人件費削減で失敗する前に試したい!企業のコストダウン事例

更新日:2021年10月14日 発注カテゴリ: 人事・評価制度構築
株式会社IGAコンサルティング
監修者
取締役 粕谷 重朗
人件費削減で失敗する前に試したい!企業のコストダウン事例

コロナショックで経営難に陥っている企業が続出しています。なんとか持ちこたえるために人件費削減といった手段を検討している方も多いでしょう。とは言っても人件費削減の取り組みを間違えるとより一層危機的状況になってしまいます。ここでは人件費削減の失敗事例や人件費の削減の前に行いたいコスト削減方法をご紹介します。

人件費削減のメリット・デメリットの考察

店舗経営などの事業経営で利益をもっとも圧迫するのは、人件費などの固定費です。固定費は業績には関係なく毎月必ず支払わなければいけない出費です。

家賃なども固定費に含まれるのでわかりやすいでしょう。もちろん光熱費などもそうです。

お客さんの入りには関係なく照明は容赦なく電気代を奪っていきます。儲かっていれば、光熱費などは気にもとめないのですが、業績が悪化すると光熱費の数円数十円が重くのしかかってきます。

そう感じてくると、人件費などは重し以外の何者でもないでしょう。ここでは、固定の中でも大きなウエイトを占める人件費の削減について深く考察していきます。

人件費削減のメリット

まずは人件費削減のメリットを考えてみます。これは、言わずもがなですが、出費が減るのですから利益が増します。

経営者にとって、業態に関係なく人件費の削減は至上命題と言えます。この部分を考えないと、周囲からは放漫経営と言われてしまいかねません。

利益が増えることは間違いなく、他にメリットがあるとしたら、利益分を投資に回すことができることです。いわゆる設備投資ということで業容拡大につながります。

人件費を削減して業容を拡大するのは矛盾している…と考えがちですが、そのときはまた、求人募集をしたら良いということになります。

一般的に人員削減による人件費の削減は、替えの効くところから行われます。

人件費削減のデメリット

人件費を削減してしまうと社員のモチベーションの低下を招いていまします。これが人件費削減のデメリットと言えるでしょう。人が減って仕事量が増えるという不満とこれからどうなるのかといった不安が混在してしまいます。

企業イメージの低下もまぬがれないでしょう。経営者としては残された従業員に、今後の事業計画などをしっかりと提示してモチベーションの低下を抑えなくてはいけません。

人件費削減による利益の増大が、一過性のものにならないようにしなければいけません。利益(営業損益)は以下の計算式で求められます。

[営業損益(利益)] = [売上高]−[売上原価]−[販管費] ※販管費に人件費が含まれます。

計算式にするとわかりやすいのですが、販管費(人件費)を減らすと確実に利益は上がります。しかし、それは売上高と売上原価を維持していることが条件です。

売上高までも下がってしまうと、業容は尻すぼみ状態です。人員削減は、そういったリスクがあるということをしっかりと認識して、行わなければいけません。

人件費削減による失敗事例

従業員削減による失敗事例です。具体的事例として従業員の声もご紹介します。

基本給が下がってモチベーションが上がらない

「会社の経営が厳しいのはわかるけど、基本給が下がってしまったら、こっちも生活があるのにあんまりだ…。これだったら転職も考えないといけないかな。人員削減から外れて安心してたけど、まさか残された者もこんな仕打ちに遭うなんてね。」 「仕事がないから残業が無くなるのならわかるけど、いきなりの基本給カットって、労使関係の根本の部分を壊しにきたよ…。これからどうなるんだろう。こっちも生活があるし、転職も考えないといけないかな。」

人員削減は現場を離れることになった従業員だけでなく、残された従業員も茨の道となります。人件費削減の中でも給与そのものに手をつけるのは、かなりの荒療治といえます。

経営者は将来的なマインドをしっかりと従業員に示さないと、社員の離脱が始まるでしょう。

残業カットなんて信じられない

「残業カットになりました。かといって残業しないと仕事が終わらないんですよ。ですから、残業しても会社は残業代を払ってくれないんです。定時で帰ればいいんですけど、そうしたら、自分で自分の首を絞めることになるんですよね。会社も現場の現状を知っているのにずるいです。こういうのって監督署に連絡したらいいのかな…」

