「SEO」「SEO対策」で検索1位のコンテンツを書いた人にSEOについて聞いてみた

最終更新日:2024年04月08日
「SEO」「SEO対策」で検索1位のコンテンツを書いた人にSEOについて聞いてみた
取材:丸山 恋、写真:金澤 美佳

SEO対策ツール「ミエルカSEO」を提供する株式会社Faber Companyの小丸広海さんに、比較ビズでSEO未経験者として入社した丸山がSEOの最新トレンドをお伺いしました。

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ゲスト
小丸 広海X(旧Twitter)@cat_meety
株式会社Faber Company

2010年に入社。クライアントのSEOコンサルティング業務を中心に行い、支援してきたWebサイトは累計900サイト超え。UX設計支援、セミナー講師なども務め、SEOコンサルタント歴は15年となる。

聞き手
丸山 恋X(旧Twitter)@maruchan_biz
株式会社ワンズマインド

2023年7月に入社。「比較ビズ」のSEOチームメンバー兼PR広報担当者。SEO歴は1年未満。

はじめに

ーー「SEO」のキーワードでGoogle検索で1位を獲得され、Xなどでも話題になっていましたね。小丸さんは普段はどのような活動をされているのでしょうか。

小丸:まず、1位に掲載されているといっても強調スニペットですし、Google検索の検索順位は変動するものですので一時的な現象であることだけ先に伝えさせてください。

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Search Console上の検索順位、昨年11月から2月までは安定して1位近辺に掲載されていることが確認できる

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小丸:外部向けの肩書きとしては「SEOエキスパート」という言い方をしています。SEOコンサルティング業務を中心に、ウェビナー・YouTube(ミエルカチャンネル)などで、SEO情報の発信も行っています。また、社内でのSEO要件の相談に乗ることも多いです。

ーー御社のウェビナーは、どれくらいの人数が参加しているんでしょうか。

小丸:弊社のセミナー一覧ページやオウンドメディア(ミエルカジャーナル)、Xでの告知、ハウスリストへのメール配信などの集客で、多い時は300名弱、平均でも100名から200名ほど応募をいただきます。ありがたいことです。

ーーXは最近始められたんですよね。

小丸:見る専門として発信することは避けていたのですが、セミナーの告知やコンサルタントとして認知をしてもらうために一念発起してはじめました。

SEO業界には長く携わっているので、Xで積極的に活動している業界の著名な方々ともつながりはじめています。そういったつながりから、ポストやフォローにポジティブな影響を受けていると感じています。

ーー私もXを通じてSEO界隈で有名な方を辿っているうちに、小丸さんに辿り着きました。

SEO以外のチャネルを開拓することが大切

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小丸:「もっと表立っての活動を増やして欲しい」と社内からの要望があり、セミナーを実施したり、Xを活用したり、こういう取材を受けたりし、徐々に対外的な活動を始めています。そういう地道な活動がWeb上での認知につながり、結果的にE-E-A-Tを示すことにつながってくるとも言えます。

ーーE-E-A-Tは自社サイト側で完結するものではないのでしょうか?

小丸:おっしゃるとおりE-E-A-Tがコンテンツや発信する情報の品質に関わることもありますが、自社サイト内だけで完結できません。著者情報や会社情報(about us)をコンテンツに設置したり、サイト内で示すことも重要ですが、その会社や著者が世の中でどれぐらい知られてるのか、認知や影響度も重要となります。

ーー今回の記事で言ったら、SEOに関しての情報発信者が「あのミエルカSEOの小丸さんか」ってなるような感じですね。

小丸:一般社会において有名じゃなくてもいいんですよ。業界内においてどれだけ認知されているのか、専門性や権威性を示せているのか、を目指すといいと思います。

ーーそうなってくると、SEOは自社サイトだけで完結するのは難しいのでしょうか。

小丸:できる範囲が狭まってしまうと思いますね。アクセスやCVなどの増加をゴールとするなら、SEO(OrganicSearchからの流入)だけではなく、SNS、広告、チラシ、メルマガ、オフラインイベントなど、あらゆるチャネル(集客経路)での流入を図るべきなので。多くのチャネルでの活動も間接的にSEO(OrganicSearchでの検索順位)に良い影響を与える可能性もあると考えています。

