人件費削減の4つのデメリットとは?効果的に費用を抑える方法を紹介!

株式会社IGAコンサルティング
監修者
株式会社IGAコンサルティング 取締役 粕谷 重朗
最終更新日:2024年03月27日
人件費削減の4つのデメリットとは?効果的に費用を抑える方法を紹介!
この記事で解決できるお悩み
  • 人件費削減のデメリットとは?
  • 効果的な人件費削減の方法とは?
  • 人件費削減で失敗しないためのポイントは?

人件費削減を進めていて「デメリットには何がある?」「どうしたら効果的に行える?」など不安を感じている経営者の方、必見です。

人件費削減は、従業員のモチベーションにも関わるため、慎重に進める必要があります。業務内容の見直しやアウトソーシングの検討などから進めていきましょう。

この記事では、人件費削減のメリット・デメリットに加え、失敗しないためのポイントを解説します。コスト削減を目指す企業の経営者の方はぜひ参考にしてください。

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人件費削減のデメリット4つ

デメリット

人件費削減の主なデメリットは以下の4つです。

  1. 生産性が低下する
  2. 企業のイメージが悪くなる
  3. 必要な人材が流出するおそれがある
  4. 人手不足により経営が悪化する

人件費削減を急激に進めた場合、経営の悪化につながるおそれがあります。人件費削減を検討している場合、必ずデメリットを把握しておきましょう。

1. 生産性が低下する

人件費削減の大きなデメリットの1つは、生産性の低下です。仕事量が変わらないにもかかわらず給与が下がれば、従業員のモチベーションが下がることは避けられません。リストラが行われ、給与が変わらず仕事量が増えた場合も同様です。

リストラによって同僚や上司が会社を去ることになれば、残された従業員が不満を抱えるケースもあります。1度下がったモチベーションを上げるのは非常に難しいため、人件費削減は慎重に進める必要があるでしょう。

2. 企業のイメージが悪くなる

人件費削減により、企業のイメージが悪くなるおそれもあります。イメージ悪化の要因は主に以下の2つです。

  • 取引先から経営状態が極端に悪化していると捉えられる
  • 消費者から従業員を大切にしない会社だと思われる

ほかの企業が人件費削減のことを聞くと、経営が危ういのではないかと考えて取引を中止される可能性もあります。金融機関から融資を受けている場合、追加の借入れが難しくなることもあるでしょう。

加えて、近年では従業員目線での企業口コミサイトも増えています。人件費削減の影響を受けて退職した従業員がネガティブな口コミを投稿することで、将来の志望者が少なくなる点もデメリットです。

3. 必要な人材が流出するおそれがある

人件費削減により優秀・将来有望な人材が流出することがあります。労働者は労働契約法によって手厚く保護されているため、経営者都合での整理解雇を行うためには次の条件を満たさなければなりません。

  • 人員削減の必要性
  • 解雇回避の努力
  • 人選の合理性
  • 解雇手続の妥当性

人件費削減で退職者を募る場合、同業他社で活躍できる能力を持った優秀な人材ほど、転職を決断しやすいのが実情です。安易な人件費削減は、優秀な人材や将来会社を担う若い世代の流出を招くでしょう。

4. 人手不足により経営が悪化する

人件費削減により、人手不足が発生する点もデメリットです。リストラを実施することで、残された従業員の負担は確実に増えるでしょう。一方、給与額は変わらないため、従業員がモチベーションを保つのはかなり難しくなります。

会社の現状に危機感を覚えて転職者が続出することから人手不足が深刻化し、経営が悪化することもあります。人件費を削減する場合は「人件費削減→人手不足→業績悪化→さらなる人件費削減」の悪循環に陥らないための対策を用意しておくべきです。

人件費削減のメリット4つ

メリット

人件費削減を適切に行うメリットは以下の4つです。

  1. 人件費以外のコストカットを見込める
  2. 余剰資金を新規事業や設備投資に回せる
  3. 金融機関の評価が上がり融資を受けやすくなる
  4. キャッシュフローが改善する

人件費削減にはデメリットだけではなくメリットもあります。計画的に人件費削減を実行することで、コストカットはもちろん経営改善も期待できます。

1. 人件費以外のコストカットを見込める

解雇や給与調整による人件費削減を行うことで、人件費以上のコストカットが行えます。従業員を雇用し続けるためには、給与や賞与などの直接コストに加えて以下の間接コストを負担しなくてはなりません。

  • 社会保険料
  • 福利厚生費
  • 水道光熱費や消耗品費
  • 教育費

会社が支払う1人あたりの人材コストは、給与の2倍ともいわれています。つまり、年収400万円の従業員を1名削減した場合、年間でおよそ800万円のコスト削減を期待できることになるでしょう。

