ホームページ制作会社に見積もりをしてみたら「3.6倍」もの差があった件

実際に見積もりを取ってみたシリーズの第1弾はホームページ制作会社様に、コーポレートサイトの一括見積り依頼をしてみました。比較ビズ出展者様のご協力のもと作成してるため、ホームページ作成費用がわからない方や、見積もりを取られる際の参考として楽しんで頂ければ幸いです。
他の見積書解説の記事
こんな感じで見積もり依頼をしてみた
目的 | 自社の会社紹介サイトを新規作成したい |
---|---|
予算 | 100万円以内 |
業種 | 製造業 |
ページ数 | 5〜10ページ |
掲載したい内容 | 会社概要・製品案内・採用情報・問合せフォーム |
更新頻度 | 年に2〜3回 |
デザイン案の有無 | 無し |
素材の有無 | 無し |
原稿の有無 | これから用意する予定 |
スマホ対応 | スマホ対応したい |
上記の内容で、比較ビズに掲載しているホームページ制作会社に、今回の趣旨を伝えた上で見積もり依頼をお願いしました。記事にする際に社名を書いてしまうと、見積もり金額を安くする可能性があったので、匿名で、見積書を一部公開してもOKという企業様にご協力頂きました。
見積もりしてみた結果
東京都内のホームページ制作会社5社に見積もり依頼をし、見積もり金額と提案が良い感じにバラけた3社に絞って色々と解説していきたいと思います。
各社の見積もり金額と提案内容
A社 | B社 | C社 | |
---|---|---|---|
見積もり金額 | 80万円 | 56万円 | 22万円 |
提案内容 | Wordpressでの提案 | オーダーメイドでの提案 | テンプレートデザインでの提案 |
所在地 | 新宿区 | 港区 | 千代田区 |
従業員数 | 53名 | 8名 | 4名 |
それでは各社の詳細な見積もりや提案を見ていきましょう!
A社(東京都新宿区)
新宿区に事務所を構える、業界でもそこそこ大手のホームページ制作会社です。成果に拘るホームページ作成を行っており、打ち合わせ時に「ホームページを作って何をしたいのか」を明確にするため、クライアントと打ち合わせを重ね、どういうホームページにするのかを決めています。
A社の見積書
A社はWordpressでの提案内容で、ホームページ作成の見積もり金額は約80万円となりました。
結構するなぁ...という印象ですが、以下に実際に貰った見積書を文字に起こしました。
■ A社のホームページ制作費用の内訳 | |
---|---|
ディレクション費 | 150,000円 |
ヒアリング | (50,000円) |
企画・調査 | (100,000円) |
デザイン | 200,000円 |
トップページデザイン | (150,000円) |
下層ページのデザイン | (50,000円) |
素材購入費 | 20,000円 |
Wordpressの導入費 | 270,000円 |
Wordpressのインストール | (10,000円) |
Wordpressのテーマ作成(トップページ) | (70,000円) |
Wordpressのテーマ作成(下層ページ) | (150,000円) |
プラグインの導入(入力支援・スパム対策・バックアップ) | (20,000円) |
問合せフォームの設置 | (20,000円) |
レスポンシブ対応 | 50,000円 |
サーバー・ドメイン設定 | 20,000円 |
運用・保守料 | 30,000円/月 |
小計 | 740,000円 |
消費税 | 59,200円 |
合計 | 799,200円 |
見積書の解説
Wordpressとは誰でも簡単にページの追加・更新ができるフリーソフトです。(詳細はWordPressのメリット・デメリット【意外な落とし穴も】をご覧ください。)Wordpressのテーマ作成とはHTML・CSSの作成と、原稿の流し込み作業が含まれます。トップページと比べて下層ページの方が料金体系が高いのは、単純に下層ページの方がページ数が多いためです。
レスポンシブ対応とはスマホに対応するための一つの方法で、見るデバイスによってページのデザインが変わるような仕組みになっています。
運用・保守料金内でWordpressの管理画面の使い方の説明や、クライアントから要望があればWordpressの最新へのアップデートといったことを行うようで、ページの更新に関しては基本的にクライアント側でやってもらう前提で、A社にページ更新を依頼する場合は別途費用が掛かるようです。
見積り金額が一番高かったA社に訪問し、表向きの営業トークだけでなく、業界の裏話的な内容など、色々なことをお伺いしました。
A社へのインタビュー内容
A社はページをクライアント自身が更新できる「Wordpress」での制作を提案しています。
Wordpressはフリーソフトですが、導入するためにはデータベースが必要で、PHPという言語で書かれています。素人ではカスタム(レイアウトの変更等)が難しいという特徴がありますが、簡単にページを作成・更新できるというメリットがあります。
Wordpressの導入は少しハードルが高く、色々な設定が必要なため、導入しない場合と比べて費用が高くなるので、A社の見積もりが一番高額になっているようです。
ただ自分自身でページの作成・更新ができるので、イニシャルコストは高くても、ランニングコストで見れば意外と安いかもしれません。「年に2,3回の更新頻度なのに、Wordpressが必要なの?」と思うかもしれませんが、A社は今後の拡張性のことも考えて提案をしたとのことです。大手ならではの考え方とも言えるでしょう。
