人事考課と人事評価の違いとは?目的と構成要素・活用する3つのメリットを徹底解説

最終更新日:2023年08月22日
人事考課と人事評価の違いとは?目的と構成要素・活用する3つのメリットを徹底解説
この記事で解決できるお悩み
  • 人事考課と人事評価は何が違うの?
  • 人事考課をする目的とは?
  • 人事考課によって得られるメリットとは?

人事考課は賃金や待遇を決めるもので、人事評価は能力や業績を評価するものです。人事考課を行うことで、社員は仕事の目標設定ができ、会社全体の成長につながります。

この記事では、経営者や人事考課に課題を感じている人事担当者に向けて、人事考課を実施する目的を解説します。

人事考課と人事評価の違い、人事考課によって得られるメリットを解説するため、ぜひ参考にしてください。

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人事考課と人事評価の違いとは

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人事考課と人事評価に大きな違いはありませんが、一般的には以下のように使われることが多いです。

  • 人事考課:賃金や待遇を決めるもの
  • 人事評価:能力や業績を評価するもの

人事考課とは「賃金や待遇を決めるもの」

人事考課とは、社員の賃金や待遇を決めるものです。具体的には給料・賞与・退職金などが決まります。実施回数は会社によって異なりますが、一般的に年に1回です。

人事評価とは「能力や業績を評価するもの」

人事評価とは、社員の能力や業績を会社の決められた指標で評価することです。社員の能力や業績を評価し、人事考課で社員の待遇に反映させます。広義の意味では、人事評価のなかに人事考課が含まれていると考えることができます。

人事考課を行う目的

人事考課を行う目的は、社員の待遇を決めてミッションを明確にすることです。人事考課で賃金アップや待遇が良くなった場合、以前よりも求められる仕事の難易度は高くなります。

人事考課をしなければ、会社が求める成果を社員に伝えることができません。社員は目標を立てることができず、成長するキャリアパスがイメージできなくなります。

人事考課によって社員が成長し、組織全体の成長へとつながるでしょう。

人事考課を構成する3つの構成要素

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人事考課を構成する要素は3つです。

  • 評価制度
  • 等級制度
  • 報酬制度

評価制度

評価制度は、社内の評価基準に応じて社員の能力を評価し、待遇に反映させる制度です。

評価制度で社員の能力を把握することで、ビジネスモデルの構築・プロジェクトにおける立場・配置や異動の情報として活用できます。評価制度を用いることで上司が部下を評価する能力も鍛えられ、マネジメントに活かすことができます。

等級制度

等級制度とは、社員の能力に応じて社内の位置を決める制度です。社員の等級を決めるときは、社内に等級テーブルを用意します。

それぞれの等級で求めるスキルや等級が上がる条件を明確にすることで、社員は目標を決めやすくなります。昇格に必要な資格の取得や経営者へのプレゼンを条件にすることで、社内での公平性が保たれます。

報酬制度

報酬制度は、評価や等級に応じて社員の給与・賞与・手当を決める制度です。評価制度や等級制度と整合性が取れるようにしましょう。給与は能力による評価で1年間の報酬を確定させ、賞与は一定期間の業績評価に準じて支給額を確定させます。

報酬制度は特に社員モチベーションに影響します。年功序列から実力主義の報酬制度に切り替える会社が増えていることから、時代にあわせた考え方を取り入れましょう。

人事考課における3つの評価項目

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人事考課における3つの評価項目は、以下のとおりです。

  • 業績考課
  • 能力考課
  • 情意考課

業績考課

業績考課は、会社や上司が求める業績が達成できたかを評価します。部署によって業績の方向性は変わるでしょう。営業部の場合は受注件数や受注額が業績になり、生産部門の場合は品質指数や生産効率性が評価対象となります。

能力考課

能力考課は、個人のスキルに対して評価します。業界や職種により必要な能力は変わります。

部長や課長をはじめとするマネジメント層であれば、決断力や判断力、部下のマネジメント能力が求められます。情報システム部のプロフェッショナル職であれば、インフラの環境構築スキルやプログラミング能力が求められます。

能力考課は、これからのキャリアパスに重要な意味合いがある人事考課です。

情意考課

情意考課では、社会人としての振る舞いや組織における責任感・規律性を評価します。

仕事のスピードが遅い社員であっても、プロジェクトの雰囲気を良好にする能力があればその点は評価に値します。チームで仕事をする以上、協調性やコミュニケーション能力も組織としてプラスの点といえるため、情意考課として評価されるべきです。

人事考課で得られる3つのメリット

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人事考課で得られる3つのメリットは、以下のとおりです。

  • 仕事で努力をする動機づけができる
  • 組織のミッションを伝えることができる
  • 正しい評価で社員のモチベーションを高める

仕事で努力をする動機づけができる

人事考課で評価された役職や社内の立場により、会社が求める成果が明確になります。社員は成果を出すための目標を立てやすくなるため、仕事で努力をする動機づけにつながるでしょう。

次のステップに進むために必要なスキルも明確になるため、成長意欲が高まる効果が期待できます。

組織のミッションを伝えることができる

人事考課の評価基準をとおして、組織が求める人物像を社員に伝えることができます。会社の存在意義や顧客に提供する価値、目指すべき会社の方向性が共有され、組織力向上につながるでしょう。

組織のミッションとあわせて、役職や職種ごとに求めるミッションを設定すると効果的です。離職者の増加傾向が会社の課題であれば、マネジメント力を評価対象の重要項目にする対策が取れるようになります。