2. 余剰資金を新規事業や設備投資に回せる

人件費削減による余剰資金を新規事業や設備投資に回せるのもメリットの1つです。設備投資によって新たな売上の創出や業務効率化を実現できれば、経営の改善が可能になるでしょう。「人件費削減→設備投資→売上拡大」の流れを作ることができれば、人件費率を抑えられます。

人件費削減した後に大きな設備投資を行うと、従業員は経営方針がわからなくなり不信感を抱くおそれもあります。削減した人件費を何の目的でどのように用いるのか、従業員に対して明確な説明ができるように準備しましょう。

3. 金融機関の評価が上がり融資を受けやすくなる

人件費を含む固定費を削減し、経営のスリム化・決算書の改善を実現することで、銀行からの評価が上がります。現在金融機関から融資を受けている、今後融資の申し込みを検討している企業は重視したいポイントです。

人件費削減による経営改善は一時的な対処療法に過ぎず、最終的に経営が悪化するおそれもあります。金融機関からの評価を目的に人件費削減を行う場合は、経営改善の施策や融資後の経営計画を綿密に練っておきましょう。

4. キャッシュフローが改善する

人件費削減により、キャッシュフローが改善することも見逃せないメリットです。企業は掛取引を行うのが一般的であり、商品・サービスを受け渡すときではなく、決められた期日に支払うことが少なくありません。期日までに支払いに必要な資金を用意できるかが企業にとって非常に重要となります。

人件費削減により、毎月の支出を減らせれば、資金を用意することが簡単になりキャッシュフローを改善できるでしょう。顧客や取引先からの信頼を勝ち得るのにも役立ちます。

効果的な人件費削減の方法6つ

チェック

効果的な人件費削減の方法は以下の6つです。

  1. 業務内容の見直し
  2. システム導入による業務効率化
  3. アウトソーシングの積極的な活用
  4. 残業時間・残業代の見直し
  5. 従業員の配置転換
  6. 在籍出向の活用

適切な人件費削減を行うことで、デメリットを最小限に抑え、大きなメリットを引き出せます。自社に必要と考えられるものを検討してみましょう。

1. 業務内容の見直し

効果的な人件費削減方法の1つは、業務内容の見直しです。自社業務を棚卸し、効率化・生産性向上を行える部分がないかチェックしましょう。

業務内容を見直し効率化を図ることができれば、自然と人件費を削減できます。ただし、業務内容の見直しは中長期的なものであり、最初は組織改変や業務変更に伴うコストが発生する場合があることを覚えておきましょう。

2. システム導入による業務効率化

システムの導入による業務効率化も、効果的な人件費削減方法の1つです。以下のツール・システムを導入して、業務を自動化することで業務量を減らせるでしょう。

  • 在庫管理
  • 勤怠管理
  • 健康管理
  • ワークフロー

システムを導入して業務を効率化することにより、解雇や給与・賞与カットをせずに人件費を削減できます。残業が減って従業員の働きやすさを向上させることで、モチベーション・生産性が向上する可能性もあるでしょう。

3. アウトソーシングの積極的な活用

人件費削減のため、アウトソーシングを積極的に活用することも1つの手です。業務の一部を外部に委託することで、社会保険料や福利厚生費などの負担を抑えられます。社員と同じ時給単価で依頼した場合でも、アウトソーシングであれば会社の負担は少なくて済むでしょう。

とくに繁忙期は積極的にアウトソーシングを活用すべき時期です。閑散期を基準に従業員数を設定し、繁忙期には業務の一部を外部委託することで、人件費を効果的に削減できます。

4. 残業時間・残業代の見直し

人件費を抑える別の方法は、残業時間・残業代の見直しです。残業時間が増えると、時間外手当・休日出勤手当など多くの手当てを支給しなければなりません。

残業を極力減らすため、業務の見直しや業務の外注化を積極的に推し進めるべきです。加えて「残業すべき」という社風の改善も必須です。残業することが当然の企業風土の場合、従業員の意識改革も必要になります。

5. 従業員の配置転換

人件費削減のため、従業員の配置転換も効果的です。従業員1人ひとりの得意分野や専門分野を把握し、もっとも能力が発揮できる部門に配属しましょう。適材適所を実現できれば、業務がさらに効率化できます。

ただし、配置転換を効果的に行うためには、必要な人員が確保できることが絶対条件です。主要な部門であっても人手不足になれば適切な人件費削減は行えません。アウトソーシングやシステムの導入によりオーバーワークにならないように注意しましょう。

6. 在籍出向の活用

近年人件費削減の手法としてよく用いられるのが在籍出向です。在籍出向とは、ある従業員が出向元・出向先両方の企業と雇用契約を結び、一定期間出向先の企業に勤務することを指します。

