相続した連帯債務から免れる方法は?相続税の債務控除も解説

最終更新日:2023年08月08日
相続した連帯債務から免れる方法は?相続税の債務控除も解説
この記事で解決できるお悩み
  • 連帯債務は相続のときどのように計算されるの?
  • 連帯債務を相続した場合ほかの財産は受け取れる?
  • 連帯債務を相続したくない場合はどうすればいい?

「相続した際の連帯債務は免れる?」とお悩みの方、必見です。

連帯債務を免れるためには、相続人が遺産全体を放棄する、遺産分割協議前に家庭裁判所に申述するなどの方法があります。

この記事では、連帯債務者が死亡した場合の相続時取り扱いを解説します。最後まで読むと、相続した連帯債務を免れるために活用できる限定承認についてわかります。

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連帯債務とは1つの借入れを複数人で負うこと

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連帯債務とは、複数人が同じ債務に対して、それぞれ全額を弁済する義務を負うことです。連帯債務者のうち、1人が弁済を行えば、他の債務者の債務も消滅します。貸主は、連帯債務者全員に返済を求めることもできますが、代表者1名にだけ返済を求めることも可能です。

例えば、友人3人で連帯債務として1,000万円を借りたとしましょう。この場合、それぞれが1,000万円を弁済する義務を負います。貸主は連帯債務者の誰に対しても返済の請求ができ、3人のうちの1人が1,000万円を返済することで、他2人の返済義務も消滅する制度です。

相続の際には、故人が連帯債務を有していた場合、相続人へ債務が引き継がれます。

連帯保証との違いは債務者ではないこと

連帯保証は、債務者が借金をする際に、第三者が補完的な担保を提供します。連帯保証人は債務者とは別に、債権者に対して支払い義務を負う立場です。借金をした人が債務者であり、借金を補完する担保を提供する第三者が連帯保証人です。

連帯保証人は元本や利息の支払いを債務者に代わり行います。債務者が返済を怠った場合には、債権者から返済を求められます。相続において、連帯債務と連帯保証の違いを理解することが重要です。

連帯債務は負債として相続財産に含まれる

相続が発生した場合、被相続人の負債も相続財産として引き継がれ相続財産に含まれます。相続人は被相続人の財産を相続する際、連帯債務の負担も必要です。相続人は連帯債務者として借金の返済義務を引き継がなければなりません。

相続税法においては、相続放棄もしくは免責的債務引受により相続しない方法を選択できます。相続による連帯責務を免れる方法は、本記事の「相続した連帯債務を免れる4つの方法」で詳しく解説します。

遺産に連帯債務があるときの相続割合

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相続において、相続人が連帯債務を相続する場合、債務の負担割合はそれぞれの法的地位に応じて異なります。基本的には、法定相続分に応じた割合です。

相続人の優先順位と相続分は、配偶者が常に相続人になり、子供や孫などの直系卑属が第1順位で配偶者と2分の1ずつ、親や祖父、母など直系尊属が第2順位で配偶者が3分の2、親や祖父母が3分の1、兄弟姉妹や甥・姪が第3順位で配偶者が4分の3、兄弟姉妹や甥・姪が4分の1です。

相続人は法定相続分に応じて連帯債務を相続しますが、相続人同士が合意することで負担割合を変更できます。

相続人が返済できなくなった場合、残った連帯債務者が全額を負担しなければなりません。

参照:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」

連帯債務は相続税の債務控除の対象にならない

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連帯債務は相続税の債務控除の対象になりません。相続税では、相続財産から債務を差し引いた相続財産に対して課税されますが、債務には条件があります。具体的には「亡くなった人の債務で、亡くなったときに存在し、確実と認められるもの」が対象です。

連帯債務者の1人が亡くなった場合、連帯債務は相続され、被相続人の一切の権利義務が相続人に移ります。つまり、相続人は被相続人に代わり、連帯債務者となります。

ここで重要になるのは、求償権の概念です。以下の見出しで詳しく解説します。

求償権と相続税について

求償権とは、連帯債務者が自分の負担分以上に返済した場合、他の連帯債務者から超過分を請求できる権利です。求償権と相続税、相続税計算の際に債務を差し引く際に重要なポイントとなります。

相続財産にはプラスの財産とマイナスの財産が含まれ、債務を差し引いた残りの財産が課税対象です。求償権は財産権であるため、相続税の計算上はプラスの財産です。

連帯債務の場合、複数の相続人が債務を共同して負っているため、それぞれが相続分に応じて債務を承継します。ただし、相続人の内部の事情で負担割合を決めるのは難しい場合もあるため、債権者を保護するための規律が民法に設けられています。

