360度評価とは?メリット・デメリットを踏まえた導入・運用のポイントを解説!

最終更新日:2023年08月21日
360度評価とは?メリット・デメリットを踏まえた導入・運用のポイントを解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 360度評価をおこなう目的や特徴は?
  • 360度評価を実施するメリットやデメリットは?
  • 360度評価の導入・運用で注意点や導入事例は?

360度評価は上司をはじめ同僚や部下、他部署の従業員、顧客などさまざまな人から評価を受ける制度です。成果主義への転換や働き方の多様化が進み、360度評価を取り入れる企業が増えてきています。

この記事では、人事担当者や経営者の方へ向けて、360度評価のメリットやデメリット、正しい運用方法を解説します。

評価項目の事例や運用の成功例を紹介するため「自社の人事評価制度を見直したい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

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360度評価とは

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360評価とはどういう評価方法なのか、その特徴や導入背景を説明します。

上司や部下など複数の社員から評価を受ける制度のこと

360度評価とは、関係性の異なる複数の評価者が対象となる従業員を評価する、人事評価手法のことです。被評価者の上司はもちろん、同僚、部下、他部署の従業員、顧客など従業員に関わる多くの人が評価者となるため「多面評価」「周囲評価」と呼ぶ場合もあります。

評価の結果は被評価者へとフィードバックされ、当人の意識改革・行動改善へと役立てられることから「360度フィードバック」と呼ばれることもあります。

360度評価の目的

上司が部下を評価する従来の方法は、評価者の主観が入りやすく「評価エラー」が起きやすい課題がありました。同僚や部下など複数の評価者を用意することで、被評価者の人間性・組織への貢献度をあぶりだし、評価の公平性・客観性を高めることができます

さらに結果を被評価者へフィードバックすることで「人材育成」を促すことも可能です。評価結果を被評価者が客観的に受け止めることで成長を促し、被評価者が知らなかった自身の強みを評価結果から知ることで仕事へのモチベーションを高めるなど、さまざまな形で活用されています。

360度評価の導入率

株式会社シーベースのプレスリリースによると、従業員100名以上の企業全体のうち6割の企業が導入しており、5,000名以上の従業員がいる会社はおよそ7割が導入しています。業界別で見ると金融に次いでIT・通信・Webサービスが最多の導入率です。

参照:PR TIMES シーベース 「データでわかる! 360度フィードバック導入状況」全調査結果を発表

360度評価が注目されている背景

360度評価が注目されている理由として、人事評価に対する従業員からの信頼感をより得られやすいことが挙げられます。

年功序列制度や終身雇用制度から成果主義への転換、グローバル化・働き方の多様化・労働力不足などの市場環境の変化が大きく関連しているでしょう。この変化により、今までの評価方法では正しい評価ができないようになりました。

そこで従業員が「正当に評価されている」と感じられる信頼感が必要です。評価に客観性・公平性を持たせることで、人事評価制度の信頼感を担保できます。

360度評価の4つのメリット

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360度評価のメリットは以下の4つです。

  • 被評価者の人物像をより具体化できる
  • 被評価者自身が改善点に気がつける
  • 評価への納得感を高められる
  • 責任感・当事者意識を高められる

被評価者の人物像をより具体化できる

360度評価を活用するメリットの1つは、被評価者の人物像をより具体化にできることです。

関係性の異なる複数の評価者が存在するため、一面からだけでは見られない被評価者の特性・適性・人間性などの人物像をより詳しく見ることができます。特性・適性に応じて適材適所に配置する人材活用・人事戦略の観点からも、会社組織にとって非常に有用です。

被評価者自身が改善点に気がつける

360度評価は、被評価者自身が気づかなかった改善点やその他の特性、適正に気がつけます。ビジネスマンとして成長していくためには、自分で長所・短所を改善する意識付けが必要です。

上司から頭ごなしに指導されるだけでは充分ではありません。被評価者に客観的な意見をフィードバックできる360度評価は、就業態度や仕事の成果を見直すきっかけとなるでしょう。

評価への納得感を高められる

360度評価は複数人から評価を受けるため、評価への納得感を高められます。上司から一方向のみの評価では、不満を感じる人も多いです。周囲にいる部下や同僚を含めた、複数人からの多方向の評価で客観性・公平性が担保されやすくなります。

