相続定期預金の金利や手続きの流れを解説!メリット・デメリットも確認

青木征爾税理士事務所
監修者
青木征爾税理士事務所 税理士 青木征爾
最終更新日:2023年05月23日
相続定期預金の金利や手続きの流れを解説!メリット・デメリットも確認
この記事で解決できるお悩み
  • 相続定期預金とはなに?
  • 相続定期預金を扱っている各金融機関の金利は?
  • 相続定期預金から実際に相続するまでの流れは?

「相続した定期預金の払い戻しをしたいが、手続きや必要書類がわからない…」とお悩みの方必見!

この記事では定期預金に関して詳しく知りたい方に向けて、定期預金の利息を計算する方法や相続に必要な書類について解説します。最後まで読めば、相続定期預金から実際に相続するまでの流れもわかります。

定期預金はお金を長期間預けることで、安定的な利益を得るための有効な方法です。相続定期預金を利用するメリットやデメリットも紹介しているため、定期預金をとおして遺産を相続する予定の方はぜひ参考にしてください。

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相続定期預金とは?

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相続定期預金とは、相続により得た財産を対象とした定期預金のことです。具体的には、相続人が相続財産を現金化する手段として一定期間、定期預金に預けられます。満期になったら、預けた金額と利息を一括で受け取れます。

相続定期預金は、現金だけではなく相続した不動産や株式などを売却して得た資金を預け入れることも可能です。一般的な定期預金と比較して、金利が高く、預入期間が短いことが相続定期預金の大きな特徴です。

相続定期預金の預入期間

相続定期預金の預入期間は、金融商品により異なります。一般的に、3カ月、6カ月、1年の相続定期預金が多くの金融機関で提供されています。3カ月の短い期間でも利息を得られるため、相続財産を有効に運用するための人気商品です。

金融機関によっては、預入期間を3年や5年に延長した相続定期預金も販売しています。預入期間が長くなるほど金利が高くなり、満期になると受け取れる利息が増える利点があります。

相続定期預金を扱っている各金融機関の金利

相続定期預金を扱っている各金融機関の金利は、それぞれ異なります。金利は金融機関により異なるため、口座開設前には金利を比較検討することが大切です。

金利には預入期間により差があります。長期間の預入には高い金利が適用されることが多いため、利率を比較する際は預入期間も確認しましょう。

メガバンク 相続定期預金の取り扱いはありません
一般的な定期預金の金利は、年率0.002%前後
地方銀行 年率0.1%〜0.6%が一般的
信用金庫 年率0.5%〜1.0%が一般的
労働金庫 預入期間1年で年率0.1%の上乗せ、預入期間が3年になると年率0.15%、5年で年率0.2%が一般的

相続定期預金が向いているパターン2つ

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相続財産の運用には、相続定期預金が向いている場合があります。ここからは、具体的なパターンを2つ紹介します。

  1. 相続財産の一部を長期的に運用したい場合
  2. 運用リスクを避けたい場合

1. 相続財産の一部を長期的に運用したい場合

相続財産の一部を長期的に運用したい場合は、相続定期預金が向いています。相続定期預金は預入期間が長ければ長いほど、高い金利が適用される場合が多いため、長期的な運用に向いているでしょう。

定期預金であるため利息がある程度保証されており、投資商品と比べてリスクも少なく安定した運用ができます。

2. 運用リスクを避けたい場合

相続財産を運用する際、リスクを避けたい場合には、相続定期預金が向いています。相続定期預金は、定期的な利息が付くため、投資商品のように値動きのリスクがあるわけではありません。

インフレに対して実質的に損をする可能性があったり、預入期間中に解約する際はペナルティが発生したりするため注意しましょう。

相続定期預金の利息を計算する方法

相続定期預金は、金利や利息の計算方法に注意が必要です。預入期間により計算が異なるため、きちんと計算しないと、得られる利息が予想よりも少なくなる可能性があります。

預入期間が1年の場合、利息の計算は簡単ですが、3カ月と1年未満の場合は複雑です。3カ月の場合、適用される金利は4分の1です。年率0.6%の高金利でも、3カ月の場合は年率0.15%の定期預金と同じになります。

