人事評価制度の作り方とは?作成時のポイントや企業事例もあわせて紹介

最終更新日:2024年02月08日
人事評価制度の作り方とは?作成時のポイントや企業事例もあわせて紹介
この記事で解決できるお悩み
  • 人事評価制度の作り方とは?
  • 人事評価制度を作るうえでのポイントとは?
  • 人事評価制度の企業事例とは?

人事評価制度の作り方として現状把握や評価基準の設定など、さまざまな作業を順番にこなしていくことが求められます。人事評価制度を運用するためには、他にどのような作業が発生するでしょうか。

この記事では、人事評価制度の作り方やポイント、企業事例を紹介します。最後まで読めば、人事評価制度への理解が深まり、事業の成功につながるでしょう。

人事評価制度の導入や既存制度見直しを検討している企業は、ぜひ参考にしてください。

人事評価制度とは

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人事評価制度とは、社員の日々の仕事ぶりや貢献度を評価する制度です。評価内容をもとに給与や賞与の支給額、昇進の有無などに反映します。

社員の仕事に取り組む姿勢や成果を正確に報酬へ反映し、社員のモチベーションアップにつなげるのが目的です。人事評価の結果から社員1人ひとりの能力や適性を正確に把握し、人材育成の計画に反映させる役割も期待されています。

人事評価制度の仕組み

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人事評価制度は以下3つの要素で構成されています。

  • 等級制度
  • 評価制度
  • 報酬制度

3つの制度が連携していない場合、社員の能力や適性を正確に反映した人員配置はおこなえません。貢献度を反映した待遇も与えられず、社員からの不満も高まるでしょう。

等級制度

等級制度とは階級ごとに待遇や責任の範囲、権限の大きさなどを明確化する制度です。社員に求める能力や役割、業務内容を階級ごとに分類し、社員に求める行動や役職に就く条件を明確化します。

どのような働き方を実現したいか、将来的どのような仕事を担当したいか、社員がイメージできるように制度を設計しなければなりません。

等級制度は職能資格制度や職務等級制度、役割等級制度の3種類から選択できます。各制度の概要を以下の表にまとめました。

  職能資格制度 職務等級制度 役割等級制度
概要 ・勤続年数が長くなるほど、能力や知識を習得できるとした制度
・1度習得した能力やスキルは下がらないと仮定
・職務遂行に必要な能力や経験、知識などの項目を設け、基準ごとに各社員を評価して数値化
・事前に各評価項目と評価基準を明確化した職務記述書の作成が必要
・職務内容の変更によって昇進や降格が発生
・与えられた役割のレベルに応じて、報酬や等級を決定
・個々の役割は経営方針に沿った内容
・社員の勤続年数や年齢は関係なく、評価対象はあくまで役割の内容
適した企業 ・大企業
・離職率が低い企業
・外資系企業
・成果主義を重視している企業
・専門職が多数社内に存在する企業
・ベンチャー企業
・中途採用者の割合が多い企業
・年齢層が比較的若い企業

従業員規模や企業文化などを考慮し、どのタイプが自社に合っているか、判断しましょう。

評価制度

評価制度とは社員の仕事に取り組む姿勢や能力、成果を評価し、報酬や待遇に反映する制度です。数値化が可能な目標とできない目標、双方に関する評価を実施し、達成度合いが給与や昇給の判断材料となります。

たとえば、営業職として働く社員を評価するとしましょう。売上や粗利率、新規顧客獲得数など、各項目の達成度を評価したうえで、顧客満足度や他部署との連携など、数値化が難しい項目を評価します。

評価制度は等級制度と報酬制度と連動しているケースが一般的です。各制度ごとに評価内容が正確に反映されていないと社員の不満や不信感が高まるため、注意しましょう。

報酬制度

報酬制度とは等級制度や評価制度の内容にもとづき、社員の報酬を決める制度です。給与や賞与、各種手当などの金銭的報酬は、社員のモチベーションに大きな影響を及ぼします。

評価基準や評価項目、他制度との連動性を明確に提示し、人事評価でのトラブルを防ぐことが重要です。

報酬制度には特別休暇の付与や表彰、外部研修への参加など、非金銭的な報酬も評価対象に含まれています。金銭的報酬と非金銭的な報酬をうまく組み合わせ、社員のモチベーションアップを図りましょう。

人事評価制度の作り方

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以下の流れに沿って作業を実施し、新たな人事評価制度の完成を目指します。