正当に評価されている納得感が高まれば、従業員のモチベーション維持、会社へのエンゲージメント向上にも役立つことでしょう。

責任感・当事者意識を高められる

360度評価は、個々の従業員に責任感を芽生えさせ、当事者意識を高められるメリットがあります。

ビジネスでは上司1人からいい評価をもらえばいいわけではありません。さまざまな場面において、人に見られている意識や責任感が高まり、仕事での生産性やモチベーションが上がります。

自分が評価者の立場になるため、責任感・当事者意識をより一層高められるでしょう。

360度評価の4つのデメリット

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360度評価はいい点ばかりではなく、デメリットもあります。

  • 評価エラーが起きるリスクがある
  • 上司が部下に遠慮するリスクがある
  • 従業員間で不正をするリスクがある
  • 従業員間で不信感が高まるリスクがある

評価エラーが起きるリスクがある

360度評価に限ったことではありませんが、定性的に評価する情意評価では、評価エラーが起きやすい課題があります。

被評価者の優れた一面に着目して、その他の項目も高く評価してしまう「ハロー効果」が代表的な評価エラーです。こうした評価エラーは「評価者の適性やスキル」が要因である場合がほとんどです。

普段評価することに慣れていない従業員が評価者になるため、評価エラーが起きやすい一面があります。デメリット面を打ち消すため、従業員の評価トレーニングを実施したり、評価の事前説明会を行ったりするなどの工夫が必要です。

上司が部下に遠慮するリスクがある

360度評価では、マネージャー・管理職も直属の部下から評価されます。上司が部下から低評価されることをおそれ、部下に遠慮してしまったり、業務で指導ができなかったりすると、会社組織にとって大きな損失につながりかねません。

評価項目に私情を挟まないよう工夫をするため、マネージャー・管理職の育成・成長に限定して、360度評価を報酬・等級に連動させないなどの対策が必要です。

従業員間で不正をするリスクがある

360度評価を導入すると、従業員間で不正が起こる可能性があります。

高評価を受けたいと考えるのは、一般従業員でも同様です。つまり360度評価には、同僚などと談合してお互いを高く評価しあうなど、不正の温床になる可能性が排除できません。

評価項目を含む制度設計に細心の注意を払い、360度評価を導入する意味や意義を啓蒙するなどの活動が必要となるでしょう。

従業員間で不信感が高まるリスクがある

360度評価を導入すると従業員間の不信感が高まる可能性があります。

匿名での評価制度は、被評価者との上下関係や立場を気にすることなく、正直に評価をしてもらいやすいです。悪い評価をされた場合、誰が評価を付けたのかと気になり不信感を抱くきっかけになります。

評価を受けた従業員のモチベーション低下や、ショックを受けることのないように書き方や表現のルールに注意が必要です。

360度評価の導入・運用時の注意点

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360度評価の導入・運用時の注意点は以下の4つです。対策をとることで、360度評価導入によって起こりうる弊害やデメリットを排除することができます。

  • 評価者に研修を実施し目的や基準を共有する
  • 被評家者に必ずフィードバックをおこなう
  • 評価を報酬には反映しない
  • 評価項目の設計

評価者に研修を実施し目的や基準を共有する

360度評価を実施する場合、評価者は評価の経験がない人ばかりになるでしょう。「評価エラー」のリスクを下げるためにも、評価者に研修やトレーニングをおこなう必要があります

社員には、評価者となる責任感や当事者意識を持たせることも重要です。研修では評価方法だけではなく意義や目的、効果なども周知徹底しなければいけません。

被評価者に必ずフィードバックをおこなう

360度評価をおこなったら被評価者へ必ずフィードバックをしましょう。評価をするだけでは、評価者が評価の時間を無駄に感じたり被評価者が十分に評価を活かせなかったりと、効果が薄くなる可能性があります。

