社労士の費用はどのぐらい?業務別の料金や顧問料の相場を解説
- 社労士の業務別の費用は?
- 社労士の顧問料の相場は?
- 社労士と顧問契約を結ぶメリットは?
社労士への業務依頼や顧問契約を検討する際は、事前に費用を把握することが大切です。社労士の費用は、業務内容や契約の種類によって金額が大きく異なります。
相場を理解しておかないと、相場よりも高い費用であることに気づけず依頼する場合があるため注意が必要です。
この記事では、健康保険・雇用保険などへの加入手続きを社労士に依頼したい経営者・企業担当者向けに、社労士の業務別料金や顧問料を紹介します。社労士の費用を抑えるポイントも解説するため、ぜひ参考にしてください。
社労士の費用の決め方
社労士への業務依頼に必要な費用は、社労士の各事務所が自由に設定できます。
以前は、都道府県ごとに社労士の報酬規程は決められていて、同一の業務依頼に対して同一の報酬基準でした。
2003年に改正社会保険労務士法が施行されたことにより、社労士が自由に費用を決めることができるようになりました。現在も当時の報酬基準にしたがっている社労士がいるため、社労士ごとで費用が大きく異なることが特徴といえます。
社労士の費用を左右する3つの要因
社労士の費用は、以下の3つの要因によって変わります。
- 従業員の人数
- サポートの範囲
- 対応にかかった手間
従業員の人数が増加することで業務に手間がかかるため、費用が高くなります。顧問契約であってもサポートしている業務範囲は事務所によって違うでしょう。
サポートしている業務が多いほど高額になります。たとえば「就業規則に関することのみ行っている」「各種保険の書類作成・手続きのみ担当している」などで費用が変わります。
社労士の業務別の費用相場
社労士の業務別の費用相場は以下のとおりです。
依頼内容 | 費用相場 |
---|---|
就業規則作成 | 50,000〜150,000円 |
就業規則修正 | 20,000〜30,000円 |
諸規定作成 | 30,000〜50,000円 |
各種保険関係の書類 | 1つあたり5,000〜10,000円 |
助成金の申請 | 着手金0円・報酬金20%〜 |
人員採用を中長期的に増やす場合、各種保険関係の書類業務に関する負担が増えるため、自社だけでの対応が難しくなります。負担軽減のため、顧問契約をしてアウトソーシングの検討をしましょう。
給与計算を依頼する場合は、基本料金が月額で10,000〜30,000円かかります。従業員あたりの月額費用は、基本料金に以下の金額がプラスされます。
従業員数 | 費用相場(月額) |
---|---|
5〜9人 | 5,000円〜 |
10〜19人 | 10,000円〜30,000円 |
20〜29人 | 20,000円〜4,5000円 |
30〜49人 | 40,000円〜70,000円 |
50人〜 | 50,000円〜80,000円 |
就業規則関連の依頼は、従業員数で費用が大きく変わります。社労士に費用の確認をするときは、金額の根拠とサポート内容を聞くようにしましょう。
社労士の顧問料の費用相場
社労士の顧問料の費用相場(月額)は以下のとおりです。
人員数 | 費用相場(月額) |
---|---|
4人以下 | 10,000円〜15,000円 |
5〜9人 | 15,000円〜20,000円 |
10〜19人 | 25,000円〜30,000円 |
20〜29人 | 35,000円〜40,000円 |
30人〜 | 40,000円以上 |
※人員数は事業主・役員と全従業員の合計
顧問社労士の主な業務内容は、労務・社会保険関連の書類作成・専門的なアドバイスなどです。
社労士の顧問料は専門家報酬
社労士に払う顧問料は「社会保険労務士」の国家資格を保有し、登録をしている専門家に払う専門家報酬です。社労士に払う場合の注意点は以下の2つがあります。
- 源泉徴収が必要
- 会計処理・仕訳の方法
源泉徴収が必要
社労士に顧問料を払う際は、所得税・復興特別所得税を源泉徴収します。顧問料が100万円以下の場合は10.21%、100万円を超えた分の金額に対しては20.42%を源泉所得税として除いた額を社労士に払います。
顧問料に消費税が設定されている際は、消費税を除いた顧問料のみに源泉徴収を行いましょう。社労士が属する法人の社労士事務所に専門家報酬を払う際は、源泉徴収を行う必要はありません。
会計処理・仕訳の方法
社労士報酬は、支払報酬に仕訳します。仕訳の記載の仕方は以下のとおりです。
借方 | 貸方 |
---|---|
〇月〇日支払報酬〇円 | 〇月〇日普通預金〇円 〇月〇日源泉徴収〇円 |
社労士に報酬を払った際に発生した源泉所得税は、支払いが発生した翌月の10日までに税務署に納付する必要があります。給与を払う人員数が10人未満で特例を受けている場合、年に2回だけの納付で問題ありません。
1月〜6月分は7月10日まで、7月〜12月分は翌年1月20日までに払います。
社労士と顧問契約を結ぶ3つのメリット
社労士と顧問契約を結ぶメリットを3つ紹介します。
- 給料・社会保険業務を一任できる
- 労働者・雇用者が安心して働ける
- 行政機関への提出書類の作成を任せられる
給料・社会保険業務を一任できる
社労士と顧問契約をすると、給料・社会保険においての業務をすべて任せることができるため、他業務に使う時間を増やせます。給料・社会保険においての業務は複雑なため、時間がかかります。経営者自身が担っていると、経営に差し支えることがあるでしょう。
労働者・雇用者が安心して働ける
