雇用助成金とは?主な受給条件や活用できる助成金の種類を解説

Reメンバー労務オフィス
監修者
Reメンバー労務オフィス 社会保険労務士 遠藤良介
最終更新日:2025年05月08日
雇用助成金とは?主な受給条件や活用できる助成金の種類を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 雇用助成金とは?
  • 雇用助成金の主な受給条件は?
  • 活用できる雇用助成金の種類は?

雇用助成金とは、企業や雇用主に対して雇用を維持したり、新たに雇用を創出したりするために活用できる財政的支援です。上手に活用することで、自社の金銭的負担を軽減しながら雇用を維持できるでしょう。

この記事では、雇用助成金がどのようなものかや受給条件を解説します。最後まで読めば、活用できる助成金の種類や申請手順もわかるでしょう。雇用助成金を活用することで、自社の金銭的負担を軽減しながら、安定した雇用の維持につなげたい方はぜひ参考にしてください。

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雇用助成金とは

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雇用助成金は、企業や雇用主に対して雇用を維持したり、新たに雇用を創出したりするための財政的支援の1つです。一般的に、政府や関連機関が提供する助成金や補助金の形で実施されます。

経済的な困難や需要の減少により雇用が減少する場合、雇用助成金を活用すると金銭的負担の軽減が可能です。さまざまな種類があり、用途や使用者によって適切な助成金は異なります。

雇用助成金の返済は不要

一般的に雇用助成金は返済の必要がありません。助成金は、雇用の促進や雇用者への経済的な支援を目的として、政府や関連機関からの支援金や補助金で提供されます。助成金を受ける際は、支給条件や要件をよく理解し、正しい方法で利用することが重要です。

雇用助成金の主な受給条件

雇用助成金の主な受給条件は、以下のとおりです。

  • 中小企業事業主である
  • 助成金の不支給措置が取られている事業主ではない
  • 労働保険料を納付していること
  • 労働関係法令の違反を行っていない
  • 風俗営業等関係事業主ではない
  • 暴力団関係事業主ではない
  • 破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行った、または行うおそれがある団体に属していない
  • 倒産した事業主ではない
  • 受給審査に必要な事項の確認や適正支給のための調査に協力すること
  • 受給に必要な書類を提出していること
  • 本支給要領の内容に承諾していること
  • 助成金の不受理措置が取られている社会保険労務士または代理人ではない
  • 支給申請に事実と異なる記載や証明を行っていない

すべての条件を満たす必要があるため、必ずご確認ください。

雇用助成金の種類

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雇用助成金には、以下13種類あります。用途や使用者にあった助成金を見つけましょう。

  1. 雇用調整助成金
  2. 産業雇用安定助成金
  3. 早期再就職支援助成金
  4. 特定求職者雇用開発助成金
  5. トライアル雇用助成金
  6. 地域雇用開発助成金
  7. 人材確保等支援助成金
  8. 通年雇用助成金
  9. 65歳超雇用推進助成金
  10. キャリアアップ助成金
  11. 仕事と家庭の両立支援関係等の助成金
  12. 人材開発関係の助成金
  13. 障害者雇用納付金制度の助成金

1. 雇用調整助成金

雇用調整助成金は、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が一時的な雇用調整を実施することで、従業員の雇用を維持する場合に助成される制度です。助成金を活用して休業・教育訓練・出向などを行うことで、従業員の雇用を維持します。

2. 産業雇用安定助成金

産業雇用安定助成金は、労働者の安定した雇用を支援するための制度です。産業雇用安定助成金には、以下3種類のコースがあります。

産業連携人材確保等支援コース 事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業者に対し、生産性向上に資する取組等に必要な新たな人材を雇い入れる支援
スキルアップ支援コース 在籍型出向により労働者のスキルアップを図り賃金上昇を目指す
災害特例人材確保支援コース 令和6年能登半島地震に伴う事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業者が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合に、労働者の雇用を支援

とくに産業連携人材確保等支援コースでは、助成要件に「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」の採択が求められています。事前にそれぞれの助成要件をよく確認し、要件に該当するのかを確認しておきましょう。

3. 早期再就職支援助成金

早期再就職支援助成金は、離職を余儀なくされた労働者の再就職支援を行うために設けられている制度です。早期再就職支援助成金には、以下4種類のコースがあります。

再就職支援コース 離職する労働者の再就職支援を職業紹介事業者に委託して再就職を実現させた場合の助成
雇入れ支援コース 再就職援助計画などの対象者を離職後3カ月以内に無期限労働者として雇い入れ、継続して雇用することが確実である事業主に対して助成
中途採用拡大コース 中途採用者の雇用管理制度を整備したうえで中途採用の拡大を図る事業主に対して助成
UIJターンコース 東京圏からの移住者を雇い入れた事業主に対し、その採用活動に要した経費の一部を助成

4. 特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、障がい者や高齢者など特定の方を雇用することを支援する制度です。以下5種類のコースがあります。

