概念実証(PoC)とは?手順や実施するメリット・注意点などを解説

株式会社GeNEE
監修者
株式会社GeNEE 代表取締役 日向野卓也
最終更新日:2023年11月26日
概念実証(PoC)とは?手順や実施するメリット・注意点などを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 概念実証とはどのようなプロセス?
  • 概念実証のメリット・注意点は?
  • 概念実証を進める手順は?

概念実証とは、新しいアイデアや手法が実現可能であるか・現実の問題や課題を解決するために有効かを評価する過程のことです。実際の運用と近い環境での実装や評価を行うことで、改善点や問題点を洗い出せます。

この記事では「概念実証について知りたい」と思っている経営者やプロジェクトリーダーの方に向けて概念実証の目的やメリットなどを紹介します。本記事を読むことで、概念実証の使い方を理解でき、会社の問題を改善できます。

概念実証の注意点や進める手順、成功するポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてください。

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概念実証(PoC)とは?|アイデアや概念が有効か評価する過程

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概念実証とは、計画が実現できることを証明するためのプロセスです。新しいアイデアやコンセプトが実際に機能するかどうかを効果測定します。

新規アイデアは実現可能なのか・新規開発に投資すべきか・期待される売上や費用対効果を得られるのか判断するために有効な手法です。

近年ではIoTやAI領域の開発が進められ、より必要性が増したといえるでしょう。IoTやAIの技術は複雑で、新しいアイデアを実現する前に、技術的な課題や問題点を特定し、改善しなければなりません。

PoCは技術的な試行錯誤ができるため、新しいアイデアを実現するために必要不可欠な手段となります。

概念実証と実証実験の違い

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概念実証は、アイデアが実現可能かどうかや効果があるかどうかを検証することを目的として、実際の市場や顧客に提供する前に行われる試験のことです。

実証実験は、新製品や新規サービスを実際の環境で使用し、問題点や課題を洗い出すことです。科学的方法を使用して、仮説を検証することを目的としています。

概念実証で検証するべき3つの内容

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概念実証において検証する具体的な内容は、以下の3点です。

  • 実現性の検証
  • 効果の検証
  • 具体性の検証

1. 実現性の検証

概念実証で検証すべき点は、実現性です。 画期的で予想もしていなかった素晴らしいアイデアが出てきたときに、実現できるか否かを事前に検証することは非常に重です。

思いついた計画がプロトタイプまでたどり着けたとしても、プロジェクトが破綻するケースも珍しくありません。

コスト面での実現性も確認する必要があります。たとえば「当初計画の10倍のコストをかければ実現できる」という結果が出たとしても、事業にとっては実現できません。

2. 効果の検証

どのようなプロジェクトでも、何の目的でどういった効果を得るのか計画の骨子があります。効果の検証は、計画の骨子に基づき、かけた費用に対して狙った以上の成果が得られるかどうかを知るために必要です。

コストの大幅カットを実現できると踏んで実施した場合、逆にコスト増のリスクが発見されるケースも珍しくはありません。

プロジェクトを進める前に、効果が確実に得られることを把握するために、実際の条件で検証する必要があります。

3. 具体性の検証

計画が具体的であることは、市場に投入する前に評価するうえで重要です。

「実際の運用で必要となる要素は何か」「実環境を想定した際に効果的に運用できるか」を検証する必要があります。

アイデアが具体的である場合、期待される売上や費用対効果を得られるのか確認可能です。製品やサービスを開発するうえで必要なステップやリソースを明確にできます。

検証には現場担当者の参加が必須であり、想定される課題はすべて洗い出したうえで解決していく形を作らなければなりません。

概念実証を行う3つのメリット

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概念実証を行うことで、どのようなメリットが得られるのか把握しておくと、より効果的な検証を行えます。

ここでは、3つのメリットを紹介します。

  • 開発コストを抑えられる
  • 開発リスクを抑えられる
  • 周りの理解を得られやすい

1. 開発コストを抑えられる

概念実証は開発コストが抑えられるため、無駄に使うことがありません。早い段階でアイデアの効果や必要な機能がわかるため、不必要な機能を開発せずに済みます。

事前に検証を行うことで、開発コストが抑えられるため、より効率的に製品開発ができます。

2. 開発リスクを抑えられる

計画が実現可能であるか事前に判断できるため、開発中に問題が発生するリスクを軽減できます。

実現できる可能性が低いものや、顧客にとって魅力的ではないものが含まれている場合があり、計画に足りないものを発見可能です。

計画に欠陥がある場合、修正でき、開発中に問題が発生するリスクを軽減できます。

3. 周りの理解を得られやすい

概念実証を行うことで、新規アイデアに対する周囲の理解が得られやすくなり、社内・社外の関係者を巻き込める可能性が高いです。

新しいアイデアがある場合、市場に提供する前に実現可能なのか確認したり、効果を測定したりします。

概念実証は、計画を説明するための具体的な例を提供できるため、説得力が増します。

概念実証の2つの注意点

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概念実証を行ううえでは、メリットだけではなく注意点も抑えることが重要です。ここでは、概念検証の注意点を2つ紹介します。

  • PoC貧乏に陥る可能性がある
  • 情報漏洩の可能性がある

1. PoC貧乏に陥る可能性がある

概念実証を過剰に行うと、開発コストを抑えるどころか、逆に増大させてしまうことになります。

概念実証は、計画を確認する手段であり、決定の手段ではありません。

開発コストが増大するだけではなく、何度も繰り返し検証を行うことによってプロジェクトが停滞する可能性があることにも注意が必要です。

実現できることを確かめることは重要ですが、固執すると、開発コストが増えるため、予算を考えたうえで行いましょう。

2. 情報漏洩の可能性がある

機密情報を扱うため、情報漏洩が起こらないように情報管理に注意する必要があります。

検証用のプロダクトを作成した際に他社へ情報が漏洩するリスクがあります。セキュリティ強化や社員への教育を徹底し、情報管理に細心の注意を払わなければなりません。

概念実証を進める手順

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ここでは、概念実証の進め方を4つにわけて紹介します。

  1. 概念実証を行う目的・ゴールを決める
  2. プロジェクトを試作し実装する
  3. 実運用に近い形で検証する
  4. 検証で得られたデータを元に評価・改善を行う

