相続を効率的に進める証明書とは?法定相続情報証明制度を利用するポイントについて解説!

上仲パートナーズ税理士事務所
監修者
最終更新日:2023年09月22日
相続を効率的に進める証明書とは?法定相続情報証明制度を利用するポイントについて解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 相続を効率的に進める法定相続情報証明制度とは?
  • 法定相続情報証明制度のメリット・デメリットは?
  • 法定相続情報証明制度で覚えておくべきポイントは?

法定相続情報証明制度を利用することで、複数の手続きを同時進行できるため、被相続人に多くの財産がある場合、相続の手続きを効率よく進められます。メリットだけではなくデメリットもあるため、両方を把握してから利用を決めましょう。

この記事では、法定相続情報証明制度の基本情報から手続きの流れまで解説します。相続でお困りの方はぜひ参考にしてください。

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法定相続情報証明制度は相続手続きを効率化できる制度

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法定相続情報証明制度は、相続手続きを効率的に進められる制度であり、証明書を使い複数の手続きを同時進行できるメリットがあります。法定相続情報証明制度を利用すると、戸籍に基づいた法定相続情報一覧図の写しを発行でき、一覧図を法定相続人であることの証明書として相続手続きが進められます。

相続手続きでは、被相続人と相続人の関係を示す戸籍謄本が必要であり、金融機関で預金の払い戻しを受けるために多くの戸籍を提出しなければなりませんでした。法定相続情報証明制度を利用することで、多くの戸籍を申請する手間や持ち運ぶ労力を抑えられます。

法定相続情報証明制度が利用できる場面

法定相続情報証明制度は、以下の手続きを行う際に使用可能です。

  • 被相続人の預貯金の解約や名義変更
  • 死亡保険金の請求手続き
  • 不動産の相続登記や名義変更
  • 相続税の申告
  • 株式や投資信託、有価証券の相続手続き

財産が多く、いくつもの金融機関で手続きが必要、不動産の名義変更が多くあるなどのケースでは、法定相続情報証明制度を利用するといいでしょう。証明書が1つあれば、複数の手続きを短時間で行えるためとても便利な制度です。

法定相続情報証明制度を利用する流れ

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法定相続情報署名制度を利用する流れは以下のとおりです。

  1. 必要書類を集める
  2. 法定相続情報一覧図を作成する
  3. 申出書を作成し法務局に提出する
  4. 法定相続情報一覧図の写しが交付される

1. 必要書類を集める

法定相続情報証明制度を利用するために最初に行うべきことは、必要書類の収集です。法定相続情報一覧図を作成するためにはさまざまな書類が必要となります。必要書類は下記のとおりです。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍
  • 被相続人の住民票の除票(無い場合は戸籍の附票)
  • 相続人の戸籍謄抄本
  • 申出人の氏名・住所を確認できる公的書類
  • 各相続人の住民票記載事項証明書(任意)

各相続人の住民票の写し以外は、必須書類です。不備や不足があった場合は、法務局での手続きが行えなくなるため注意しましょう。

2. 法定相続情報一覧図を作成する

必要書類をそろえたあとに法定相続情報一覧図の作成を行います。法務局HP「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」には、法定相続情報一覧図を作成するのに役立つ様式や記載例が掲載されています。

法定相続人が子のみ、配偶者、配偶者と親、配偶者と兄弟姉妹、代襲相続、非嫡出子がいるなどさまざまなケースの記載例があるため、参考になるでしょう。代理人が申し出をする場合は、委任状をダウンロードして作成する必要があります。

3. 申出書を作成し法務局に提出する

法定相続情報一覧図を作成後、申出書を作成して法務局に提出します。申出する登記所は、下記のいずれかから選択可能です。

  • 被相続人の死亡時の本籍地
  • 被相続人の最後の住所地
  • 申出人の住所地
  • 被相続人名義の不動産の所在地

申出書と法定相続情報一覧図は、郵送で提出することも可能です。法定相続情報一覧図の写しを郵送で交付してもらいたい場合は、申出書にその旨を記載し、返信用封筒と十分な額面の切手を同封します。