「運用・保守料」は3万円ですが、アクセス解析ツールは導入してくれるものの、レポート作成やSEO対策といった+αの提案はしてくれないようで、別途費用が掛かるようです。
A社に依頼するメリット
- 結果に拘ったホームページを制作してくれる
- 大きい会社なので何かあったとき安心
- Wordpressを導入するので自社で簡単に更新できる
A社に依頼するデメリット
- 見積り金額が高額で納期が長い
- 着手金として半金を納品前に入金する必要がある
B社(東京都港区)
港区に事務所を構えるB社は今年で起業して15年目になり、社員が8名と少数精鋭の体制で、営業をメインで行っているのは1名しかいないようです。医療・製造業に特化したホームページ作成を行っており、実績も500サイトを超えています。
B社の見積書
B社のホームページ作成の見積り金額は約56万円となりました。
B社は、A社とC社のちょうど中間の見積り金額となり、他のホームページ制作会社もだいたい50万円くらいだったので相場はこのくらいでしょう。
■ B社のホームページ制作費用の内訳 | |
---|---|
ディレクション費 | 85,000円 |
デザイン | 150,000円 |
トップページデザイン | (90,000円) |
下層ページのデザイン | (60,000円) |
素材購入費 | 20,000円 |
コーディング | 200,000円 |
トップページのコーディング | (50,000円) |
下層ページのコーディング | (150,000円) |
お問い合せフォーム | 40,000円 |
サーバー・ドメイン設定 | 20,000円 |
小計 | 515,000円 |
消費税 | 41,200円 |
合計 | 556,200円 |
見積書の解説
A社と違いWordpressを導入しない見積書となっており、全体的に費用がA社より安めとなっています。月に3回までのページの追加・更新を無料で受け付ける代わりに「保守・運用費」を毎月請求しているようで、クライアント自身でページを更新したいと要望があった場合は、値引きをしているようです。
「素材購入費」とは高画質な写真を提供しているサービスから、トップページに掲載する写真を購入するための費用で、もしクライアント側で用意できる場合は費用が掛かりません。
また、クライアントが写真撮影をお願いした場合、カメラマンを派遣する必要があるので、別途費用が掛かるようです。この辺りはA社B社問わず同じようです。
B社へのインタビュー内容
今回ご提案頂いた見積もりの内容は、Wordpressを導入しない前提で、理由を聞くと「製造業の会社サイトは更新頻度が高くないので、基本的に必要ない」という回答を頂きました。導入する場合はだいたい10万円くらいを追加した金額になるとのことです。
B社は製造業界のホームページを多数作成した実績があり、例えクライアントがWordpressを望んでいても、納品したら結局誰も使っていなかったというケースが多かったため、規模が小さい会社にはWordpressを提案しないようにしているようです。業界知識があるB社ならではの提案でしょう。
B社にWordpressを導入するかしないかの境界線を伺ったところ、毎月1回更新するなら導入を検討するようで、その場合もWordpressを導入するパターンとしないパターンとで見積もりを出すようです。
また、数年前まではクラウドソーシングの影響により、ホームページ制作を20万円台で依頼してくるような方が相次ぎ、「とてもじゃないが受けれない」という状況が続いていたようです。
しかし最近は適切な料金相場に戻りつつあり、見積もりも50万円程度で通っているようです。20万円台でも作れないことはないみたいですが、営業の人件費分を考慮すると割に合わないため、お断りをしているようです。
また一番人件費が掛かる部分はデザイン案の作成らしく、他のクライアントの対応に追われている時は、デザイン案だけクラウドソーシングで外注し、クライアントからの修正は自社のデザイナーが行うという形を取っています。
デザイン案の修正回数は最大3回までとなっており、3案の中から決めてもらう形になります。これはA社も同じでした。
毎月安定的に売上が計上できる「保守・運用費」が重要な収入源になっているとのことで、クライアントとの関係性が途切れないよう、Google Analyticsを利用してアクセス解析のレポート等を定期的に行い、SEO(検索エンジン対策)やリスティング広告などを積極的に提案しています。
B社に依頼するメリット
- 見積もり金額が一般的な料金相場
- 自社の業界(製造業)に特化した実績が多い
- 距離感が近いので相談しやすい
B社に依頼するデメリット
- 自社でページ更新を行う場合、HTML知識がないとできない
- 着手金として半金を納品前に入金する必要がある
C社(東京都千代田区)
千代田区に事務所を構えるC社は最近個人事業主から法人登記したばかりで、従業員数も代表含め4名と非常に少人数の会社です。予めデザインされたホームページをテンプレートデザインと呼びますが、C社はテンプレを多数保有しており、デザインの工数を最小限に抑えることにより、格安な料金体系を実現しています。
C社の見積書
C社のホームページ作成の見積もり金額は約22万円となり、なんとA社と比べて3.6倍もの差となりました!
