人件費削減のデメリットは3つ|適切なコストカット・経営改善方法も解説

最終更新日:2023年10月02日
株式会社IGAコンサルティング
監修者
取締役 粕谷 重朗
人件費削減のデメリットは3つ|適切なコストカット・経営改善方法も解説
この記事で解決できるお悩み
  • 人件費削減のデメリットは?
  • 適正な人件費を見極める方法は?
  • 人件費の削減に失敗しないためにどうすればいい?

人件費削減は対処療法であり、複数のデメリットが存在する施策です。経営状態が悪化しているからといって安易な人件費削減に走ると、会社の存続に関わる悪循環に陥りかねません。

本記事では人件費削減のデメリットや適正な人件費の見極め方、人件費を正しく削減する方法などを解説します。記事を読み終わった頃には、自社に合った人件費の削減方法がわかるようになっているでしょう。

「経営改善のために人件費を削減したい」と考えている経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

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人件費削減の3つのデメリット

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人件費削減のデメリットは次の3つです。

  • 優秀・将来有望な人材が流出する
  • 経営の悪循環に陥る
  • 企業のイメージダウンにつながる

安易な人件費削減は経営状態の悪化につながりかねません。人件費削減を検討している場合、必ずデメリットを把握しておきましょう。

1. 優秀・将来有望な人材が流出する

人件費削減は優秀・将来有望な人材の流出につながります。労働者は労働契約法によって手厚く保護されているため、経営者都合での整理解雇を行うには次の条件を満たさなくてはなりません。

  • 人員削減の必要性
  • 解雇回避の努力
  • 人選の合理性
  • 解雇手続の妥当性

整理解雇が難しく希望退職者を募る場合も、ほかの会社で活躍できる自信を持った将来有望な従業員ほど、素早く転職を決断し退職するのが実情です。

安易な人件費削減は、優秀な人材やキャリアチェンジに抵抗のない若い世代の流出を招きます。

2. 経営の悪循環に陥る

不適切な人件費削減を行うと、下記の悪循環に陥る可能性があります。

  1. 人材流出やモチベーション減退で生産性が低下する
  2. 売上が減少し業績が悪化する
  3. さらなる人件費削減が必要になる

「給与は減るけど仕事は今まで以上に頑張って」と言われ、働く意欲を保ち続けられる労働者は存在しません。

システム化やツールの導入をせずに解雇や給与削減のみを行なう場合、モチベーションの低下や人材の流出が発生します。人件費削減によって一時的に経営を改善できても、生産性が低下し売上が落ち込めば無意味です

人件費を削減する場合は「人件費削減→生産性低下→業績悪化→さらなる人件費削減」と悪循環に陥らないための対策を用意しておきましょう。

3. 企業のイメージダウンにつながる

下記2つの理由から、人件費削減は企業のイメージダウンにつながります。

  • 取引先から、経営状態が極端に悪化していると捉えられる
  • 消費者から、従業員を大切にしない会社と思われる

ほかの企業が自社の経営状態を深刻に捉えると、取引を中止される可能性もあります。特に金融機関から融資を受けている場合、査定に響くため注意が必要です。

近年は「ライトハウス」や「転職会議」など従業員目線での企業の口コミサイトも増えています。人件費削減の流れで辞めた従業員が悪印象を抱きネガティブな口コミを投稿することで、経営が改善して採用を強化するときに志願者が少なくなる可能性が高いです。

取引先・消費者・未来の従業員の3方向でイメージダウンにつながるため、安易な人件費削減はできるだけ避けましょう。

正しい人件費削減の目安は「人件費率」

デメリットを把握したうえでどうしても人件費削減が必要な場合、絶対的な金額ではなく「人件費率」を基準にしましょう。

人件費率とは

売上に占める人件費の割合。「人件費率 = 人件費 ÷ 売上 × 100」で計算できる。

闇雲に整理解雇や給与削減を実行するのではなく、業種ごとの目安に照らして適正な人件費率を目指します。東京都産業労働局によると、業種ごとの人件費率目安は下記のとおりです。

