システム構築の工程とは?構築手法や事前に把握すべきポイントも解説

株式会社ウィズワンダー
監修者
株式会社ウィズワンダー 代表取締役 中島 裕規
最終更新日:2024年02月09日
システム構築の工程とは?構築手法や事前に把握すべきポイントも解説
この記事で解決できるお悩み
  • システム構築の工程とは?
  • システム構築の手法とは?
  • システム構築に関して把握すべきポイントとは?

「システム構築を検討しているが、工程や手法がわからない…」とお悩みの方は必見です!システム構築とは開発したシステムをすぐに使えるよう、セットアップまで完了しておくことです。どのような流れで進めていくのでしょうか。

この記事では、システム構築の工程や構築手法を紹介します。最後まで読めば、把握すべきポイントも理解できます。

新たにシステムの構築を検討している方、既存システムの入れ替えを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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システム構築とは

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システム構築とは、開発したシステムをすぐに運用できる状態にしておくことです。サーバーの確保やソフトウェアのインストールなどを実施し、セットアップまで済ませた状態が該当します。

システム構築は新しいシステムの導入のみに限定されません。老朽化したシステムの入れ替えを検討している場合も、セットアップまで開発側に依頼することで、システムの再構築とみなせます。

システム開発との違い

システム開発とは、要件定義〜納品までのプロセスを指します。システム構築と異なり、セットアップまでは含まれません。システム開発会社に発注した場合は保守契約を結ばない限り、運用体制整備やシステム監視は自社で対応します。

システム開発は、新たなシステムの導入を検討している場合のみ使われる表現方法です。既存システムの入れ替えも対象になる点が、双方の違いといえます。

実務面ではシステム構築とシステム開発を使い分ける場面は少なく、違いをさほど意識する必要性はないでしょう。

システム構築の工程

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システム構築の工程は、システム開発をおこなう際の手順と変わりません。以下の流れに沿って作業を進めていきます。

  1. 要件定義
  2. 基本設計
  3. 詳細設計
  4. プログラミング
  5. テスト
  6. 受け入れテストと納品
  7. 運用と保守

システム開発と同様、システム構築の工程でもっとも重要な工程は要件定義です。自社の要望を開発側に伝えられないと、認識のズレによって仕様変更や手戻りが発生する確率が高まります。

要件定義

要件定義とは、開発側の視点で発注側からの要望をまとめる工程です。要件定義で明確化すべき要件を以下の表にまとめました。

概要 具体例
機能要件 システムに実装する機能に関する内容 ・商品検索
・売上実績
・顧客情報管理
非機能要件 システムのパフォーマンスやユーザビリティに関する内容 ・操作画面
・ユーザーインターフェース
・通信障害対策
性能要件 システムの処理速度や効率性に関する内容 ・リクエストへの応答時間
・バッチ処理時間
・読み込み速度
インフラ要件 システムを構成するインフラ環境に関する内容 ・サーバー
・ネットワーク機器
・データベース
セキュリティ要件 サイバー攻撃やマルウェア感染防止に関する内容 ・IPアドレス制限
・ログイン認証
・常時SSL化

要件定義はシステム構築の工程のなかでもっとも重要な工程です。自社の要望を正確に開発側に伝えられない場合、認識のズレによって修正作業の工数が増大します。最悪の場合は意図と異なるシステムが完成し、追加費用の発生や納期遅延は避けられないでしょう。

開発側と認識を正確に共有するためにも、システムの機能性や品質、操作性など、自社の要望を事前にまとめておくことが重要です。

基本設計

基本設計では要件定義の内容をもとに、システム全体の構成や操作画面、実装する機能を決めていきます。システムの品質向上や発注側が完成後のイメージを描くために重要な工程です。

設計内容が固まった段階で、基本設計書を作成します。基本設計書に盛り込まれる主な文書を以下にまとめました。

  • 機能一覧
  • システム構成図
  • 業務フロー図
  • 画面設計図
  • 帳票設計書
  • バッチ処理設計書
  • テーブル一覧
  • 外部インターフェース仕様書

