補助金・助成金の違い|適切に活用するために知っておきたい特徴・注意点を解説!

涌井社会保険労務士事務所
監修者
涌井社会保険労務士事務所 社会保険労務士代表 涌井好文
最終更新日:2023年09月19日
補助金・助成金の違い|適切に活用するために知っておきたい特徴・注意点を解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 補助金と助成金に違いはある?
  • 補助金・助成金にはそれぞれどのような特徴がある?
  • 補助金・助成金を活用するために注意しておきたいポイントは?

継続的にビジネスを成長させていくために必要不可欠な資金調達ですが、窓口が制限されがちな個人事業主や中小企業の方であれば、補助金・助成金の活用を視野に入れていることでしょう。

しかし、両者の違いを含め、補助金・助成金の特徴をきちんと把握している方は多くありません。補助金・助成金と一般的な融資を混同してしまえば、事業計画を見直さなければならない場合もあります。

そこで本記事では、補助金と助成金の違いやそれぞれの特徴、受給申請で注意しておきたいポイントなど、知っておきたい補助金・助成金の基礎知識を徹底解説!代表的ともいえる具体的な補助金・助成金も紹介していきます。

助成金申請代行の依頼にお困りではありませんか?

もしも今現在、

  • 助成金申請代行業者の選び方がわからない
  • 助成金の種類や申請条件がわからない
  • 申請書類の作成が難しい

上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の社会保険労務士に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。

助成金申請代行に対応できる業者を一覧から探す

補助金・助成金で共通していること

「補助金と助成金の違いは名称だけでは?」そう考える方が多くても不思議ではないかもしれません。なぜなら、補助金・助成金はまったく別のものではあるものの、両者には共通点も少なくないからです。補助金と助成金の違いを解説する前に、まずは両者の共通点を整理・おさらいしておきましょう。

要件を満たす個人事業主・法人が申請すること

補助金・助成金は、受給要件を満たす個人事業主や中小企業を含む法人が受給申請し、一定のプログラムに取り組むことによって給付が決定するという共通点があります。

それぞれの補助金・助成金によって給付の要件・プログラムは異なりますが、対象となる個人事業主・中小企業が業種に応じて明確に定義されていることも共通点です。たとえば、IT導入補助金で中小企業に該当する定義は以下の通り。

業種 資本金 常勤従業員数
製造業・建設業・運輸業 3億円以下 300名以下
卸売業 1億円以下 100名以下
サービス業 5,000万円以下 100名以下
小売業 5,000万円以下 50名以下

受給した補助金・助成金の返済は原則不要

補助金も助成金も、給付されたお金の返済は原則不要だという共通点があります。融資と異なる補助金・助成金の最大のメリットはここにあるといえるでしょう。

ただし、給付されたお金は補助金・助成金のプログラムに沿った使い方をしなければなりません。補助金の場合は会計検査院によって使途を検査されることもあり、結果によっては補助金の返還を求められる場合もあります。

補助金・助成金は原則として後払い

補助金・助成金のほとんどは、原則としてプログラム終了後の後払いになるという共通点もあります。これは、補助金・助成金が事業をはじめるための資金ではなく、事業に取り組んだ結果、かかった費用の一部、または全部を補助・助成するものだからです。

具体的には、補助金・助成金の「申請」>「プログラムの実施」>「結果報告」>「補助金・助成金の振り込み」というのが大まかな流れ。振り込みを確認してからプログラムに着手する、といった一般的な融資のようには活用できません。

補助金・助成金を活用する際は、別途、プログラム実施に必要な自己資金を用意するか融資を受けておく必要があります。

補助金・助成金プログラムは常に実施されているわけではない

補助金・助成金は、公募期間が厳格に決められている、プログラムが頻繁に改正・廃止・新設されるという点でも共通しています。つまり、補助金・助成金は同じプログラムが常に実施されているとは限らないことに注意が必要です。

助成金のなかには随時申請を受け付けているプログラムもありますが、要件が度々変更されることは珍しくはありません。補助金・助成金の目的が達成されたと判断されれば、プログラム自体が廃止されてしまう場合もあります。

