空き家を相続することになったときの対処方法とは?放置する3つのデメリットを解説

中央みらい会計事務所
監修者
中央みらい会計事務所 代表税理士 奥村 和仁
最終更新日:2023年09月13日
空き家を相続することになったときの対処方法とは?放置する3つのデメリットを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 空き家を放置するデメリットとは?
  • 空き家を相続することになったときの対処法は?
  • 空き家を相続したときの相続税とは?

近年、空き家問題は全国的に広がっており、地方で暮らす両親が亡くなって自宅を相続したときの対処法に悩まれる方が多いです。空き家を放置すると自治体から「特定空き家」に認定され、さまざまなデメリットが発生します。

当記事では、空き家を相続することになって迷われている方に向けて、相続することになったときの対処法を解説します。空き家を相続したときの相続税に関しても解説しているため、参考にしてください。

記事を読み終わった頃には、空き家の相続に関する対処法を検討できるようになるでしょう。

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空き家を放置することによる3つのデメリット

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空き家を放置することによるデメリットは、以下の3つです。

  1. 特定空き家に指定される可能性がある
  2. 固定資産税が必要になる
  3. 近所に迷惑がかかる

空き家は放置すると劣化していき、倒壊や衛生面におけるリスクがある点に注意しましょう。

1. 特定空き家に指定される可能性がある

空き家の放置により「倒壊のおそれがある」「景観を損なっている」「放置が不適切な状態」の空き家は「特定空き家」に該当します。特定空き家に指定されたあと、自治体からの助言に従わないと住宅用地特例の対象から除外されます。

住宅用地特例とは、固定資産税の免税に関する特例措置のことで、課税標準額の1/6〜1/3の免税を受けられる特例です。住宅用地特例の対象から除外されると、土地の固定資産税が3〜6倍になるデメリットがあります。

2. 固定資産税が必要になる

両親が亡くなり住んでいた空き家を放置しておくと、固定資産税だけを払い続けなければなりません。固定資産税は、誰も住んでいなくても支払う必要があります。

住宅用地特例を受けていないと、さらに高い金額(固定資産税が3〜6倍)の税金を納めなければならない点に注意しましょう。

3. 近所に迷惑がかかる

古い空き家を放置すると、倒壊や衛生面において近所迷惑になることがあります。近所の方から自治体にクレームが入ったり、訴訟問題に発展したりする可能性があります。遠方に空き家がある場合は、定期的に空き家に訪問できず、気づかないうちに劣化している可能性も考えられるでしょう。

最初は特例空き家でなかったとしても、放置すると空き家が劣化していき、特例空き家に指定される場合もあります。

空き家を相続するときの対処法

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空き家を相続するときの対処法は、以下のとおりです。

  1. 空き家を売却する
  2. 空き家を貸し出す
  3. 相続放棄する

空き家を放置するとデメリットも多いため、売却や貸し出しの検討を進めましょう。

1. 空き家を売却する

空き家に資産価値がある場合は、売却を検討しましょう。資産価値を調べるときは、複数の不動産会社に相談をして適切な価格を把握します。

空き家の売却額は所得税の対象になりますが、毎年発生する固定資産税の支払いは不要になります。建物を管理する必要がないため、空き家の存在を常に意識しておかなければならない精神的な負担からも解放されるでしょう。

2. 空き家を貸し出す

空き家を賃貸物件として他の人に貸し出す対処法があります。空き家を貸し出す場合には、事前に修繕やリフォームの必要があるため、初期費用と家賃収入の費用対効果を検討しましょう。

貸し出す準備ができても借主が現れるとは限らないため、事前に不動産会社にニーズの確認をしておくと安心です。

3. 相続放棄する

相続放棄によって、空き家を取得しない対処法があります。相続放棄では空き家だけを放棄できず、被相続人の相続財産を相続する権利の一切を放棄する点に注意しましょう。

相続放棄をすると、次の相続順位に当たる人が相続人になります。相続人全員が相続放棄をした場合、相続財産管理人が選任されるまでは空き家を管理しなければなりません。

相続放棄をしたときの相続順位は、以下のとおりです。

  • 第1順位:被相続人の子供
  • 第2順位:被相続人の親
  • 第3順位:被相続人の兄弟

第3順位まですべて相続放棄した場合は、相続財産は法人化して相続財産管理人が選任されます。相続財産管理人は、相続財産を清算し、最終的には相続財産を国庫に帰属させる役割を担います。