基本設計は発注側がシステム全体の仕様に関して、積極的に提案できる最後の工程です。詳細設計は基本設計の内容をもとに作業を進めていくため、仕様変更が発生した場合は先に進めません。

詳細設計

詳細設計は基本設計の内容をもとに、機能同士の関連性やデータ処理の流れ、操作方法など、システムの構造に関して設計する工程です。設計内容がある程度固まった段階で、詳細設計書を作成します。

詳細設計書に含まれる文書を以下にまとめました。

  • クラス図
  • モジュール構成図
  • アクティビティ図
  • シーケンス図
  • テスト計画書および設計書

詳細設計書はシステム構築を担当するエンジニア向けに作成されるため、発注側が閲覧する機会はありません。実装する機能の割り振りや他システムとの共通機能なども記載しており、開発指示書としての役割を果たします。

プログラミング

詳細設計の内容をもとに、プログラミング言語を使ってソースコードを作成していく工程です。ソースコードとは、プログラムの処理内容を記載したデータを指します。システムの種類や開発者のスキルに応じて、JavaやC++、Rubyなど、開発言語を使い分けるのが一般的です。

外注先にシステム構築を依頼する場合、各プログラミング言語の詳細をすべて把握しておく必要はありません。ただし、各言語の特徴や得意分野を把握しておくと、システム開発会社からの提案も理解しやすくなります。

自社の要望を正確に反映したシステムを構築するためにも、事前にプログラミング言語に関する知識を入れておきましょう。

テスト

単体テストと結合テスト、総合テストの3種類を実施します。単体テストは機能単位で動作検証をおこない、結合テストは機能同士の連携性やシステム全体の動きを確認するのが目的です。

最後に実環境を想定した総合テストでシステムが仕様どおりに動けば、受け入れテストへ移行します。テストは運用後の安定稼働を実現するために重要な工程です。

テストが不十分では、バグや機器故障の兆候を事前に見つけられません。不安要素が多い状態での納品となり、通信障害やシステムダウンを招く可能性が高まります。不具合のリスクを減らすためにも、テストは念入りにおこないましょう。

受け入れテストと納品

開発環境での動作検証に問題がなければ、受け入れテストを実施します。実環境で動作検証をおこない、開発環境でのテスト結果と大きな差が生じていないか、確認することが目的です。実環境で問題なく動けば納品となり、新システムの受け入れに移ります。

スムーズな検収につなげるためにも、要件定義で納品方法や検収基準を明確化しておきましょう。

納品方法が曖昧では、新システムの運用がしづらくなります。検収基準が曖昧ではシステムの品質に満足できなかった場合、どの点を改善するべきか、開発側が方向性を見出せません。

検収する際はシステムの仕様書や操作マニュアル、業務マニュアルなど、各文書の納品もあわせて求めます。

運用と保守

納品後のシステムはセットアップまで完了しているため、スムーズに運用へ移れるでしょう。システムは導入して終わりではありません。社内用社外用問わず安定して稼働するよう、システムの稼働状況や異常の有無を常に監視しておくことが重要です。

システム監視を怠っていると不具合が発生した場合、すぐに原因の究明や復旧作業へ移れません。システムが使えない期間が長くなるほど、業務運営や顧客との信頼関係に悪影響を及ぼします。システムダウンのリスクを最小化するには、定期的なメンテナンスやアップデートが必要です。

自社で運用体制を確保できない場合は、外部のシステム監視サービスやITアウトソーシングを利用しましょう。

システム構築の方法

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システム構築の流れと同様、システム構築の方法に関してもシステム開発と違いはありません。システム構築は以下4つの方法から選択できます。

  • アジャイル型
  • スパイラル型
  • プロトタイプ型
  • ウォーターフォール型

各タイプの特徴を詳しくみていきましょう。

アジャイル型

アジャイル型は計画〜リリースまでのサイクルを機能単位で繰り返すタイプです。リリースまでのサイクルをイテレーションと呼び、期間は1週間〜4週間に設定します。

開発途中での仕様変更を前提としており、計画段階では細部に至る部分まで仕様は詰めません。機能追加や不具合対応が途中で発生したとしても、柔軟な対応が望めます。機能単位で開発を進めるため、開発期間の大幅な短縮が図れる点もプラスです。