業種 人件費率の目安(中央値)
製造業 30.7%
卸売業 11.9%
小売業 19.8%
生活支援サービス業 40.1%
企業支援サービス業 43.3%

参照:東京都産業労働局

卸売業や小売業など、原価の高い業種では10%〜20%を目標に人件費率を調整しましょう。スタッフによる対応を商品としているサービス業の場合は、人件費率が40%ほどでも適正値の範囲内といえます。

人件費率は売上と人件費の割合を示す数値です。人件費を削減するだけではなく、売上を伸ばすことも人件費率改善の方法となります。

適切な人件費削減の4つのメリット

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人件費削減を適切に行うことのメリットは次の4つです。

  • 固定費の削減による経営改善が期待できる
  • 人件費以上のコストカットを見込める
  • 余剰資金を投資することで売上拡大を見込める
  • 銀行からの評価が高くなる

人件費削減はデメリットばかりではありません。適切に計画・実行することで、コストカットだけではなく売上拡大も期待できます。

1. 固定費の削減による経営改善が期待できる

人件費を削減することで、固定費を圧縮でき経営体質を改善できます。家賃や減価償却費など、人件費以外の固定費の削減は難易度が高いです。店舗を構えている企業であれば賃料の安いエリアに移転することもできません。

一方で人件費削減は、従業員の理解さえ得られれば実行できます。労働者は労働契約法によって守られているため経営者が自由に解雇できるわけではありませんが、手がつけやすく効果も大きいコスト削減策です。

2. 人件費以上のコストカットを見込める

解雇や給与調整による人件費削減を行えば、実質的には給与分以上のコストカットが見込めます。従業員を雇うためには、給与や賞与などの直接コストに加えて下記の間接コストを負担しなくてはなりません。

  • 社会保険料
  • 福利厚生費
  • 水道光熱費や消耗品費
  • 教育費

会社が支払う人材コストの総額は、給与の2倍ともいわれています。たとえば年収400万円の従業員を1名整理解雇できれば、年間でおよそ800万円のコスト削減を期待できます。

3. 余剰資金を投資することで売上拡大を見込める

人件費を削減して生まれた余剰資金を設備や新規事業に投資することで、売上拡大を見込めます。

投資によって新たな売上の創出や残っている従業員の業務効率化を実現できれば、経営の改善が可能です。「人件費削減→設備投資→売上拡大」の流れを作ることができれば、人件費率を抑えられます。

人件費削減した後に大きな設備投資を行うと、従業員は方針がブレていると感じて不信感を抱く可能性があります。残っている従業員に対して明確な説明ができるように準備しましょう。

4. 銀行からの評価が高くなる

固定費を削減し経営のスリム化・決算書の改善を実現できれば、銀行からの評価が高くなります。融資を受けている・検討している場合には特に重視したいポイントです

人件費削減による経営改善は対処療法に過ぎません。人材流出が流出し悪循環が始まったら、人件費を削減する前よりも経営が悪化する可能性もあります。銀行からの評価を目的に人件費削減を行う場合は、融資を受けた後の計画を厳密に練っておきましょう。

デメリットが小さい人件費の削減方法4選

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「人件費を削減したいが、デメリットも可能な限り抑えたい」場合には、次の4つの方法がおすすめです。

  • 業務の見直し・再構築
  • ツール・システムの導入
  • アウトソーシングの活用
  • 人事評価制度の見直し

適切な人件費削減は経営に大きなメリットを生みます。下記で解説する方法のうち、自社に必要と考えられるものを検討してみてください。

1. 業務の見直し・再構築による課題の解決

効果的な人件費削減方法の1つ目は、業務の見直し・再構築による課題の解決です。まずあらゆる自社業務を棚卸しして、効率化・生産性向上を阻むボトルネックを洗い出します。次に現状と理想のギャップを正確に把握したうえで業務の再構築を行いましょう。

業務を再設計し残業体質を改善することで、自然と人件費を削減できます。業務の再構築は、中長期的な視点での人件費削減施策です。初めは組織改変や業務変更に伴うコストが発生する場合も少なくありません。

短期的なコストアップを認識したうえで中長期的に投資を回収していく意識があれば、業務の見直し・再構築によって効果的に人件費を削減できます。

2. ツール・システムの導入による業務効率化

ツール・システムの導入による業務効率化も、人員整理を伴わない人件費削減方法の1つです。下記のツール・システムを導入して、手作業でやっている業務を自動化することで業務量を減らします。

