残業時間削減による7つのメリットとは?残業を減らす10の方法を解説

有限会社兼子経営
監修者
有限会社兼子経営 代表取締役 兼子俊
最終更新日:2024年02月26日
残業時間削減による7つのメリットとは?残業を減らす10の方法を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 残業時間を減らすメリットは?
  • 残業時間を削減する方法は?
  • 残業時間が減らない原因は?

2019年4月、働き方改革にあわせて労働基準法の法改正が行われました。罰則付きで残業時間の上限が明確化され、60時間を超える時間外労働に対する割増率が引き上げられています。

残業時間削減の推進には、コスト削減、生産性の向上などメリットが多いです。メリットを正しく把握し、残業時間削減に取り組みましょう。

この記事では、残業時間を減らして生産性向上と従業員満足度の向上を図りたい方に向け、残業時間削減によるメリットや具体的なアプローチを解説しています。

「残業時間を減らす方法を知りたい」「残業時間を減らさないデメリットを知りたい」などでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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労働基準法の改正により残業時間の削減が必要

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労働基準法の改正により、下記2つの点で残業時間の削減が必要です。

  1. 罰則付きで残業時間の上限が明確化された
  2. 60時間を超える時間外労働に対する割増率が引き上げられた

1. 罰則付きで残業時間の上限が明確化された

2019年の働き方改革関連法と労働基準法の改正により、時間外労働の上限が罰則付きで定められました。残業時間は月45時間、年360時間が上限です。超える場合は法的な罰則が科せられます。例外的に上限を超える場合は特別条項の締結が必要です。

特別条項の条件は以下のとおりです。

  • 適用回数は年6回
  • 大幅な業務増加が見込まれるケースにのみ適用
  • 時間外労働の上限は年720時間
  • 時間外労働+休日労働の合計は月100時間未満
  • 2〜6カ月において1カ月平均の時間外労働+休日労働の合計は月80時間以内

参照:厚生労働省

2. 60時間を超える時間外労働に対する割増率が引き上げられた

2023年4月からは、1カ月60時間を超える時間外労働に対する割増率が変更されます。

変更前 時間外労働が60時間を超えても25%の割増率を適用
変更後 時間外労働が60時間を超えた場合50%の割引率を適用

参照:厚生労働省

従来は時間外労働が60時間を超えても25%の割増率が適用されていました。改正後は、時間外労働が60時間を超えた場合の割増率が、従来の25%から50%へと引き上げられます。企業は残業時間の削減に取り組むことが求められます。

【企業側】残業削減による4つのメリット

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残業削減による企業側のメリットは、次の4つです。

  • メリット1. コストが削減できる
  • メリット2. 生産性が向上する
  • メリット3. 優秀な人材の流出を防げる
  • メリット4. イメージアップにつながる

メリット1. コストが削減できる

時間外労働の削減により、人件費や光熱費などのコストを抑制できます。残業や休日出勤がある場合、その分の人件費や電気・ガスの使用に伴う光熱費がかかります。時間外労働をなくすことで余計なコストを削減でき、通常の労働時間内のコストに抑えられるでしょう。

2023年4月以降、労働基準法が改正され、時間外労働が60時間を超えた場合の割増率が変更されました。残業代が上昇する傾向があるため、残業削減はコスト管理の手段といえるでしょう。

メリット2. 生産性が向上する

時間外労働を削減し、従業員が適切な労働時間内で仕事に取り組むことで、生産性が向上します。規定の労働時間内に終わらせる意識を持つことや業務改善をすることで、効率化につながるためです。

残業が常態化することは、ダラダラと仕事をして職場の生産性が下がる原因となります。時間どおりに終えることで業務効率が向上し、企業の生産性向上を実現できるでしょう。

メリット3. 優秀な人材の流出を防げる

残業削減は優秀な人材の流出防止につながります。残業時間が少ない企業の場合、働きやすい企業と判断され、社員の離職率を改善できるためです。

残業が状態化している企業は、ブラック企業と見なされるため人材が定着しません。長時間労働は従業員のモチベーション低下や健康リスクを引き起こし、離職率の上昇を招きます。残業削減はワークライフバランスの向上や魅力的な労働環境を提供し、人材の定着を促進するでしょう。

メリット4. イメージアップにつながる

残業削減は企業の社会的イメージ向上に寄与します。長時間労働を是正し、残業削減に成功した企業は、ホワイト企業として社会的信用を得られるためです。

長時間労働はブラック企業のイメージを生み出し、コンプライアンスの視線が厳しくなります。ワークライフバランスを尊重し、労働環境に配慮する企業は社会的信頼を築き、ブランドイメージを向上できるでしょう。

