【企業向け】ジョブ・カード制度とは?活用するメリットや助成金を解説

最終更新日:2023年10月02日
【企業向け】ジョブ・カード制度とは?活用するメリットや助成金を解説
この記事で解決できるお悩み
  • ジョブ・カード制度とは?
  • 活用するメリットには何があるの?
  • 助成金が支給される制度とは?

採用活動の負担軽減のために助成金を検討する企業は、中小企業を中心として少なくないはずです。ところが、求職者の希望や能力を的確に把握できていなかったために、ミスマッチに終わるケースも見られます。そういうリスクを防止するために活用したいのがジョブカードです。

ジョブカードの活用により、実習等の訓練を採用した求職者に実施することで助成金が支給される制度がありますので、しっかり学んでおきましょう。

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ジョブ・カード制度は就職活動やキャリア形成をサポートする

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ジョブ・カード制度とは、「ジョブ・カード」という書類を活用してキャリアコンサルティングや職業訓練を実施し、その後の就職活動やキャリア形成をサポートする制度です。個人のキャリアプランニングや職業能力の証明を目的として提供されています。

ジョブ・カード制度の基本の流れ

ジョブ・カード制度の基本の流れは以下の通りです。それぞれみていきましょう。

  1. 制度利用者がジョブ・カードを作成する
  2. 制度利用者がキャリアコンサルティングを受ける
  3. 制度利用者が雇用型職業訓練を受ける

1. 制度利用者がジョブ・カードを作成する

制度を利用したい個人がジョブ・カードを作成します。ジョブ・カードは、キャリアプランと職業能力に関する情報を5種類のシートにわたって記載する形式です。

  • キャリア・プランシート
  • 職務経歴シート
  • 職務能力証明(免許・資格)シート
  • 職務能力証明(学習歴・訓練歴)シート
  • 職務能力証明(訓練成果・実務成果)シート

上記のシートは厚生労働省の公式サイトからダウンロードが可能です。このうち、「職務能力証明(訓練成果・実務成果)シート」は後述する職業訓練の受講後、企業が記載して交付します。

2. 制度利用者がキャリアコンサルティングを受ける

制度利用者は、ジョブ・カードの作成中や作成後にキャリアコンサルティングを受けられます。キャリアコンサルティングを受けるには、キャリアコンサルタントまたはジョブ・カード作成アドバイザーへの依頼が必要です。

ジョブ・カード制度総合サイトに記載されているキャリアコンサルタント検索システムを利用して、全国のキャリアコンサルタントを検索・依頼しましょう。

無料で月1回のキャリアコンサルティングも

キャリア形成サポートセンターでは在職労働者向けにジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを無料で月1回実施しています。キャリアプランやジョブ・カードの記入で悩んだときは利用してみましょう。

3. 制度利用者が雇用型職業訓練を受ける

制度利用者は、企業が実施しているジョブ・カードを活用した雇用型職業訓練を受けられます。雇用型職業訓練は、企業が訓練生を直接雇用して実施する職業訓練です。企業内等での実習(OJT)と教育訓練期間等での座学等(Off-JT)を組み合わせたものになります。

ジョブ・カードは雇い入れ時の応募書類や訓練成果の評価シートとして活用。濁業訓練後に訓練の成果が記載された「職業能力証明(訓練成果・実務成果)シート」の交付を受けられます。雇用型職業訓練を受けることで、専門知識や技能を習得しながら企業に対して能力や姿勢のアピールが可能です。

企業によるジョブ・カード制度の活用方法4つ

企業によるジョブ・カード制度の活用方法を4つ紹介します。それぞれみていきましょう。

  • 求職者に職業訓練を実施する
  • 採用時の追加資料として参照する
  • 従業員のキャリア形成や能力評価に役立てる
  • 離職者の「求職活動支援書」作成に利用する