在籍出向の場合、給与は出向先企業が支給することが多いため、出向元企業にとっては人件費削減となるでしょう。一方、出向元企業と従業員の雇用関係は維持されており、いずれ出向元に戻れる可能性が高いため、従業員にとってもメリットがあります。

人件費削減で失敗しないためのポイント3つ

ポイント_虫眼鏡

人件費削減で失敗しないための重要なポイントは以下の3つです。

  1. 無駄な業務の洗い出しを徹底的に行う
  2. 段階的な削減を心がける
  3. 従業員のモチベーションを考慮する

人件費削減は会社・従業員ともにマイナス面があるため、従業員にも納得できる手法で人件費削減を進めるべきです。

1. 無駄な業務の洗い出しを徹底的に行う

人件費削減を行う際、無駄な業務を徹底的に洗い出すことが重要です。業務の棚卸しは時間がかかる面倒な作業ですが、業務の効率化には必須の作業といえます。

従業員としても、業務の効率化が図られていることを感じれば、人件費削減に対しても納得しやすくなるでしょう。無駄な業務が減ることで残業時間が減り、ワークライフバランスの向上も期待できます。

2. 段階的な削減を心がける

人件費削減を実施する場合、段階的な削減を心がけることも重要です。人件費削減の施策はさまざまですが、複数の施策を一気に推し進めると従業員が不安を感じるおそれがあります。

会社の経営が悪化してから人件費削減を行うと、急いで給与カットやリストラを行わなければなりません。さらなる経営悪化を防ぐためにも、経営が極度に悪化する前に業務効率化やシステム導入などによる人件費削減を検討すべきです。

3. 従業員のモチベーションを考慮する

人件費削減を進める際、従業員のモチベーションを考慮しなければなりません。会社の業績は従業員の働きに大きく依存しているためです。人件費削減は、従業員のモチベーションを大きく引き下げるおそれがあります。

人件費削減と従業員のモチベーション維持を両立させるためには、ていねいな説明が不可欠です。どのように人件費削減を進めるのか、すでにどのような作業が行われたのか、今後どのような対策が予想されるか詳細に知らせましょう。

納得できる人件費削減の手法であれば、従業員のモチベーション低下を最小限に抑えられます。

まとめ

給与カットやリストラなどの人件費削減は、従業員のモチベーション低下や会社のさらなる経営悪化などを招きかねません。

緊急事態を除き、業務の効率化やアウトソーシングの活用など、痛みの少ない手法を用いましょう。最初に多少のコストがかかっても、将来の経費削減になる手法であれば積極的に活用すべきです。

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監修者のコメント
株式会社IGAコンサルティング
取締役 粕谷 重朗

東京都出身。大学卒業後、メーカー、コンサルティング会社勤務を経て、コンサルタントとして独立。主に中堅・中小企業を対象に様々な業種で経営を“見える化”して、経営改革をおこなう。企業の種々の経営課題から改善への道筋・目標をわかりやすく見える化し、改善に取り組むサポートをおこなう。実行性を高め、成果に繋げるコンサルティングを実践する。得意分野は企業風土改革、経営戦略策定、方針目標管理、日常業務管理、業務改革、収益管理改善、営業力強化、工場管理改善、人事評価制度構築、運用支援など。企業の実情をふまえて改革プランを作成後、経営現場で実践的なサポートを実施する。マネジメントの質とスピードが変革され、マネージャーのマネジメント力(管理力と改善力)が向上し、社員の自発性・実行力が向上する“人が育ち職場風土が活性化”されるコンサルティングに定評がある。

企業が成長発展するには、利益を上げ続けていくことが不可欠でありますが、不透明な環境下では、経費をいかにコントロールしていくかが重要になります。総費用には、売上高の増減に連動して増減する変動費と売上が減少しても変わらない固定費があります。

まずは売上に連動していく変動費に着眼してコストダウンを行います。変動費の性質を考えれば、仕入れ費、人件費の残業費などが変動費の対象となり、仕入れ費は、単位当たりの変動費率でコントロールすることが大事になります。人件費の残業に関しては、売上に比例した目標残業時間管理で、残業費を抑えていくことがポイントです。

次に固定費ですが、売上が増加しても固定費は膨らまないようにし、売上高が減少する場合には、売上高の減少以上に固定費削減に努力する必要がありますが、重箱の隅をつつくコスト削減は、仕事の能率を下げ、従業員のやる気をそぐだけですので、固定費の削減は効果のあるコスト構造の見直しが必要になります。

また、業績が悪化している場合も固定費の人件費は否応なく下げるのでなく、一人当たり生産性がこのように悪化して、賞与などに反映することが難しいなどの根拠を示していくことが大切です。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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