反面、開発の方向性がブレやすく、テストの回数を増やし過ぎると、全体の進捗が想定よりも大幅に遅れる可能性が高まります。進捗状況の可視化やスケジュール管理の徹底が重要です。

プロトタイプ型

プロトタイプ型とは簡易的なシステムの試作機を作成し、動作検証や発注側からのフィードバックをもとに、開発を進めていくタイプです。試作機には必要最低限の機能を実装し、動作検証を繰り返してシステムの完成度を高めていきます。

プロトタイプ型は、発注側が開発の初期段階から完成後のイメージを描ける点が特徴です。試作機の作成を通じて仕様を固めていくため、要件定義では細部に至る部分まで内容を決めません。仕様変更や機能追加の要望にも柔軟に対応し、ユーザビリティを最大限高められます。

試作機の作成回数が増えると開発費の高騰や納期遅延を招く可能性が生じるため、注意が必要です。

スパイラル型

スパイラル型はシステムを機能単位に分割し、重要度の高い機能から要件定義〜リリースまでを進めていくタイプです。簡易的な試作機を作成し、動作検証や発注側の評価をもとに開発を進めていきます。

試作機の作成を繰り返して仕様を固めていくため、要件定義では細部に至る部分まで内容は詰めません。他の開発手法と同様、仕様変更や機能追加の要望にも柔軟に対応できます。

発注側が完成後のイメージを描きやすいため、認識のズレにともなう手戻りや修正作業の発生も避けられるでしょう。

反面、開発に携わる人数が多いほど、作業負担が増大します。目的もブレやすくなるため、大規模システムの構築には不向きです。

ウォーターフォール型

ウォーターフォール型は要件定義〜リリースまで、1つひとつの工程を順番に進めていくタイプです。要件定義で決めた内容をもとに、設計やプログラミングを進めます。各工程が終わらない限り次の工程に進まないため、予算管理やスケジュール管理をしやすい点が特徴です。

一方、前工程への手戻りは想定していません。開発途中で仕様変更や不具合対応が必要になった場合、大幅な手戻りが発生します。修正作業の着手に遅れるほど全体の進捗に及ぼす影響が大きくなるため、各工程での品質管理が重要です。

システム構築に関して把握すべき4つのポイント

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システム構築に取り組む前に、以下4つのポイントに関して把握しておきます。

  1. 各構築方法の特徴を把握する
  2. 専門知識を持つ人材が自社にいるかを確認する
  3. 外注先へRFPを提出する
  4. 外注先の選定にはビジネスマッチングを活用する

プログラミングやテスト技法に精通した人材が不在の場合は、システム開発会社への依頼を検討しましょう。IT人材は慢性的な人手不足が続いており、優秀なIT人材を短期間で採用できる保証はありません。

ポイント1. 各構築方法の特徴を把握する

プロトタイプ型やウォーターフォール型など、タイプ別の特徴を把握することが重要です。システムの種類やノウハウの有無によって、選ぶべきタイプは異なります。

たとえば、プロトタイプ型は開発の初期段階から試作機で動作検証を実施するため、発注側は完成後のイメージを正確に描けます。仕様変更にも強く、システム開発の経験に乏しい企業におすすめです。

ウォーターフォール型は進捗状況を把握しやすい反面、前工程への手戻りを想定しておらず、仕様変更へのスムーズな対応は望めません。システムの仕様がある程度固まっている場合におすすめです。

各手法の特徴を把握しておき、自社に合ったタイプを選びましょう。

ポイント2. 専門知識を持つ人材が自社にいるかを確認する

自社でシステム構築へ取り組む場合、専門知識を持つ人材の確保が前提です。システムを構築するにはプログラミングや開発手法、セキュリティなど、さまざまな分野に関する知識が求められます。

