空き家を相続した際の対処法6選!トラブルを防ぐためのポイントとは?
- 空き家を相続した際の対処法は?
- 空き家を放置するとどんなデメリットがある?
- 空き家を相続した際に押さえておくべきポイントは?
空き家を相続して「どのように空き家を活用したらいいのかわからない」「そのまま放置しておいても問題にならないか不安」と悩んでいる方、必見です。
相続した空き家を放置しておくメリットはほとんどなく、早急に解決策を講じるべきです。空き家を相続した際の対処法は主に6つあります。
この記事では空き家を放置するデメリットと効果的な対処法について解説します。相続財産に空き家が含まれている方はぜひ参考にしてください。
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空き家を相続した際の対処法6つ
空き家を相続した際の対処法は主に以下の6つです。
- 売却する
- 貸し出す
- 自分で住む
- 寄付する
- 別の用途で利用する
- 相続放棄する
それぞれの方法にメリット・デメリットがあるため、自分にもっとも適したものを選ぶことが重要です。
1. 売却する
相続した空き家に資産価値がある場合には、物件の売却を検討しましょう。複数の不動産会社に相談して、物件の資産価値を算出してもらえるだけではなく、不動産鑑定士に業務を依頼することもできます。
空き家を売却すると利益に対して所得税がかかりますが、毎年発生する固定資産税の支払いが不要になるのがメリットです。建物の管理にかかる費用や労力がなくなるうれしいポイントがある反面、家族や親族から受け継いだ物件を手放さなければならないのがデメリットでしょう。
2. 貸し出す
相続した空き家を賃貸物件として他の人に貸し出す方もいます。物件を売却する必要はなく、賃料が得られるため利益を上げやすい点がメリットです。ただし、空き家を貸し出す際には事前に修繕やリフォームの必要があるため、初期費用と家賃収入の費用対効果を検討しなければなりません。
加えて、周辺の貸家のニーズを確認することも重要です。多額の費用をかけて貸し出す準備を整えても、借主が現れるとは限りません。事前に不動産会社にニーズの確認をしておくと、無駄な費用をかけずにすみます。
3. 自分で住む
相続した空き家が売却にも賃貸にも適していない場合、自分の居住用に使う手もあります。居住用の建物と認められれば、住宅用地の特例を受け続け、固定資産税を抑えることが可能です。
しかし居住用の建物と認められるためには、物件の住所地を管轄する自治体の認定を受けなければなりません。手続きに手間がかかることに加え、必ずしも認定を受けることができない点もデメリットです。
4. 寄付する
相続した空き家を寄付して、非課税財産の特例を適用する方法も考えられます。相続財産を国や地方自治体に寄付することで、非課税財産として認められるでしょう。寄付した空き家に関しては相続税がかからない点が大きなメリットです。
一方、デメリットとして、金銭的な利益が得られない点が挙げられます。加えて、非課税財産の特例が適用されるためには、寄付しようと思っている空き家が公益の増進に貢献すると認められなければなりません。どのような空き家でも受け入れてもらえるわけではない点に注意が必要です。
5. 別の用途で利用する
相続した空き家を解体して、土地を別の用途で利用することも選択肢として検討できます。とくに空き家が古くなっており、居住用に適さないのであれば、解体して土地を有効活用する方がいいでしょう。月極駐車場やコインパーキング、貸倉庫、賃貸物件の新築など、活用方法は数多くあります。
ただし、空き家を解体する場合、解体費用は建物の相続人が支払わなければなりません。土地を有効活用できるか、解体費用を上回る利益が上げられるかをよく計算することが必要です。
6. 相続放棄する
相続した空き家の責任を一切負いたくない場合、相続放棄する方法もあります。相続放棄すると、最初から相続人ではなかったと見なされるため、空き家の活用方法や処理費用で頭を悩ませずにすむでしょう。
相続放棄を選択する場合、いくつか注意しなければならない点があります。相続放棄は、空き家だけではなく、相続財産に関する一切の権利の放棄になることを覚えておきましょう。
他の相続財産は受け継いで空き家だけ放棄することはできません。被相続人の財産の一部を使ったあとは、相続放棄ができないケースもあります。
