両立支援等助成金とは?6つのコースの概要や手続きの流れなども紹介

最終更新日:2024年07月10日
両立支援等助成金とは?6つのコースの概要や手続きの流れなども紹介
この記事で解決できるお悩み
  • 両立支援等助成金とは?
  • 両立支援等助成金の各コースの概要とは?
  • 助成金申請の流れとは?

両立支援等助成金は従業員が育児または介護と両立できるよう、職場環境の整備に努める企業が利用可能な制度です。取り組み内容に応じて、6つのコースが用意されています。

この記事では、両立支援等助成金のコース別概要や助成金申請の手続きの流れを紹介します。記事を読み終わる頃には、両立支援等助成金の活用における注意点がつかめるでしょう。

育児と介護を理由にした離職者の増加にお悩みの企業は、ぜひ参考にしてください。

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両立支援等助成金とは

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両立支援等助成金とは、従業員が育児や介護と仕事を両立できるよう、職場環境の整備に取り組む企業が利用可能な制度です。育児休業や介護休業を安心して取得可能な体制を整え、従業員の不安を軽減しつつスムーズな職場復帰を実現します。

両立支援等助成金の各コースを紹介

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両立支援等助成金には以下6つのコースが用意されています。

  • 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
  • 介護離職防止支援コース
  • 育児休業等支援コース
  • 育休中等業務代替支援コース
  • 柔軟な働き方選択制度等支援コース
  • 不妊治療両立支援コース

各コースの要件や助成金の上限に関してみていきましょう。

出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

男性労働者の育児休業取得率向上を目的に、職場環境の整備や業務体制の再編に取り組む企業が利用可能なコースです。コースは第1種と第2種にわかれており、第2種は第1種で助成金を受給したあとでなければ利用できません。

助成額や要件に関して以下の表にまとめました。

  第1種 第2種
支給額 ・1人目:20万円
・2人目と3人目:10万円
・1事業年度以内に育児休業取得率が30%以上上昇した場合:60万円
・2事業年度以内に育児休業取得率が30%以上上昇した(または連続70%以上)場合:40万円
・3事業年度以内に育児休業取得率が30%以上上昇した(または連続70%以上)場合:20万円
主な要件 ・育児介護休業法に定められた職場環境の整備に関する措置を複数実施
・育児休業取得者の代わりに業務を担当する方に対し、業務体制と規定を整備
・男性労働者が子どもの出生後8週間以内に、一定日数以上の育児休業を取得
・第1種の助成金を受給済みの状態
・育児介護休業法に定められた職場環境の整備に関する措置を複数実施
・育児休業取得者の代わりに業務を担当する方に対し、業務体制と規定を整備
・第1種の申請で対象となった労働者以外で、男性の育児休業取得者が2人以上
1:第1種の申請から3事業年度以内に、男性労働者の育児休業取得率が30%以上上昇
2:第1種の申請年度に子どもが生まれた男性労働者が5人未満かつ育児休業取得率が70%以上を達成。翌年以降、3事業年度の中で育児休業取得率が2年連続で70%以上を達成
※1と2のどちらかを達成

参照:厚生労働省

第1種で定められている育児休業の取得日数は、子どもの人数によって変動します。1人目が生まれた場合、最低5日以上の育児休業取得が必要です。2人目は10日、3人目の場合は14日以上仕事を休む必要があります。

第2種を利用する場合、第1種の申請から3事業年度以内に男性労働者の育児休業取得率を30%以上高めなければなりません。

介護離職防止支援コース

介護を抱える従業員が、スムーズに介護休業の取得および職場復帰できるよう、職場環境の整備に取り組む企業が利用可能なコースです。内容は介護休業の取得および職場復帰の支援、柔軟な働き方の整備の2つに分けられます。

