就業規則と共に届出する意見書とは?作成する目的と書き方を解説

ドラフト労務管理事務所
監修者
ドラフト労務管理事務所 代表社会保険労務士 鈴木圭史
最終更新日:2023年01月10日
就業規則と共に届出する意見書とは?作成する目的と書き方を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 就業規則の意見書とは?
  • 意見書の作成する目的とは?
  • 意見書の書き方とは?

就業規則を作成して届出する場合は、意見書の添付が義務付けられており、作成する目的や書き方を理解しておかなければなりません。就業規則の作成時や変更時には、従業員から意見書を提出してもらう必要があります。

この記事では、経営者や人事担当者、従業員の代表者に向けて、就業規則と共に届出する意見書を作成する目的や作成する単位、書き方について解説します。

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就業規則の意見書とは:労働者の意見を書面化した証明

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就業規則の意見書とは、就業規則の内容に対して従業員の意見を聴取したことを証明する書類のことです。

10人以上の従業員がいる会社では、労働基準法89条で就業規則の作成が義務付けられています。意見書も同じ条件にて作成しなければなりません。従業員が少なくても、経営層に近くない従業員を代表者に選定する必要があります。

労働基準法の第90条で、就業規則を作成したときや変更したときには意見書の添付が必須です。就業規則の作成・変更の際に従業員の意見聴取を行わなかった場合、罰則規定が設けられているため注意しましょう。

意見書を作成する目的

就業規則の意見書が義務付けられたのは、会社内での労務トラブルが後を絶たなかったためです。

意見書が義務付けられるまでは、従業員が知らないところで就業規則が作成・変更され、経営者によって賃金が意図的に操作されることがありました。また、懲戒のルールも定まっていませんでした。

労働者が納得して働くためには就業規則が周知される必要があり、就業規則と合わせて意見書の提出を義務付けた背景があります。

意見書の書き方

就業規則の意見書に決まったフォーマットはありません。就業規則に対する意見が無かった場合とあった場合に分けて、書き方の事例を紹介します。

就業規則に対する意見がなかった場合

就業規則に対して、意見や異議がなかった場合には、以下のように記載します。

  • 就業規則に異議はありません
  • 特に意見はありません
  • 就業規則を確認し不明点等ありません

就業規則の内容を確認し、特に意見がなかったことが伝われば記載方法はどのような形でも問題ありません。

就業規則に対する意見があった場合

就業規則に対して、意見や異議があった場合には、以下のように記載します。

  • 土曜日は休日にしてほしい
  • 単身赴任手当を新設してほしい
  • 出張手当を2,000円に変更してほしい

就業規則に対する意見は、具体的に記載する点がポイントです。「異議がある」だけではなく、何をどうしたいのかを意見として残します。

意見書に記載する内容

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意見書に記載する内容は、以下の通りです。記載する場所にルールはありませんが、すべて盛り込む必要があります。

厚生労働省のサイトにテンプレートがありますので、参考にしてください。

引用:厚生労働省: 法令・様式集

  1. 労働組合の有無
  2. 労働組合名・労働者代表名
  3. 意見の詳細内容
  4. 意見書の作成日付
  5. 労働者の代表を選出した方法

1. 労働組合の有無

該当する事業場に従業員の過半数で構成される労働組合が存在しているかどうかを記載します。労働組合の有無によって、意見書に記載する代表者が変わります。

2. 労働組合名・労働者代表名

労働組合がある場合は、労働組合の名前と代表者の名前を記載しましょう。労働組合がない場合は、労働者の代表者名を記載します。

3. 意見の詳細内容

就業規則に対して異議が有るのか、無いのかを記載します。異議が有る場合には、意見書に異議の詳細を記載します。

4. 意見書の作成日付

就業規則への意見を聴取し、意見書を作成した日付を記載しましょう。意見書の作成日が、就業規則の作成日・変更日より前の日付になっていたり、日付が離れすぎていたりしてないか確認します。

5. 労働者の代表を選出した方法

労働組合がある場合は、労働組合の名前と代表者の名前で問題ありません。労働組合がない場合は、従業員の過半数代表者を選出した方法を記載します。例として、立候補・挙手・従業員による投票などがあります。

意見書作成から提出までの流れ

就業規則に対する意見書の作成から提出までの流れは、以下の通りです。

  1. 代表社員から意見を聴取する
  2. 労働者側の意見に応じて規則の変更を検討する
  3. 労働基準監督署へ意見書を提出する

1. 代表社員から意見を聴取する

就業規則を作成・変更する際は、全従業員に伝えるようにしましょう。朝会や月例会議・ポータルサイトを活用して周知します。就業規則を提出するため、代表社員を選出する旨も合わせて伝えることが大切です。

意見を聴取する代表者に対して、就業規則の内容を確認します。内容に対して異議が有るかどうかを確認し、異議が有る場合は具体的な内容を聞きます。

2. 労働者側の意見に応じて規則の変更を検討する

従業員の代表者から同意が得られない場合、以下のような対応が必要です。

  • 就業規則を見直す
  • 同意が得られないまま意見書を提出する
  • 同意が得られない場合|意見書不添付理由書を作成する

就業規則を見直す

従業員代表者の意見を聞き、就業規則を見直す場合があります。就業規則を作成・変更した際に気付かなかったポイントや、従業員視点になっていなかったことに納得したときには、就業規則を見直しましょう。