  1. 既存制度の課題を整理する
  2. 人事評価制度の導入目的を明確化する
  3. 評価制度を設定する
  4. 評価項目を設定する
  5. 評価に関するルールを決める
  6. 評価シートを用意する
  7. 従業員へ周知する
  8. 運用を開始する

評価制度や評価項目を設定する際、十分に時間をかけて内容を決めましょう。評価基準や評価項目が曖昧では、客観的な視点で評価を下すのが難しくなります。

1. 既存制度の課題を整理する

既存の人事評価制度を見直す場合、現状の課題や社員が抱えている不満を把握することから始めましょう。改善点が曖昧な状態で新たな人事評価制度を導入しても、課題解決が望める保証はありません。

人事評価制度は個々の適性や能力、貢献度を反映した人員配置や待遇決定によって、組織力を高めるのが目的です。効果的な人材育成や従業員のモチベーションアップ、企業理念の浸透など、ほかにもさまざまな効果が期待されています。

従業員へのアンケートやヒアリング調査などを実施し、現状把握に努めましょう。

2. 人事評価制度の導入目的を明確化する

人事評価制度の新規導入や既存制度の再整備に至った目的を明確化する作業です。人事評価制度を導入する目的の1つに、企業理念や経営方針の浸透が挙げられます。企業としての将来的な目標やビジョンを提示し、社員の意識改革を図るのが目的です。

組織としての方向性が見えないと、社員も不安を覚えるでしょう。人事評価制度の目的や社員に求める行動を明確化し、社員の不安を軽減します。

3. 評価制度を設定する

等級ごとの役割や給与などを決めた後、評価手法と評価基準を明確化する流れです。人事評価制度には業績評価と能力評価、情意評価、3種類の評価手法が挙げられます。各評価手法の概要を以下の表にまとめました。

  能力評価 業績評価 情意評価
概要 ・業務遂行に必要な能力やスキルなどを評価する手法
・自社が求める能力をどの程度身に付けているかを重視
・部署や個人単位で評価
・資格の取得有無を評価に反映
・社員があげた成果や貢献度を重視する評価手法
・部署や個人単位で評価
・営業職や販売員など、数値化しやすい職種向けの手法
・仕事への取り組み方や周囲との接し方を評価する手法
・社員の総合的な能力を測る手法
メリット ・幅広い業種や職種で適用可能
・社員のスキルアップ向上
・効果的な人材育成
・透明性や公平性が高く、社員から納得を得られやすい手法
・主観的な評価にともなう社員とのトラブルを回避
・評価者への負担増大を回避
・プロセスを含めた総合的な評価によって、社員のスキルアップに向けた意欲を促進
・適性や能力に応じた人員配置の実現
・貢献度が数値化しにくい職種へも対応
デメリット ・企業独自の評価基準が必要
・評価者が人事評価の経験や知識を豊富に積んでいないと、客観的な評価が困難
・事務職や経理など、貢献度が数値化しにくい職種への評価が困難
・協調性や社員同士の連携性が低下
・公平性や透明性の高い評価を下すのが困難
・一定水準以上の経験やスキルが評価者に必要

評価手法が決まった後、評価基準を設定します。職種や役職ごとにどのような行動や役割を求めているか、明確に言語化しておくことが重要です。評価基準が曖昧では社員に不満が溜まりやすくなり、モチベーションの低下やトラブルの発生を招きます。

評価担当者も評価がしづらく、客観的な評価を下すために多くの時間を割かなければなりません。人事評価制度全体に大きな影響を及ぼすため、時間をかけて取り組みましょう。

4. 評価項目を設定する

選択した評価手法に応じて、全社員共通の評価項目を設定します。上記であげた3つの評価手法ごとに、一般的に採用されるケースが多い評価項目を以下にまとめました。

  能力評価 業績評価 情意評価
主な評価項目 ・実行力
・提案力
・リスクマネジメント能力
・課題発見力
・コミュニケーション能力
・目標達成率
・前年との比較
・達成内容
・成果獲得までのプロセス
・チームへの貢献度
・規律性
・業務への意欲
・積極性
・責任感
・協調性
・出退勤状況

自社独自の評価項目を加えると、透明性や公平性の高い評価を下せるでしょう。社員1人ひとりの実情を反映した人事評価を下すため、職種や等級ごとに異なる評価項目を設定します。

たとえば、営業職で働く社員には売上達成率、技術職は商品開発数を評価項目に設定するかたちです。管理職向けにはチームの目標達成率や部下の育成能力、リーダーシップなどを評価項目に設けます。

