【最新】食品ECとは?5ステップの参入方法や成功するコツ、事例を紹介

EC-Consulting Japan株式会社
監修者
EC-Consulting Japan株式会社 代表取締役 松下 直人
最終更新日:2023年11月17日
【最新】食品ECとは?5ステップの参入方法や成功するコツ、事例を紹介
この記事で解決できるお悩み
  • 食品ECってなに?
  • 食品ECはどうやって参入すればいい?
  • 食品ECを成功させるためには?

コロナ禍や物価高騰によって食品ECの需要はますます高まっています。一方で食品EC業界には課題も多く、ただ参入するだけでは効率的に売上を伸ばしていけないでしょう。

そこでこの記事では、食品ECの概要や参入方法、成功させるコツなどを解説します。「食品ECに参入したい」と考えている経営者や企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

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食品ECとはインターネットで食品を販売し配送する業態のこと

こどものひらめき

食品ECとは、インターネットを通じて生鮮食品や加工品、調味料、飲料などを販売し、消費者のもとへ配送する業態のことです。日用的な食品から各地の名産品まで自宅で簡単に購入して受け取れる利便性が消費者に好まれ、ますます需要が高まっています

食品ECの3つの種類

食品ECの形式は、大きく分けて次の3種類です。

種類 特徴
一般的な単品通販の食品EC メーカーや小売業者が、単品通販の形式で自社ECサイトもしくはECモールを利用して行う食品EC。
ネットスーパー形式の食品EC 主にスーパーマーケット運営企業が、実店舗を中心に構築する食品EC。
サブスク形式の食品EC メーカーや小売業者が、定期的に食品を届ける形式の食品EC。

基本的に、3つのなかで参入しやすいのは単品通販形式です。新規で食品ECに参入する場合は、単品通販の食品ECから検討することをおすすめします

食品ECの市場規模

食品ECの市場規模は2021年時点で約2兆5,000億円です。

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ほかの業界と比較してEC化率が低い一方で、2019年・2020年と比較して右肩上がりになっています。今後も食品ECの市場規模は拡大していくでしょう。

引用:経済産業省

食品ECに参入する5ステップの方法・手順

食品ECに参入する手順は下記のとおりです。

  1. 保健所に相談する
  2. 営業許可を申請する
  3. 営業施設の検査を受ける
  4. 営業許可が交付されたらECサイトを構築する
  5. サイトを公開し食品ECを始める

大まかにでも流れを把握しておくことで、実際の手続きをスムーズに進められます。あらかじめ確認しておきましょう。

1. 保健所に相談する

まずは保健所に「営業の要件を満たしているかどうか」の相談をします。「営業許可の申請をしてから、要件を満たしていないことが発覚した」となってしまわないように、必ず事前に相談しておきましょう。保健所への相談の際には、営業施設の図面が必要です

2. 営業許可を申請する

相談で問題ないことがわかったら、必要書類を揃えて保健所に営業許可を申請します。業種によって必要な許可が異なるため注意してください。たとえば生肉を販売する場合は「食肉販売業」という営業許可が必要です。

営業許可の種類やその申請期限については、自治体によって異なる場合もあります。必ず事前に管轄の保健所に相談・確認しましょう。

参照:厚生労働省

3. 営業施設の検査を受ける

営業許可を申請したら保健所の担当者による営業施設の検査を受けます。予定を調整し、当日は立ち会いましょう。

申請どおりに営業要件を満たしている施設・設備かどうかを確かめるための検査です

4. 営業許可が交付されたらECサイトを構築する

営業許可が出たら、本格的にECサイトの準備を始めます。営業許可の交付とサイト構築の開始は前後しても問題ありません。スピード感を重視する場合、先にサイトを構築しておくケースもあるでしょう

ECサイトは、自社サイトを構築するかECモールに出店するかの2通りです。

5. サイトを公開し食品ECを始める

営業許可やECサイトに加えて商品・物流などの準備も整ったら、サイトを公開して食品ECを始めます。「食品ECを成功させるポイント」を後述するため、ぜひ参考にしてください。