時短は時代の流れともいえますが、残業しても残業代を払わないのは、企業としては問題有りといえるでしょう。

マンパワーが不足しているのに残業できない

「残業禁止となっても、人が辞めてマンパワーが絶対的に不足してるのに、ほっぽりだして帰れないよ。そこを帰れという会社側の姿勢がよくわからない。というか、効率化で時間内に収められないこっちが悪いってことなんだろうけど、終わらないものをそのままにして帰ったら、明日泣くのはこっちだからね。こんな不満ばかりだと、いつかみんな爆発するよ」

絶対的なマンパワーが不足していて、残業もできないとなると、これは残された従業員にはかなりのストレスがたまりそうです。一般的にストレスがたまったままの職場では良い仕事はできないですし、客商売ならなおさらです。

確実に売上に響くので、人件費削減で失敗するもっとも顕著な例といっていいでしょう。

外注が役に立たない

「人員整理で人が辞めて、やれアウトソーシングだとか会社は言ってるけどね。業務に精通してないと外注や派遣雇ってもどうしようもないよ。経費は浮いてるんだろうけど、外注も浮き足だってたら、結果的にこっちにしわ寄せがくるからね。職場の雰囲気も最悪です。」

人員整理してアウトソーシングに頼る例は、どの会社でも見られます。特に平成の時代はこういったビジネススタイルが流行、派遣が増えて正社員が減少した時代でした。

それが令和2年4月から始まった「同一労働同一賃金」になったのですが、一律に基本給を下げて対応する会社には未来はなさそうです。

残業増やしたら人件費を削減した意味がないのでは?

「どこまで経費が節約できたのかわからないけど、人を好くなくして残業増やすのってどうなの?多少の利益のために従業員が疲弊するような会社ってブラックじゃないの?みんな不平不満たらたらで仕事してる。ここで笑顔で仕事できる人はえらいとは思うけど、みんなそんなに人間できてないよ。」

残った人間で残業増やして、対処しようとする会社はブラックといっていいでしょう。一時的なもので「ここを乗り越えよう」という将来的なビジョンを語る経営者ならついてきてくれる人もいるかもしれませんが…。

今の時代にこういったスタイルは流行りません。

人件費削減による失敗の原因

人件費削減によって、利益が上がっても一過性に終わってしまうケースも少なくありません。経営者も今をしのぐために人員整理をしたわけではないでしょう。

しかし、結果的に利益を得るための売上高までも下がってしまったら、業容を落としただけで人件費削減の効果が終わってしまいます。

ここでは、人件費削減の失敗の原因はどういったところにあるのか。経営者と従業員双方の視点から見てみます。

経営者の視点

経営者の考えとしては、単に人件費を削減するだけではなく、残された人員で業務の効率化を行うというのが至上命題でした。結果的に残された人員の労働手腕にかけるしかなかったということになります。

具体的な効率化案を出すことができるか、出すことができたとしても従業員の賛同を得ることができるのか、実際にそのように動いてくれるのかが問題になります。人件費の削減、特に人員整理というのは、すぐに利益を出す特効薬になります。

これは、店舗経営などの小規模経営にとっては効果抜群なのですが、マンパワーが落ちることの影響はすぐに出てくるでしょう。そこをどのように対処するのかが経営者に求められるところです。

従業員の考え

従業員は会社のために仕事をするのは建前で、本音は自分の生活や家族のために働きます。人員整理をして、理不尽に「がんばって働け」と言われても、その通りに働けません。

さらに、残業カットや基本給カットといった処置をされると、モチベーションは大きく下がってしまいます。

会社が自分たちに何をしてくれるのかを敏感に察知するのが、労働者です。楽して稼ごうという従業員はいないと思いますが、理不尽な扱いを受けると、結果的に売上を落としてしまうことにもなりかねません。

経営者としては、そういった従業員の心理を十分に察知する必要があります。

人件費削減の失敗事例を踏まえて経営者が意識するべきこと

経営者が行う人件費の削減は、従業員の生活はもちろん人生そのものに大きく関わってきます。経営者は会社の存続を第一義にしなくてはいけないのは当然ですが、同時に従業員の生活を守る義務もあります。