ずれの内容も介護支援プランの作成が必要です。

介護休業、介護両立支援制度の助成金支給額

双方の助成金支給額に関して、以下の表にまとめました。

  介護休業 介護両立支援制度
支給額 ・休業取得:30万円
・職場復帰:30万円
30万円
加算額 どちらかに該当する場合、業務代替支援として加算
・新規雇用:20万円
・手当支給等:5万円
個別周知・環境整備加算:15万円

介護休業の取得および職場復帰の支援を選択した場合、以下の要件を満たさなければなりません。

介護休業 主な要件
介護休業取得 ・介護休業の取得と職場復帰に関して、介護支援プランにもとづいた実施方針を社内で周知
・労働者との面談を実施し、希望の確認および記録をしたうえで介護支援プランを作成
・業務の引き継ぎを実施
・対象労働者が合計5日以上の介護休業を取得
職場復帰 ・介護休業終了後に対象労働者の上司または人事担当者と面談を実施
・面談の内容を記録
・対象労働者は原則として原職に復帰
・助成金の支給申請日まで、3カ月以上継続雇用
業務代替支援加算 ・介護休業取得中に代替要員を新規雇用した場合
・代替要員を確保せず、他の社員に手当を支給して業務を代替させた場合

参照:厚生労働省

代替要員を新たに雇用した場合、他の社員に手当を支給して業務を代行してもらった場合、助成金額が加算される仕組みです。

介護両立支援制度の要件

介護両立支援制度の要件を以下の表にまとめました。

介護両立支援制度 内容
主な要件 ・介護両立支援制度の利用に関して、介護支援プランにもとづいた実施方針を社内で周知
・労働者との面談を実施し、希望の確認および記録をしたうえで介護支援プランを作成
・対象労働者が介護両立支援制度を合計20日以上利用し、助成金支給申請日まで継続雇用
個別周知・環境整備加算 ・対象労働者に介護関連の社内制度や介護休業中の待遇に関して、資料を交えて説明
・労働者全般に、仕事と介護を両立しやすい職場環境整備に関する措置を2つ以上実施

参照:厚生労働省

対象労働者は、以下に記載したいずれかの制度を20日以上利用する必要があります。

  • 時間外労働の制限
  • 深夜労働の制限
  • 介護者向けの在宅勤務
  • 介護者向けのフレックスタイム制
  • 時差出勤
  • 法律を上回る介護休暇
  • 介護サービス費用の補助

参照:厚生労働省

育児休業等支援コース

育児休業の取得や休業後の職場復帰を安心してできるよう、職場環境の整備に取り組む企業が利用可能なコースです。助成金の支給額と要件に関して以下の表にまとめました。

  育児休業 職場復帰
助成額 30万円 30万円
主な要件 ・育児休業の取得と職場復帰に関して、育休復帰支援プランを活用した支援方針を社内に周知
・労働者との面談を実施し、希望の確認および記録をしたうえで育休復帰支援プランを作成
・対象労働者の育児休業開始前日までに業務の引継ぎを実施
・対象労働者が連続3カ月以上の育児休業を取得
・育児休業を取得した労働者と同じ労働者が対象
・育児休業中に業務に関する情報や資料を提供
・育児休業終了前に対象労働者の上司または人事担当者と面談を実施
・面談の内容を記録
・対象労働者は原則として育児休業前の職種に復帰
・支給申請日までの6カ月間継続雇用

参照:厚生労働省

育児休業の取得と職場復帰の支援を実施した場合、労働者1人につき最大60万円が支給されます。労働者が育児休業を経て職場復帰を果たしたあと、6カ月間継続雇用しない限り、職場復帰支援分の30万円は支給されません。

育休中等業務代替支援コース

育児休業取得者や育児中の従業員が仕事と育児を両立できるよう、職場環境の整備に取り組んだ際に利用可能なコースです。制度の対象者や取り組み内容に応じて、3つの内容にわけられています。助成金の支給額や主な要件を以下の表にまとめました。