求職者に職業訓練を実施する

企業は求職者向けにジョブ・カードを利用した職業訓練を実施する活用方法があります。雇用型職業訓練を行うことで採用や研修のコストを削減可能です。

採用時の追加資料として参照する

企業は採用時の追加資料としてジョブ・カードの提出を認め、参照するという活用方法があります。特に正社員職の在職経験がない・少ない求職者の場合、有用な資料です。

従業員のキャリア形成や能力評価に役立てる

企業はジョブ・カードを社内の従業員のキャリア形成や能力評価に役立てる方法があります。インターネットからダウンロード、印刷して社内に導入し、スキルチェックや面談での評価で利用するとよいでしょう。

離職者の「求職活動支援書」作成に利用する

企業は「求職活動支援書」作成にジョブ・カードを利用するという活用方法があります。求職活動支援書は、職務経歴書を作成するための参考となる情報を記載した書類です。

「事業主都合の解雇」や「継続雇用制度の対象となる高齢者に係る基準に該当しなかったこと」で離職する45歳以上65歳未満の社員が希望する場合に、企業が作成・交付する書類です。求職活動支援書の様式は任意で、ジョブ・カードの活用が可能です。

企業がジョブ・カード制度を活用するメリット4つ

企業がジョブ・カード制度を活用するメリットを紹介します。それぞれみていきましょう。

企業がジョブ・カード制度を活用するメリット4つ

職業訓練のなかで求職者の適性を判断できる

企業は雇用型職業訓練のなかで求職者の様子を実際に見て、業務への適正を判断できます。最初から正社員として採用するか迷う求職者でも、有期契約で雇用して3か月から6か月という長期にわたり助成金を受けながら、適性を判断可能です。採用におけるミスマッチを防ぎ、有力な人材の確保に役立つでしょう。

採用時に詳細な職業能力を把握できる

企業はジョブ・カードを追加資料として受け付けることで、履歴書や職務経歴書だけではわからない詳細な職業能力を把握できます。企業と求職者のマッチング率を高めるために有用です。

企業活性化や人材定着を図れる

従業員のキャリア形成を支援することで、企業の活性化や人材定着を図れます。キャリアコンサルティングを受けてスキルやキャリアプランが明確になれば、的確な育成が可能です。従業員のモチベーション向上や離職率の低下などを期待できます。

助成金を受けられる

企業がジョブ・カード制度を利用するメリットとして、助成金を受けられることがあります。助成金を受けられれば、低コストで人材の確保や育成が可能です。

企業がジョブ・カード制度を活用するデメリット3つ

次に企業がジョブ・カード制度を活用するデメリットを紹介します。それぞれみていきましょう。

企業がジョブ・カード制度を活用するデメリット3つ

導入や運用にリソースがかかる

ジョブ・カード制度を利用した雇用型職業訓練を導入・運用するには、ある程度の時間や手間がかかります。社内のリソースが十分にあるかを確認した上で、導入を検討することが大切です。

従業員から反発されるおそれがある

従業員のキャリア形成を目的としてジョブ・カード制度を導入する場合、従業員から反発されるおそれがあります。理由として、ジョブ・カードは多くの記載事項があり、すべてのシートを完成させるには時間や手間がかかるためです。

特に普段の業務が忙しい労働環境で働く従業員は、ジョブ・カードの導入に対して後ろ向きになりやすいでしょう。ジョブ・カード制度を導入するときは、余裕を持って社内に周知し、理解を得ることが重要です。

助成金の申請では一時的に費用を負担する必要がある

助成金を申請する場合、あらゆる助成金制度に共通するデメリットとして、一時的に費用を負担する必要があります。助成金は申請から受給まで一定の期間を要するため、受給までの間は費用を立て替えなければなりません。先払いで受け取れるわけではないことに注意しましょう。

ジョブ・カード制度で支給される助成金と対象訓練

ジョブカード制度を活用して雇用型職業訓練を実施した企業は、一定の条件を満たすことで「人材開発支援助成金」という助成金を受けられます。「人材開発支援助成金」の詳細とジョブカードを活用した助成金対象の訓練を見ていきましょう。

助成金:「人材開発支援助成金」

人材開発支援助成金とは、人材の職業訓練開発を実施した企業を対象に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

対象1. 有期実習型訓練(特別育成訓練コース)

