相続した空き家の固定資産税はいくら?税金が最大6倍になるケースを解説!

竹中啓倫税理士事務所
監修者
竹中啓倫税理士事務所 税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
最終更新日:2024年06月04日
相続した空き家の固定資産税はいくら?税金が最大6倍になるケースを解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 相続した空き家の固定資産税は誰が払うべき?
  • 相続した空き家にかかる税金は?
  • 相続した空き家の固定資産税が最大6倍になるケースは?

空き家を相続すると「固定資産税はいくらになるの?」「空き家の固定資産税が最大6倍になるのは本当?」など不安を抱える方もいるでしょう。相続した空き家の固定資産税額は、特定空き家に指定されることで最大6倍になるため、早急に対処すべきです。

この記事では相続した空き家の固定資産税額の計算方法や、税額が最大6倍になるケースについて解説します。空き家を相続して悩みを抱えている方はぜひ参考にしてください。

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所有者が亡くなった空き家の固定資産税は相続人が支払う

家とTAX(税金)

所有者が亡くなった空き家を相続した場合、固定資産税は相続人が支払うのが一般的です。空き家の所有者が亡くなった場合でも、固定資産税の納付は免除されません。

固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。所有者が亡くなって所有権移転登記がなくても、被相続人宛に納付書が送られてくるでしょう。放置していると物件の差し押さえのリスクもあるため、必ず相続人が期限内に固定資産税を納付することが重要です。

相続した空き家にかかる2種類の税金

空き家を相続した場合、以下の2種類の税金がかかることを覚えておきましょう。

  • 固定資産税
  • 都市計画税

居住の有無にかかわらず、毎年2種類の税金が課されるため、空き家を有効活用していない場合は、活用を検討する必要があります。

固定資産税

固定資産税は、土地家屋の所有者に対して毎年課税される税金です。固定資産税額は「課税評価額×1.4%」で計算されます。たとえば、課税評価額1,000万円の土地の場合、固定資産税額は1,000万円×1.4%=14万円です。

ただし、空き家を含む住宅が建っている土地の場合、住宅用地の特例が適用され税額が下がることがほとんどです。空き家を放置すると特例が適用されなくなるおそれがあるため注意が必要でしょう。

都市計画税

都市計画税は、市街化区域内にある土地や建物に課される税金です。都市計画税額は「課税評価額×0.3%」で計算できます。

都市計画税率は0.3%が最大であるため、自治体によってはより低い税率を設定しているところもあります。適用される税率は、各自治体のホームページまたは担当課に確認しましょう。

住宅用地の特例により固定資産税が軽減される

家の受け渡し

固定資産税額は「課税評価額×1.4%」都市計画税は「課税評価額×0.3%」で計算できますが、居住用建物が建っている場合には住宅用地の特例が適用され税額が軽減されます。住宅用地の特例の適用を受けた場合、固定資産税と都市計画税の軽減率は以下のとおりです。

固定資産税 面積 軽減率
小規模住宅用地 200平方メートル以下 6分の1
一般住宅用地 200平方メートル超 3分の1
都市計画税 面積 軽減率
小規模住宅用地 200平方メートル以下 3分の1
一般住宅用地 200平方メートル超 3分の2

たとえば、面積200平方メートルで課税評価額600万円の土地に建物が建っている場合、土地にかかる固定資産税額と都市計画税は以下のとおりです。

  • 固定資産税額|600万円×6分の1×1.4%×=14,000円
  • 都市計画税|600万円×3分の1×0.3%=6,000円

固定資産税と都市計画税は年4回に分けて支払うことになるでしょう。

相続した空き家を放置すると固定資産税が最大6倍になる理由

空き家を放置すると、空き家対策特別措置法で固定資産税が最大6倍に増大されます。理由として以下の2つが挙げられます。

  • 特定空家等への認定
  • 管理不全空き家への認定

いずれも所有者に対して不利益になるため、相続した空き家が認定を受けないよう注意を払うべきです。

特定空家等への認定

空き家対策特別措置法により、自治体は問題のある空き家を「特定空家等」として認定します。特定空家等に認定されると、行政が空き家の修繕や撤去の指導、勧告、命令を行うことが可能になります。