ーーE-E-A-Tの部分で、最近のGoogleのアルゴリズムはドメインの強さを優遇する傾向があるように思うのですが、今後も続くのでしょうか。

小丸:今後も続いていくと思います。ドメインの強さを優遇するとGoogleは言ってはいませんが、知名度の高いサイトが検索で有利なのは事実です。外部サイトからたくさんリンクされていたり言及されていたり、ソーシャルメディアで引用されていたりすることが知名度の高さにつながります。

Googleが高く評価するコンテンツの指標にも「誰が、どのように、なぜ」と記載されています。情報を発信する「誰が」の部分が、仮に「知名度=指名検索数の多さなど」で判断されてている場合、「ドメインが強いと評価されやすい」のも納得できるかなと。

ーーたしかに、記事に書かれている情報を信頼していいかどうかって、誰が発信しているかに加え、どんな運営会社(ドメイン)が発信しているか、で判断しています。

小丸:私たちはオウンドメディア(ミエルカジャーナル)を保持していますが、そこで、SEOやSNS、GA4など、Webマーケティングにおけるさまざまな情報を発信しています。

おかげさまで、関連しているクエリで良い検索順位が獲得できることもあり、そういった情報がWebマーケティングに関わる多くの方の目につくのであれば、メディアや著者の知名度が高まり、上述したような「ドメインの強さ」にもつながるのでは、と考えています。

検索上位を狙ったわけではなく、結果的に1位に

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ーー弊社では文量が多くなると、記事を分割することが多いのですが、なるべく1ページに集約した方がいいのでしょうか?

小丸:もちろん、切り分けた方がいいような場合もあります。今回の場合はビジネス上で非常に重要な、弊社の顔となる「SEO」というキーワードです。このコンテンツは名刺のような役割として捉え、色んな人の悩みを解決できるように記事を書きました。自分たちのビジネス上で重要になるキーワードやコンテンツは、他とは一線を画す形で、執筆していいと思います。

ーーもともと検索1位を狙っていたんですか?

小丸:「検索上位を狙いたい」とは思っていなかったです。多くの企業様から「近年のSEOにおいて重要なポイント や SEOの基礎的な情報が集約しているコンテンツを教えて欲しい」と相談を受けるため、今のSEOで押さえるべきポイントを中心に執筆しました。

SEOでは「対策キーワードをどうするか」「どうすれば上位表示できるか」を中心に考える方がいますが、そういったことは一旦置いておき、「どういう人に読んでもらうか」「どんな内容なら満足するか」を考えることが大切です。そうすると自ずと必要な情報や不必要な情報が明確になりますよね。

ーー確かにターゲット層が明確で自分の知見がある領域だと、情報の取捨選択もしやすくなりますね。それ以外にこだわったポイントなどはありますでしょうか?

小丸:一番わかりやすいところでいえば、強調スニペットですね。検索されたキーワード(クエリ)に対して、答えが簡潔に用意されていることが重要です。検索ユーザーのニーズ(「SEOとは何か?」「そのSEOで結果を出すための方法は?」など)に対して、コンテンツの冒頭に要約した文章を用意しています。

訪問ユーザーに対して「このコンテンツではこういった情報を得られるよ」と閲覧を継続するテンションを上げてもらうための対応ですが、結果として強調スニペットにも採用される可能性があります。

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小丸:他にはコンテンツ内のビジュアライズも意識しました。文章をHTMLで装飾するだけでなく、わかりづらい内容には図解を入れたり、良い例と悪い例を画像化してわかりやすくしたり、動画を埋め込んだりなど。ユーザーの利便性を向上させるだけではなくビジュアル検索からの流入も期待できます。

ーービジュアル検索って画像検索の部分ですか?

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小丸:そうです。通常検索に画像が差し込まれたり画像タブを活用するユーザーも多いですよね。実際に私も頻繁に画像系の検索を活用します。

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今は生成AIをはじめ誰でも容易に画像や動画が作れるようになったので、視覚要素の工夫はやって当然、やらないと機会損失する可能性が高まると考えています。

競合と比べた時に「文章だけで書いてるもの」と「わかりやすく図解化を含めているもの」があったら、同じような内容のコンテンツだとしても多分後者を読むと思うんですね。

ーー確かにそうですね。

小丸:ただ検索順位はどこかのタイミングで下がります。ユーザーのニーズ、新しく発信されるコンテンツ、アルゴリズムは、日々変動するものなので。

ーーそれでは検索順位が下がったタイミングで、リライトされるのでしょうか。

小丸:今後のSEOが様変わりしていくのであれば、検索順位下落と関係なく書き直す可能性もあるかと思います。私はもうやりたくないですけど(笑)。

ーーSEOを勉強している自分もそうですし、SEOを勉強してる友達とかにもこれを見せようって思いました!