食品ECの3つの課題

フローチャート 考えるビジネスマン

食品業界でのEC化が進みづらい背景には、次のような課題があります。

  • 生鮮食品の場合は鮮度を保つ工夫が必要
  • 手に取れないため消費者が尻込みしやすい
  • 利益率が低くなりやすい

自社の食品ECを成功させるためには、上記の課題を解決することがポイントです。まずは課題の詳細を把握しましょう。

1. 生鮮食品の場合は鮮度を保つ工夫が必要

特に生鮮食品を食品ECで扱う場合、鮮度を保つ工夫が必要です。食品ECでは、実店舗と違って消費者が購入してから手元に届くまでに数日のタイムラグが発生します。

「お店で食べたときはおいしかったのに、ネットで注文したら変な酸っぱさがあった」と思われれば、リピート購入してもらえません

生鮮食品の食品ECでは、鮮度を保ったまま冷凍できる設備を導入する・雑に扱わない配送業者に依頼するなどの工夫が必要です。

2. 手に取れないため消費者が尻込みしやすい

食品ECの課題の2つめは、消費者が商品を手に取れず購入をためらいやすいことです。消費者は大きさや鮮度、身のつまり具合などを自分で確認できないため「思ったとおりの商品が届かないかもしれない」と不安になります。

通信販売で食品を購入しない理由に関する調査では「自分の目で見て商品を選べない」が1位でした

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画像を増やす・詳細な情報を記載するといった情報量を増やし不安を解消する工夫が求められます。

引用:スーパーマーケット統計調査事務局

3. 利益率が低くなりやすい

利益率が低くなりやすい点も食品ECの課題の1つです。食品は、アパレルやガジェットと比べて低単価商品が多い業界です。一方で鮮度を保つ工夫や精緻な在庫管理が必要で、管理コストは膨らみます。

上記のような特徴の影響で、特に低単価商品を扱う食品ECでは利益率の低さが障壁になるでしょう。

課題を解決し食品ECを成功させる5つのポイント

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食品ECの課題を解決し、成功させるためのポイントは次の5つです。

課題 成功のポイント
鮮度を保つ工夫が必要 ・衛生管理を徹底する(1)
・加工品のような日持ちのする食品を販売する(2)
消費者が実物を手に取れない 特産品のような地域のスーパーにない食品を販売する(3)
利益率が低くなりやすい ・リピーターを増やす施策を打つ(4)
・非日常感を演出して単価を上げる(5)

スムーズに施策を立案・実行できるように、参入前に把握しておきましょう。

1. 衛生管理を徹底する

食品が傷んでしまわないように衛生管理を徹底しましょう。製造・包装だけでなく、配送時の温度管理も必要です

すでにスーパーマーケットやカフェのような実店舗を運営している場合も、衛生管理はより一層注意してください。食品ECでは、実店舗と違って消費者の口に入るまでに少なくとも1,2日はかかるためです。

2. 加工品のような日持ちのする食品を販売する

加工品のように日持ちする商品を扱うことも、食品ECを成功させるポイントです。常温保存できたり賞味期限が長かったりする食品であれば、生鮮食品ほどデリケートな衛生管理は求められません

果物をジャムにする、生肉をハムにするといったように、食品ECでは加工品を扱うとよいでしょう。

3. 特産品のような地域のスーパーにない食品を販売する

食品ECでは地域のスーパーマーケットにない食品を販売し、実店舗との差別化を図りましょう。具体的には地方の特産品や名産品、お土産物などの非日用食品です。

地域のスーパーマーケットと競合しなくなれば、商品を手に取れないデメリットが緩和されます。たとえば北海道のいくらをお取り寄せで買う場合、「実物を見て選べないから」と感じる消費者は多くないでしょう。

4. リピーターを増やす施策を打つ

食品ECを実施する際はリピート施策が重要です。購入1回あたりの利益が小さくなりやすいため、購入回数を増やしてLTVを伸ばします

LTVとは

Life Time Valueの略で、日本語では生涯顧客価値。1人の顧客が、生涯を通して自社にもたらす利益のこと。

具体的には下記のような施策が効果的です。

  • 公式LINEやメルマガの配信
  • 次回以降使えるクーポンの付与
  • 購入金額に応じた割引の設定

「リピートしたい」と思ってもらうには、商品のクオリティが高いことも必要です。おいしい商品をおいしい状態で消費者のもとへ届けましょう。

5. 非日常感を演出して単価を上げる

非日常感を演出して単価を上げる施策は利益率の改善に有効です。特別な日のための食品であれば、通常より値段が高くても消費者は購入してくれます

おせちのような季節ものでもよいですし、黒毛和牛のような季節を問わない高級食材でもよいでしょう。重要なのは普段食べるような低単価商品を避けることです。

食品ECの成功事例3選

最後に、食品ECの成功事例を3つ紹介します。実行している施策も解説するためぜひ参考にしてください。

1. 職人醤油

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職人醤油は、醤油専門の単品通販サイトです。お寿司用の醤油や地域の醤油などを100mLの小瓶で扱っています。

