両立支援等助成金とは?5つのコース概要や申請時の注意点を解説

最終更新日:2023年04月06日
両立支援等助成金とは?5つのコース概要や申請時の注意点を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 両立支援等助成金とは?
  • 両立支援等助成金のコース内容は?
  • 両立支援等助成金の活用における注意点は?

両立支援等助成金とは、仕事と家庭の両立支援や女性の活躍推進に取り組む事業主支援制度です。育児休暇や介護休暇を取得しやすい制度を導入することで助成金を受け取れます。

あらたに従業員を採用するよりも従業員を定着させることで、労働生産性を高く維持することができるでしょう。この記事では、両立支援等助成金で職場環境を改善したい経営者・企業担当者向けに、5つのコース概要を紹介します。

記事を読み終わった頃には、両立支援等助成金の活用における注意点がつかめるでしょう。「両立支援等助成金で仕事と家庭を両立できる職場環境にしたい」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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両立支援等助成金とは:仕事と家庭の両立を支援する助成金制度

両立支援等助成金とは、従業員が働きながら育児・介護の両立を行える制度の導入や、女性の活躍推進の取り組みを行う事業主を支援する制度です。助成金の受給には、助成金支給の要件を満たして申請する必要があります。

両立支援等助成金における5つのコース

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両立支援等助成金における5つのコースは以下のとおりです。1つずつ解説します。

  • 出生時両立支援コース
  • 介護離職防止支援コース
  • 育児休業等支援コース
  • 不妊治療両立支援コース
  • 新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース

参照:厚生労働省|両立支援等助成金

出生時両立支援コース

男性労働者が育児休業を取りやすい雇用環境整備・業務体制整備を行なうことで助成金を受け取れるコースです。育児休業を取得した男性労働者のいる中小企業の事業主が支給対象になります。

2022年度から、対象事業者が中小企業のみに変わりました。中小企業事業主の範囲は、以下のとおりです。

小売業(飲食業含む)  資本額または出資額が5千万円以下、または常時雇用する労働者数が50人以下
サービス業 資本額または出資額が5千万円以下、または常時雇用する労働者数が100人以下
卸売業 資本額または出資額が1億円以下、または常時雇用する労働者数が100人以下
その他 資本額または出資額が3億円以下、または常時雇用する労働者数が300人以下

出生時両立支援コースは、第1種と、第2種の2つがあります。それぞれの支給額は以下のとおりです。

第1種 育児休業取得 20万円
代替要員加算 20万円(3人以上45万円)
第2種 育児休業取得率の30%以
上上昇
1年以内達成:60万円<75万円>
2年以内達成:40万円<65万円>
3年以内達成:20万円<35万円>

※<>内は生産性要件を満たした場合です(以下の各コースも同様です)

男性労働者の育児休業期間中に代替要員を新規雇用(派遣を含む)した場合の代替要因加算が2022年度から設けられています。男性労働者の育児休業取得率上昇による「第2種」も同様です。

参照:2022年度の両立支援等助成金の概要

介護離職防止支援コース

介護支援プランを作成し、プランにもとづいて介護休業の取得・復帰に取り組んだ中小企業事業主が助成金を受け取れるコースです。介護のための柔軟な就労形態の制度(介護両立支援制度)を導入した利用者が発生した中小企業事業主も受け取ることができます。

1. 介護休業 28.5万円<36万円>
2. 介護両立支援制度
3. 新型コロナウイルス感染症対応特例 (労働者1人あたり)
5日以上10日未満 20万円
10日以上 35万円

上記表の主な要件は以下のとおりです。

  1. 介護休業:対象労働者が介護休業を合計5日以上取得し復帰した場合
  2. 介護両立支援制度:介護のための柔軟な就労形態の制度を導入し合計20日以上利用した場合
  3. 新型コロナウイルス感染症対応特例:新型コロナウイルス感染症への対応として家族を介護するために特別休暇を取得した場合

参照:2022年度の両立支援等助成金の概要

育児休業等支援コース

育児休業の円滑な取得・職場復帰のため、以下の取り組みをした中小企業事業主が助成金を受け取れるコースです

  1. 育休取得時
  2. 職場復帰時
  3. 業務代替支援
  4. 職場復帰後支援
  5. 新型コロナウイルス感染症対応特例

受給金額と取り組み要件の詳細は以下のとおりです。

受給金額と取り組み要件の詳細

1. 育休取得時 28.5万円<36万円> ※各2回まで(無期雇用者・有期雇用者 各1回)
2. 職場復帰時 28.5万円<36万円>
3. 業務代替支援(1人あたり)※10人まで ア 新規雇用(派遣を含む)※47.5万円<60万円>
イ 手当支給等※10万円<12万円>
※有期労働者加算9.5万円<12万円>
4. 職場復帰後支援 28.5万円<36万円> A 看護休暇制度 1,000円<1,200円>×時間
B 保育サービス費用 実支出額の2/3補助
5.新型コロナウイルス感染症対応特例 1人あたり5万円 ※10人まで(上限50万円)

上記表の主な要件は以下のとおりです。

  • 職場復帰時:「育休復帰支援プラン」の策定・導入し、プランにそって対象労働者の円滑な育児休業(3カ月以上)の取得・復帰に取り組んだ場合
  • 業務代替支援:3カ月以上の育児休業終了後、育児休業取得者が原職に復帰する際の取扱いを就業規則に規定している場合
  • 職場復帰後支援:法を上回る子の看護休暇制度(A)・保育サービス費用補助制度(B)を導入し、労働者が復帰後、6カ月以内に一定以上利用させた場合
  • 新型コロナウイルス感染症対応特例:特別休暇制度・両立支援制度を導入し、特別休暇の利用者が出た場合。学校の臨時休業により子の世話をする労働者が発生した場合に限る。

