税理士の費用相場|目的別の料金6選と顧問税理士の必要性
- 顧問税理士は必ず必要?
- 税理士費用はどれくらいかかる?
- 適正な報酬かどうかの見極め方は?
「税理士と顧問契約したいけれど費用相場がわからない」「いま支払っている顧問料は適正なのか知りたい」と悩んでいる方必見。この記事では、税理士の費用相場から受けられるサービス内容まで解説します。
いま顧問契約している方でも最後まで読めば、支払っている顧問料が適正かどうかわかります。申告の種類ごとの相場もわかるため、スポットで依頼を検討している方も参考にしてください。
税理士費用に相場はある?決定の基準は3つ
税理士費用には、事務所の方針により「ウリ」が異なるため明確な相場はありません。費用を決定するための参考基準は次の3つがあります。
- 売上高
- 取引金額
- 入力仕訳数
1. 売上高
税理士の費用を決定づける基準の1つが売上高です。多くの事務所が顧客の売上高を基準に費用を決めています。
たとえば、売上高を基準にしている税理士事務所では、月々の顧問料を3万円からスタートし、売り上げに応じて加算します。
顧問料とは、税理士に毎月支払う基本料金です。一般的には、売上3,000円以下の事業者の場合、月々の顧問料は3万円程度が相場です。
あわせて、毎月の費用のほかに1年間の会社の利益計算と、税額計算をする決算申告報酬も請求されます。決算申告費用は毎月の費用の6カ月分が一般的です。
3万円×12カ月=36万円(年間の月額費用)
3万円×6カ月=18万円(決算料)
合計54万円(年間費用)※消費税の申告費用は含んでいません。
2. 取引金額
一般的には取引金額が高く、取引回数も多くなる傾向があるため、売上高基準では月額費用が決定できない場合があります。
取引金額で費用を決定している税理士事務所は複数の取引が対象となっているため、取引回数が少ない企業は売上高で月額費用が決まります。基準になるのは売上高基準と同様に3万円です。取引金額が1,000万円増えるごとに5,000円増額する傾向にあります。
3. 入力仕訳数
入力仕訳数が多い場合、1枚の伝票で確認する項目が増えます。
月次顧問を依頼している場合、担当者(税理士資格がない)の売上基準は1時間当たり1万円〜1.5万円です。1時間以上かかるときは、かかった時間に見合うだけの報酬となります。
1万円×6時間×12カ月=72万円(月額費用)
6万円×6カ月=36万円(決算料)
合計108万円(年間の税理士費用)※消費税の申告費用は含んでいません。
法人・個人事業主・業種での区別はない
「法人」「個人事業主」などの事業形態により税理士費用が変わることはありません。個人事業主でも、消費税の課税事業者である場合や青色申告を選択している場合は、申告作業に時間がかかります。
結果的に、売上高基準にあてはめ「個人事業主だから」という理由で安くなることはありません。
税理士を利用したい!目的別費用相場6選
税理士に依頼する目的別の費用をまとめました。
- 法人税の申告費用
- 所得税の申告費用
- 相続税の申告費用
- 法人成りの費用
- 経営コンサルティングの費用
以下で解説します。
1. 法人税の申告費用
法人企業は年に1度、税務署に決算書を作成し利益に応じた法人税の納付が必要です。
一般的に法人税の申告は、自分でするには難しいです。最近の副業ブームによりマイクロ法人を設立する方もめずらしくありません。
マイクロ法人とは、個人事業主が節税対策などを理由に設立する法人のことです。在籍するのは個人事業主のみですが、マイクロ法人であっても法人税の申告は必要です。
スポットで依頼する場合(法人税の申告のみ)は、3万円前後で申告を請け負っている事務所が一般的です。申告後に税務調査が発生することで、別途費用がかかります。
毎月行う業務
毎月顧問契約した場合、税理士が行う業務は「帳簿チェック」です。正しい記帳ができているかチェックします。
決算3カ月前になれば、決算対策として節税の提案や黒字化のためのアドバイスが受けられます。余裕をもって準備ができるので申告時に慌てることもないでしょう。
2. 所得税の申告費用
個人事業主の場合は、申告会場で説明を聞きながら、確定申告を自分で行う方も多くいます。副業所得を個人で申告する場合も同じです。
自分で申告することで費用はかかりませんが、税理士に依頼する場合は費用がかかります。会社員が「医療費控除」と「雑所得の申告」で依頼する場合、1万円程度から引き受けてくれる税理士もいます。
毎月行う業務
顧問契約をして毎月チェックしてもらう内容には、事業所得や不動産所得があります。スポットで依頼するには、申告に必要な作業をどこまで税理士に依頼するかで変わります。
