相続税とはどんな税金?節税する4つの方法を解説!
- 相続税とはどんな税金?
- 相続税の計算方法は?
- 相続税の節税対策には何がある?
相続が起こることを考え「相続税はいくらかかる?」「そもそも相続税とはどのような税金なの?」と疑問に思っている方、必見です。
相続税の納税は頻繁に発生するものではないため、効果的な節税方法を事前にチェックしておく必要があります。自分が相続をする場合、法定相続の順位はどこになるのか確認しておきましょう。
この記事では、相続税とはどのようなケースで発生するのか、どのように節税できるのか解説します。相続について知りたい方はぜひ参考にしてください。
相続税とは財産を引き継いだ際にかかる税金
相続税とは、家族や親族から財産を引き継いだ際にかかる税金です。誰かが亡くなった場合、その時点から相続が発生します。亡くなった人を被相続人、財産を受け継ぐ人を相続人と呼び、相続が発生したと相続人が認識した日の翌日から10カ月以内に相続税を納めなければなりません。
「相続税の確定申告や納付が遅れた」「確定申告を怠っていた」などのケースでは延滞税・無申告加算税が課せられます。故意に相続財産を隠ぺいしていた場合、悪質と見なされ重加算税が課されることもあるため注意が必要です。
相続税がかかる財産・かからない財産
相続税はすべての財産に課税されるわけではありません。相続税が課税される財産とそうでない財産があります。相続税がかかる財産に挙げられるものは、以下のとおりです。
- 現金
- 預貯金
- 有価証券
- 宝石
- 土地
- 家屋
- 貸付金
- 特許権
- 著作権
- 生命保険金
- 損害保険金
そのほか、国税庁ホームページには死亡退職金や相続時精算課税制度を利用した財産など、相続税が課される財産について説明があります。生命保険金は、被相続人の財産ではないものの、みなし相続財産と見なされ相続税の計算に含まれることを覚えておきましょう。
一方、相続税が課されない相続財産は以下のものが挙げられます。
- 墓石や仏壇
- 香典
- 損害賠償金や慰謝料
被相続人が事故で亡くなった場合、損害賠償金や慰謝料は遺族の精神的苦痛を和らげるものと見なされるため相続税はかかりません。
相続税が発生するケース
相続税には基礎控除が設定されており、相続財産の価値が基礎控除を上回った場合に相続税が発生します。基礎控除は、3,000万円+600万円×法定相続人の数です。たとえば、被相続人の妻と2人の子が法定相続人の場合、基礎控除額は3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
このケースで相続財産の価値が1億円であった場合、基礎控除を差し引いた5,200万円に対して相続税を納めなければなりません。相続税の計算は非常に複雑になることがあるため、必要に応じて税理士に相談することが重要です。
相続税の税率
相続税の税率は、以下のとおりです。
税率 | 控除額 | |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超〜3,000万円 | 15% | 50万円 |
3,000万円超〜5,000万円 | 20% | 200万円 |
5,000万円超〜1億円 | 30% | 700万円 |
1億円超〜2億円 | 40% | 1,700万円 |
2億円超〜3億円 | 45% | 2,700万円 |
3億円超〜6億円 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
参照:国税庁|相続税の税率
注意すべきなのは、法定相続人ごとの税額の合計が相続税の総額になることです。
たとえば、3人の法定相続人が7,800万円の遺産を相続したとしましょう。
基礎控除が「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」であるため「7,800万円−4,800万円=3,000万円」で、この3,000万円を3人が均等に相続した場合「3,000万円÷3=1,000万円」で各自が1,000万円ずつ財産を受け継ぐことになります。それぞれ1,000万円を相続した場合、1,000万円×10%×法定相続人3人=300万円の相続税が課されます。
相続の仕組み
相続は、被相続人の財産を法定相続人が受け継ぐ形で行われます。ただし、仕組みをよく理解していないと誰が法定相続人になるのか理解できないでしょう。
気付かないうちに負の遺産を受け継ぐことがないように、相続の仕組みをしっかり理解しておきましょう。
法定相続人の順位
被相続人の財産を受け継ぐ法定相続人には、以下の表のように順位が定められています。
相続人の種類 | |
---|---|
第1順位 | 配偶者および直系卑属(子や孫など) |
第2順位 | 直系尊属(父母・祖父母・養父母など) |
第3順位 | 兄弟姉妹 |
第1順位は、被相続人の配偶者です。法的な婚姻関係にある配偶者は、常に法定相続人となります。加えて、子や孫など被相続人と血縁関係がある下の世代(直系卑属)も第1順位の法定相続人です。
被相続人に子がいない場合、被相続人の父母や祖父母など血縁関係がある上の世代(直系尊属)が第2順位の法定相続人と見なされます。第2順位の法定相続人は、第1順位の法定相続人がいるかぎり相続人になり得ません。第1順位、第2順位の法定相続人がどちらもいない場合、被相続人の兄弟姉妹が法定相続人になります。
相続放棄と限定承認
被相続人の遺産のなかに多額の負債が含まれている場合、法定相続人が相続放棄や限定承認を選ぶことがあります。
相続放棄とは、すべての遺産を放棄し、相続の開始時点から相続人ではなかったと見なすことです。相続放棄した人は相続人と見なされませんが、基礎控除の計算では法定相続人の数に含める必要があるため注意しましょう。
限定承認とは、受け継ぐ財産と同等の範囲内で負債も引き継ぐ方法です。被相続人からの貴重な財産を受け継ぎつつ、財産以上の大きな負債を抱えずに済む点がメリットです。ただし、相続放棄が相続人の独断で行えるのに対し、限定承認は相続人全員の同意が必要である点に注意しましょう。