補助金と助成金の違い・それぞれの特徴

それでは、まったく別のものである補助金と助成金の違いとは、具体的にどのようなものなのか?それぞれの特徴を解説しながら、補助金と助成金の違いを明らかにしていきましょう。

補助金・助成金の違い:審査・採択の有無

助成金は、一定の要件を満たす個人事業主や法人が受給申請し、プログラムに取り組んだ結果を報告することによって給付されます。

それぞれの助成金プログラムに沿った取り組みが条件にはなりますが、受給申請すればほぼ問題なく給付されるのが助成金の特徴でもあります。しっかりと準備を整えて申請すれば、助成金の受給はそれほど難しいことではありません。

これに対する補助金は、一定の要件を満たす、プログラムに取り組んだ結果を報告するという点では同じですが、原則として審査を経て採択された個人事業主・法人のみに給付されることが助成金との大きな違い。

つまり補助金では、プログラムの範囲内でどのような事業に取り組むか?他社と差別化できるポイントはなにか?申請時の計画書(申請書)が非常に重要になります。

これは、プログラムに沿って取り組みを実行していくことが基本となる助成金と違った補助金の特徴。当然のことながら助成金に比べ、補助金の獲得は簡単であるとはいえません。

補助金・助成金の違い:公募期間・給付金額

すでに解説したように、助成金のなかには、随時申請を受け付けているプログラムも存在し、短いプログラムでも数か月と、公募期間に比較的余裕があることが特徴です。

また、申請すれば問題なく受給できる可能性が高い助成金は、その反面として給付金額が少なめに設定される場合がほとんど。多くの助成金プログラムの給付金額は数十万円程度です。

これに対する補助金は、2週間から1か月程度と公募期間が短め。助成金と違い、給付金額が大きめなのも補助金の特徴です。

これは予算の上限があらかじめ決まっており、審査・採択によって給付する個人事業主・法人を絞り込んでいるから。補助金の給付額は数百万円から数千万円以上、時には給付額が億を超えることもあります。

補助金・助成金の違い:目的・プログラムの主体となる機関

補助金の目的は、国・地方の経済活性化に向け、産業の育成や事業推進などに取り組む個人事業主、中小企業を含めた法人をサポートするために必要な資金を給付すること。

補助金プログラムを実施する団体はさまざまですが、主体となる交付機関は経済産業省、地方自治体などが中心です。そのほかにも、公益財団法人などの民間団体や一般企業などが主体となる官民合同の補助金プログラムなども存在します。

一方、助成金の目的は、労働者の雇用安定・職場環境の改善や、企業の技術発展に向けた研究などに取り組む個人事業主、中小企業を含めた法人をサポートするために必要な資金を給付すること。

助成金ならではの特徴は、必要な個人・法人に幅広く給付するという目的があるためです。主体となる交付機関は厚生労働省、地方自治体が中心となりますが、補助金同様、公益財団法人などの民間団体や一般企業が主体となる、官民合同の助成金プログラムも存在します。

補助金・助成金の違い早見表

  補助金 助成金
目的 国・地方の経済活性化 労働者の雇用安定、技術発展
主体となる交付機関 経済産業省、地方自治体 厚生労働省、地方自治体
給付金額 大きい(数百万〜数千万円以上) 小さい(数十万円)
公募期間
2週間〜1か月程度 数か月、または随時
給付の条件
要件を満たす個人事業主・法人が申請して採択されること 要件を満たす個人事業主・法人
給付金の返済
不要 不要
受給時期
後払い 後払い

補助金・助成金は給付金と違う?

補助金・助成金と同様、申請することによって給付され、返済の必要のないものに「給付金」があります。それでは、補助金と助成金に違いがあるように、給付金にも違いがあるのでしょうか?