ここでは、2つの期間の計算方法を解説します。

預入期間が1年の場合(年率0.1%)

たとえば、500万円の相続財産を年率0.1%の相続定期預金に1年間預けた場合、500万円×0.1%=5,000円のため、利息は5,000円です。

ただし、利子所得には国税15.315%と地方税5%が課税されます。そのため、5,000円×(15.315%+5%)≒1,016円となり、利息から1,016円が税金として差し引かれ、受け取れる利息は3,985円となります。

預入期間が3カ月の場合(年率0.6%)

同じく500万円で相続定期預金を利用し、預入期間が3カ月の場合を考えます。 この場合、利息は500万円×0.6%×1/4=7,500円です。(年率0.6%だが、3カ月の場合に適用される金利は4分の1のため)

しかし、国税と地方税課税されます。そのため、7,500円×(15.315%+5%)≒1,524円となり、1,524円が税金として差し引かれ、受け取れる利息は5,976円になります。

定期預金の相続に必要な書類

相続において、定期預金の相続手続きにはいくつかの書類が必要になります。これらの書類は、相続人が定期預金の名義人であることを証明するために必要です。
ここでは、遺言書がある場合とない場合に分けて紹介します。

遺言書がある場合

遺言書が存在する場合は「遺言執行者選任審判書」を提出します。遺言書の中ですでに遺言執行者が決まっている場合は不要です。

公正証書遺言以外の遺言書であれば、家庭裁判所による検認が済んでいることを証明する書類が必要となります。
他にも、以下の書類が必要となります。

  • 金融機関指定の書式の口座払戻請求書
  • 故人の戸籍謄本
  • 故人の戸籍謄本遺言執行者の選任審判書謄本
  • 預金口座の通帳と銀行届出印
  • 遺言書
  • 検認調書(自筆証書遺言の場合)

遺言書がない場合

被相続人が遺言書を作成していない場合、相続人たちは遺産の分け方を話し合い、合意した内容をまとめた「遺産分割協議書」を提出する必要があります。この書類は、相続人全員が合意した内容で作成する必要があり、署名と実印の押印も全員分必要です。

金融機関へ提出する書類には、以下のものがあります。

  • 金融機関指定の書式の口座払戻請求書
  • 故人の戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 預金口座の通帳と銀行届出印
  • 遺産分割協議書

相続定期預金から実際に相続するまでの流れ

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相続定期預金から実際に相続するまでの流れは、手続きが複雑であり、何から始めればいいか迷う方も多いのではないでしょうか。以下では相続定期預金を相続するために必要な手続きを詳しく解説します。

  1. 口座を凍結する
  2. 遺産分割の準備をする
  3. 遺産分割協議を行う
  4. 必要書類を提出する
  5. 振込を確認する

1. 口座を凍結する

亡くなった人が名義の銀行口座について、その人が亡くなったことを速やかに銀行に伝えましょう。これにより、口座は凍結され、出金や入金はできなくなります。

口座の凍結は、相続人同士のトラブルを回避するためです。遺産分割協議が行われる前に、誰も預金を引き出せなくなります。

2. 遺産分割の準備をする

遺産分割協議においては、定期預金だけではなくすべての財産に関して話し合います。相続財産を完全に把握し、財産価値を明らかにすることが必要です。

相続手続きを円滑に進めるためには、亡くなった人の戸籍謄本を取得し、法定相続人を正確に特定することも不可欠です。

3. 遺産分割協議を行う

相続財産を確定した後、法定相続人全員で話し合い、各々が相続する財産の割合を決めます。この手続きを遺産分割協議といい、その結果を書面にまとめた「遺産分割協議書」を作成します。定期預金を相続する場合は、解約するか継続するかを決めましょう。

4. 必要書類を提出する

相続方法が決まった場合、金融機関に必要書類と共に所定の相続届を提出します。必要な書類は金融機関により異なるため、よく確認しましょう。提出する際は、相続人が署名と捺印(実印)をする必要があります。