特定就職困難者コース 高年齢者・障害者・母子家庭の母などの就職困難者の雇い入れを支援
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース 発達障害者または難治性疾患患者の雇い入れを支援
中高年層安定雇用支援コース 中高齢者のうち十分なキャリア形成がなされず、正規雇用に就くことが困難な者を正規雇用労働者として雇い入れた事業主に対する支援
生活保護受給者等雇用開発コース 自治体からハローワークに就労支援の要請があった生活保護受給者等の雇い入れを支援
成長分野等人材確保・育成コース 特定求職者雇用開発助成金の対象労働者を成長分野等の業務に従事する者として雇い入れる、または未経験の特定求職者雇用開発助成金の対象労働者を雇い入れ、一定の訓練を実施して賃上げを行うことに対する支援

以下の記事では、障害者雇用で利用できる助成金の内容を解説しているため、参考にしてください。

5. トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、職業経験や技能、知識などで安定した就職が難しい求職者に対して、一定期間の試行雇用を行った場合に助成金を提供する制度です。トライアル雇用助成金には、以下3種類のコースがあります。

一般トライアルコース 職業経験の不足から就職が困難な求職者を試行的に雇い入れることに対する支援
障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース 障害者を試行的・段階的に雇い入れることに対する支援
若年・女性建設労働者トライアルコース 建設業の中小事業主が若年者(35歳未満)または、女性を建設技能労働者等として試行雇用することに対する支援

助成金を受給するためには、以下要件をすべて満たすことが必要です。

  • ハローワークや紹介事業者などの紹介により雇い入れること
  • 原則3カ月のトライアル雇用をすること
  • 1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度であること

他にも細かい要件があるため、申請前によく確認しておきましょう。

6. 地域雇用開発助成金

地域雇用開発助成金は、特定の地域に対して雇用の促進を支援する制度です。地域雇用開発助成金には、以下2種類のコースがあります。

地域雇用開発コース 雇用情勢が特に厳しい地域で、事業所の設置整備をして従業員を雇い入れることを支援
沖縄若年者雇用促進コース 沖縄県内で事業所の設置整備をして35歳未満の若年者を雇い入れることを支援

7. 人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金は、労働環境の向上を目指す事業主や事業協同組合などに助成金を支給する制度です。魅力的な職場を作ることで、人材の確保や定着を促します。人材確保等支援助成金に含まれるコースは、以下の7つです。

雇用管理制度・雇用環境整備助成コース 雇用管理制度や業務負担軽減機器などの導入を通じて従業員の職場定着を支援
中小企業団体助成コース 事業主団体が中小企業の人材確保や労働者の職場定着を支援
建設キャリアアップシステム等活用促進コース 中小建設事業主が、建設キャリアアップシステムを活用して雇用管理改善に取り組むことを支援
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野) 建設業の事業主等が、若年や女性労働者の入職や定着、作業の訓練実施などを行うことを支援
作業員宿舎等設置助成コース(建設分野) 建設業の中小事業主等が、建設工事現場に女性専用作業員施設の貸借や認定訓練の実施に必要な施設や設備の設置、石川県に所在する作業員宿舎・作業員施設・賃貸住宅を賃借することに対する支援
外国人労働者就労環境整備助成コース 外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を通じ、外国人労働者の職場定着を図る
テレワークコース テレワークの導入・実施を通じて従業員の離職率の軽減を図る

8. 通年雇用助成金

通年雇用助成金は、北海道や東北地方などの事業主が、冬に離職を余儀なくされる労働者を雇用した場合に助成される制度です。建設業や林業などで、積雪や寒冷により冬の間に労働が難しい場合でも、助成金を活用することで離職させず継続して雇用できます。

9. 65歳超雇用推進助成金

65歳超雇用推進助成金は、65歳を超えた労働者の雇用を支援する制度です。以下3種類のコースがあります。

65歳超継続雇用促進コース 65歳以上への定年引上げ等の実施
高年齢者評価制度等雇用管理改善コース 高年齢者の雇用管理制度の整備
高年齢者無期雇用転換コース 50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用へ転換

以下の記事では、65歳超雇用推進助成金の概要や就業規則整備のポイントを詳しく解説しているため、参考にしてください。

10. キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者のキャリアパスの向上と雇用条件の改善を支援する制度です。非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善の取り組みを行った事業主ができます。キャリアアップ助成金にあるコースは、以下の6つです。

正社員化コース 有期雇用労働者等の正社員化
障害者正社員化コース 障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換
賃金規定等改定コース すべてまたは一部の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し、3%以上増額させることを支援
賃金規定等共通化コース 有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を作成し、適用することに対する支援
賞与・退職金制度導入コース 有期雇用労働者等を対象とした賞与または退職金制度を新たに設け、適用することを支援
社会保険適用時処遇改善コース 時間労働者が新たに社会保険の被保険者となる際に、労働者の収入を増加させる取組みを行うことに対する支援