参照:国税庁「No.4126 相続財産から控除できる債務」

相続した連帯債務を免れる4つの方法

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連帯債務を免れる方法には、以下の4つが挙げられます。

  • 相続人が遺産全体を放棄する
  • 遺産分割協議前に家庭裁判所に申述する
  • 連帯債務の負担割合を変更する
  • 新たに引受人が債務を引き受ける

1. 相続人が遺産全体を放棄する

最も簡単な方法は、相続人が遺産全体を放棄することです。相続人が相続権を行使しないことを家庭裁判所に申し立てます。相続放棄をすると、相続人はプラスの財産だけではなく、マイナスの財産も相続しません。つまり、連帯債務も相続しないことになります。ただし、以下の3つの注意点があります。

  • 相続放棄は自分が相続人であることを知ってから3カ月以内に行わなければならない
  • 相続放棄は家庭裁判所への申し立て手続きが必要
  • 相続放棄は1度すると撤回できない

2. 遺産分割協議前に家庭裁判所に申述する

遺産分割協議前に家庭裁判所に申述し限定承認を活用する方法です。故人が遺したプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続します。

限定承認をすると、通常の相続と異なり、相続人自身の財産を連帯債務の返済に充てる必要がありません。故人が遺した財産以上に返済する義務は発生しないことになります。限定承認は、相続人全員で行わなければならないため、注意しましょう。

3. 連帯債務の負担割合を変更する

連帯債務の負担割合を変更することも有効です。相続人間で話し合い、連帯債務の返済責任を特定の相続人に集中させる方法です。以下のケースに利用されます。

  • 配偶者が不動産または現預金を受け継ぐ場合、連帯債務も相続する
  • 生前贈与を受けていた子が連帯債務を相続する
  • 故人と親子ローンで二世帯住宅を建てていた子が連帯債務を相続する

相続人間で話し合っても、債権者への返済義務はなくなりません。債権者は法定相続分に応じて返済を請求できます。ほかの連帯債務者に対して求償権は発生しません。外部的な効果がないため、完全に連帯債務から免れることにはならないためです。

4. 新たに引受人が債務を引き受ける

新たに引受人が債務を引き受ける方法は「免責的債務引受」と呼ばれる手段です。債務は新たな引受人に移転され、元の債務者は返済義務が免除されます。

免責的債務引受は、債権者の承諾があれば債務者と引受人との契約で実施できます。相続財産に債務が含まれている場合、税理士に相談することが望ましいでしょう。

まとめ

連帯債務は、複数の債務者が同一の債務について、それぞれが借金返済の義務を背負っています。相続財産に含まれるため、相続人は連帯債務の返済義務も引き継ぎます。連帯債務は原則として相続税の債務控除の対象になりません。

連帯債務と求償権は相続税においても重要な問題です。自分や家族が連帯債務者である場合は、事前に対策を考えることが大切です。専門家のアドバイスも参考にするといいでしょう。

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監修者の一言

連帯債務や連帯保証(保証債務)といった言葉は一般の方にはあまり馴染みがなく理解し難いものです。

身近なところで例えるなら、夫婦でマイホームを購入する際にお互いが銀行から借り入れて住宅ローンを組むことがありますが、この殆どのケースは双方が主たる債務者となる連帯債務です。この場合、二人の借入合計額に対して二人が共に返済する義務を負います。

一方、他人(主たる債務者)が借りた借金の保証人(従たる債務者)になることがありますがこちらは連帯保証です。あくまで借金の返済義務は主たる債務者にあり、万一その者が返済できなかった場合は保証人が代わりに返済義務を負うというものです。

連帯債務者に相続が発生すると、記事にある通り被相続人が負っていた連帯債務は相続人等が承継することになります。また、相続税を計算する上で、相続開始時点で既に存在する被相続人の債務で履行が確実なもの(主たる債務)についてはマイナスの財産として負担割合に応じて債務控除ができます。

他方、連帯保証は被相続人が負っていた保証債務を相続人等が承継しても相続開始時点で被相続人が債務を履行することが確実とは言えませんので債務控除の対象にはなりません。

いずれにしてもこのような債務が生前の被相続人になかったかを遺された書面等で確認するようにして下さい。

松井信行公認会計士・税理士事務所
所長 松井信行
監修者

大学卒業後、東京の大手ITベンダーや監査法人にて事業企画職や会計士としての実務に長年携わる。その後、自身が相続を経験したことを契機として2014年に相続専門の個人会計事務所を地元で開業。現在は阪神間(主に神戸市・芦屋市・西宮市)で相続税をはじめとする各種税務申告や生前の相続対策相談など、相続に纏わる様々なサービスを数多く手掛けている。

比較ビズ編集部
執筆者
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
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