■ C社のホームページ制作費用の内訳 | |
---|---|
ディレクション費 | 30,000円 |
テンプレートの当て込み作業 | 150,000円 |
素材購入費 | 10,000円 |
サーバー・ドメイン設定 | 10,000円 |
保守・運用費 | 5,000円/月 |
小計 | 205,000円 |
消費税 | 16,400円 |
合計 | 221,400円 |
見積書の解説
C社はテンプレートデザインでの見積もりなので、オリジナルデザインの場合は見積もりが変わるようです。
テンプレートデザインとは、既に完成されたホームページに、文章を流し込み、見出しの画像を入れ替えて完成させるような仕組みで、制作会社側の手間を大幅に削減することができます。
オリジナルデザインとは、クライアントが望むようなデザインを作成することで、一般的なホームページはほとんどオリジナルデザインと言えます。デザインに特にこだわりがないような方はテンプレートデザインにすることにより、金額が安いだけでなく、制作会社側は文字を流し込む(テンプレートの当て込み作業)だけで完成するので、納品が短いというメリットがあります。
デメリットとしては、指定されたデザインの中からしか選べない、デザインを変更する場合に費用が掛かる、ドメイン・サーバーが制限される場合がある、競合他社とデザインが似てしまう可能性がある、検索で上位表示しづらい可能性がある、といったところでしょう。
C社には直接お伺いしてお話しを聞くことができませんでしたが、「とりあえず形式だけでもホームページが欲しい」「とにかく安くホームページを作りたい」といったような方は、C社が提案したようなテンプレートデザインにするのもありでしょう。
C社に依頼するメリット
- 見積もり金額がかなり安い
- 納期が短い
- 入金は納品後でもOK
C社に依頼するデメリット
- テンプレートデザインなので様々なリスクを考慮する必要あり
- 小さい会社なので保守・運用体制が若干不安
見積書を読む上での注意点
A社とC社では3.6倍もの差がありますが、A社にその話をしてみたところ、実際に会って話しを聞かないと、作業量が大幅に増える可能性があるため、余裕を持たせて見積書を作成していたようでした。
なぜ直接会って話しをしないとわからないかというと、依頼者本人(クライアント)が何を依頼したいのか、ホームページを作って何をしたいのかを理解していない場合が多いからです。
制作会社と打ち合わせを進めていくうちに、やっぱりテーマカラーを変更したい、問合せフォームは2つ欲しい、こんなバナーをつくて欲しいといったように、要望が増えたりすることが度々あります。
概算見積もりで最短の工数を見積もっていても、話しを進めると工数が増えることがわかり、そこから見積もりを作り直すとクレームが発生する可能性があるので、多少余裕を持たて見積書を作成するのが一般的です。概算見積書に関してはホームページ制作で正確な概算見積書を貰う5つのコツをご参考にして下さい。
打ち合わせ後、契約する前の段階で再度見積書が提出されるのが一般的なので、良さそうな会社を数社絞り込み、同時に話しを進めていき、最終的な見積書を比較して契約する会社を選ぶのが一番失敗しない発注先の選び方でしょう。
他の人がどんな感じで、ホームページ制作の見積もり依頼を出しているのか、知りたい方は「ホームページ制作の仕事・案件一覧」からご覧ください。そもそもホームページ制作にあたり、どのくらい費用がかかるのかに関しては、「【2018年度版】制作会社がホームページ制作費用の相場を徹底解説」の記事が参考になります。
Wordpressについて
Wordpressでの提案をしたのはA社だけでしたが、何故Wordpressで提案をしたのか理由を聞いてみると、
- 自社で更新できるメリットがあるので、クライアントに提案が通りやすい
- デザインに拘らないクライアントなら、テンプレートによりコストを抑えられる
- フリーソフトなので導入コストが低く、PHP言語なので扱える人材も多いから
- クライアント側で更新してもらうので、納品して完了する場合が多く、手離れがよい
といった意見がありました。
反対に、Wordpressでの実装を提案しなかったB社・C社に話しを聞いたところ、
- コーポレートサイトではWordpressを導入するメリットが薄い
- 月に2,3ページの更新であれば、導入する方が逆にコストが高くつく
- クライアントが更新をすると管理費・更新料が貰えず継続的な付き合いがしづらい
- 操作説明が必要になる場合があるので、IT知識が全くないような人には勧めづらい
とのことで、色々と制作会社側の都合を伺い知ることができました。
Wodpressでホームページ制作を検討されている方は、
「Wordpressでホームページを作る際の費用・料金相場とは?」でどのくらい費用がかかるか?どんなメリットがあるのか?を詳しく解説していますので、ご覧ください。
まとめ
ホームページ制作会社によってここまで見積り金額が変わるのか...という印象ですが、色々と話しを聞いていくうちに、安ければ安いなりの理由があり、反対に高いのには理由があるということを改めて思い知らされました。
ホームページの作り方も会社によっては様々で、Wordpressに対する捉え方も違うことがわかります。自社にピッタリの発注先を探すためには、多少のIT知識(ホームページに関する知識)を身に着け、そのなかで複数の業者を比較して探していくことが重要です。
比較ビズでは、複数のホームページ制作会社から一括で見積もり提案が無料で貰えるので、ぜひご活用ください。