特定空家等の認定を受け、行政から勧告を受けた空き家は住宅用地の特例適用を受けられない点がデメリットです。特例対象外になると、適用されていた最大6分の1の軽減率がなくなるため、固定資産税が最大で6倍に増加します。

特定空家等に認定される基準は、以下のとおりです。

  • 倒壊の危険性があるか
  • 衛生面の問題はないか
  • 景観に悪影響を及ぼしていないか
  • 周辺の生活環境を悪化させていないか

管理されていない空き家は経年劣化が激しくなるため、倒壊の危険や動物の糞尿、不法侵入などの衛生面・治安面の問題による訴訟リスクもあるため注意が必要です。

管理不全空き家への認定

2023年の空き家対策特別措置法改正により「管理不全空き家」に認定されても、固定資産税が6倍に上がることになりました。以下の条件に該当すると、管理不全空き家に認定されることがあります。

  • 壁や窓が腐食しており落下のおそれがある
  • 雑草や枯れ草が管理されずに放置されている
  • 敷地内のゴミが放置されている
  • そのままの状態が続けば特定空家等に認定されるおそれがある

特定空き家は最終的に行政が所有者に代わって空き家を解体する行政代執行が実施されますが、管理不全空き家は行政代執行は行われません。

管理不全空き家の状態が続けば、いずれ特定空き家に認定されるおそれがあるため、早めの対処が必要でしょう。

特定空き家に指定されると固定資産税はどのくらい上がる?

特定空き家や管理不全空き家として認定されると、翌年度以降の固定資産税が上がります。住宅用地の特例を受けている空き家と、特定空き家に認定されて特例の対象外となった空き家の固定資産税を比較し、どの程度固定資産税の負担が増えるのか考えましょう。

以下の2つのケースで、固定資産税額の違いを計算します。

  • 固定資産税評価額1,200万円で土地の面積200平方メートルの場合
  • 固定資産税評価額6,000万円で土地の面積500平方メートルの場合

固定資産税評価額1,200万円で土地の面積200平方メートルの場合

固定資産評価額1,200万円、土地の面積200平方メートルで、住宅用地の特例を活用する場合、土地全部が小規模住宅用地と見なされます。一方、特定空家等に認定され、住宅用地の特例が適用されなくなります。

それぞれの固定資産税額は以下のとおりです。

  計算式 固定資産税額
小規模住宅用地
(住宅用地の特例あり)
1,200万円×6分の1×1.4% 28,000円
特定空家等の認定
(住宅用地の特例なし)
1,200万円×1.4% 168,000円

住宅用地の特例が適用されないことで、税負担が大幅に増えることがわかるでしょう。

固定資産税評価額6,000万円で土地の面積500平方メートルの場合

固定資産税評価額が6,000万円、土地面積500平方メートルの固定資産税額は、面積200平方メートルまでの部分と200平方メートルを超える部分でわけて考えます。

住宅用地の特例が適用されている場合の固定資産税額は以下のとおりです。

  計算式 固定資産税額
面積200平方メートルまでの部分 6,000万円×6分の1×1.4%×200平方メートル÷500平方メートル 56,000円
面積200平方メートルを超える部分
(500−200=300平方メートル)
6,000万円×3分の1×1.4%×300平方メートル÷500平方メートル 168,000円
合計   224,000円

一方、住宅用地の特例が適用されない場合の固定資産税額は以下のとおりです。

  計算式 固定資産税額
住宅用地の特例の適用なし 6,000万円×1.4% 840,000円

住宅用地の特例が適用されない場合、毎年3.75倍もの固定資産税を納めなければなりません。

相続した空き家の効果的な活用方法5つ

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相続した空き家の効果的な活用方法として、以下の5つが考えられます。