【従業員側】残業削減による3つのメリット

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残業削減による従業員側のメリットは、次の3つが挙げられます。

  • メリット1. プライベートな時間が増える
  • メリット2. 体調不良のリスクが減る
  • メリット3. 前向きな姿勢で仕事に取り組める

メリット1. プライベートな時間が増える

残業の削減によりプライベートな時間が増えます。プライベートな時間が確保されることで家族や趣味に充てる時間が増加し、ストレス減少が期待できます。ストレスが蓄積すると判断力や記憶力が低下し業務トラブルにつながるため、残業削減は生産性向上にも寄与するでしょう。

メリット2. 体調不良のリスクが減る

体調不良のリスクが減ることは、残業削減によるメリットです。残業を削減することで健康的な生活を送りやすくなり、体調管理ができるためです。

残業を続けていると、十分な休息や睡眠を確保できず、体調不良に陥りやすくなります。体調不良では仕事で十分なパフォーマンスを発揮できません。

欠勤せざるを得ない状況にもなりえます。従業員が少ない企業では社内業務を回せなくなり、社内の生産能力が落ちて業績の悪化につながるでしょう。

社内全体で残業削減に取り組むことは、社員の体調不良のリスクを軽減し、生産性の低下を防ぐ効果を期待できます。

メリット3. 前向きな姿勢で仕事に取り組める

残業が減ることで、従業員は仕事に対して前向きな姿勢を維持しやすくなります。長時間の労働が続くと、仕事へのモチベーションが低下し、やりがいや充実感が得られなくなる可能性が高まります。企業への不信感が多くなる場合、離職につながる可能性が高くなるでしょう。

残業を減らし、定時退社が常態化することで社員の集中力を向上させ、前向きな姿勢で仕事に取り組めます。

残業時間を削減する10の方法

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残業時間を削減するための10の方法は、下記のとおりです。

  1. ノー残業デーを設定する
  2. 管理職が率先して定時に帰る
  3. 業務プロセスのデジタル化を推進する
  4. RPAを導入する
  5. フレックスタイム制を導入する
  6. 裁量労働制を導入する
  7. 在宅勤務を導入する
  8. アウトソーシングを利用する
  9. BPOサービスを利用する
  10. 人事コンサルティング会社を利用する

1. ノー残業デーを設定する

ノー残業デーの設定は残業時間を減らす手段となります。たとえば、週に1日をノー残業デーに設定することで、全従業員が定時で退社する環境を整えられます。

ノー残業デーのメリットとデメリットは次のとおりです。

  企業 従業員
メリット ・導入に費用がかからない
・コストを削減できる
・組織全体の生産性が高まる
・従業員のモチベーションが高まる
・プライベートな時間を確保できる
・タスク管理やタイムマネジメントスキルを磨ける
・スキルアップに向けての時間を確保できる
デメリット ・顧客対応やシステム復旧作業など急な依頼に対応できない
・部署間との協力体制を事前に築いておく必要がある
・柔軟な仕組み作りが求められる

別日に業務量が増えない工夫が求められる

ノー残業デーは、コスト削減ができるメリットがあります。緊急業務には柔軟に対応できるような仕組みが必要です。

2. 管理職が率先して定時に帰る

管理職が率先して定時に退社することで残業削減につながります。企業文化の変革にはリーダーシップの示し方が重要です。

管理職が率先して定時に帰ることのメリットとデメリットは次のとおりです。

  企業 従業員
メリット ・組織全体で残業削減の意識が高まる
・コスト削減と業績拡大の両立が見込める
・組織全体の生産性が高まる
・長時間労働が評価される体制がなくなる
・タスク管理やタイムマネジメントスキルを磨ける
・上司とコミュニケーションを取りやすくなる
デメリット 管理職にマネジメントスキルが必要 ・上司が退社した後では相談ができない
・相談や報告を優先したタイムスケジュールになる

管理職が率先して定時に退社し部下に示すことで、働き方改革への意識が浸透します。

3. 業務プロセスのデジタル化を推進する

業務プロセスのデジタル化は残業削減の手段です。たとえば、顧客との商談を対面からオンラインのWeb会議ツールに切り替えることで、移動時間の削減や柔軟なスケジュール管理を実現します。

業務プロセスのデジタル化によるメリットとデメリットは次のとおりです。

  企業 従業員
メリット ・働き方の柔軟性が高められる
・ペーパーレス化が促進できる
・業務効率改善が見込める
・書類の保管コストが削減できる
・働き方の多様化につながる
・情報共有がスムーズに行える
・業務を効率的に進められる