労働者・雇用者が安心して働けることが利点です。トラブル発生時に、すぐに対応してもらえる社労士がいることで労働者・雇用者ともに心強いと感じられます。
裁判の法的措置も検討できますが、時間・費用がかかります。社労士を通してスムーズに解決したいと考えている労働者・雇用者は少なくないでしょう。
行政機関への提出書類の作成を任せられる
行政機関への提出書類の作成を任せられることも利点のひとつです。企業は助成金・補助金などの申請で、行政機関に書類を提出することが多いでしょう。労働・社会保険の専門家である社労士に書類作成を任せることで、円滑に手続きを進めることができます。
社労士と顧問契約を結ぶ2つのデメリット
社労士と顧問契約を結ぶデメリットは2つあります。
- 顧問料が発生する
- 理想の社労士を探す手間がかかる
顧問料が発生する
社労士と顧問契約を結ぶとそれなりの費用が生じます。顧問契約することで、給料・社会保険の計算・手続きを行ってくれます。
行政機関へ提出する書類を作成する時間・手間を省くことが可能です。契約する前に、どのぐらいの費用でどれほどの業務が増減するのか、計算することをおすすめします。
理想の社労士を探す手間がかかる
理想の社労士を探す手間がかかることがデメリットといえるでしょう。すべての社労士が優秀であると限りません。「仕事が遅い」「仕事が不確実」な社労士に当たることもあるでしょう。
優秀ではあっても相性が悪いと感じる社労士に当たる可能性もあります。理想の社労士に担当してもらうには、さまざまな社労士事務所を比較する必要があるでしょう。
社労士の費用を抑える3つのポイント
社労士の費用を抑えるポイントを3つ紹介します。
- 労務手続き・相談業務のみを依頼する
- メール顧問サービスを活用する
- 依頼前に費用の見積もりをする
労務手続き・相談業務のみを依頼する
社労士事務所によって、顧問契約を業務別にわけている場合があります。労務手続き・相談業務のみを依頼することを検討すると、費用を抑えることができます。
社労士の顧問契約は、毎月継続して社会労務関連の仕事全般を行ってもらう契約です。労働保険・社会保険諸法令に基づいた書類の作成・提出代行が中心業務です。人事労務においての相談・アドバイス・指導・情報提供なども主な業務といえます。
「労務手続きのみ」「相談業務のみ」などの場合は、すべての業務を担当してもらうときと比べて30〜50%の費用を抑えられるでしょう。
メール顧問サービスを活用する
メール顧問サービスを利用すると費用を抑えられます。メール顧問とは、メールを通じて簡単な相談に応えてくれるサービスです。「給与計算の相談」「保険手続きの相談」などで一部のことを質問したい場合に最適です。
費用は5,000〜6,000円とリーズナブルであるため、メール顧問からはじめて、あとで実際の労務顧問契約を結ぶ流れもありでしょう。すべての社労士事務所がメール顧問サービスを提供しているわけではないため、事前に確認しましょう。
依頼前に費用の見積もりを出してもらう
依頼前に見積もりをすることで、費用を抑えられる可能性が高まります。たとえば、就業規則の作成は依頼内容によって費用が大きく変わる案件です。見積もり費用が社労士によって異なる場合が多いでしょう。
2〜3事務所に見積もりすることもおすすめです。手間はかかりますが、複数の事務所に見積もりを出してもらうと相場感がわかります。自社に合う提案をしてくれる社労士に出会いやすいことも、複数事務所に見積もりするメリットです。
まとめ
社労士の業務別料金・顧問料の相場・社労士の費用を抑えるポイントを解説しました。会社の「人」に関するさまざまな手続きは、専門的な知識・間違いのない書類作成能力が求められます。
労務の手続き・書類の作成は専門家である社労士に相談することをおすすめします。比較ビズは、多数の社労士事務所の中から自社にぴったりの社労士事務所を探せる無料の比較サイトです。
2分ほどの簡単な情報入力で、全国各地の社労士事務所を比較できます。健康保険・雇用保険などの手続きを社労士に依頼したい経営者・企業担当者の方は、ぜひ比較ビズを利用してください。
よくある質問とその回答
1971年生まれ。埼玉県川口市出身。法政大学理工学部建築学科卒業。大学卒業後は某ビールメーカーの飲食部門を始め、数社の飲食チェーンにて、店長、スーパーバイザー、営業推進、人事総務部門で勤務する。これらの経験を経て、企業における人材の重要性を再確認し社会保険労務士として独立開業する。得意な業界は出身である飲食業界をはじめ、建設業や小売業など。モットーは「満足度重視」「誠実対応」「迅速対応」。

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社労士事務所と顧問契約を結ぶメリットは、労働・社会保険の手続きや給与計算の代行、労使トラブルの予防・解決、助成金や労働法の最新情報提供など様々な点が挙げられます。そして社労士事務所選びのポイントは本記事にもいくつかありますが、最終的には「相性」ではないでしょうか?
どんなに優秀な社労士や組織化された社労士事務所でも、相性が悪いとぎくしゃくした関係になってしまい、聞きたいことも聞けない状態になりかねません。相性の判断方法を挙げると、対面での対応を求めるならやはり距離の近い事務所が良いでしょうし、ITツール(Web会議、チャット、人事クラウドなど)を活用している会社であれば、IT対応できる社労士が良いでしょう。
またスピード感はどうか、説明が分かりやすいか、話しやすい人柄かなども重要です。いずれにしても最低一度は直接会って話をしてみることをお勧めします。