1. 概念実証を行う目的・ゴールを決める

概念実証を行う目的・ゴールを明確にすることが計画を進めるうえで重要です。

「必要なデータは何か」「データを得るために必要な検証は何か」などが理解できます。目的・ゴールが明確になることで、成果を評価し、次のステップにつなげられます。

計画の方向性を間違えてしまうと、計画が失敗する可能性があるため、時間をかけて決めましょう。

2. プロジェクトを試作し実装する

目的やゴールが決まれば、計画を設計図や模型など目に見える形にアウトプットし、実際に構築する段階に入ります。

注意すべきポイントは、試作であることを忘れないことです。 熱中するあまり細部にまでこだわり、余計な機能まで搭載することは大きなマイナスにしかなりません。試作は早く制作することで、必要最低限の構成にしましょう。

時間もコストも人件費も極力かけず、十分に検証目的を達成できる試作を制作するには、技術とノウハウが必要です。

経験が豊富な方を外部から雇ったり、関連する業界のイベントやコミュニティに参加することで、身につけられます。

3. 実運用に近い形で検証する

試作を実運用へ実装するステップです。 試作では問題なく動いていたのに、実運用へ持ち込んだら動かなくなるトラブルが起こります。

実際の現場へ持ち込めるかどうかは状況にもよるため何とも言えませんが、極力実環境に合わせることが検証を成功させるコツです。

前もって十分に実環境の情報を調べ、状況を把握しておくことが大切です。

4. 検証で得られたデータを元に評価・改善を行う

得られたデータを適切に分析することで、アイデアやコンセプトの評価を行い、改善につなげられます。

たとえば、新しいアプリケーションの開発を行う場合を挙げます。得られたデータを評価することで、ユーザーがアプリケーションを使いやすいと感じる点や不満を抱えている点を見つけられるでしょう。

結果を元に、サービスの改善を行うことで、利用者のニーズに合ったサービスを提供できます。

概念実証を成功させる3つのポイント

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概念実証の手順を解説しましたが、成功するポイントを理解しておくと、精度の高い分析ができます。ここでは、成功させるポイントを3つ紹介します。

  • 実際の運用と同じ条件で検証する
  • 小規模な条件からスピード感を持って検証を進める
  • 改善するサイクルを早くする

1. 実際の運用と同じ条件で検証する

概念実証では、実際の運用条件に近い環境での検証が重要です。検証によって得られた結果が、実際の運用でも同じように成功を収めるために、対策を講じる必要があります。

新しいシステムで行う場合、実際の運用環境に近い条件で検証することで、システムの適用性や安定性を確認できます。

実際の運用の成功確率を高めるためにも、同じ条件で検証を行い、トラブルが起こることを避けましょう。

2. 小規模な条件からスピード感を持って検証を進める

小規模な条件からスピード感を持って検証を進めることが大切です。

小規模な条件から始めると、大きな課題が見つかった場合でも、解決するためのスキルやノウハウがすぐに手に入れられます。

スピード感を持って実行することで、商品の改善や修正ができ、よりよいサービスに仕上げられるでしょう。

3. 改善するサイクルを早くする

改善サイクルを早くすることは、概念実証の成功に欠かせない重要な要素です。

問題を早期に特定し、迅速に解決策を見つけられるため、より多くの改善ができます。製品やサービスの品質を向上させ、顧客満足度アップを狙います。

改善するサイクルを早くするためには、専門のチームの結成や、作業の自動化がおすすめです。

改善サイクルを早くすることで、概念実証が成功しやすいです。改善チームの結成やデータの分析、改善プロセスの自動化などの方法を活用しましょう。

まとめ

概念実証で検証するべき内容やメリット、注意点などについて解説しました。

概念実証(PoC)は、テクノロジーの分野を超え、現在はさまざまなビジネスの現場で実施されています。 目的はアイデアでしかなかったものを具現化し、事業として実行可能かどうか経営判断することです。

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監修者のコメント
株式会社GeNEE
代表取締役 日向野卓也

東京工業大学環境・社会理工学院卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。MBA(経営学修士)取得。国内最大手SIerの株式会社NTTデータで大手法人領域(大手流通企業、大手小売企業)の事業開発、事業企画等の業務に従事。米国スタンフォード大学への研修留学を経て、システム/モバイルアプリ開発会社の株式会社GeNEEを創業。

ポックやピーオーシーと呼ばれるPoCは、直訳すると概念実証になりますが、「実証実験」という意味で使用されることも多々あります。新規性の高い事業の立ち上げ、あるいは革新的なテクノロジーを利用するといった際に、「本当にそれらが実現できるのか」、また「それを実現した後にどのような効果が得られるのか」、「ユーザは共感してくれるのか」、などを机上の議論のみでジャッジするのは非常に難しいことですよね。

そこで実際に必要最低限の機能を実装した試作品(モック)を製作し、できあがったものを用いて検証を行うことで、実行可否の意思決定に役立てることができます。新事業の成果予測にお困りの方、新しいテクノロジーを活用するプロジェクトのリーダーに選ばれたものの、なかなか周囲の理解が得難いと感じている方、まずはPoC(実証実験)から開始してみるのも一つの選択肢として良いのではないでしょうか。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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