デメリット ・導入すべきツールが多岐にわたる
・検討や調査に時間がかかる
・導入費用がかかる
・セキュリティ対策の強化が必要になる
・ITリテラシーが求められる
・新たなツールを導入するたびに対応が求められる

代表的なデジタルツールには下記があります。

  1. Web会議ツール
  2. ビジネスチャット
  3. オンラインストレージ
  4. タスク管理ツール
  5. SFA(Sales Force Automation)
  6. MA(Marketing Automation)

すべての業務プロセスを一気にデジタル化すると従業員に負担がかかります。オンラインストレージやタスク管理ツールなど、導入しやすい部分から導入することをおすすめします。

4. RPAを導入する

RPA(Robotic Process Automation)の導入は残業削減に効果的です。RPAとは、ソフトウェアロボット技術を使用したパソコン上の事務作業の自動化を指します。

RPAの導入によるメリットとデメリットは次のとおりです。

  企業 従業員
メリット ・労働力不足が解消できる
・コア業務に人員が避ける
・業務の正確性とスピードが両立できる
・他の業務にリソースが割ける
・ルーティンワークが自動化できる
・ミスの発生を心配する必要がない
デメリット ・導入費用がかかる
・突然不具合が起きる可能性もある
・設定内容が間違った場合全工程でミスが発生する
・業務プロセスを変更する場合は再設定が必要になる

RPAで代替できる業務には次が挙げられます。

  1. 日次の定型レポート作成
  2. 見積書や請求書の自動作成
  3. 顧客情報の照会やデータベースへの反映
  4. マーケティング業務の効率化
  5. 入金消込作業の自動化
  6. 商品やサービスの口コミ収集
  7. 定型メールの自動送信
  8. 問い合わせへの自動対応

RPAはルーチンワークの自動化に効果を発揮し、データ入力や請求書作成などの業務を自動処理することで、従業員はコア業務に専念できます。

5. フレックスタイム制を導入する

フレックスタイム制度は残業時間を削減する方法です。フレックスタイム制度とは、あらかじめ決めた総労働時間の範囲内で、労働者が自由に出退勤時刻や1日の労働時間を決められる制度です。

フレックスタイム制導入によるメリットとデメリットは次のとおりです。

  企業 従業員
メリット ・ワークライフバランスが改善できる
・優秀な人材の流出が防げる
・自社のイメージアップにつながる
・自由度の高い働き方が実現できる
・プライベートの充実が図りやすい
・育児や介護との両立が望める
デメリット ・勤怠管理が複雑になる
・コミュニケーション不足に陥りやすい
・高いマネジメントスキルが求められる
・同僚とのコミュニケーション機会が減る
・成果重視の人事評価となる

フレックスタイム制を導入することで、労働時間の柔軟性が高まります。従業員は自分のベストな働き方を採用し、生産性向上とワークライフバランスの実現が期待できます。

6. 裁量労働制を導入する

裁量労働制の導入は、労働時間の削減に寄与します。裁量労働制は、みなし時間に基づいて労働時間を換算する仕組みです。たとえば、1日のみなし時間を8時間と定めた場合、実労働時間が5時間や10時間だったとしても、労働時間は8時間と換算されます。

裁量労働制によるメリットとデメリットは次のとおりです。

  企業 従業員
メリット ・勤怠管理や人件費の管理が楽になる
・残業代の支給が抑えられる
・労働時間が自由に設定できる
・無駄な拘束時間が発生しない
デメリット ・導入に手間がかかる
・適用できる職種は一部に限定される
・基本的に残業代が支給されない
・業務量と報酬が見合っていない場合は不利益になる

実際の働いた時間にかかわらず、みなし労働時間で計算され、残業手当の発生を抑えます。1日8時間を超えるみなし労働時間を設定しない限り、残業手当は発生しません。業務量との調整が求められ、適切なみなし時間の設定が重要です。

7. 在宅勤務を導入する

在宅勤務は、残業時間の削減や柔軟な働き方を可能にします。在宅勤務は、オフィスに出社せずに自宅で業務を行う勤務形態です。従業員は自宅で集中して仕事に取り組み、効率的な業務遂行が期待できます。