  1.手当支給等(育児休業) 2.手当支給等(短時間勤務) 3.新規雇用(育児休業)
支給額 ・A.業務体制整備経費:5万円(育休1カ月未満:2万円)
・B.手当支給総額の4分の3(上限10万円/月、12カ月まで)
※A+B=125万円が上限
・A.業務体制整備経費:2万円
・B.手当支給総額の4分の3(上限3万円/月、子どもが3歳になるまで)
※A+B=110万円が上限
・7日以上14日未満:9万円最長
・6カ月以上:67.5万円
※代替期間に応じた額を支給
有期雇用労働者加算 10万円 10万円 10万円
主な要件 ・代替業務の見直しと効率化に向けた取り組み
・業務を代行する労働者に対して、手当支給に関する規定を就業規則に追加
・業務を代行する労働者に手当を支給
・対象労働者が7日以上の育児休業を取得
・職場復帰後も支給申請日まで継続雇用
・代替業務の見直しと効率化に向けた取り組み
・業務を代行する労働者に対して、手当支給に関する規定を就業規則に追加
・業務を代行する労働者に手当を支給
・対象労働者が1カ月以上、短時間勤務制度を利用
・職場復帰後も支給申請日まで継続雇用
・育児休業取得者の代替要員を新規雇用または派遣労働者の受け入れで確保
・代替要員が育児中に業務を遂行
・対象労働者が7日以上の育児休業を取得
・職場復帰後も支給申請日まで継続雇用

参照:厚生労働省

1か3を選んだ場合は、出生時両立支援コース(第1種)や育児休業等支援コース(育休取得時)との併用が可能です。

柔軟な働き方選択制度等支援コース

従業員が育児と仕事を両立できるよう、働き方の選択肢拡充に努めた場合に利用可能なコースです。助成金対象の制度と実施内容、利用基準に関して以下の表にまとめました。

  実施すべき内容 利用実績の基準
フレックスタイム制/時差出勤 ・始業/終業時刻や1日の労働時間を従業員が決定
・始業/終業時刻を1時間以上繰り上げ、または繰り下げ
合計20日以上利用
育児のためのテレワーク ・勤務日の半数以上の利用を許可
・時間単位での利用を許可
合計20日以上利用
短時間勤務 ・1日の所定労働時間を1時間以上短縮
・1日6時間以外の短時間勤務の利用も許可
合計20日以上利用
保育サービスの手配・費用補助 ・一時的な保育サービスを手配
・サービスに関する費用の一部または全額を補助
・労働者負担額の5割以上かつ3万円以上を支給
・10万円以上の補助 ※どちらかに該当
子の養育を容易にするための休暇制度/法を上回る子の看護休暇制度 ・有給休暇の取得を年10日以上取得可能
・時間単位での取得を許可
合計20時間以上取得

参照:厚生労働省

助成金を受給するには、上記制度のうち最低でも2つの制度を導入しなければなりません。2つ以上の制度を導入したうえで、以下の要件も満たす必要があります。

  • 育児にかかる柔軟な働き方支援プランを作成
  • 支援プランにもとづいた内容を実施する旨を社内に周知
  • 労働者との面談を実施し、労働者の希望を確認したうえで内容を記録
  • 業務体制の見直しやキャリアアップに向けた措置をプランに反映
  • 制度利用開始から6カ月間以内に対象労働者がいずれかの制度を利用

参照:厚生労働省

上記要件を満たしたうえで、働き方に関する制度を2つ導入した場合は20万円、3つ導入した場合は25万円が支給される仕組みです。

不妊治療両立支援コース

従業員が不妊治療と仕事を両立できるよう、職場環境の整備や働き方の選択肢拡充に取り組む企業が利用可能な制度です。コースはAとBにわけられます。助成額の上限と主な支給要件に関して以下の表にまとめました。