従業員の身分は労働基準法などで守られていますが、理不尽な解雇は当然できませんが、やむを得ない事由であれば、会社は従業員を解雇できます。

しかし、利益を出すための人員整理には正当な理由がないと見られがちですし、失敗事例にもあったように、残された従業員のモチベーションが大きく落ちてしまいます。

生まれついての経営者というのは、ほんの一握りで多くは雇われからたたき上げて経営者になった人たちでしょう(雇われ経営者もいますが)。そのため、従業員の気持ちをしっかり組み込んだ、経営手腕が求められるのは言うまでもありません。

失敗事例の多くは、従業員の気持ちをないがしろにしたところから来ているのは間違いないからです。そのあたりを認識し、人件費削減をするときは、残された従業員の心のケアを行い、適切で将来性豊かな事業計画を従業員に提示するようにしなくてはいけないのです。

人件費削減の失敗を成功へ導く

人件費の削減は経営者が行わなければいけない至上命題といえます。それには、安易に人員整理に走るのではなく、人件費の削減にはさまざまな方法があります。

それでも、経営を行っていくうえで、順風満帆ということはありません。景気の荒波にもまれて、コロナ禍に負けて経営が立ちゆかなくなってしまうこともあるでしょう。

そこで、適切な施策を打つことができるかどうかで、経営手腕が問われます。そして、常に成功する経営者はまれです。

世に出ている経営者、伝説的な経営者においても絶体絶命なピンチがありました。乗り越えた人もいますし、乗り越えられずに挫折を何度も味わった経営者もいます。

しかし、失敗を乗り越えて最後は成功者として現在に名を馳せているのです。そういった経営者が何を行ってきたのか、ピンチをチャンスに変える逆転の発想は大きな力となるでしょう。

ここにあげた失敗事例や従業員の声を聞くことで、人件費削減の失敗を成功に導くヒントが隠されているといっていいでしょう。

人件費削減よりもコスト削減の発想の転換

販管費という大きな括りの中で、経費を削るのは人件費にメスを入れるのが一番の近道ですが、それには大きなリスクがあります。人件費削減は、最後の手段にするべきで、最後の…という段階ではすでに手遅れになっているケースも少なくありません。

利益を上げたいと考える経営者が、真っ先に行うのはコスト削減であるべきでしょう。ここにいくつかのコスト削減の方法をご紹介します。

コスト削減方法(1)間接経費の見直し

間接経費ですから、事業経営に直接関係のあるものではありません。関係がないのですから、ここに大なたを振るいたくなるのですが、この間接経費には光熱費、家賃、決済手数料、備品、税金などがあります。

この中で、削れるとしたら、備品費や税金でしょう。備品費も削りすぎると『ケチ』といったように従業員から陰口を言われますし、なによりも社内の空気がしみったれたものになるので、過度な備品費の削減も考えものです。

そうなると、税金の削減となるのですが、これは節税対策なので、税理士に相談して節税対策をしっかりと取るようにしましょう。決算時に税金で取られるよりは従業員に決算手当を支給したほうが節税になりますし、従業員の士気も上がります。

コスト削減方法(2)IT化による効率の改善

世の流れはIT化です。人でなければできないところは仕方がないのですが、そればかりが多いのも考えものです。

オペレーションに無駄がないか、ITに置き換えることはできないか。お金の出し入れは無駄だから、自動券売機を導入しよう…というのも立派なIT化です。

コスト削減方法(3)ペーパーレス化

これからは、紙がどんどんなくなっていくでしょう。広告費なども紙ではなく、スマホなどのデジタル媒体に置き換わる可能性はおおいにあります。

印刷代のコストもできるだけなくしたいところです。お客さんに渡すレシートも今後はなくす方向で検討したい分野でもありますね。

コスト削減方法(4)マーケティングツールの活用

BToBのマーケティングツールが出回っています。営業についてのマーケティング活動の効率化は、いまや大きなトレンドです。

情報をいかに有効活用するかは、これからの顧客獲得コストを下げることに繋がります。経費をかけるところにはしっかりとかけ、それによる費用対効果で、下げるところはしっかりと下げることができます。