在宅勤務の導入によるメリットとデメリットは次のとおりです。

  企業 従業員
メリット ・ワークライフバランスが改善できる
・コストが削減できる
・優秀な人材の流出が防げる
・通勤時間が有効に活用できる
・通勤でのストレスから解放される
・自らの業務に集中しやすい
・育児や介護との両立が見込める
デメリット ・オンラインで業務を遂行できる体制の確立が前提になる
・コミュニケーション不足への対策が求められる
・アナログ式の勤怠管理が使えない
・従業員の勤務態度を直接確認できない
・オンとオフの境界線が曖昧になる
・人によっては集中できない可能性がある
・気軽にコミュニケーションが取りづらくなる

在宅勤務の導入は、業務効率や生産性の向上、通勤やオフィスにかかる費用の削減などが期待できます。導入には適切なオンラインツールの整備やセキュリティ対策が必要です。

8. アウトソーシングを利用する

アウトソーシングの活用は労働時間の削減に効果的です。アウトソーシングは業務の一部を外部企業に委託し、業務効率化と人手不足の解消を図る手段を指します。

アウトソーシングの利用によるメリットとデメリットは次のとおりです。

  企業 従業員
メリット ・コア業務にリソースが割ける
・人手不足が解消できる
・業務品質の向上が望める
・業務負担が減る
・安心して業務が任せられる
デメリット ・依頼する業務が多過ぎる場合は費用が高騰する
・情報漏洩を招く可能性がある
ノウハウが蓄積されない

たとえば、人事や経理のバックオフィス業務を外部に任せることで、企業はコア業務にリソースを集中できます。豊富な実務経験を持つ専門家に依頼することで、品質向上も期待できます。個人情報を含む業務の委託にはセキュリティ対策が必要です。

9. BPOサービスを利用する

BPO(Busuiness Process Outsourcing/ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを利用することで労働時間を削減できます。BPOサービスは、業務の企画から設計まで外部企業に委託するサービスです。

BPOサービスの利用によるメリットとデメリットは次のとおりです。

  企業 従業員
メリット ・専門性の高い業務が依頼できる
・業務が効率化できる
・リソースをコア業務に割ける
・業務の品質向上が望める
・業務負担が減る
・別の作業に時間と労力が割ける
デメリット ・依頼する業務量が多い場合は費用対効果が悪化する
・情報漏洩のリスクが高まる
・実務経験やノウハウが蓄積されない
・コミュニケーションコストが増える

バックオフィス業務の他に、マーケティングや営業代行も依頼可能です。BPOサービスを利用することで、企業は高度な業務内容を外部に任せ、業務の効率化や品質向上を図れます。委託する業務範囲は慎重に選定しましょう。

10. 人事コンサルティング会社を利用する

人事コンサルティング会社を利用することで残業時間の削減につながります。人事コンサルティング会社は、採用や人事制度、人材育成などに特化した企業です。

人事コンサルティング会社利用によるメリットとデメリットは次のとおりです。

  従業員 企業
メリット ・人事担当者の業務負担が減らせる
・自社の課題を正確に反映したアドバイスを受けられる
・一部の作業を任せられる
・業務負担が減らせる
・次に取るべき行動が明確になる
・工数のかかる業務が任せられる
デメリット ・費用がかかる
・現状把握が必要になる
・ノウハウが蓄積されない
・相性が合わない場合はコミュニケーションコストが高くなる

コンサルティング会社は企業の課題を正確に理解し、効果的な提案やアドバイスを行います。企業はコンサルタントのアドバイスを得て、人事領域の課題解決や業務負担の軽減を図ります。

残業時間が減らない4つの原因と対策方法

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残業時間が減らない原因は、次の4つが挙げられます。

  1. 業務量の多さと人手不足による悪循環
  2. 無駄な会議や打ち合わせ
  3. 長時間労働を前向きに捉える企業文化
  4. 管理職のマネジメント不足

1. 業務量の多さと人手不足による悪循環

残業時間が減らない原因は、業務量の多さと人手不足による悪循環です。業務量が多い状態で人手不足が続くと個々の業務負担が増加し、定時内に業務を終えることが難しくなります。残業が避けられない状況となり、離職者が出ることや新規採用ができないことで、さらに人手不足が加速します。

業務量の多さと人手不足を是正する手段は次のとおりです。

業務の効率化と優先順位の明確化 作業プロセスを見直し無駄なステップを削減することで業務を効率化する
スキルアップの促進 従業員のスキル向上を図り同じ業務に複数の人が対応できるようにする
適切な過労対策と健康管理 過労や健康問題を未然に防ぐために労働者の健康を管理する
柔軟な労働力の導入 アウトソーシングやフリーランサーの活用など臨時の労働力を導入する