5. 評価に関するルールを決める

何段階で評価するか、待遇へどの程度影響するかなど、人事評価全般に関するルールを定めます。評価は1〜5またはA〜Eの5段階評価を採用するのが一般的です。近年は評価を明確化させるため、3段階や4段階評価を採用する企業も増えています。

評価点が報酬制度や等級制度にどのように換算し、反映されるかを明確化しておくことが重要です。各制度との連動性に乏しい場合、人事評価が給与や賞与、昇進の有無にあまり影響しないとの印象を社員に与えます。制度見直しによる業務への積極性や意欲向上は、望めないでしょう。

就業規則や賃金規程を変更する場合は社員に変更を周知したうえで、変更届出や必要書類の提出が必要です。

6. 評価シートを用意する

評価項目や評価基準を記載した人事評価用シートを作成します。評価者の負担を軽減するため、記入例も記載しておきましょう。

従来は紙の評価シートを配布していましたが、近年はスプレッドシートや入力フォームなどを採用する企業が増えています。オンラインでの人事評価に移行した場合、紙書類の印刷や配布をおこなう必要はありません。

ペーパーレス化の促進によって、費用削減や業務効率化を図れます。従業員規模が大きい企業ほど、評価シートのデジタル化によるメリットを実感できるでしょう。

7. 社員へ周知する

評価シートの用意や人事評価制度のルールが決まり次第、社員へ周知します。説明会を開催して、評価制度の導入に至った経緯や企業側の思いを直接伝え、社員からの理解を得ることが大切です。

文書の配布だけで突然運用が始まった場合は社員に不信感を与え、評価後のトラブルを招く可能性が生じます。評価者を担当する管理職には、事前に研修の受講を命じましょう。

主観的な評価や印象による評価のばらつきをなくし、公平性の高い人事評価を実現するためです。外部研修を利用して最新のトレンドや専門知識を学ぶと、客観的な視点による評価が期待できます。

8. 運用を始める

社員への説明が終わったら、人事評価制度の本格的な運用へ移ります。運用後は定期的に従業員へアンケートを実施し、評価項目に問題がないか、制度全体に不満を持っていないかを、確認しましょう。

人事評価制度は企業規模拡大や従業員の入れ替わり、企業文化の変化などに応じて柔軟に運用することが重要です。制度が形骸化しないよう、定期的に見直す姿勢が求められます。

人事評価制度を作るうえで整理しておきたい8つのポイント

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新たに人事評価制度を作る場合や既存の人事制度を見直す前に、以下8点の内容を把握しておきましょう。

  1. 評価制度には複数の選択肢がある
  2. 残業時間の長さはプラス評価にしない
  3. 勤務態度は複数の項目で評価する
  4. プロセスへの評価も重視する
  5. 人事評価システムの導入を検討する
  6. 評価者には評価研修への参加を命じる
  7. 外注先の活用も検討する
  8. 外注先を探す際はビジネスマッチングを活用する

ポイントの内容を1つひとつみていきます。

ポイント1. 評価制度には複数の選択肢がある

業績評価や能力評価など以外にも、人事評価制度の評価手法にはさまざまな種類があります。たとえば、MBO(Management by Objectives:目標管理制度)は、社員や部署単位で立てた目標に対する達成状況を評価する制度です。

組織の一体感向上に加え、公平性の高い人事評価を下せる点がメリットです。OKR(Objectives and Key Results)は3カ月〜4カ月に1回、目標と成果指標を掲げる目標手法になります。達成難易度が高い目標を設定し、積極性を促すのが目的です。

各人事評価手法の特徴を理解し、自社に合った評価手法を選択しましょう。

ポイント2. 残業時間の長さはプラス評価にしない

どの評価手法を採用した場合でも、残業時間の長さをプラス評価としない姿勢を社員に示しましょう。残業時間の増加によって長時間労働が慢性化すると、睡眠時間の減少によって作業効率の低下や体調不良のリスク増大を招きます。

疲労蓄積にともなうモチベーションの低下も予想されるため、残業が成果の獲得数や品質にいい影響を与える可能性は低いでしょう。仮に社員が残業代獲得のために終業時間後もオフィスに留まっていた場合、無駄な費用を支払う結果となります。

残業を命じても企業側が得られるメリットはほとんどない状況です。労働時間の長さではなく、社員の能力や成果を評価しましょう。

ポイント3. 勤務態度は複数の項目で評価する

情意評価を評価手法に選択した場合、勤務態度も評価項目の対象に含まれます。勤務態度は仕事への責任感や周囲との協調性、自己管理能力など、社員の能力を総合的に評価するうえで欠かせない指標です。