申告書の作成のみを依頼するときは、3万円程度かかりますが、帳簿作成まで依頼すると10万円以上の費用がかかります。
3. 相続税の申告費用
相続税の申告は、スポットで依頼する代表的な項目です。「必要な方=相続財産が多い人」であるため、申告費用は高くなります。一般的な相場は、相続する遺産総額の0.5%〜1.0%です。
贈与税の進行を請け負っている場合
将来発生する相続税のために、生前贈与で節税対策をしていれば「相続までをワンパッケージ」としています。贈与税の申告をしているときに、すでに提示を受けているのが一般的です。
4. 税務調査の費用
税務調査の立ち合い費用は、調査にかかった時間で計算します。1時間あたり1万円〜3万円が費用相場とされています。
税務調査は当初3日程度を調査官より伝えられますが、特に問題なければ2日程度で終了します。調査官の往復時間を除くと、10時〜16時(1時間休憩)を実働時間とし1日5時間程度です。調査立ち合い費用の時間単価を1万円と仮定する場合「1万円×5時間×2日=10万円」が相場といえます。
5. 法人成りの費用
法人成りの費用は、設立後の顧問契約の有無で異なります。顧問契約には、設立費用は登記にかかる印紙税をはじめとした実費のみで済みます。設立後に顧問契約しない場合、設立に必要な「実費+5万円〜10万円」になります。
6. 経営コンサルティングの費用
税理士に経営コンサルティングに依頼することで、1カ月あたり1万円〜5万円の費用が発生します。顧問契約して毎月の訪問がある場合、顧問料とコンサルティングの両方で割安になる傾向があります。
顧問契約することでリアルタイムで経営状態が把握できるため、コンサルティングとの組み合わせで企業にとってメリットが大きくなります。
以下の記事でくわしく解説しています。
税理士費用を支払って依頼するメリット3つ
税理士に依頼することで、自分ではできない法人税申告ができることをはじめ、メリットが多くあります。
代表的なメリットは次の3つです。
- 適正な税務申告が可能
- リアルタイムに経営アドバイスが受けられる
- 税務調査の対応が可能
1. 適正な税務申告ができる
税理士に依頼するメリットの1つは、適正な税務申告ができることです。法人税・所得税・相続税などの税務申告は、規模が大きくなるほど正確に計算・申告することが難しくなります。自分で行うと計算違いなどのミスが発生しかねません。
専門的な知識を持つ税理士に依頼することで、適正な申告が可能になります。
節税対策ができる
決算日時点での利益を予測し、黒字の場合は節税対策のアドバイスが受けられます。一方で、赤字の場合は黒字化するためのアドバイスが受けられます。
金融機関から借入れがあると、決算書の内容次第では利益が必要になるケースがあります。たとえば減価償却資産がある場合、計上する減価償却費の金額を調整することも税法上では可能です。税法で認められている範囲内で、決算書の内容についてアドバイスが受けられます。
2. リアルタイムに経営アドバイスが受けられる
コロナ禍の影響により、税理士に求められるアドバイスの内容が節税対策から、補助金や助成金など資金繰りに関するものに変化しています。
補助金情報の提供ともに、税理士事務所が顧客に代わって事業計画書を作成し申請まで依頼できるケースが増えています。採択率を「ウリ」にしている事務所もあるため、補助金情報が気になる方は検討されるといいでしょう。
3. 税務調査の対応ができる
税理士は顧問先の税務に対して責任があるため、申告内容が正しいことを税務調査で意見できます。スポットは除きますが、毎月帳簿の中身を確認し申告書を作成しているため、経営者よりも法人税申告書はよく知っています。
多くの場合は「申告是認」で費用が発生する
税理士事務所の方針にもよりますが、申告内容に問題がなければ「申告是認」として税理士が税務調査の立ち合い費用を請求します。行政指導で終わった場合も、立ち合い費用は必要です。
一方で、修正申告を求められた場合ペナルティが課されます。本来の納税額とペナルティで資金が必要になるため、金額によっては賠償の意味合いも含め、立ち合い費用を求めないケースもあります。
ペナルティの種類は下記のとおりです。
- 過少申告加算税(利益を少なく申告した場合)
- 無申告加算税(申告しなかった場合)
- 不納付加算税(申告したが、納税していない場合)
- 重加算税(不納付加算税が発生した場合)
- 延滞税(納期限までに税金を納めなかった場合)
※顧問税理士がいる場合、無申告加算税は通常発生しません。ただし税金の納付は納税者意思のため、不納付加算税は発生する可能性があります。