2. 無駄な会議や打ち合わせ

残業時間削減の障害となる要因は、無駄な会議や打ち合わせです。形骸化した会議や結論の出ない打ち合わせが増えると本来の業務への対応が遅れます。長時間労働が慢性化し、コア業務への時間割り当てが不足することで、企業の業績低下につながるでしょう。

解決策には次が挙げられます。

  • 形骸化した会議の削減
  • グループウェアやクラウドストレージなどを利用する
  • 制限時間を設ける

グループウェアとは、企業内の情報共有やコミュニケーションを円滑にするために利用されるツールです。スケジュール管理やファイル共有、チャットなどの機能が1つのシステムに統合されています。

3. 長時間労働を前向きに捉える企業文化

残業時間削減を妨げる要因は、長時間労働を前向きに捉える企業文化です。従業員が長時間働くことを高く評価する風潮がある場合、残業削減は難しいでしょう。定時退社が評価されず、逆に長時間労働こそが企業への貢献とされてしまいます。

解決策には次が挙げられます。

  • 経営層や管理職の意識を変革する
  • 生産性を重視する文化へ転換する
  • ノー残業デーを設定する

労働時間よりも成果を重視する文化へ転換することで、従業員は時間内で効果的に業務をこなすことが奨励され、残業時間が削減されるでしょう。

4. 管理職のマネジメント不足

残業時間が減らない原因は、管理職のマネジメント不足です。管理職は仕事の進捗状況や勤怠、仕事量などを的確に管理する必要があります。コミュニケーション能力やマネジメントスキルが不足している場合、業務が適切に分配されず、従業員に負担がかかります。

代表的な解決策は、次のとおりです。

  • 勤怠管理システムを導入する
  • コンプライアンス研修を実施する
  • 適切な権限委譲を推し進める

管理職が部下の正確な勤怠状況を把握し、業務を適切に分担することで長時間労働を是正できるでしょう。

まとめ

働き方改革にあわせて労働基準法の法改正が実施されています。残業時間の上限が明確化され、60時間を超える時間外労働に対する割増率が引き上げられました。

残業時間を削減することにより、企業や従業員にメリットがあるため、正しく把握して残業時間削減に取り組みましょう。

残業削減を推進するためには、外部のサービス導入や人事系コンサルタントへ依頼することをおすすめします。

「比較ビズ」では、必要事項を入力すると2分程度で、目的や用途に合わせたBPOサービス専門会社や人事コンサルティング企業がスピーディーに探せます。ぜひ利用してみてください。

監修者のコメント
有限会社兼子経営
代表取締役 兼子俊

埼玉大学電気工学科卒業、同専攻科修了後、製造業に勤務し、広島で中小企業診断士の資格取得を機にコンサルティング会社を起業する。現在起業より24年目になるが、当初は経営の営業、製造等の個別の機能、ISO取得等をコンサルティング支援しており、約十年経過後ISO関連事業を協力者に譲り、当初独立の目標であった経営・事業支援を中心に事業活動をはじめ現在に至る。この間広島中小企業診断協会の理事、専務理事、現中小企業基盤整備機構のチーフアドバイザー、中国経済産業局の事業評価委員などを務めた。特に経済産業局の事業評価委員の6年の経験はのちのコンサルティングに大きな影響をのこす。経済産業省中国経済産業局、財務省中国財務局の認定になる「経営革新等支援機関」として昨年再認定をいただき、活動している。個人としては中小企業診断士、ITコーディネータの資格を持ちコンサルティングに勤めている。

残業の削減は経営の視点から見ると大きく二つの側面があります。一つは、環境・社会・統制(ESG)が投資の要件になり、人道主義はサプラーチェーンにまで範囲が広がってきていることの影響です。

残業削減は一つの影響の表れとして投資、融資の具体的要件になり、その成果も見られることになっていくでしょう。今後必ず取り組まなければならない経営上の課題の一つになるということです。

残業の削減のメリットを生かし、デメリットを小さく抑える状況を作り出す、それを醸成・定着させることができる社内風土にするには時間がかかります。早くに取り組むことが上策といえます。

二つ目は、社員の視点から見た残業削減の影響です。言わずもがなですが、単に実行すれば社員の減収につながります。残業時間をあてにしてきた生活ができなく苦しくなる社員もいるでしょう。

この残業時間を削減することと、社員の生活を現状より劣化させないことは、企業の生き残り継続、さらに発展していくためには欠かせず、何とか両立させなければなりません。

規則を作って従わせるでは解決はできません。社員が自らの意思で積極的に知恵を出し、実行し、改善成果を出すことしか、この相反する命題を解決する方法はありません。経営者はそのおぜん立てをし、見守るのが役割かもしれません。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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