補助金・助成金が「要件を満たす個人事業主・法人が、ある一定の取り組みを前提に申請することで受給できる」のに対し、給付金は「要件を満たす対象者が申請すれば受給できる」お金のことです。

補助金・助成金が個人事業主・中小企業を中心とした法人を対象にしているのに対し、給付金は個人を対象にする場合もあります。

たとえば、最も一般的な給付金としては、雇用保険に一定期間以上加入していた方が受給できる「失業等給付金」が挙げられるでしょう。失業時以外にも、雇用保険に加入していた方が受給できる給付金には「育児休業給付金」「介護休業給付金」などもあります。

代表的な補助金を紹介

補助金と助成金の違い、知っておきたいそれぞれの特徴を把握できたところで、どのような補助金・助成金プログラムがあるのか?具体的なイメージを描いて頂くため、代表的なプログラムを紹介していきましょう。まずは代表的な補助金プログラムです。

IT導入補助金:サービスデザイン推進協議会

一般社団法人サービスデザイン推進協議会

出典:一般社団法人サービスデザイン推進協議会

IT導入補助金とは、経済産業省が交付機関の主体となり、一般社団法人サービスデザイン推進協議会が実施する補助金プログラムです。小規模事業者や中小企業の生産性を高めることを目的に、ITツールの導入費用の一部を補助するプログラム。

申請企業の業務効率化・売上アップをサポートする通常枠、ポストコロナのビジネスモデル転換をサポートする低感染リスクビジネス枠があり、それぞれ上限450万円まで、最大2/3までの補助率で補助金が給付されます。

応募枠に応じて導入するITツールの方向性は異なりますが、幅広いツール導入に活用出来る補助金であることがポイント。採択されるためには、申請・手続きをサポートしてくれるITツール導入支援事業者の存在も重要になります。

2022年2月現在、2022年分の応募要項は公表されていませんが、引き続きプログラムの継続実施が期待される補助金です。

小規模事業者持続化補助金:日本商工会議所

日本商工会議所

出典:日本商工会議所

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が時代の変化に対応して継続的に事業展開できるようサポートすることを目的に、日本商工会議所が主体となって実施される補助金プログラムです。

対象となるのは5名以下の商業・サービス業、20名以下の製造業・宿泊業の事業者、あるいは一定の要件を満たした特定非営利活動法人などです。地域の商工会・商工会議所の助言を受けながら経営計画を策定し、地道に販路開拓に取り組む費用を上限50万円、補助率2/3までサポートしてくれます。

2022年2月現在では公募されていませんが、3月から第8回目の公募が開始される予定です。

ものづくり補助金:全国中小企業団体中央会

独立行政法人全国中小企業団体中央会

出典:独立行政法人全国中小企業団体中央会

ものづくり補助金とは、小規模事業者・中小企業のものづくり・商業・サービス生産性向上促進を目的に、中小企業庁・独立行政法人全国中小企業団体中央会が主体となって実施する補助金プログラムです。革新的サービスの開発、試作品開発や、生産プロセスの改善に伴う設備投資などに活用できます。

一般型、グローバル展開型、ビジネスモデル構築型が用意されており、それぞれの上限は1,000万円、3,000万円、1億円と規模の大きな補助金プログラムであることも特徴。ビジネスモデル構築型であれば、100%の補助率となることもポイントです。

2022年2月現在、9次が締め切られたばかりですが、10次の公募要項も策定中。近日中に公開される予定です。

代表的な助成金を紹介

続いて、代表的ともいえる助成金プログラムを紹介していきましょう。補助金と違い、上限額が低めに設定されることの多い助成金ですが、業務改善助成金のような例外もあります。

キャリアアップ助成金:厚生労働省

厚生労働省

出典:厚生労働省

キャリアアップ助成金とは、企業内の非正規労働者のキャリアアップを促進することを目的に、厚生労働省が主体となって実施されている助成金プログラムです。非正規労働者への教育・育成を通じて正社員化するなど、キャリアアップへの取り組みが認められた企業の経費をサポートする助成金です。

正社員化コースのほか、障害者正社員化コース、従業員の待遇改善に応じた助成金が給付される賃金規定等改訂コースなどの7コースを用意。キャリアアップ計画書を作成し、労働局やハローワークへ申請することで受給できます。

2021年12月21日以降は、正社員コースに加算措置が新設される、賃金規定等改定コースが一部拡充されるなど、より活用しやすく要件が変更されています。

業務改善助成金:厚生労働省

厚生労働省

出典:厚生労働省

業務改善助成金とは、小規模事業者・中小企業の生産性向上をサポートし、事業所内最低賃金を引き上げることを目的に、厚生労働省が主体となって実施している助成金プログラムです。具体的には、生産性向上を目的に投資した機械設備・人材育成・教育訓練などの費用を、最低賃金の引き上げ額に応じて助成する内容。