頻繁に遅刻や欠勤を繰り返す社員に対してマイナス評価を下さない場合、他の社員のモチベーションにも影響を及ぼします。企業側の対応に疑問を持った社員が、一定数転職を決断しても不思議ではないでしょう。

勤務態度に関連する項目は以下のように複数設け、幅広い内容から評価します。

主な評価対象
協調性・同僚や先輩社員との関係は良好か
・後輩社員へていねいに指導をしているか
・上司への報告や相談を怠っていないか
規律性・遅刻や早退、欠席をしていないか
・提出書類や問い合わせ対応の期限は守れているか
・上司や先輩社員の指示に従っているか
積極性・顧客と積極的に商談を重ねているか
・会議で積極的に発言しているか
・資格取得やスキルアップへの意識が高いか
責任感・担当業務に真摯に取り組んでいるか
・目標達成を意識した行動を取っているか
・トラブルが発生した際、素早く対応しているか
経営意識・会社の方針や理念を理解しているか
・会社の方針に沿った行動を取っているか
・顧客に対してていねいに対応しているか
安全意識・服装は乱れていないか
・事故や怪我を防ぐ意識を持っているか
・周囲の人間が事故にあわないよう、気を配っているか

主観的な印象を極力排除するため、複数人で意見を交換しながら評価を進めてください。

ポイント4. プロセスへの評価も重視する

成果の獲得に至るまでのプロセスを評価する姿勢も重要です。目に見える成果や貢献度だけを評価していると、自己中心的な考えの社員が増加します。自身の成果に直結する業務以外は興味を示さなくなり、他の社員と連携する姿勢はほとんど見られないでしょう。

自身に課された目標達成ばかりに意識が向き、組織力低下やコミュニケーション不足に陥ります。社員の努力を正当に評価するため、仕事への取り組み方やスキルアップへの意欲など、数値化できない項目を評価する姿勢が重要です。

ポイント5. 人事評価システムの導入を検討する

人事評価システムとは従業員の勤続年数や職務経歴、過去の人事評価など、従業員の個人情報全般を管理できるシステムです。目標の達成率や上司からのフィードバックなど、目標達成に至るプロセスもシステム上で把握できます。

評価用シートもシステム上で作成できるため、紙書類への印刷や配布、回収をおこなう必要はありません。紛失や回収漏れに対応する手間も省け、担当業務に集中できる環境を整えられます。

人事評価も含め、人事業務の工数増大に悩む企業におすすめの内容です。

ポイント6. 評価者には評価研修への参加を命じる

人事評価を依頼する管理職には、評価者研修の受講を命じましょう。人事評価の目的や評価者の役割など、人事評価の知識に乏しい状態で評価に臨んだ場合、主観的な評価となる可能性が高まります。

評価者の印象や個人的な感情が評価内容に強く反映された場合、社員の能力や成果、貢献度を正しく把握できません。組織力向上や社員のモチベーションアップを実現するためにも、管理職には評価者研修を定期的に受講させましょう。

外部の評価者研修を利用すると、専門知識が豊富な講師の講義を受講でき、客観的な視点での人事評価が望めます。

ポイント7. 外注先の活用も検討する

人事評価制度の見直しや新規導入を自社では対応できない場合、外注先を活用するのも有効な方法です。人事評価制度の導入には現状把握や評価手法の選択、評価基準の明確化など、さまざまな作業をこなす必要があります。

人事担当者は採用や人材育成など、限られた時間で多くの業務をこなさなければなりません。人員が限られている企業の場合、労務管理を兼任しているケースも考えられます。

業務の大部分を外注すると、優先度の高い業務に集中して取り組めます。人事担当者の業務負担増大や通常業務への支障を避けるためにも、コンサルティング会社に相談しましょう。人事評価制度の構築〜研修の運営支援など、幅広い業務を依頼できます。

ポイント8. 外注先を探す際はビジネスマッチングを活用する

コンサルティング会社や研修代行会社を探す際は、ビジネスマッチングの活用を検討しましょう。ビジネスマッチングとは「仕事の発注先を探している企業」と「顧客を探している企業」をつなぐサイトです。

地域や業種などを入力すると、条件に合致した企業が提示されます。得意分野や実績、対応可能な業務など、各企業の特徴がコンパクトにまとめられている点も魅力です。本業が忙しい方も短時間で必要な情報を集められるでしょう。