従業員側の意見だけで就業規則を作成すると、経営が悪化する場合があります。代表社員から意見聴取する際には、就業規則の内容について背景を説明すると理解が得られやすくなるでしょう。

同意が得られないまま意見書を提出する

労働基準法で定められているのは、意見を聴取することであり、同意を必ずしも得る必要はありません。意見書に異議が有ると記載された状態でも、就業規則と意見書を提出可能です。

同意を得ないまま提出しても、従業員に対して内容を周知すれば、就業規則として効力を発揮できます。労働者に対して不利な内容である場合は労働組合から団体交渉の申し入れが生じることがあります。

意見書の提出を拒否される|意見書不添付理由書を作成する

意見書の提出を拒否されたときは、意見書不添付の理由書を作成しましょう。意見聴取した日付を記載して作成しますが、労働基準監督署から事実確認がされる場合があります。

意見書が添付されていない場合、従業員に直接ヒアリングされることがあります。就業規則に納得がいかない点が、従業員に不利な条件になっているではないか確認するためです。

今後のトラブルに発展しないためにも、意見書の提出が拒否された場合は、従業員と話す機会を設けてお互いに納得いく形にしましょう。

3. 労働基準監督署へ意見書を提出する

就業規則と意見書を合わせて、労働基準監督署に提出しましょう。就業規則を新たに作成した場合は就業規則を、就業規則を変更した場合は、就業規則変更届を提出します。

就業規則の意見書を作成する際の注意点

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就業規則の意見書を作成する際には、以下の点に注意しましょう。

  • 意見書は事業所単位の作成が必要
  • 一部従業員に対する就業規則でも意見書が必要

意見書は事業所単位の作成が必要

就業規則に対する意見書は、会社で1つではなく、事業所単位に必要になります。例えば、東京が本社で大阪、名古屋に支社がある場合は、就業規則1つに対して意見書は3通必要になります。

実際には、事業所ごとにそれぞれ作成するのではなく、本社で各事業所分をまとめて作成するケースも多いです。規模の小さい事業所で、組織上独立性がない場合は、直近上位の組織に含めることができます。

一部従業員に対する就業規則でも意見書が必要

正社員に適用する就業規則はあるが、契約社員やパートタイマー・アルバイトなどに適用する就業規則はない場合は、就業規則作成義務違反となります。

契約社員やパートタイマー・アルバイトなどの就業規則を作成・変更したときも、労働基準監督署に届け出ないといけません。意見書も同様で従業員への意見聴取が必要です。

例えば、契約社員に対する就業規則を変更する場合は契約社員から選ぶのではなく、全従業員を対象にして代表者を選出しなければなりません。

まとめ

就業規則を作成・変更した場合には、従業員代表の意見聴取が義務付けられています。従業員代表者を選出したら、就業規則の内容に対して異議が有るかを確認して、意見書を作成します。

従業員との間でトラブルを起こさないためにも、就業規則の内容は背景から伝えるようにしましょう。また労働基準監督署からの罰則を受けないよう、正しく手続きすることが大切です。

「比較ビズ」では、就業規則の意見書に対して、専門家からアドバイスを求めることができます。複数の専門家に無料で相談できるのもポイント。労務関係で迷うことがあれば、是非利用してみてください。

監修者のコメント
ドラフト労務管理事務所
代表社会保険労務士 鈴木圭史

2000年に社会保険労務士資格を取得後、人材派遣会社の本店に入社し官庁対応や労務相談を主担当で約9年勤務。2007年には人材派遣会社の監査役に就任。独立後、2008年に大阪の玉造にドラフト労務管理事務所を設立。数々の企業向け官庁対応・労務相談に加え、派遣元責任者講習や職業紹介責任者講習講師や内部監査の代行業務など活動は多岐に渡る。外部セミナー講師を複数実施しており、かゆいところに手が届く現場に即した講義には定評がある。また、海事代理士として陸上のみならず海上労働者の労務相談も適時運営している。

従業員の過半数が加入する労働組合がないケースで従業員代表の選出するさいは民主的な方法で代表者を選びましょうとなっています。挙手や投票で公平な状態で選ばれた代表者を選出して意見を聞くことが必要です。

ただ、「意見を聞く」ことが要件なので「承認をもらう」ことは必要ないと考えても可能です。意見書に「第●●条が不当なので改善を求める」と意見を頂いてもそれは意見を聞くという要件をクリアできているので労働基準監督署に提出は可能となりますし、周知をしたら法律違反でもない限りその規定が会社の規定となります。

しかし、意見書に明確に問題点を記述頂いたなら真摯に改善の検討を取り組みましょう。そもそも就業規則とは会社ルールを明確にして、いわゆる「えこひいき」をなくしましょう(公平性・透明性を担保しましょう)という意味があると監修者は考えます。公平性や透明性が向上するとモチベーションも向上するケースもあるでしょう。

従業員が気持ちよく働ける場所を作るための一翼を担うという側面から作成義務がなくとも作成をご検討頂ければ幸いです。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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