相続した空き家を放置するデメリット4つ
相続放棄した空き家を放置すると以下の4つのデメリットがあります。
- 特定空家等に指定されるおそれがある
- 固定資産税や都市計画税を支払わなければならない
- 時間が経つほど売却が難しくなる
- 近隣住民に迷惑がかかる
空き家は放置すると劣化していき、倒壊や衛生面のリスクがある点に注意しましょう。
特定空家等に指定されるおそれがある
相続した空き家を放置すると、特定空家等に指定されるおそれがあります。とくに「倒壊のおそれがある」「景観を損なっている」「放置が不適切な状態」の空き家は、自治体により「特定空き家」にされやすいでしょう。
特定空き家に認定後、自治体の助言や指導に従わない場合は住宅用地特例から外されます。
住宅用地特例とは固定資産税の免税に関する特例措置のことで、固定資産税が課税標準額の6分の1〜3分の1に減額されます。特定空家等に指定され住宅用地特例の対象外となれば、固定資産税が3〜6倍になるでしょう。
特定空き家等に認定されるデメリットをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
固定資産税や都市計画税を支払わなければならない
相続した空き家を放置していても、固定資産税や都市計画税は毎年支払い続ける必要があります。固定資産税や都市計画税は、居住している人がいなくても毎年納めなければなりません。
住宅用地特例の対象外になれば、固定資産税が課税評価額の1.4%、都市計画税が最大で課税評価額の0.3%の納付義務が生じます。住宅用地の特例を受けられたとしても、毎年数万円〜数十万円の出費になるでしょう。
時間が経つほど売却が難しくなる
相続した空き家を放置すると、売却するのがどんどん難しくなります。人が住んでいる住宅であっても、資産価値は年々下がっていきますが、空き家は換気不足やメンテナンス不足により劣化スピードが速いのが一般的です。
資産価値が下がると、売却できたとしてもわずかな利益に留まるか、損失が出ることも考えられるでしょう。空き家を相続した場合には、できるだけ早く対応策を考えるのが賢明です。
近隣住民に迷惑がかかる
空き家を放置すると、倒壊の危険や衛生面でのリスクなど、近所住民の迷惑になることがあります。近隣住民が自治体に報告すると、大きなトラブルや訴訟問題に発展するおそれもあります。空き家が遠方にあると、放置しているうちに大きく劣化しているケースもあります。
最初は特定空き家でなかったとしても、空き家が劣化していき、特定空き家に指定される場合もあります。倒壊や火災発生で被害が発生すると、多額の損賠賠償責任を問われることもあるため注意が必要です。
空き家を相続する際のポイント4つ
空き家を相続する際、以下の4つのポイントを確認してみましょう。
- 小規模宅地の特例が適用されるか確認する
- 3,000万円控除の特例を活用できるか検討する
- 相続土地国庫帰属制度を活用する
- 相続人多数の場合はできる限り早く遺産分割協議・相続登記を行う
相続人の金銭的負担を減らすために重要なポイントであるため、相続手続きの際に必ず確認しましょう。
1. 小規模宅地の特例が適用されるか確認する
空き家を相続した場合、小規模宅地の特例が適用されるか確認しましょう。小規模宅地の特例とは、被相続人から受け継いだ一定の要件を満たす宅地に対して、最大で80%評価額を下げて相続税を課税する制度です。小規模宅地に対する特例であるため、適用される面積に限度があります。
適用を受けられるのは以下の種類の土地です。
最大面積 | 減額割合 | |
---|---|---|
特定居住用宅地等 | 330平方メートル | 80% |
特定事業用宅地等 | 400平方メートル | 80% |
特定同族会社事業用宅地等 | 400平方メートル | 80% |
貸付事業用宅地等 | 200平方メートル | 50% |
空き家のある土地の面積が上記の最大面積よりも大きい場合、超える部分は通常の評価額が適用されます。加えて、適用を受けられるのは、被相続人の配偶者、同居親族です。
被相続人の配偶者や同居親族がおらず、一定条件を満たした場合には、別居親族が小規模宅地の特例を受けることができます。
2. 3,000万円控除の特例を活用できるか検討する