参照:2022年度の両立支援等助成金の概要

不妊治療両立支援コース

不妊治療のために、休暇制度・両立支援制度の利用がしやすい環境整備に取り組んだ中小企業事業主が助成金を受け取れるコースです。休暇制度・両立支援制度を労働者に取得・利用させる必要があります。

不妊治療と仕事との両立に資する職場環境の整備に取り組みが必要です。不妊治療のために利用可能な休暇制度や両立支援制度を、労働者に利用させた中小企業事業主を支援する目的があります。受給金額と取り組み要件の詳細は以下のとおりです。

受給金額と取り組み要件の詳細

1.環境整備・休暇の取得等 28.5万円<36万円> 
2.長期休暇の加算

上記表の主な要件は以下のとおりです。

  • 環境整備・休暇の取得等:対象となる最初の従業員が休暇制度・両立支援制度を合計5日(回)以上利用する
  • 長期休暇の加算:「環境整備・休暇の取得等」で助成金を受給し、労働者が不妊治療休暇を20日以上連続して取得する

環境整備・休暇の取得等は、不妊治療と仕事との両立において労働者の相談に対応し、両立を支援する「両立支援担当者」を選任する必要があります。両立のための社内ニーズの把握・利用可能な制度・制度の利用を促進する内容の方針の周知を行わなければいけません。

参照:2022年度の両立支援等助成金の概要

新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース

医師の指導で、休暇を合計20日以上労働者に取得させた事業主が助成金を受け取れるコースです。休業が必要とされた、妊娠中の女性労働者が取得できる有給の休暇制度を設けて社内に周知する必要があります。

対象労働者1人当たり 28.5万円 ※5人まで

対象となる労働者は、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として休業が必要な妊娠中の女性労働者(雇用保険被保険者に限る)です。対象期間は、令和2年5月7日〜令和5年3月31日です。

対象期間は、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の告示の適用期間に該当するため確認するようにしましょう。

参照:2022年度の両立支援等助成金の概要

両立支援等助成金の受給における3つの注意点

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両立支援等助成金の受給における注意点を3つ紹介します。

  • 対象コースの情報収集をして必要な準備を行う
  • 計画性をもって申請を行う
  • 労働条件が把握できる書類を提出する

対象コースの情報収集をして必要な準備を行う

助成金を最大限に活用するためには、対象となるコースにおいて早めに情報収集をして、必要な準備を行いましょう。両立支援等助成金において情報・知識だけ持っていても申請しなければ意味がありません。

実際に助成金の申請を行う場合、想像以上に準備に時間がかかるため注意しましょう。

計画性をもって申請を行う

両立支援等助成金は、日付証明が必要な書類を事前に調べて、計画性をもった申請を徹底しましょう。職場環境整備前に申請する必要があるため、職場環境の整備を行ったあとに申請しても助成金を受け取ることはできません。

助成金は、しっかりと計画を立ててから申請を行うようにしましょう。

労働条件が把握できる書類を提出する

両立支援等助成金の申請は、労働協約・就業規則・労使協定など労働条件が把握できるものを提出します。常時雇用する人数が10人以上の企業規模であれば、申請する前に作成・届出が必要です。

助成金は、労働条件が確認できる書類を用意して提出しましょう。

両立支援等助成金の受給における就業規則整備の4つのポイント

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両立支援等助成金の受給における就業規則整備のポイントを4つ紹介します。

  • 対象となる休業制度が就業規則に明記されている
  • 休業制度が規定どおりに運用されている
  • 在宅勤務に関する規定が整備されている
  • 業務内容の見直し・ルール作りがされている

対象となる休業制度が就業規則に明記されている

各コース共通の支給要件は、それぞれ対象となる休業制度を就業規則に明示することです。支給申請の時点で施行されている最新の雇用保険法・介護休業法などに則り、基準となる数値があれば水準を満たさなければいけません。

両立支援等助成金の申請を検討している場合は、最新の法改正において情報を収集し、就業規則に盛り込むようにしましょう。

休業制度が規定どおりに運用されている

両立支援等助成金の支給は、就業規則に規定を定めるだけではなく、休業制度が規定どおりに運用されていることも条件です。

従業員への実際の待遇が就業規則と異なっている場合、法で定められている以上の待遇を行ったとしても、助成金の対象外となります。就業規則どおりの運用・実際の運用に見合った就業規則の整備を心がけましょう。

在宅勤務に関する規定が整備されている

対象の従業員が、休業直前・職場復帰の直後に在宅勤務を行う場合、在宅勤務においての規定整備をする必要があります。勤務実態が業務日報・勤怠管理システムで確認できる状態である必要があります。

規定のない状態での在宅勤務は、助成金支給の対象外です。従業員が在宅勤務をする可能性がある場合は、就業規則で規定しておきましょう。

業務内容の見直し・ルール作りがされている

各コースで申請する場合、両立支援等助成金の受給のために事前に業務内容の見直し・ルール作りが必要です。就業規則の変更・労使合意なども含めた長期的な取り組みになるため、申請の準備は余裕をもって行いましょう。

まとめ

現代社会では、仕事と育児・介護などを両立をしながら働く人が多数です。会社としても両立支援等助成金を活用して、従業員がより活躍できる環境づくりを整えてみてはいかがでしょうか。社労士へ相談すると安心して申請できます。

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比較ビズ編集部
執筆者

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