テスト計画の作成やリリースの判断など、システムの品質管理を担うQAエンジニアも確保しなければなりません。

自社に専門知識を持つ人材が不在の場合は、システム開発会社に依頼しましょう。市場ニーズの拡大に人材供給が追いついておらず、短期間で優秀なIT人材を採用するのは難しい状況です。

システム開発会社への依頼によって、高品質なシステムの完成と自社リソースの確保を実現できます。

ポイント3. 外注先へRFPを提出する

外注先の候補となる企業へRFPを提出しましょう。RFP(Request for Proposal)とは、自社の要望をまとめた提案書のことです。

システム開発やWebサイト構築の際、発注側が開発側へ提出します。RFPに記載する主な内容を以下にまとめました。

  • システム構築に至った背景
  • 現状の悩みや達成したい課題
  • 希望納期
  • 予算
  • 必要な機能と不要な機能
  • 現行サーバーやPC
  • 保守の必要性

RFPを作成するメリットは、自社の要望を正確に伝えられる点です。システム開発会社と共通の認識を持てるため、認識のズレや口頭での伝達ミスにともなうトラブルの発生を避けられます。

RFPの完成度が高まるほど、各社の提案レベルや見積金額を正確に把握できるため、RFP作成に割く時間を十分確保しましょう。

ポイント4. 外注先の選定にはビジネスマッチングを活用する

システム開発会社を探す際は、ビジネスマッチングの活用を検討しましょう。ビジネスマッチングとは「仕事の依頼先を探す企業」と「顧客を探す企業」をオンライン上でつなげるサイトです。地域や業種など必要な情報を入力すると、自社の条件に合致した企業が提示されます。

実績や得意分野、対応可能な業務範囲など、各企業の特徴がコンパクトにまとめられている点も魅力です。本業が忙しい方も、短時間で必要な情報を集められるでしょう。

「比較ビズ」を利用すると、約1,000社のなかから自社の条件を満たす企業を見つけられます。無料で複数の企業に見積依頼ができる点も魅力です。

まとめ

今回の記事では以下の4点に関して述べました。

  • システム構築とシステム開発の違い
  • システム構築の工程
  • システム構築の手法
  • システム構築に関して把握すべきポイント

システム構築の流れや構築手法は、システム開発とほとんど変わりません。自社でシステム構築をおこなう場合は、プログラミングやテストなど、さまざまな分野の知識に精通した人材の確保が条件です。

仮に人材を確保できた場合も、従業員は担当業務と並行してシステム構築を進めなければなりません。業務負担増大にともなう本業への支障を避けるためにも、システム開発会社に依頼しましょう。

「比較ビズ」を利用すると、必要事項を入力する2分程度で条件に合った企業を探し出せます。システム監視構築外注先を探している方は、ぜひ利用してみてください。

監修者のコメント
株式会社ウィズワンダー
代表取締役 中島 裕規

株式会社ウィズワンダー代表取締役。クラウドを使用したWebシステム開発を得意とする。技術力はもちろん、顧客の課題ヒアリングと提案力にも定評がある。SIer、スタートアップでのリードエンジニアやCTOを経て、楽天グループ(株)、日本マイクロソフト(株)にてシステム開発や顧客対応に携わる。その後、中小企業を積極的にサポートしたいという思いから株式会社ウィズワンダーを創業。情報処理技術者資格のほか、Azure Expert資格2種を含む、Azure関連資格を8つ保持。

システム開発やシステム構築においては、言及されているように様々な開発の手法があります。

ウォーターフォール型では事前に要件が明確に定まっているシステムで採用されることが多く、一般ユーザー向けのWebシステムなどは市場のニーズによって要件が変化しやすいため、アジャイル型やプロトタイプ型、スパイラル型が向いているとされています。

また、バグやシステムダウンが発生する可能性をできるだけ低減するため、近年では単体テストや結合テストなどを自動で行う「自動テスト」が取り入れられることもあります。

自動テストを取り入れたシステムでは、システム完成後の改修や機能追加に対しても費用の削減や納期短縮が見込めますので、ぜひ導入を検討すると良いでしょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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