5. 振込を確認する

相続した定期預金を解約して払い戻す場合、通常は書類の提出から1〜2週間で指定した口座に振り込まれます。これで手続きは完了となります。

相続定期預金を利用するメリット3つ

相続定期預金には利用するメリットがいくつかあります。ここからは、相続定期預金のメリットを3つ詳しく紹介します。

  1. 相続財産の現金化が簡単になる
  2. 金利が高い
  3. 預け期間を自由に設定できる

1. 相続財産の現金化が簡単になる

相続定期預金を利用するメリットの1つは、相続財産の現金化が簡単になることです。相続財産は、相続人が名義を変更して受け取りますが、不動産や有価証券など一部の財産は、手続きや手数料がかかります。

相続定期預金であれば、金融機関に必要な書類を提出することで簡単に現金化できます。

2. 金利が高い

相続定期預金は一般的な普通預金よりも金利が高いため、相続財産を運用するうえで有利です。金利が高いため、長期間預けることで利益を上げられます。

相続財産を現金化する必要がある場合でも、高い金利により得られる利息が大きくなるため、より多くの現金を手にできます。

3. 預け期間を自由に設定できる

相続定期預金は預け期間を自由に設定できるため、相続人が現金化する時期や方法にあわせて柔軟に対応できます。たとえば、相続税の支払いに必要な現金が確保できるよう、預け期間を相続人が支払いをする期日とあわせて設定できます。

相続定期預金を利用するデメリット3つ

相続定期預金を利用する際は、メリットだけではなくデメリットも存在します。ここでは、デメリットを3つ解説します。

  1. 申込み手続きが複雑である
  2. 金利優遇期間が短い
  3. 途中解約すると高金利にならない

1. 申込み手続きが複雑である

相続定期預金を利用する際のデメリットの1つは、申込み手続きが複雑であることです。相続人が多数いたり、相続額が膨大な場合、必要な書類や手続きが多くて時間と手間がかかることがあります。

適切な預け期間や金利の設定など、細かな条件や規定があるため、事前にしっかりと調べておく必要があります。

2. 金利優遇期間が短い

相続定期預金を利用する場合、金利優遇期間が短くなることがデメリットとして挙げられます。金利優遇期間は、預入期間が数カ月から1年の短期間であることが多く、優遇される金利を受け取る期間が限られます。

3. 途中解約すると高金利にならない

相続定期預金は、預け入れ期間中に解約する場合、利率が下がります。予定よりも早く預金を解約する必要が生じた場合、高いペナルティ金を払うことになる可能性があります。

相続人が不慮の事故や病気により突然死亡した場合、途中解約が必要になる場合もあるでしょう。この場合にも、高いペナルティ金が発生する可能性があるため、予期せぬ事態に備えることが重要です。

まとめ

相続定期預金は、長期間お金を預けることで安定的な利益を得られるため、資産運用の1つとして有効です。ただし、適切な金利や預け期間を選ぶことが重要です。

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監修者のコメント
青木征爾税理士事務所
税理士 青木征爾

札幌市を中心に活動する税理士。アパレル業界から未経験で税理士業界に飛び込む。その後、個人事務所、資産税系コンサルティングファームで経験を積み独立。税理士の仕事で重要なことはお客様とのコミュニケーションであるという考えから対話を重視している。中小企業の経営支援、スタートアップ支援、相続業務を得意としている。

金融機関から見て相続定期預金を取り扱う狙いは、富裕層の相続資金流出防止が目的です。日本では地方から都市部への個人資産の流入が顕著であり、被相続人から相続人へと移転した資産も都市部へ流出することが多いです。

この流出に歯止めをかけることが相続定期預金には期待されています。 資金の運用方法が決まっていない預金者にとっては相続定期預金はメリットが多いのではないでしょうか。

他の資産と違い元本割れの心配がなく、通常の定期預金よりも高い利率が設定されています。預入期間が短いもので3か月からと非常に短いものがあるということも特徴です。利率こそ高いですが預入期間が短いと受け取る利息も少なくなることに留意しましょう。

相続定期預金は預入期間中にその後の運用方法を検討するという利用方法に適しています。ただし、相続⼿続完了⽇・相続財産受取⽇のいずれかの⽇から1年以内でないと利用できない場合が多いので注意しましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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