税理士費用が理由で依頼しないデメリット3つ
「税理士費用が思ったより高い」と感じ、費用を理由に税理士への依頼をしない方もいるでしょう。その場合、税理士に依頼せず発生するデメリットに注意が必要です。
- 申告した税額の根拠が不明
- 補助金情報をはじめ経営アドバイスが受けられない
- 税務調査は自分で対応しなければならない
以下で解説します。
1. 申告した税額の根拠がわからない
申告した税額の根拠は、税理士でなければわかりません。法人税を勉強したことがある人は申告書の内容を理解できますが、ほとんどの経営者や経理担当者では不可能です。
税理士に依頼することで税務の内容を完璧に把握し、説明を求めれば応じてもらえます。税務署からの問い合わせに回答することを考えれば、顧問税理士の存在は心強いでしょう。
2. 補助金情報をはじめ経営アドバイスが受けられない
会計帳簿の内容を説明できる人がいないため、自社がどのような状況に置かれているのか把握できないデメリットがあります。
設備投資は、補助金申請で資金繰りがラクになる場合があります。自己負担が少なく高額な設備投資ができることも珍しくないため、経営アドバイスを受けられない環境では有力情報が得られない状況になります。
3. 税務調査は自分で対応しなければならない
税理士に依頼していない場合税金のプロである「調査官」と税金の素人である「経営者」との間で税務調査のやり取りをしなければなりません。説明がうまくできず修正申告を求められることがあり、納税金額が一般的な顧問料以上になることも珍しくありません。
費用がかさむことや、普段の業務に加えて税務調査を対応しなければならないことを考えると、税理士に依頼をする方がいいでしょう。
税理士に依頼するときのポイント2つ
税理士へ業務を依頼するときのポイントは以下の2つです。
- 税理士費用節約の方法は「自分でできることは自分でする」
- 税理士費用に見合うサービスを受けるには「要望を明確にすること」
費用節約の方法は「自分でできることは自分でする」
税理士と顧問契約する場合、自分でできることは自分ですることで本来の費用相場より安く抑えることができます。
たとえば「記帳代行は依頼せず自分で会計ソフトに入力する」「申告書作成も自分でできることをしておく」など依頼する業務を最小限に抑えることが大切です。
費用に見合うサービスを受けるには「要望を明確にすること」
要望を明確にできれば、必要なサービスを受けることができ不要なサービスに対して費用を支払わなくて済みます。
税理士費用の設定は「一般的によくあてはまるもの」が基本のため、業種によっては不要なサービズが含まれていることがあります。自社に合ったサービスを確実に受けるためにも、要望は明確にしておきましょう。
まとめ
顧問税理士と契約せず、自社ですべてをまかなうことには限界があります。費用はかかるとしても税理士と契約することで、最新の税制や補助金情報など有益な情報提供が受けられます。
「比較ビズ」はこれまで経営者様から、税理士の変更や確定申告、決算、税務調査対策など多数のご相談を頂き、マッチングし続けた実績があり、ご利用企業者様は10万社以上となります。
無料で税理士に一括見積もりすることができ、待っているだけで提案・見積書が届きます。一括見積もりに際して個人情報を入力する必要がありますが、対応できる税理士が見つかるまで一切情報は開示されないため、ご安心ください。
よくある質問とその回答
岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

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税理士報酬について、各税理士事務所でそれぞれの報酬規程をもって、経営されているかと思います。税理士事務所で負担するコストに応じて報酬をきめているかと思います。ただ、それぞれの税理士の考え方によって、関与をお受けできないという場合も発生しています。
例えば、弊事務所においては、基本的には決算作業だけという申告はお受けしていません。年一決算などと呼んでおりますが、一年に一度しか資料を見ることができないと、正確な処理ができない恐れがあります。その時に聞いていれば適切な処理ができたのに、手遅れになってしまうケースも少なからずあります。訪問はしなくても、定期的な資料送付はお願いしている次第であります。
また、現在はZoom等により、非対面での面談も可能になっていますので、訪問なしでも密接なコミュニケーションができますので、その部分については税理士事務所側も対処していく必要があると考えております。