メルマガなどは今に始まったものではありませんが、顧客獲得の有効ツールとして息の長い人気があります。

コスト削減方法(5)採用コストの見直し

求人における採用コストは、会社にとって大きな経費です。採用自体が小規模経営にとっては大きなリスクとも言えます。

確かな人材を求めるあまり、転職エージェントや他の採用媒体にコストをかけたくなりますが、それだと必要以上にコストがかかってしまいます。

現在は、会社が求職者に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」、従業員紹介を活用する「リファラルリクルーティング」などが注目を集めています。

こういった手法を積極的に活用して、採用コストを下げるのもコストダウンの1つの方法と言えるでしょう。

まとめ

多くの経営者は失敗を糧に成功を手にしています。しかし、できれば、失敗をせずに事業を軌道に乗せたいと考えるのが経営者です。

そうなると、数ある経営者の失敗事例を参考にして、同じ轍を踏まないようにするしかありません。幸いにも多くの失敗事例がありますし、そこからどうやって失敗から成功に転じたのかも参考になります。

人件費削減で失敗する前に試すことはたくさんあります。失敗はしたくありませんが、失敗を恐れていては前に進むことはできません。

しかし、忘れてならないことは、従業員目線を持った経営者であり続けることです。

なお、人件費削減など経営に関する課題を抱えているときは専門家のアドバイスに耳を傾けるのも一つの手です。例えば、税理士であれば、現在の経営状況を踏まえて人件費削減以外でコロナに立ち向かう方法を教えてくれるケースもあるでしょう。

実際に人件費削減の施策を行う際は、人事労務管理に直結する問題のため、社員間とのトラブルを最小限に抑えなければなりません。そのときは、社労士に相談すると良いアドバイスがもらえるはずです。

ちなみに、弊社が運営するビジネスマッチングサービスの『比較ビズ』では、中小企業の経営をサポートする税理士事務所や社労士事務所が数多く登録しています。

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そのため、何度相談しても無料で利用できます。コロナショックで経営難に直面している方は自社の課題を解決する手段の1つとしてお試しください。

監修者の一言

企業が成長発展するには、利益を上げ続けていくことが不可欠でありますが、不透明な環境下では、経費をいかにコントロールしていくかが重要になります。総費用には、売上高の増減に連動して増減する変動費と売上が減少しても変わらない固定費があります。

まずは売上に連動していく変動費に着眼してコストダウンを行います。変動費の性質を考えれば、仕入れ費、人件費の残業費などが変動費の対象となり、仕入れ費は、単位当たりの変動費率でコントロールすることが大事になります。人件費の残業に関しては、売上に比例した目標残業時間管理で、残業費を抑えていくことがポイントです。

次に固定費ですが、売上が増加しても固定費は膨らまないようにし、売上高が減少する場合には、売上高の減少以上に固定費削減に努力する必要がありますが、重箱の隅をつつくコスト削減は、仕事の能率を下げ、従業員のやる気をそぐだけですので、固定費の削減は効果のあるコスト構造の見直しが必要になります。

また、業績が悪化している場合も固定費の人件費は否応なく下げるのでなく、一人当たり生産性がこのように悪化して、賞与などに反映することが難しいなどの根拠を示していくことが大切です。

株式会社IGAコンサルティング
取締役 粕谷 重朗
監修者

東京都出身。大学卒業後、メーカー、コンサルティング会社勤務を経て、コンサルタントとして独立。主に中堅・中小企業を対象に様々な業種で経営を“見える化”して、経営改革をおこなう。企業の種々の経営課題から改善への道筋・目標をわかりやすく見える化し、改善に取り組むサポートをおこなう。実行性を高め、成果に繋げるコンサルティングを実践する。得意分野は企業風土改革、経営戦略策定、方針目標管理、日常業務管理、業務改革、収益管理改善、営業力強化、工場管理改善、人事評価制度構築、運用支援など。企業の実情をふまえて改革プランを作成後、経営現場で実践的なサポートを実施する。マネジメントの質とスピードが変革され、マネージャーのマネジメント力(管理力と改善力)が向上し、社員の自発性・実行力が向上する“人が育ち職場風土が活性化”されるコンサルティングに定評がある。

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