かれているのが一般的です。
障害・トラブルの予兆が検出された場合、一次対応の手順書に従って対処しますが、解決できなければ二次対応の手順書に従い「エスカレーション」を行います。
エスカレーションとは、企業内での上位者へ判断や指示を仰ぐこと、対応を要請することです。
システム運用保守では「クライアントへの報告」「保守への報告・引き継ぎ」が該当します。
5. トラブルの原因究明・復旧・修正
エスカレーションを受けたシステム保守担当は、クライアントと連携しながら障害・トラブルの原因究明・復旧・修正を実施します。
不具合の範囲や発生日時、経緯を踏まえながら復旧方法を策定し、クライアントの了解が得られた時点で作業を開始するのが一般的な流れです。
ここでも、システム運用・システム保守の連携が重要であることがわかります。
6. システムアップデート・機能改善・拡張
システムの改善方法を策定し、クライアントに提案したうえで改修作業を実施することもシステム保守の業務です。
障害・トラブル発生時は復旧が最優先されるため、根本的な不具合の解消にはならない場合もあります。
大掛かりなシステム改修・機能追加にはならない場合がほとんどです。システムやミドルウェアのアップデートなどは、保守によって定期的に実施されます。
システム運用・保守の依頼先3選
- システム開発会社
- MSP(マネージドサービスプロバイダ)
- フリーランス
業務内容が多岐に渡るシステム運用保守ですが、24時間365日の稼働が求められる近年のITシステムでは、これらを自社内で賄うのは現実的ではありません。
監視自動化・システム運用保守を外部事業者に依頼し、コストダウンを図る企業が現在ではほとんどです。
1. システム開発会社
システム開発会社であれば、開発だけでなくシステムの運用・保守まで依頼可能です。
一般的なシステム開発会社は、開発チームと運用・保守チームにエンジニアを分散させ、どちらにも対応できますので、安心して依頼できます。
自社システムの開発に携わったシステム開発会社に依頼すれば、安定的に稼働させるための運用設計も最適化できるでしょう。
2. MSP(マネージドサービスプロバイダ)
「MSP(マネージドサービスプロバイダ)」とは、運用・保守を専門にした事業を展開する企業です。
専門の事業者として、様々なシステムを監視・運用・保守できるノウハウを持つ企業が多く、ニーズに応じたサービスを選べるのが最大のメリットと言えます。
依頼の際に必要なサービスだけに絞れば、システム運用・保守のコストを最適化できる点も大きな特徴です。
3. フリーランス
クラウドーソージングを利用して、システムの運用・保守をフリーランスとして活動する方に依頼できます。
フリーランスに依頼する場合、比較的気軽に費用の相談が可能な点・個人的なコミュニケーションが取りやすい点がメリットです。
一方で、スキルの差が顕著に出るため、依頼先の実績・経歴をしっかりと確認して決めましょう。
システム運用・保守は依頼先選びが重要
システム開発会社・MSP・フリーランスにシステム運用保守を依頼するにしても、依頼先選びが非常に重要です。
システム運用・保守は初めの依頼先選びが重要な理由は、以下の2点となります。
- システム運用・保守の契約は準委任契約
- 準委任契約では賠償責任を問えない
依頼先を間違えないためにも、システム運用・保守契約の基本を理解しておきましょう。
システム運用・保守の契約は準委任契約
システム運用保守は「準委任契約」であり、システム開発のような「請負契約」ではありません。成果物が存在する請負契約と、存在しない準委任契約では内容が大きく異なります。
準委任契約では成果物がないため「役務」を提供するのが基本であり、「役務の遂行」には明確な指標がありません。
その為、システム運用保守契約では、依頼した側が役務を果たされていると感じられなくても中途解約が難しいという一面があります。
準委任契約では賠償責任を問えない
準委任契約では賠償責任を問えず、万一の場合があった場合に依頼者が損をしてしまいます。
請負契約では、成果物である「システム」に不具合・不備があった場合、業務を請け負った側に修正・賠償責任が生じます。
一方で準委任契約では、役務をしっかりと果たしていると認められてしまうと、賠償責任を問えないというリスクが発生します。