正しい評価で社員のモチベーションを高める

人事考課によって、評価が上がれば社員はモチベーションが高くなるでしょう。

人事考課では、公平で正しい評価が求められます。評価が下がった社員がいても評価制度によって正しく評価され、課題が明確であればモチベーションの低下にはなりません。人事考課におけるフィードバックは、社員のモチベーションを左右する重要な機会です。

人事考課の流れ

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人事考課の流れは、以下のとおりです。

  1. 目標を設定する
  2. 業務を遂行する
  3. 評価する
  4. 面談をとおしてフィードバックする

1. 目標を設定する

決められた期間の目標を社員が設定します。上司と面談を行い、主観的な要素だけではなく、会社から求められる成果を明確にします。

目標が定量的なものであると客観的な評価がしやすいでしょう。達成すべき目標とあわせて、難易度の設定をすると社内での公平性を保ちやすくなります。

2. 業務を遂行する

目標を決めたら、業務を遂行しましょう。業務を遂行するなかで、社会の流れや外部環境の変化によって目標を軌道修正する必要が出てきます。

3カ月〜半年の節目で上司と面談の機会を設け、柔軟に対応しましょう。定期的な面談は、目標の進捗を確認するためにも重要です。

3. 評価する

目標が達成できたのか、まずは自己評価をします。人事考課を効果的に機能させるためには、自己評価をした後に上司が評価する流れを構築しましょう。上司からの一方的な評価だけでは、社員のモチベーション低下につながるおそれがあります。

人事考課の評価によって社員の待遇が決まります。給与に関わる部分のため、慎重かつ真剣に取り組まなければなりません。定量的な目標の背景にある、定性的な成果も考慮しましょう。

4. 面談をとおしてフィードバックする

公平性があり部下に寄り添った面談を行うことで、社員のスキル向上とモチベーションアップにつながります。面談では、目標の達成度を話し合い、要因と原因を明らかにしましょう。

短期間の評価だけに集中せず、将来のキャリアパスをイメージした面談が理想的です。

人事考課の問題点・注意点

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人事考課の問題点・注意点は、以下のとおりです。

  • 感情に左右されない評価をする
  • 評価者のスキルを高める
  • 適切なフィードバックをする

感情に左右されない評価をする

意図的、もしくは無意識のうちに評価者の感情や心理が反映され、誤った評価をしないように注意します。公平な人事考課でなければ社員からの不満が生まれ、組織のバランスは崩れてしまいます。

感情に左右される評価の事例は大きく分けて6つです。

ハロー効果 学歴や経歴など被評価者の優れた一面に影響され、他の面を実際よりも高く評価してしまうこと。
中心化傾向 嫌われたくない感情や理由から、全員の評価が中心値に集まってしまうこと。
期末効果 直前にあったいいこと・悪いことに影響された評価をしてしまうこと。
寛大化・厳格化 被評価者への私的な感情に左右され、全体的に甘い、または厳しい評価をしてしまうこと。
対比誤差 被評価者の能力・知識などを評価者自身と比較して評価してしまうこと。
論理誤差 1つの事実から推論して評価してしまい、結果と過程が異なること。

評価者のスキルを高める

人事考課をとおして、評価者のスキルを高めましょう。評価者としての適正に問題がなくても「評価基準を正しく理解していない」「評価することの経験がない」人物では、正しい評価を判断できません。

公正な判断ができる適正を持つ人物であるのか見極めたうえで、評価者をしっかりとトレーニングすることが重要です。

適切なフィードバックをする

正しく評価するだけでは、人事考課の目的である「人材育成」を達成できません。評価に納得しできなければ次の目標設定ができず、不適切な人事考課になるおそれがあります。評価に対する納得できる理由とともに、今後の努力の方向性を指し示すフィードバックが必要です。

まとめ

この記事では、人事考課と人事評価の違いや人事考課の評価項目、評価の流れを解説しました。人事考課は、組織の考え方やビジョンを社員に浸透させ、社員それぞれの成長とモチベーション向上に役立ちます。

社会の変化や社員からの意見を参考にして、柔軟に対応することが重要です。

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監修者のコメント
Long Lasting Line (ロングラスティングライン)
代表者 福住 和久

実践戦略経営コンサルティングロング ロングラスティングライン代表。同志社大学商学部出身。大手米国系企業“P&Gジャパン”および“リーバイスジャパン”にて営業・マーケティング・戦略構築・組織構築の実務担当・責任者を経てフランスのフレグランスブランド “ディプティック ジャパン”にて日本法人社長。その後日本の企業アルファネット(株)にてCEO。それらの実践経験を基にビジネスコンサルティングファーム“ロング ラスティング ライン”を東京にて起業。経営・マーケティング・営業・評価制度・組織構築などの企業成長の要パートを専門に主に日本全国の中小企業・個人企業を支援。B to B およびB to B to Cモデルの企業を中心に支援。

人事制度や人事戦略と言うのは会社の様々な制度や戦略の中でも最重要なものです。何故なら会社は”人”が作るからです。その人事制度の中でも一番重要なものが今回の記事で解説されている”評価制度”です。

人が働く一番のモチベーションはお金ややりがいではなく実は公平で適正に評価されていることなのです。その結果給料が上がり、賞与をもらえる。そして適材適所への配置の実施。それらの積み重ねがやりがいに繋がるのです。

その評価制度にとってなくてはならない概念が”公平”と”透明性”です。その為、評価制度を導入する際は必ず評価の基準をクリアにすること。そして評価制度の仕組みや内容を社員に公開することが必要です。”密室の評価”を行うと途端に会社の業績は伸び悩みます。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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