小丸:ありがとうございます!

SEO未経験者の学習方法

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ーーSEOをこれから学ぶにあたって、どういった情報を押さえておけばいいですか?

小丸:自分は基本的にはGoogleが発信する一次情報を参考にしつつ、著名な関連メディアから口コミまで幅広くチェックしています。

ーー私のようなSEO初心者は、何を最初に見たらいいのでしょうか。

小丸:SEOを始めてまだ浅いのであれば、Googleが出している一次情報を参考にするのが間違いないです。未経験に近い状態だと、発信されている情報が正しいのかどうか、判断がつきづらいじゃないですか。

ーーGoogleの情報を吸収して、SEOの知識が入ってきたら、他の情報に拡げていくんですね。

小丸:そうですね、ある程度経験を積みGoogleの公式情報や基本的な知識をインプットするとそれだけでは足りなく感じるようになると思います。その段階で、著名な関連メディアを参考にするといいと思います。

私たちもSEO施策において、お客様のサイトや自分たちのサイトで実験・研究していることもあり、独自の一次情報があるんですね。それと同じような感じで、知名度の高い団体であったり、信頼できる企業様や個人が持っている一次情報があります。例えば個人的には「Search Engine Land」とか、内容が尖ってて面白いんですよ。

ーー今回初めて知ったので、これからチェックしていきます!

小丸:上述した「海外SEO情報ブログ」は、当社の取締役(Search Advocate)である鈴木 謙一が運営しており、日本で一番アクセスが多いSEOメディアといわれています。私も参考にしています。

ーー弊社のSEO担当者もみんな読んでいます。

小丸:あとはSEOを学ぶんだったら、実際に手を動かしてみるのがお勧めです。ブログで記事を書いてみたり、ECサイト(を運用の敷居が高いならモール出品)で商品を売ってみたり、思い立てばすぐに個人でスタートできることがたくさんあるので。実際に自分でサイトを作ると、「もっとアクセスを増やしたい」と思うようになり、自発的にSEOを学ぶ機会となります。

SEO対策会社を選ぶ際の注意点

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ーー自社でSEOを頑張っているとはいえ、伸び悩んで外注する場合もあると思います。その場合、支援会社はどのように比較するのがいいのでしょうか。

小丸:「ガイドラインに違反する手法がないか」「同事業に対しての事例があるか」「コンサル歴がどのくらいで、誰が対応するか」「検索順位が必ず上がるといったトークがないか」「極端に安過ぎる、完全成果報酬ではないか」このあたりを注意するといいでしょう。 当社のミエルカチェンネル内で語ったこともあるので参考にしてください。

ーーあげていただいたもので、「誰が対応してくれるか」っていうのは、契約前に明言してもらえるのでしょうか?

小丸:企業によるとは思いますが、私たちは実際に担当するコンサルタントが商談段階ででていくなどしています。

ーー同事業で実績がどのくらいあるかは一般的に公開してもらえるのでしょうか?

小丸:実績の公開の許諾が取れている場合は公開できますが、許諾を取っていない場合は、守秘義務契約を結んでいるので、公開できません。ただ、難しいとこではあるんですけど、「(社名をださない範囲で)同事業と関わり、大手中小零細との付き合い、(サイトが特定できない範囲で)どのような施策提案や支援をしてどのような結果がでたか」といった形で、説明することは可能ですよ。

ーー多少抽象的であっても、同業界ならイメージしやすいですね。ちなみに「検索順位が必ず上がる」と口にするような方もいらっしゃるのでしょうか。

小丸:SEOを正しく学んでいれば「検索1位を獲得できる」といった保証は絶対にできないのですが、セールストークとして言っている業者もあるみたいですね。

ーーSEOコンサルする人と営業する人が分かれていて連携を取ってないとか、ありそうですね。

小丸:あると思います。そこに派生してちょっと気を付けなきゃいけないのが成果報酬。「〇位を取ったら、〇円ください」って言うんですけど、放置していても勝手に検索順位が上昇することもあるじゃないですか。

ーー確かにアルゴリズム変動のタイミングとかで、何もせずとも上がったりしますね。

小丸:成果報酬が悪いわけではないんですけど、少なくとも「どんな施策を行ったか」をしっかりと明示してもらった方が良いと思います。

Googleのアルゴリズムを理解して、適切な対応を

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ーーコロナもあり、Webマーケティング全般への需要は増したと思いますが、SEOを活用する動きってどうなんでしょうか?