  1. 売却する
  2. 貸し出す
  3. 自身が住む
  4. 寄付する
  5. 別の用途で利用する

いずれの方法も、メリット・デメリットがあるため、もっとも効果的な活用方法を見つけるため慎重な検討が必要です。

1. 売却する

相続した空き家を売却すると所得税の対象となりますが、毎年の固定資産税・都市計画税の支払いは必要なくなります。売却益も得ることができ、空き家を管理する費用や労力が不要になる点もメリットといえるでしょう。

しかし、必ずしも自分の希望する価格で購入してもらえるかはわかりません。想定よりも安く物件を手放さなければならないこともあるでしょう。加えて、家族や親族から受け継いだ物件を失う点もデメリットです。

2. 貸し出す

相続した空き家を貸し出して利益を得ることも可能です。空き家を賃貸物件にする場合、内装のリフォーム代やクリーニング費用がかかるものの、毎月家賃収入を得られるでしょう。

空き家を貸し出す際には、借り手がつくかどうか事前に調査をすることが必須です。初期費用がかかるため、収益が上がるのか、周りの賃貸物件は成功しているのかなど、専門家の力を借りて状況を把握しましょう。

3. 自身が住む

相続した空き家に自身が住むことにした相続人もいます。自身が住むことで居住用の建物と認められ、住宅用地の特例が適用され続けることがメリットです。加えて、自身が家のメンテナンスが行えるため、建物の劣化を最小限に抑えられます。

デメリットは、地元の自治体の認定を受けなければ居住用の建物と見なされないことです。

セカンドハウスとして利用していることを認めてもらうためには手続きが必要であり、すべてのケースで認定を受けられるわけではありません。自宅と相続した空き家が遠く離れている場合、かなりの時間と労力が必要です。

4. 寄付する

相続した空き家を国や自治体に寄付することで、非課税財産の特例を活用できるケースもあります。寄付した空き家は相続税が非課税になるため、金銭的負担を抑えられるのがメリットです。

ただし、金銭的な見返りをまったく得られない点に注意が必要です。親族からの財産をただ手放すことになります。加えて、どのような空き家でも寄付できるわけではなく、国や自治体にメリットがある空き家のみ受け入れられることもデメリットといえるでしょう。

5. 別の用途で利用する

相続した空き家を解体し、別の用途で利用することも検討できます。以下の活用方法が考えられるでしょう。

  • 月極駐車場を貸し出す
  • コインパーキングとして貸し出す
  • トランクルームを経営する
  • アパート経営をする
  • 太陽光発電で売電する

空き家が劣化しており居住用に適していない場合には、管理費用の節約のためにも解体した方が結果的にお得になります。ただし、解体費用は相続人が負担しなければならないことを覚えておきましょう。

まとめ

相続した空き家の固定資産税額は、課税評価額×1.4%で算出できます。住宅用地の特例が適用された場合、課税評価額が6分の1もしくは3分の1に軽減され、税額が抑えられるでしょう。特定空き家や管理不全空き家に認定されると税負担が大幅に増えるため、しっかりと空き家を活用することが非常に重要です。

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監修者のコメント
竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

相続等が発生して、ご実家等を所有することになるケースはままあります。私自身も母親が亡くなった後には、長男である私は、相続する可能性が十分にあり、他人ごとではありません。

合理的に考えると、特段誰も住む予定がなく田舎にありますので、処分するのが適当であるとは考えますが、先祖代々引き継いできたものを売却してしまうことに、いくばくかの後ろめたさもあります。

売却する場合、基本的に上物はない方が処分しやすくなりますし、仮に古屋付き土地として売却した場合、古屋についての契約不適合責任を負う可能性があり、避けたいところです。

一方で、更地にすることによって、土地の固定資産税が跳ね上がることにも着目しなければなりませんし、そもそも取り壊し費用の支出が発生してしまいます。

近所の家々も、取り壊されて分譲住宅として売りに出されているケースは、多々あります。皆さんも、このようなケースにぶつかる可能性はありますので、その際には、どちらが得かじっくり考えてみてください。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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