有期実習型訓練(特別育成訓練コース)は、有期契約労働者(契約社員)を正社員として採用する上で、必要な能力を習得させるために実施する訓練です。実施3カ月以上6カ月以内の短期の職業訓練で、年齢に制限はありません。もともとキャリアアップ助成金の一コースでしたが、平成30年に人材開発支援助成金のコースに統合されました。

対象2. 認定実習併用職業訓練(特定訓練コース)

認定実習併用職業訓練(特定訓練コース)は、6カ月以上2年以内の中・長期の職業訓練です。15歳以上40歳未満の方を対象としています。

対象3. 特定分野認定実習併用職業訓練(人への投資促進コース)

特定分野認定実習併用職業訓練(人への投資促進コース)は、6カ月以上2年以内の中・長期の職業訓練です。15歳以上40歳未満の方を対象としています。

対象4. 中高年齢者雇用型訓練

中高年齢者雇用型訓練は、3カ月以上6カ月以内の短期の職業訓練です。45歳以上かつ、直近2年間に継続して正規雇用されていない人を対象にしています。

ジョブ・カード制度における助成金の受給手続き

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ジョブカード制度における助成金の受給手続きについて、以下の職業訓練ごとにお伝えします。それぞれみていきましょう。

  • 特定分野認定実習併用職業訓練、認定実習併用職業訓練
  • 中高年齢者雇用型訓練
  • 有期実習型訓練

特定分野認定実習併用職業訓練、認定実習併用職業訓練

特定分野認定実習併用職業訓練、認定実習併用職業訓練は「認定実習併用職業訓練(実践型人材養成システム)」の厚生労働大臣認定申請を行い、以下のステップで受給手続きを行います。

  • ステップ1:「訓練実施計画届」の作成・提出
  • ステップ2:訓練の実施
  • ステップ3:「支給申請書」の提出
  • ステップ4:助成金の受給

「訓練実施計画届」は訓練開始1ヶ月前までに管轄内の労働局に提出します。以下の要件を満たしていなければなりません。

  • 企業内におけるOJTと教育訓練機関で行われるOff−JTを効果的に組み合わせて実施する訓練である
  • 実施期間が6か月以上2年以下である
  • 総訓練時間が1年当たりの時間数に換算して850時間以上である
  • 総訓練時間に占めるOJTの割合が2割以上8割以下である

「支給申請書」は訓練終了後2ヶ月以内の提出です。

審査に通過すれば、助成金を受給できます。

中高年齢者雇用型訓練

中高年齢者雇用型訓練は前項と同じステップで受給手続きを行います。満たすべき要件は以下の通りです。

  • 企業内におけるOJTと教育訓練機関で行われるOff−JTを効果的に組み合わせて実施する訓練である
  • 実施期間が3か月以上6か月以下である
  • 総訓練時間が1年当たりの時間数に換算して425時間以上である
  • 総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下である

中高年齢者雇用型訓練では厚生労働大臣認定申請は不要です。

有期実習型訓練

有期実習型訓練は以下のステップで受給手続きを行います。

  • ステップ1:「訓練実施計画届」の作成・提出
  • ステップ2:キャリアコンサルティングの実施
  • ステップ3:訓練の実施
  • ステップ4:「支給申請書」の提出
  • ステップ5:助成金の受給

「訓練実施計画届」は訓練開始1ヶ月前までに管轄内の労働局に提出します。以下の要件を満たしていなければなりません。

  • 企業でのOJTと教育訓練機関などで行われるOff-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練である
  • 実施期間が3か月以上6か月以下である
  • 総訓練時間が6か月当たりの時間数に換算して425時間以上である
  • 総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下である

ここまで助成金の手続きについて解説してきましたが、必要書類や条件は変更の可能性があるため、厚生労働省の公式サイトで詳細をご確認ください。

まとめ

今回は、企業向けにジョブ・カード制度について解説しました。ジョブカードを活用した助成金制度を利用することで、コスト的な負担を減らしつつ、自社にふさわしい人材を見極めることが可能です。

ジョブカード制度を利用する企業のほとんどが中小企業で、コストや時間、人材にゆとりがない企業でも利用しやすくなっています。採用活動に課題を抱える中小企業の経営者の方は、活用を検討されてはいかがでしょうか。

比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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