空き家を相続したときの相続税

空き家を相続したときの相続税に関して、以下のとおり解説します。

  • 相続税の計算方法
  • 空き家の場合、相続税が高くなる

相続税の計算方法

相続税の計算方法は、遺産の課税総額から基礎控除額を差し引いた課税遺産総額から算出します。基礎控除とは法定相続人の数に応じて受けられる控除のことで、以下の計算式で求められます。

基礎控除額=3,000万円+(法定相続人の数×600万円)

法定相続人は、被相続人との関係によって法定相続分が変わる点に注意しましょう。法定相続分とは、亡くなった方との関係性によって定められる相続分のことです。

  法定相続人 法定相続分 法定相続人 法定相続分
第1順位 配偶者 1/2 1/2
第2順位 配偶者 2/3 両親 1/3
第3順位 配偶者 3/4 兄弟姉妹 1/4

たとえば、配偶者がいて、子が2人いるケースでは基礎控除額は3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。

空き家の場合、相続税が高くなる

地方にいる両親が亡くなり空き家になった場合は「小規模宅地特例」の要件に当てはまらないため相続税が高額になります。以下の要件を満たすと「小規模宅地特例」を受けることができ、相続税が80%減税されます。

  • 被相続人が住んでいた家であること
  • 100坪以下であること(100坪を超える分は特例対象外)
  • 相続人が配偶者・同居していた家族であること

空き家を売却するときの特例|3,000万円控除できる

空き家を売却する場合には、一定の要件を満たすと「3,000万円特別控除」の適用を受けられます。マイホームに適用される特例ですが、一定の要件を満たせば空き家の売却にも適用が可能です。

  • 2013年1月2日以降に相続が発生し2023年12月31日までに売却
  • 旧耐震基準(1981年5月31日以前)で建築
  • 相続直前まで被相続人が1人で居住
  • 一戸建て
  • 相続後、賃貸などに出していない
  • 相続開始から3年以内の売却
  • 売却する空き家は耐震基準を満たしているか更地であること
  • 売却代金が1億円以下

要件の内容は厳しくなっていますが、特別控除を受けられるか確認しておくといいでしょう。

相続放棄した空き家の解体費用は相続人が支払う

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相続放棄した空き家を解体する費用は、相続人が支払う必要があります。自治体から特定空き家に指定され、強制的に建物が解体されたときは、自治体から費用の負担を求められる可能性がある点にも注意しましょう。

空き家の解体費用は家の構造や面積にもよりますが、木造戸建ての場合100〜300万円が相場です。

空き家の解体費用を払いたくない場合や払えない場合の対処法や活用方法は主に以下のとおりです。

  • 空き家を他人に貸す
  • 空き家を建物ごと売却する
  • 空き家を解体して駐車場やトランクルームなどを設置して活用する
  • 空き家を解体して更地として売却する

まとめ

相続した空き家を放置すると、特定空き家に指定される可能性があり、固定資産税の免税が受けられないリスクがあります。空き家を相続した後の対処法は、売却や貸し出すなどの対処を取るようにしましょう。

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監修者のコメント
中央みらい会計事務所
代表税理士 奥村 和仁

昭和50年生まれ大分県生まれ。埼玉県さいたま市西区在住個人の税理士事務所での勤務5年、税理士法人での勤務7年を経て、平成25年2月に独立。埼玉県さいたま市で中小企業・個人事業主の新規設立から経営コンサルまで、クライアントのニーズに合わせたトータルサポートを実践している。最近では、事務所のIT化にも積極的に取り組み、ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを始動し、クライアントは全国に。

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例を適用するうえで、一番のポイントは更地にしてから売却するということだと思われます。なぜなら、空き家を取り壊さずに売却する場合は、耐震補強工事を行って一定の耐震基準を満たす必要があるためです。なかなか難しい要件だと感じています。

解体費用が先に発生してしまうのはデメリットですが、更地の方が特例の適用が受けやすくなるうえに、売却しやすいなどのメリットもありますので、先に更地にしてから売却した方が良いでしょう。

この特例を適用するには、他にも要件がいくつもありますので、相続した被相続人の居住用財産(空き家)を売却する前に、税理士に相談させることをお勧めします。最大で600万円の節税ができる特例ですので、覚えておくと良いでしょう!
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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