遺贈
被相続人が法定相続人以外に財産を残したいと考えた場合、遺言によって財産を残す「遺贈」を検討できるでしょう。遺贈では被相続人が「遺言者」遺贈を受ける人を「受遺者」といいます。
被相続人が遺贈を検討している場合、遺言による意思表示が必要不可欠です。法定相続人以外で自分がお世話になった個人・団体に感謝を表せるいい方法ですが、法定相続人が必ず相続できる「遺留分」を侵害すると大きなトラブルになるため注意しましょう。
相続税の計算方法
相続税の計算方法は、以下のステップで行います。
- 課税遺産総額を計算する
- 法定相続した場合の相続税の総額を計算する
- 実際の相続分によりそれぞれの相続税額を計算する
- 相続税額から各種控除を差し引く
相続税の計算が複雑になるケースでは、早めに税理士に相談することがおすすめです。
1. 課税遺産総額を計算する
相続税を計算するためには、課税遺産総額を算出しなければなりません。預貯金や株式は、総額を計算するのは難しくないでしょう。一方、土地や建物、骨とう品、絵画、自動車、クルーザーなどは専門家による評価が必要です。
負債がある場合には、遺産額に含めます。たとえば、預貯金や不動産の合計が1億円、負債が2,000万円だった場合、正味の遺産額は8,000万円です。
法定相続人が被相続人の配偶者と子2人の計3人であった場合、基礎控除額は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」であるため、課税遺産総額は3,200万円です。課税遺産総額が基礎控除の範囲内であれば相続税の確定申告や納付は必要ありません。
2. 法定相続した場合の相続税の総額を計算する
課税遺産総額を計算後、法定相続分を相続した場合の相続税の総額を計算します。
法定相続分は配偶者2分の1、子がそれぞれ4分の1であるため、配偶者は「課税遺産総額3,200万円×2分の1=1,600万円」子がそれぞれ「課税遺産総額3,200万円×4分の1=800万円」を相続することになります。
相続税額は配偶者が「1,600万円×15%-50万円=190万円」子はそれぞれ「800万円×10%=80万円」で総額350万円です。
3. 実際の相続分によりそれぞれの相続税額を計算する
続いて実際の相続分によって相続税額を計算します。実際の相続分が法定相続分と同じであれば、それぞれの相続人の税額は変わりません。実際の相続分に変化があった場合には、相続税額の再計算が必要です。
たとえば遺産分割協議により、被相続人の配偶者2分の1、子Aが6分の1、子Bが6分の2を受け継ぐとしましょう。相続税額の総額は350万円であるため、相続人各自の相続税額は配偶者175万円、子Aが58万3,333円、子Bが116万6,666円となります。
4. 相続税額から各種控除を差し引く
相続税額が決定したあと、各種控除を差し引いて実際の納税額を計算します。相続税に適用される各種控除の例は以下のとおりです。
- 配偶者控除
- 未成年者控除
- 障害者控除
とくに配偶者控除は、1億6,000万円もしくは配偶者の法定相続分までが非課税になる控除であるため、大幅な節税につながります。
相続税を節税する4つの方法
相続税を節税するために活用できるのは、主に以下の4つの方法です。
- 生前贈与を検討する
- 死亡保険金の非課税枠を活用する
- 財産の評価額を下げる
- 養子縁組によって相続人を増やす
いずれの方法もメリットとデメリットがあるため、被相続人が生前に相続人と相談することが重要です。
1. 生前贈与を検討する
相続税の節税のため、生前贈与は効果的です。贈与には年間110万円の基礎控除があり、毎年110万円までの贈与であれば贈与税がかかりません。
たとえば、1,000万円の遺産を相続する場合、本来100万円の相続税がかかりますが、10年間にわたって100万円ずつ贈与しておけば贈与税・相続税の節税に役立ちます。ただし、毎年同じ金額を贈与すると、定期贈与と見なされて贈与税が課せられることがあるため注意しましょう。
2. 死亡保険金の非課税枠を活用する
死亡保険金の非課税策を活用することで効果的な節税が可能です。契約者と被保険者がともに被相続人で、受取人が配偶者もしくは子の場合に適用されます。死亡保険金の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」です。
たとえば、配偶者と2人の子が法定相続人の場合、1,500万円までが非課税となります。死亡保険金が非課税枠を上回るケースでは、非課税枠を差し引いた金額が相続財産に含められることを覚えておきましょう。
3. 財産の評価額を下げる
相続税の節税では、財産の評価額を下げることも検討できます。相続税額は相続財産の価値により大きく変わるため、できるかぎり財産の価値を下げて税額を抑えましょう。預貯金や株式は価値を下げられないため、主に土地や建物、骨とう品、絵画などの財産に適用できます。
たとえば、更地の土地にアパートやマンションを建てるのも1つの方法です。土地は利用しやすい更地がもっとも高く、建物が建つと価値が下がります。土地の相続税評価額が50%もしくは80%減額される小規模宅地の特例を利用するのもいい方法です。
4. 養子縁組によって相続人を増やす
相続税の基礎控除は法定相続人の数によって決まるため、養子縁組で相続人を増やす方法もあります。養子が1人いることで、基礎控除が600万円、死亡保険金の非課税枠も増えるため、節税に効果的です。
ただし、養子縁組で無限に相続人を増やせるわけではない点に注意が必要です。養親に実子がいる場合、法定相続人の数に含められるのは1人まで、養親に実子がいない場合でも2人までと定められています。
まとめ
相続税は、家族や親族から財産を受け継いだ際にかかる税金です。財産を受け継ぐ法定相続人の順位や相続税額の計算は理解が難しい場合があるため、必要に応じて税理士に相談しましょう。「不動産の価値を下げる」「法定相続人を増やす」などの方法で、効果的な節税が行えます。
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