  • 在庫管理
  • 勤怠管理
  • 健康管理
  • ワークフロー

システム化・省力化によって残業時間を減らすことができれば、解雇や基本給カットをせずに人件費を削減可能です。残業が減って従業員の満足度が上がることで、モチベーション・生産性が向上する副次的な効果も期待できます。

3. アウトソーシングの活用による業務削減

効果的な人件費削減方法の3つ目は社員の業務の一部をアウトソースすることです。業務委託であれば、社会保険料や福利厚生費などを負担する必要がありません。社員と同じ時給単価で依頼した場合でも、会社の負担金額は小さく済みます。

特に残業が増えやすい繁忙期は積極的にアウトソーシングを活用しましょう。社員の数を閑散期にあわせ、繁忙期には業務の一部をアウトソースすることで、ムリ・ムダ・ムラをなくせます。

4. 人事評価制度の見直しによる人件費最適化

人事評価制度を見直すことで人件費最適化を実現できます。具体的には「生産性が低いのに給与が多い社員」と「生産性が高いのに給与が少ない社員」の人件費をリバランスしましょう

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生産性が高い従業員を正しく評価し給与に反映することで、パフォーマンスの向上も期待できます。仮にリバランス前後で人件費の総額が変わらなくても、生産性向上による売上拡大が可能です。

人事評価制度を見直して人件費を最適化し、人件費カット・売上アップの両面から人件費率の改善を目指しましょう。

まとめ|安易な人件費削減はデメリットが勝る

業務再構築や人事評価制度の見直しには初期コストがかかる一方、中長期的に見てデメリットを抑えながら人件費最適化ができます。会社の将来を見据えて、リスクリターンを考慮したうえで人件費率の改善を進めましょう。

業務体制や人事評価制度を見直したい場合は、経営・人事の専門家に相談することも選択肢の1つです。知識や事例を踏まえた、人件費最適化方法を提案してくれます。

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監修者の一言

企業が成長発展するには、利益を上げ続けていくことが不可欠でありますが、不透明な環境下では、経費をいかにコントロールしていくかが重要になります。総費用には、売上高の増減に連動して増減する変動費と売上が減少しても変わらない固定費があります。

まずは売上に連動していく変動費に着眼してコストダウンを行います。変動費の性質を考えれば、仕入れ費、人件費の残業費などが変動費の対象となり、仕入れ費は、単位当たりの変動費率でコントロールすることが大事になります。人件費の残業に関しては、売上に比例した目標残業時間管理で、残業費を抑えていくことがポイントです。

次に固定費ですが、売上が増加しても固定費は膨らまないようにし、売上高が減少する場合には、売上高の減少以上に固定費削減に努力する必要がありますが、重箱の隅をつつくコスト削減は、仕事の能率を下げ、従業員のやる気をそぐだけですので、固定費の削減は効果のあるコスト構造の見直しが必要になります。

また、業績が悪化している場合も固定費の人件費は否応なく下げるのでなく、一人当たり生産性がこのように悪化して、賞与などに反映することが難しいなどの根拠を示していくことが大切です。

株式会社IGAコンサルティング
取締役 粕谷 重朗
監修者

東京都出身。大学卒業後、メーカー、コンサルティング会社勤務を経て、コンサルタントとして独立。主に中堅・中小企業を対象に様々な業種で経営を“見える化”して、経営改革をおこなう。企業の種々の経営課題から改善への道筋・目標をわかりやすく見える化し、改善に取り組むサポートをおこなう。実行性を高め、成果に繋げるコンサルティングを実践する。得意分野は企業風土改革、経営戦略策定、方針目標管理、日常業務管理、業務改革、収益管理改善、営業力強化、工場管理改善、人事評価制度構築、運用支援など。企業の実情をふまえて改革プランを作成後、経営現場で実践的なサポートを実施する。マネジメントの質とスピードが変革され、マネージャーのマネジメント力(管理力と改善力)が向上し、社員の自発性・実行力が向上する“人が育ち職場風土が活性化”されるコンサルティングに定評がある。

比較ビズ編集部
執筆者
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
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