30円コースから90円コースの4コースが用意され、最大で600万円、助成率4/5と、助成金プログラムでは金額が大きいことがポイント。生産性要件を満たせば、助成率が最大で9/10まで拡大されます。

両立支援等助成金:厚生労働省

厚生労働省

出典:厚生労働省

両立支援等助成金は、仕事と家庭の両立など、従業員の労働環境改善に取り組む企業をサポートすることを目的に、厚生労働省が主体となって各地域の労働局が実施している助成金プログラムです。

子育てパパ支援ともいわれる「出生時両立支援コース」のほか、育児休業等支援コース、介護離職防止支援コース、女性活躍加速化コース、不妊治療両立コースなど、6コースが用意されています。

補助金・助成金を活用する際のポイント

すでに解説したように、補助金・助成金は事業をはじめるための資金ではなく、事業に取り組んだ結果、かかった費用の一部、または全部を補助・助成するものです。

返済不要ではありますが、頻繁に改正・廃止・新設されるものでもあるため、補助金・助成金の獲得を第一の目的にすることは適切だとはいえません。

重要なのは、既存のビジネスを成長させるため、新たなビジネスを立ち上げるため、普段から事業計画を準備しておくこと。そして、事業計画に沿ったプログラムを見つけることが補助金・助成金を最大限活用するポイントです。

そのためには、補助金・助成金ポータルをチェックするなどの努力も必要です。

まとめ

本記事では、補助金と助成金の違いやそれぞれの特徴、受給申請で注意しておきたいポイントなど、知っておきたい補助金・助成金の基礎知識を解説するとともに、代表的ともいえる具体的な補助金・助成金も紹介してきました。

本文内でも解説したように、補助金・助成金プログラムは常に実施されているわけではありません。公募期間が長くはないうえ、プログラムを完了してからでなければ補助金・助成金は振り込まれません。最適な補助金・助成金を見つけてから事業計画を策定しても遅いのです。

重要なのは、事業ありきで適切な補助金・助成金を見つけること。そのためには、補助金・助成金獲得に強い専門家に頼ることもおすすめの方法です。「比較ビズ」なら、必要事項を入力する2分程度の手間で、補助金・助成金獲得、資金調達に強い専門家をスピーディーに探せます。どの専門家に相談すべきなのか?迷うようなことがあれば、是非利用してみてください。

監修者のコメント
涌井社会保険労務士事務所
社会保険労務士代表 涌井好文

保有資格:社会保険労務士、行政書士。平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録を行い、以後地域における企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を行う。近時はインターネット上でも活発に活動しており、クラウドソーシングサイトやSNSを通した記事執筆や監修を中心に行っている。

補助金や助成金には、大変多くの種類がありますが、代表的なものとしてコロナ禍で耳にすることの増えた従業員の雇用維持を図るための雇用調整助成金などが挙げられます。対象となる事業や支給額、期限等がそれぞれ異なり、数多くの種類が存在する補助金や助成金ですが、原則として自ら申請することが可能です。

しかし、自社の現在の状況に合わせて、申請すべき適切な補助金や助成金を選択し、必要とされる書類等を集め、期限までに申請することは、そうそう容易なものではありません。また申請する補助金等によっては、事業計画を作成しなければならない場合もあり、申請書の作成には専門的な知識が必要となってくることが多くなっています。

現在ではインターネット上に多くの情報が存在しており、掲載された情報を参考にすれば、補助金や助成金の申請自体は可能かも知れません。しかし、掲載された情報が間違っている又は古い情報のままアップデートされていないことも往々にして存在するため、確実に補助金や助成金の支給を受けたいのであれば、専門家の力を借りることをお勧めします。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

助成金申請代行の依頼にお困りではありませんか?

もしも今現在、

  • 助成金申請代行業者の選び方がわからない
  • 助成金の種類や申請条件がわからない
  • 申請書類の作成が難しい

上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の社会保険労務士に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。

助成金申請代行に対応できる業者を一覧から探す

比較ビズでお仕事を受注したい方へ

資料請求はこちら