フィードバックをするときは以下の3点に気をつけましょう。

  • 事実のみを伝え主観的な意見を言わない
  • 評価の平均を参考にする
  • 被評価者全員におこなうこと

上記3点に注意することで、360度評価のメリットを最大限に活かせます。

評価を報酬に反映しない

360度評価をおこなうときは、評価を報酬に反映させてはいけません。評価が報酬と連動していると、報酬を上げるためにいい評価を得ようと不正をする可能性があります。

報酬に影響する評価は、360度評価ではなく上司が直接判断する方が好ましいです。

匿名性にする

360度評価は評価者の実名公開ではなく、匿名でおこないましょう。評価者が自分の上司や部下でも気にすることなく、正直に評価することができるためです。

匿名性の実施をすることで、360度評価の客観性や公平性を担保できます。

360度評価の評価項目事例

360度評価の評価項目の事例は以下のものがあります。

  • 自分で目標と計画を設定し達成のために努力している
  • 周りの従業員とコミュニケーションを積極的に取っている
  • 主体性を持った行動ができている
  • 周りから否定的・批判的な意見を言われてもポジティブに受け止めている
  • 問題が発生したり悩みがある場合、1人で抱えず周りに相談している

上記の項目に対して「そう思う」や「そう思わない」などを5段階で評価し、平均点を出しましょう。評価項目は上記以外にも用意するといいでしょう。

被評価者が一般社員、または上司や管理職かどうかで答えるべき項目も変わるため、その都度項目を変更する必要があります

360度評価導入事例

ここでは360度評価を導入した企業の成功事例を2つ紹介します。

  • アイリスオーヤマ株式会社
  • 住友林業株式会社

アイリスオーヤマ株式会社

さまざまな生活用品を製造・販売しているアイリスオーヤマは「働く社員にとって良い会社」の理念を実現するため、360度評価を導入しました。

360度評価は社長を含めた約6,000名の全社員が対象です。一般社員は上司、部下、同僚、他部署の約9名から評価を受け、幹部社員は約12名から評価を受けます。12の評価項目を6段階で評価しています。

導入後、評価の信頼性が上がり自部署の状況を把握・分析することができ、施策がとりやすい効果が出ました

参照:360度フィードバックサービス 導入事例「アイリスオーヤマ株式会社」

住友林業株式会社

住生活に関わるさまざまな事業を展開する住友林業では、10年以上360度評価を取り入れています。

最近では360(さんろくまる)というツールを使い、システム上で管理をしています。評価項目の作成から、評価者への連絡や結果の通知など一貫して操作ができ、人事部門の負担を大きく軽減しました。

360度評価を導入したことで多方面からの意見を知ることができ、被評価者本人に新たな気づきを与えることができました。

参照:360度フィードバックサービス 導入事例「住友林業株式会社」

まとめ

360度評価の概要やメリット・デメリット、注意点などを解説しました。360度評価だけでは人事制度が機能しない場合があるため、人事制度全体の最適化を考慮することが重要です。

自社の人事評価制度の改善を検討する際、人事評価分野を専門とする人事制度コンサルティング会社へ依頼するのがおすすめです。

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監修者の一言

360度評価は非常に有効な評価の方法の一つです。客観的に見た自分の評価を理解し強味弱みを伸ばす・克服すると言うアクションを取ることにより成長につながります。そしてそれをサポートするのが上司の仕事ということになります。注意すべき点は、2点あります。

⓵まずは評価者を決定するプロセスです。 誰にしてももらうか?と言う事ですね。これについては本人と直属の上司の双方の合意で決定するのが一番納得のいくものとなります。

⓶そして、評価は出来るだけ数値化してそれにコメントを付け加えると言う形が安全です。シンプルな定量評価 + 定性評価の二本立てにすることにより一般的に未熟な評価者の評価スキルのギャップを最小化することです。

Long Lasting Line (ロングラスティングライン)
代表者 福住 和久
監修者

実践戦略経営コンサルティングロング ロングラスティングライン代表。同志社大学商学部出身。大手米国系企業“P&Gジャパン”および“リーバイスジャパン”にて営業・マーケティング・戦略構築・組織構築の実務担当・責任者を経てフランスのフレグランスブランド “ディプティック ジャパン”にて日本法人社長。その後日本の企業アルファネット(株)にてCEO。それらの実践経験を基にビジネスコンサルティングファーム“ロング ラスティング ライン”を東京にて起業。経営・マーケティング・営業・評価制度・組織構築などの企業成長の要パートを専門に主に日本全国の中小企業・個人企業を支援。B to B およびB to B to Cモデルの企業を中心に支援。

比較ビズ編集部
執筆者
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
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