「比較ビズ」を利用すると、約380社の中から自社の条件を満たした企業をみつけられます。

人事評価制度の事例5選

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人事評価制度の企業事例を5つ紹介します。

  • 株式会社メルカリ
  • 株式会社ディー・エヌ・エー
  • ヤフー株式会社
  • 株式会社ココナラ
  • カゴメ株式会社

人事評価手法の選択や評価基準設定の参考材料に活用してください。

株式会社メルカリ

株式会社メルカリは人事評価制度にOKRを採用しています。OKRはGoogleやOracle、メタ社など、世界的に影響力が大きい企業で採用される頻度が増えており、日本でも注目度が高まりました。

同社では3カ月に1度のペースで社員が目標と主要な成果を設定し、達成状況を管理します。目標達成度が60〜70%で成功とみなす内容を目標として設定するのがOKRの特徴です。

同社でも達成困難な内容の設定を社員に命じており、積極的に挑戦する企業文化の形成につながっています。

株式会社ディー・エヌ・エー

株式会社ディー・エヌ・エーは、半年に1度のペースで人事評価を実施しています。評価基準は社員があげた成果と成長度合いです。成果の大きさはボーナス、成長度合いは基本給に反映し、社員からの納得感や公平性を確保しています。

社員は半年後に達成したい目標を定め、上司から目標達成や課題克服にどのような行動が必要か、面談の場でフィードバックを受ける流れです。

他にも他部署への移動や社内兼業、社外での副業など、スキルアップや業務へのモチベーションを高める制度を数多く用意しています。

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社はMBOと1on1ミーティングを組み合わせた人事評価制度を採用しています。組織目標と部署目標が提示された後に社員は年間目標を掲げ、目標の達成度によって給与や昇給の有無が評価される仕組みです。

評価対象には成果獲得までのプロセスも含まれていますが、成果をより重視しています。従来はプロセスと成果を個別に評価していたものの、個人重視の傾向が社内に蔓延し、組織としての一体感が失われつつありました。組織力強化や社員同士の連携強化を目的に、MBOを導入しています。

1on1ミーティングでは上司と部下が毎週面談して、目標の進捗状況や現在の課題を共有し、目標達成を目指すかたちです。

株式会社ココナラ

株式会社ココナラの人事評価制度は、5つの軸と11段階に分類した等級制度を導入している点が特徴です。5つの評価軸に関して以下の表にまとめました。

概要
裁量業務での自由度や裁量権
コミット範囲・業務の責任範囲
・他部署と連動した動きの必要性
育成責任一定以上のグレード該当者を対象とした部下の育成責任
業務レベル・上司や先輩社員からの指示を受けながら業務の遂行が可能
・1人で業務を完結可能
・周囲との連携が求められる業務への対応が可能
ノウハウレベル・部署を統括するマネージャ―レベルが該当
・取締役クラス

参照:SELECK

取締役クラスを除く9段階の等級は、評価内容が給与と待遇に反映している仕組みです。人事評価制度の見直しによって、社員の能力に見合った給与と待遇を反映でき、評価への納得感が高まりました。意思決定までのスピードも高まり、人事評価で生じる工数の削減にも成功します。

カゴメ株式会社

カゴメ株式会社の人事評価制度は、全社員を対象にKPI評価シートを公開しています。KPI(Key Performance Indicator)とは、最終的な目標達成に必要な中間指標のことです。KPIの数値から目標達成状況を把握し、いつまでにどのような施策を実行しなければならないか、明確化します。

同社では期が始まる前に目標設定やKPIをシートに書き込み、目標の達成度合いに応じて報酬や等級が決定される仕組みです。上司の意見が目標の内容に影響することもありません。

KPI評価シートの公開によって適度なプレッシャーも生まれ、目標達成の意欲向上に作用しています。

まとめ

今回は以下4点に関して述べました。

  • 人事評価制度の作り方
  • 人事評価制度の仕組み
  • 人事評価制度を作るうえでのポイント
  • 人事評価制度の企業事例

人事評価制度を作るには評価手法の選択や評価基準の明確化、評価項目の設定など、さまざまな作業が発生します。人事担当者は多くの業務を担当しており、人事評価制度の構築だけに多くの時間を割くのは困難な状況です。

業務負担増大にともなう通常業務への支障を避けるためにも、外注先の活用を検討しましょう。「比較ビズ」を利用すると、必要事項を入力する2分程度で条件に合ったコンサルティング会社や研修会社を探し出せます。

外注先を探している方はぜひ利用してみてください。

比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。