  A B
助成額 30万円 30万円
主な要件 ・最初の労働者が休暇制度・両立支援制度を合計5日利用
・不妊治療休暇制度または両立支援制度の利用を促す方針を社内に周知
・不妊治療と仕事の両立に関する社内調査を実施
・就業規則に制度を規定し、規定後に従業員へ周知
・両立支援担当者を選任し、従業員からの相談に対応
・対象労働者向けに不妊治療両立支援プランを策定
・Aを実施し、助成金をすでに1度受給
・対象労働者が同一年度内に不妊治療休暇を20日以上連続して取得
・対象労働者は原則として休暇前と同じ職種に復帰
・職場復帰後、3カ月以上継続雇用

参照:厚生労働省

Aで1度助成金を受給していないと、Bは利用できません。治療休暇制度または両立支援制度に該当する内容は以下になります。

  • 所定外労働の制限
  • 時差出勤
  • フレックスタイム制
  • 短時間勤務
  • テレワーク

両立支援等助成金を利用する4つのメリット

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以下4点が両立支援等助成金を利用するメリットです。

  1. 優秀な人材の流出を防げる
  2. 従業員のエンゲージメントが高まる
  3. 求人への応募率が高まる
  4. イメージアップにつながる

メリットの内容を1つひとつみていきましょう。

メリット1. 優秀な人材の流出を防げる

両立支援等助成金の活用によって、育児や介護を理由に退職する従業員を最小限に抑えられます。助成金を受給するには、一定日数以上の休業取得や業務体制の見直しなど、従業員が仕事と両立可能な環境を整えなければなりません。

コースの内容によっては、短時間勤務やテレワーク、フレックスタイム制の導入など、働き方の選択肢を拡充する取り組みも必要です。勤務場所や勤務時間を問わず働ける環境が整うと、育児や介護と両立しやすくなり、優秀な人材の流出を避けられます。

メリット2. 従業員のエンゲージメントが高まる

両立支援等助成金の活用をきっかけに、働きやすい職場環境が整うと離職率を下げられます。従業員1人ひとりが勤務先や現在の仕事に愛着を抱くようになり、信頼関係が深まるためです。

従業員のエンゲージメントが高まると、業務効率改善や収益拡大、人材の定着率向上など、さまざまなメリットが得られます。

メリット3. 求人への応募率が高まる

育児や介護と両立可能な体制は、学生やビジネスマンに向けて強烈なアピールになります。ワークライフバランスが整った環境を就職先の決め手にする方も珍しくありません。

育児休業や介護休業が取得しやすい環境は、他社と差別化を図れる大きな武器です。求人への応募率が高まり、優秀な人材を獲得しやすくなります。職場復帰に向けての支援体制や休業明けの働き方も提示すると、求める人物像に合致した人材を高い確率で採用できるでしょう。

メリット4. イメージアップにつながる

男性労働者の育休取得率向上やテレワークの導入など、自社の取り組みを顧客や取引先にアピールできます。「働きやすい職場環境の整備に取り組むホワイト企業」と印象づけられ、イメージアップを図れるでしょう。

ブランドイメージの向上によって、企業認知度向上や新規顧客獲得、価格競争からの脱却など、さまざまなメリットが期待できます。

両立支援等助成金を利用する3つのデメリット

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両立支援等助成金を利用すると、従業員が長く働ける環境を整えられますが、メリットばかりではありません。以下3つのデメリットに関して把握しておきましょう。

  1. 助成金受給までに時間がかかる
  2. 要件のハードルが高い
  3. 準備すべき内容が多い

どのコースを選んでも、準備すべき内容や要件が多いため、助成金を受給するまでに多くの時間がかかります。

デメリット1. 助成金受給までに時間がかかる

どのコースを選んだとしても、助成金を受給するまでに多くの時間が必要です。育休復帰支援プランの策定や業務体制の見直し、就業規則の変更など、さまざまな作業をこなさなければなりません。