空き家を売却する場合には、一定の要件を満たすと「3,000万円特別控除」の適用を受けられます。以下の一定の要件を満たせば空き家の売却の際、譲渡所得の金額から最高3,000万円が控除される制度です。くわしくは、国税庁ホームページを確認してください。
特例の適用を受けるための要件は、以下の7点が挙げられます。
- 平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売却していること
- 旧耐震基準(1981年5月31日以前)で建築されていること
- 相続直前まで被相続人が1人で居住していること
- 相続後、賃貸などに出していないこと
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売られていること
- 売却する空き家は耐震基準を満たしているか更地であること
- 売却代金が1億円以下であること
かなり要件が厳しいですが、最高3,000万円の控除が受けられる効果的な節税対策であるため、要件にあう方はぜひ活用しましょう。
3. 相続土地国庫帰属制度を活用する
空き家を相続した場合、相続土地国庫帰属制度を活用できるか検討しましょう。2023年に始まった相続土地国庫帰属制度は、活用に困った土地を国に引き取ってもらえる便利な制度です。1筆単位で土地を手放せるため、相続放棄の必要もなく管理の大変な土地を国に引き渡せます。
ただし、相続土地国庫帰属制度は、建物がある土地では利用できません。制度を利用する場合には、建物を解体する必要があります。加えて、10年分の土地管理費相当額を納める必要があり、20万円程度の負担があることも覚えておきましょう。
4. 相続人多数の場合はできる限り早く遺産分割協議・相続登記を行う
相続人が複数いる場合、できる限り早く遺産分割協議を行い、誰が空き家を相続するか決めましょう。空き家を売却する、譲渡するなどのケースでは、所有権移転登記が必要となり、相続する人が決まらなければ手続きが進められません。
相続人同士で話し合い、早めに相続登記を行えば、その後スムーズに手続きが進むでしょう。時間が経つほど空き家の処分は難しくなるおそれがあるため、相続人同士の協力が不可欠です。
相続放棄しても不動産の管理責任が残る場合がある
空き家を含む遺産の相続を放棄した場合でも、不動産の管理責任が残ることがあります。すべての相続人が相続放棄し、相続財産管理人が選任されるまでの期間は、相続人が空き家を管理しなければなりません。
相続には第1〜第3順位があり、第1順位の相続人が相続放棄をすると、第2順位の方が相続人になります。相続人が全員相続放棄し、空き家を相続すべき人がいない場合、相続財産法人が成立し清算手続きが必要です。
相続財産管理人がいない間は、相続人同士が協力しながら空き家の管理を続けなければならないでしょう。
まとめ
空き家を相続した場合、売却や賃貸、相続人の居住などの対応策が考えられます。空き家を放置すると特定空き家の認定や訴訟リスクなど、多くのデメリットがあるでしょう。できる限り速やかに空き家の相続人を決め、各種特例を利用することで金銭的な負担を最小限に抑えられます。
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昭和50年生まれ大分県生まれ。埼玉県さいたま市西区在住個人の税理士事務所での勤務5年、税理士法人での勤務7年を経て、平成25年2月に独立。埼玉県さいたま市で中小企業・個人事業主の新規設立から経営コンサルまで、クライアントのニーズに合わせたトータルサポートを実践している。最近では、事務所のIT化にも積極的に取り組み、ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを始動し、クライアントは全国に。
解体費用が先に発生してしまうのはデメリットですが、更地の方が特例の適用が受けやすくなるうえに、売却しやすいなどのメリットもありますので、先に更地にしてから売却した方が良いでしょう。
この特例を適用するには、他にも要件がいくつもありますので、相続した被相続人の居住用財産(空き家)を売却する前に、税理士に相談させることをお勧めします。最大で600万円の節税ができる特例ですので、覚えておくと良いでしょう!
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