以下の記事では、キャリアアップ助成金の概要や申請手順を詳しく解説しているため、参考にしてください。

11. 仕事と家庭の両立支援関係等の助成金

仕事と家庭の両立支援関係等の助成金は、育児や介護に関する支援を行う制度です。助成金には、以下6つのコースがあります。

出生時両立支援コース 中小企業が男性の育児休業取得推進に取り組むことに対する支援
介護離職防止支援コース 中小企業が仕事と介護の両立支援に取り組むことに対する支援
育児休業等支援コース 中小企業が労働者の円滑な育児休業取得・職場復帰に取り組むことに対する支援
育休中等業務代替支援コース 中小企業が育児休業取得者や育児のための短時間勤務制度利用者の業務を代替するための体制整備を行うことに対する支援
柔軟な働き方選択制度等支援コース 中小企業が育児中の労働者が利用できる柔軟な働き方に関する制度の利用者を支援するすることをサポート
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース 不妊治療、女性の健康課題に対応するための雇用環境整備に取り組むことを支援

以下の記事では、両立支援等助成金の概要や申請方法を解説しているため、参考にしてください。

12. 人材開発関係の助成金

人材開発関係の助成金は、従業員が専門的な知識やスキルを身につけるために行う訓練の費用を一部助成する制度です。

人材育成支援コース 職務に関連した10時間以上のOFF-JTによる訓練、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練等を実施
教育訓練休暇等付与コース 有給教育訓練休暇制度を導入し、労働者が当該休暇を取得
建設労働者認定訓練コース 建設業の中小事業主等が認定訓練の実施または建設業の中小事業主が建設労働者に有給で受講させることに対する支援
建設労働者技能実習コース 建設業の事業主等が建設労働者に有給で技能実習を受講させることに対する支援
人への投資促進コース デジタル人材・高度人材を育成する訓練、労働者が自発的に行う訓練、定額制訓練(サブスクリプション型)等を実施
事業展開等リスキリング支援コース 新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識および技能を習得させるための訓練を実施

以下の記事では、人材開発支援助成金の「人材育成支援コース」と「人への投資促進コース」に関する概要を詳しく解説しているため参考にしてください。

13. 障害者雇用納付金制度の助成金

障害者雇用納付金制度の助成金は、障がいのある方が安心して働く環境を整えることを支援する制度です。介助者の配置や、環境整備などを行う場合に支給されます。助成金の種類は、以下の9つです。

障害者作業施設設置等助成金 障害者の障害特性による就労上の課題を克服する作業施設等を設置・整備
障害者福祉施設設置等助成金 障害者の福祉の増進を図るための福祉施設等を設置・整備
障害者介助等助成金 障害者の雇用管理のために必要な介助者等を配置または委嘱
訪問型職場適応援助者助成金 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を実施
重度障害者等通勤対策助成金 障害者の通勤を容易にするための措置を実施
重度障害者等多数雇用事業所施設設置等助成金 重度障害者を多数継続雇用する事業施設等の整備等を実施
障害者雇用相談援助助成金 障害者の雇入れや雇用継続のために必要な一連の雇用管理に関する援助を実施
障害者能力開発助成金 障害者に対して能力開発訓練事業を実施

雇用助成金の申請手順

雇用助成金の申請を進めることで、雇用の維持や創出に役立てられます。一般的な雇用助成金の申請手順は、以下のとおりです。

1. 必要な情報の収集 企業情報や雇用者の情報、雇用形態や雇用期間、助成対象となる条件などが含まれる
2. 申請書類の作成 企業の基本情報や助成対象となる雇用者の詳細、助成を受けるための要件を満たしていることを証明する書類などが含まれる
3. 必要な書類の添付 雇用契約書や給与明細、社会保険の加入証明書などが含まれる場合がある
4. 申請書類の提出 ・提出方法には、郵送やオンライン申請、直接提出などがある
・申請書類の提出期限に注意
5. 承認と助成金の支給 ・審査が承認された場合、助成金が支給される
・助成金の支給方法や期間は各助成金により異なる

まとめ

雇用助成金は、企業や雇用主に対して経済的な支援を提供します。経済的な困難や需要の減少により雇用が減少する場合、助成金を受けることで雇用の維持が可能です。

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監修者のコメント
Reメンバー労務オフィス
社会保険労務士 遠藤良介

東京都出身。ビール会社の営業、地方公務員、飲食チェーン店店長等を経て、社会保険労務士事務所に入所。在籍中に社会保険労務士資格を取得し、様々な業種の顧問先の労務担当として従事。現在は、ハローワークのアドバイザーとしてシニア世代の職業相談等に携わりながら、愛知県一宮市にReメンバー労務オフィスを開業。「会社と従業員を、笑顔に」をモットーに日々奮闘中。

「構造的な賃上げ」「リスキリング(学び直し)」「労働移動の円滑化」を3本柱とした「人への投資」について、国では盛んに検討されています。

また、令和4年10月28日に策定された雇用・労働総合政策パッケージの中でも ・人材開発支援助成金のコース新設や助成率の引き上げ ・キャリアアップ助成金(正社員化コース、賃金規程等改定コース)の拡充、 その他、労働移動関連の助成金などの新設・拡充が盛り込まれています。

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比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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