育児休業等支援コースを選んだ場合、対象労働者が職場復帰を果たしたあと、6カ月の継続雇用が必要です。期限前に労働者が退職した場合、助成金の支給額は通常の半分にとどまります。

デメリット2. 要件のハードルが高い

各コースの要件は比較的厳しく設定されています。たとえば、出生時両立支援コースの場合、育児休業を取得する男性労働者が出てこなければなりません。男性労働者の育休取得率は低く、前例がない企業ほど導入への難易度は高まるでしょう。

同様に不妊治療両立支援コースも、休暇制度・両立支援制度を5日以上利用する労働者が必要です。コースごとに要件は異なるため、自社の従業員が利用しやすいコースがどれか、入念に調べておく姿勢が求められます。

デメリット3. 準備すべき内容が多い

業務体制の見直しや労働者との面談、書類作成など、準備すべき内容が多く、労務管理担当者への負担が増大します。

企業のリソースによっては、人事と労務管理の仕事を兼任している場合も珍しくありません。担当業務をこなすのに精一杯の場合、助成金の申請手続きに手が回らない可能性が高いでしょう。

両立支援等助成金の申請手順【育児休業等支援コース編】

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両立支援等助成金では、選択したコースによって申請手続きの流れは異なります。今回の記事では、育児休業等支援コースを利用した場合の流れを以下にまとめました。

  1. 育休取得者または配偶者の妊娠が発覚
  2. 育休復帰支援プランによる支援を周知
  3. 育休取得者と面談
  4. 育休復帰支援プランを作成
  5. 業務の引き継ぎ
  6. 支給申請
  7. 育休取得者が職場復帰

育児休業等支援コースは、助成金申請のタイミングを覚えることが重要です。1回目は育児休業の取得から3カ月が経過した時点、2回目は職場復帰から6カ月経過した時点になります。

1. 育休取得者または配偶者の妊娠が発覚

育児休業取得予定の労働者または配偶者の妊娠がわかり次第、助成金手続きに関する準備を進めていきます。まずは育休復帰支援プランを活用していく自社の方針を従業員に伝えてください。

2. 育休復帰支援プランによる支援を周知

育休復帰支援プランの内容にもとづき、育児休業の取得や休業後の職場復帰を支援する方針を社内に周知します。育児休業等支援コースを利用するには、対象労働者が育児休業に入る前日までに従業員へ周知しなければなりません。

3. 育休取得者と面談

対象労働者と面談をおこない、育児休業の希望開始日や体調面での不安、業務の引き継ぎスケジュールなどに関して本人に伺います。業務の引き継ぎもあるため、育児休業に入る2カ月前を目安に面談を実施しましょう。

面談では、育児休業中のサポートや休業明けの働き方に関しても決めておきます。職場復帰への不安を必要以上に感じさせないようにするためです。厚生労働省が策定した面談シートを活用すると、プラン策定に必要な内容を効率的に聞き出せます。

4. 育休復帰支援プランを作成

育休復帰支援プランとは、育児休業の取得者が休業後スムーズに職場復帰できるようにするための計画書です。プランの策定によって業務体制を見直し、休業取得者の不安軽減と部署全体の業務効率化を図ります。

育休復帰支援プランは厚生労働省が作成したマニュアルをみながら、策定してください。法律の理解や職場環境の課題抽出、三者面談の実施など、プラン策定までに必要な作業が記載されています。

5. 業務の引き継ぎ

面談の際に決めたスケジュールにもとづき、業務の引き継ぎを進めていきます。面談で「どの従業員にいつからどのような作業を」任せるのか、決めておくことが重要です。

他の従業員に任せる業務内容やスケジュールが明確になっていると、スムーズに引き継ぎを進められます。業務引き継ぎ書を活用すると、対応漏れの発生も防げるでしょう。

6. 支給申請

育児休業等支援コースを利用する場合、対象労働者は3カ月以上育児休業を取得しなければなりません。支給申請では主に以下の書類提出が必要です。

  • 両立支援助成金支給申請書
  • 育児休業取得者に関する面談シートのコピー
  • 育休復帰支援プランのコピー
  • 育児休業に関する規定やマニュアル
  • 育休復帰支援プランの社内周知を証明する書類
  • 就業規則や関連する労働協約のコピー
  • 育児休業取得者の雇用契約書または労働条件通知書
  • 育児休業申出書のコピー