小丸:問合せは増えているように思いますね。まだまだ取り組めていない企業様は多いです。

ーーそうなんですね。SEOで伸びそうな企業などはありますか?

小丸:例えば、指名検索数が多いのに、その知名度やエンゲージを活かしきれていないような企業ですね。特に施策をしなくても集客ができるので、そもそもWebマーケティングの必要性を感じていないケースもありますが、上述したようなE-E-A-Tが備わっているのであれば正しくSEO施策を行えばもっと集客できるのに、と思ってしまいます。

ーー企業としては費用対効果がすぐにわかる広告に予算を投下しがちなんですかね。

小丸:そうですね。ただ、検索回数が多いキーワード(ビッグキーワード)を狙ってリスティング広告を出し続ける場合、かなりの費用がかかるじゃないですか。でも、そのキーワードで1位を取れたのであれば、その分の広告費が削減できる可能性があるわけで。 個人的には広告費の一部をSEOに投資しても良いかと思います。

ーー確かにそうですね。

小丸:ビッグキーワードで1位を取るためには、前提としてそのサイトが持ってるポテンシャルが重要です。「この商品ならウチの会社」と第一想起してもらえる知名度を保持しているようなケースであれば、検索上位を獲得できる可能性が高いです。

ーードメインが強いからといって、闇雲に大量にページを作るのではなく、しっかりとしたコンテンツを用意しておく必要がある、ということですね。

小丸:その通りです。

ーーちなみに、昨今のSEOとして、インデックスされるのが難しくなっていると耳にしますが、インデックスされない記事はどう取り扱えばいいでしょうか?

小丸:一定の品質に達してないような記事をそもそも公開しない、といった考え方が大切です。そもそも品質が担保されてないのであれば、なにかの拍子で検索順位がついたとしても閲覧したユーザーの満足度やエンゲージは生まれず、下手すればヘイトに繋がります。

検索順位もどこかのタイミングで下がります。品質の定義は難しいですが、ユーザーのニーズを満たしていない、一次情報が含まれていない、E-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)が不足している……など、単一の要因ではなく総合的に捉えて、競合や世の中に公開されているコンテンツと比較して遜色ないかということです。下記のGoogleドキュメントも参考にしてください。

逆に「ほんとうに品質が高い」のであれば無理やり削除しなくていいと思います。今はインデックスされなくても、ちゃんとメディアが育てば、評価されるインデックスされる可能性は高いです。Googleがクロール、レンダリング、インデックスできるような技術的な問題がないこと前提ですが。

ーー今が正解というわけではなく、今後のGoogleのアルゴリズムが変わっていくなかで、正解かどうか考えるのが大事なんですね。

小丸:おっしゃる通りですが、アルゴリズムにとらわれすぎないでください。Googleが提唱している「ユーザーファーストのコンテンツに焦点をあてる」という言葉は「ユーザーを神様のように扱う」という意味ではなく「(ユーザーが求めていて満足できるコンテンツを評価しようとしている )Googleが目指す方向性を理解する」と解釈してください。

SEOについてここでは語りきれない内容も多いので私が書いたコンテンツを参考にしてもらえると嬉しいです(笑)

あとがき

検索上位表示のための工夫から、そもそもの信頼度や専門性の部分の重要性、未経験者の学習や外注の注意点など、網羅的にSEOの色々をお話をいただきました。SEOを学習していると、どうしても小手先なテクニックに興味が引かれ、つい試してみたくなりがちです。

ただ、大前提として、検索してくれた方にとって、自信を持っていい物(コンテンツ)が提供できているか、そもそも弊社または私だから提供できるものなのか、改めて自問自答したいと思う次第です。

比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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