高級路線でスーパーマーケットに売っている醤油と差別化していること、セット売りを基本にして客単価を引き上げていることが、成功の一因でしょう。

醤油の豆知識やレシピを紹介するWebメディアやSNSで新規獲得し、メルマガでリピートを促すなど、Web媒体を有効活用しています

引用:職人醤油

2. 筋肉食堂DELI

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筋肉食堂DELIは、高タンパクメニューで人気な飲食店「筋肉食堂」の自社ECサイトです。コロナ禍で実店舗から客足が遠のいたことをきっかけに、食品ECに参入しました。

サブスク形式の宅食サービスをメインにすることで、LTVを引き上げています。Instagramをプロモーションに活用しているだけでなく、インフルエンサーとのコラボ商品を出している点も特徴です。

引用:筋肉食堂DELI

3. Amazonフレッシュ

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Amazonフレッシュは、Amazonが運営するネットスーパーです。ネットスーパーは実店舗を持つ企業がほとんどのなか、Amazonは顧客数や優れたデザイン性・使いやすいさといった強みを活かして参入しました

新規ユーザーへの積極的なクーポン発行や、鮮度・賞味期限の保証サービスといった施策が成功の要因と考えられます。

引用:Amazonフレッシュ

まとめ|戦略を立てて食品ECに参入しよう

食品ECを成功させるためには、業界の課題を把握したうえでそれに対する戦略・施策を実行することが重要です。具体的には、次の5つのポイントを意識しましょう。

  • 衛生管理を徹底する
  • 加工品のような日持ちのする食品を販売する
  • 特産品のような地域のスーパーにない食品を販売する
  • リピーターを増やす施策を打つ
  • 非日常感を演出して単価を上げる

またEC化率が低いとはいえ、食品ECで成功している企業・サイトはいくつもあります。ベンチマークになりうるECサイトを見つけ、戦略や施策を参考にしながら参入を進めましょう。

「食品ECサイトの構築を外注したい」と考えている方は、ぜひ比較ビズをご利用ください。実績豊富な開発会社から一括で見積もりを取り寄せて比較し、安い業者に依頼できます。

監修者のコメント
EC-Consulting Japan株式会社
代表取締役 松下 直人

EC-Consulting Japan株式会社 代表取締役。1989年生まれ大阪府出身。月商500円だったネットショップを1年で月商1300万、2年で月商3000万に。大手モール型ECサイトで総合ランキング1位獲得商品等も手掛ける。自社でもECサイトを運営し”現場で使えるノウハウ”をモットーに現在ではYahoo!認定コマースパートナー企業として累計数百社以上のサポート実績がありクライアントに合った実行戦略を立てて共に課題を解決する伴走型支援を行っている。また、LINE公式アカウントを使ったマーケティングを得意としておりLINEマーケティングツール「LINY」の認定パートナーとしてLINEマーケティングを支援している。

今や食料品をECサイトで購入する事が当たり前になりつつある一方で、記事にもある通り「どのように集客をして自分のお店を知ってもらうか?」がとても重要です。

まずは自社で販売する商材によって、自社サイトか楽天市場やYahoo!ショッピングなどのモール型ECサイトで販売するのとどちらがメリットがあるのかを考える必要があります。独自性のある商品の場合は自社ECサイトで制作して、商品に対する思いや商品が出来上がるまでについてストーリー性を持たせてブランディングを行い、ファンを作る方がメリットが大きいでしょう。

逆にアーモンドを始めとしたモール型ECサイトで人気上位の定番商品を扱っている場合はモール型ECへ出店して集客のベースをモール側で行ってもらい、イベントに合わせて販促を行ったり商品ラインナップを増やす事に注力するなどした方が効率的に集客が出来るメリットがあります。

このように一口に食品をECサイトで販売するといっても、商材や出店形態によって相性の良し悪しがある為、何も考えずにただECサイト運営を始める事は危険です。失敗しない為にも、競合他社をリサーチして成功事例を把握して、それを取り入れる事からはじめていきましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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