システム運用・保守を依頼する際の5つのポイント
システム運用・保守を依頼する際のポイントは、以下の5点です。
- システム運用・保守の「対象範囲」を明確にする
- システム運用・保守の「対象業務」を明確にするシステム運用・保守の対象業務を明確にする
- 費用と予算を擦り合わせる
- 契約期間・自動更新の条項を確認する
- 様々な業者を比較する
役務を果たしてくれる事業者かどうかの判断は、契約交渉の際に見極めが重要です。
1. システム運用・保守の「対象範囲」を明確にする
システム運用・保守の依頼をする際は、どこまでの範囲を依頼するのかといった、依頼の対象を明確にすることが重要です。
ITシステムはソフトウェア・ハードウェアで構成される複雑なものであり、事業者によってシステム運用・システム保守の切り分けも異なります。依頼側と受託側の区分けの認識が異なれば、後々のトラブルにつながってしまう可能性があります。
漠然とシステム全体を依頼するのではなく、オプションも含めて依頼する対象範囲を明確にしておきましょう。連携する他システムやアップデート後の対応も含むのかなど、細かく確認することが大切です。
2. システム運用・保守の「対象業務」を明確にする
どのような業務を依頼するのか、システム運用保守の対象業務を明確にすることが重要です。
システム運用保守の業務は、運用設計からシステム改善まで多岐に渡ります。漠然と運用・保守を依頼しただけでは、あとから思わぬ追加費用を請求され可能性があります。
前提条件の食い違い・契約上のトラブルを避けるために、依頼の際の対象業務は明確にしておきましょう。
3. 費用と予算を擦り合わせる
依頼の際は先に費用を算出し、用意する予算と擦り合わせることが重要です。
システム運用保守の費用は「月額定額制」が主流ですが、人員・工数の単価を元に費用を算出する場合や、インスタンス(事象)ごとの単価が決められている場合もあります。
ケースごとにシミュレーションしてもらいながら、どのパターンが自社にマッチしているのかを検討しましょう。
4. 契約期間・自動更新の条項を確認する
システム運用保守の契約期間は比較的長期であるため、契約期間・自動更新の条項を確認することが重要です。
発注側としては運用・保守の品質が低ければ、依頼先を変更する必要性が出てきます。契約の自動更新の条項が盛り込まれていることも多く、依頼先の変更は簡単ではありません。
契約内容を確認し、自社が不利益にならない特例を設けるよう、契約段階で積極的に働きかけましょう。
5. 様々な業者を比較する
システム運用・保守の依頼先を選ぶ際に、複数の企業を比較せずに選んでしまうと失敗する可能性が高くなります。
業者によって、対応業務範囲・費用・アフターサポートの仕様が異なるため、自社に合ったサービスを提供する企業を比較して選びましょう。
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まとめ
システム保守の重要性や具体的な作業内容・運用との違いなど、システム保守の基本を解説するとともに、システム運用保守契約を結ぶ際のポイントを紹介してきました。
契約先の変更が難しく、自社でまかなうのが現実的ではないシステム運用保守は、優良な依頼先を選定するのが重要です。
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システム開発したら、必ずシステムの運用、保守は必要になってきます。システムにバグはつきものですし、ハードウェアの障害もいつかは起こります。そうなった時に出来る限りシステムダウンの時間を縮める事が出来るようにシステムの運用保守は必要です。
最近ではツールを使ったシステムの死活監視などが一般的になっていますが、死活監視だけではその後の対応が出来ません。かならず問題が起こった場合の対応の手順書などを用意しておく必要もあるでしょう。
システムの運用保守にはさまざまな業者がいますが、基本的には開発したシステム会社に、それを担当出来るリソースがあるのかを開発前に確認しましょう。開発は出来るけど、運用は出来ないなんて会社も実際にはあります。
また、システム自体をフルスクラッチで開発するのではなく、ASPなどで提供しているものを活用すれば、システムの保守運用はASPで行ってもらえますので安心です。