参照:厚生労働省

提出先は本社を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部になります。各種書類の提出期限は、対象労働者の育児休業明け翌日から2カ月以内です。

7. 育休取得者が職場復帰

職場復帰から6カ月間は、対象労働者を継続して雇用する必要があります。途中で対象労働者が退職した場合、職場復帰のあとに支給予定の30万円を受け取れません。他にも以下の要件を満たす必要があります。

  • 担当業務に関する情報や資料の提供
  • 直属の上司と人事労務担当者を交えた面談
  • 三者面談の内容を記録
  • 休業前の職種へ復帰

両立支援等助成金の申請手続きを効率化する方法

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両立支援等助成金の手続きを効率化する方法には、以下3つの選択肢が挙げられます。

  • 労務管理システムの導入
  • 勤怠管理システムの導入
  • 社労士に相談

助成金申請に不慣れな場合、社労士に依頼するのがおすすめです。出書類の作成や就業規則の変更など、助成金申請に必要な手続き全般を依頼できます。助成金申請の代行をスポットサービスとして提供する社労士も多く、依頼先が見つからない可能性は低いでしょう。

「比較ビズ」を利用すると、約480の事務所から助成金申請が得意な社労士を見つけられます。

労務管理システムの導入

労務管理システムとは、入退社の手続きや社会保険の加入手続きなどを効率化できるシステムです。奉行Edge 労務管理電子化クラウドSmartHRを選ぶと、育児休業に関する手続きをシステム上で完結できます。

該当労働者に対して紙書類の印刷や配布をおこなう必要はありません。助成金申請に必要な各種書類もシステム上で作成できるため、助成金手続きの工数削減と業務効率改善を図れます。

勤怠管理システムの導入

勤怠管理システムとは、労働時間や有給休暇の取得状況など、従業員の勤怠データを管理できるシステムです。

ジョブカン勤怠管理COMPANYには、産後パパ育休に関する機能が搭載されています。出生時両立支援コースの利用を検討している場合におすすめです。

賃金台帳や出勤簿など、受給申請手続きに必要な書類の一元管理にも対応しており、書類作成の負担を軽減できます。

社労士に相談

助成金に関する情報収集や手続きに十分な時間を割けない場合は、社労士への相談を検討しましょう。社労士には就業規則の変更や労使協定の作成、助成金申請手の手続きなど、幅広い業務の依頼が可能です。

助成金申請が得意な社労士は、申請手続きの流れや書類作成の方法も熟知しており、素早く正確な作業が期待できます。作業の進捗状況を必要以上に確認する必要もないでしょう。

助成金申請の手続きを含めた各種作業は単発で対応している社労士も多く、顧問契約を締結する必要はありません。社労士によって得意分野は異なるため、ホームページ上で実績や対応可能な業務を確認しておくことが重要です。

まとめ

今回の記事では以下の4点に関して述べました。

  • 両立支援等助成金の各コースの概要
  • 両立支援等助成金を利用するメリットとデメリット
  • 両立支援等助成金の申請手続きの流れ
  • 両立支援等助成金の手続きを効率化する方法

コースの種類を問わず、両立支援等助成金を受給するまでには多くの時間が必要です。職場環境の整備や各種プランの策定、書類作成など、多くの作業をこなさなければなりません。

業務量が多く、助成金申請に十分な時間を割けない労務管理担当者の方も多いでしょう。リソースを十分に確保できない場合は、各種手続きの代行を社労士に依頼するのがおすすめです。

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比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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