4. 法定相続情報一覧図の写しが交付される

提出した書類に不備がなければ、1週間ほどで法定相続情報一覧図の写しが交付されます。法定相続情報一覧図の写しを窓口で受け取る場合、申出人であることを証明できる身分証明書が必要となる点に注意が必要です。有効な身分証明書は以下のいずれかとなります。

  • 運転免許証
  • マイナンバーカード
  • 住民票の写し

法定相続情報一覧図の写しが交付されるときに戸籍謄本や住民票などの書類は返還されます。

法定相続情報証明制度のメリット3つ

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法定相続情報証明制度を利用するメリットは、以下の3つです。

  • 戸籍を何度も出し直す手間が省ける
  • 名義変更手続きを同時並行で行える
  • 金融機関で戸籍を確認する手間が省ける

戸籍を何度も出し直す手間が省ける

法定相続情報証明制度のメリットの1つは、戸籍を何度も出し直す手間が省ける点です。相続手続きでは、被相続人の戸籍が必要となります。被相続人の出生時から死亡時までを確認し、誰が法定相続人であるのか確定させなければなりません。

通常は、法定相続人と被相続人の続柄を証明する戸籍を集め、金融機関や役所の窓口に提出します。戸籍の原本を返却してもらえない場合は、同じ戸籍を何通も取得する必要があります。証明書となる法定相続情報一覧図の写しを活用することで、戸籍の束を何度も出し直さずに手続きを進められるでしょう。

名義変更手続きを同時並行で行える

法定相続情報証明制度の別のメリットは、名義変更手続きを同時進行で行える点です。金融機関で名義変更を行う場合、銀行で必要な戸籍をすべて提出し、手続きが完了したあと戸籍を返却してもらい、別の銀行で再度戸籍を提出する必要がありました。

証明書として法定相続情報一覧図の写しを使うと、手続きに必要な通数を無料で交付してもらえます。複数の銀行や役所で交付された証明書を提出できるため、同時進行で素早く相続手続きが進められるでしょう。

金融機関で戸籍を確認する手間が省ける

法定相続情報証明制度を利用することで、金融機関側が戸籍を確認する手間を省くことができ、手続きの時間を大幅に短縮できるメリットがあります。

証明書となる法定相続情報一覧図の写しを提出した場合、戸籍の内容に不備がないか法務局の登記官が確認します。認証文が付与された法定相続情報一覧図の写しを使用することで、金融機関や法務局は相続人を素早く確認し、相続手続きをスムーズに進められるでしょう。

法定相続情報証明制度のデメリット2つ

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法定相続情報証明制度のデメリットも把握し、検討する際の参考にしましょう。

  • 法定相続情報一覧図を作成する必要がある
  • 再発行は当初の申出人本人しかできない

法定相続情報一覧図を作成する必要がある

法定相続情報証明制度のデメリットは、法定相続情報一覧図の作成に労力を要することです。最初にすべての戸籍を集めたり、法定相続情報一覧図を作成したりと手間と時間がかかります。

再発行は当初の申出人本人しかできない

相続手続きに必要な証明書として使用できる法定相続情報一覧図の写しは、必要な手続きの数だけ交付してもらえますが、再発行を申請できる人は申出人本人のみです。他の相続人や第三者が法定相続情報一覧図の写しの発行を申し出ることはできません。

法定相続情報一覧図の認証から5年以内の申し出であれば、何度でも無料で再発行できます。相続手続きがさらに必要となり、他の相続人が申出人の代わりを務めるケースでは、戸籍をすべて集め直して手続きを進めなければなりません。

法定相続情報証明制度利用のポイント5つ

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法定相続情報証明制度を利用する際、以下の5つのポイントを覚えておきましょう。

  • 財産や銀行の手続きが多い相続に適している
  • 法定相続情報証明制度が利用できない場合もある
  • 制度に対応していない金融機関もある
  • 法定相続情報一覧図の写しが交付されるまで時間がかかる
  • 相続人に養子がいる場合は記載に注意する

財産や銀行の手続きが多い相続に適している

法定相続情報証明制度は、被相続人の財産が多い、もしくは金融機関での手続きが多いケースに適しています。相続手続きすべき窓口が多く、短時間で迅速に手続きしたいケースで有効な方法といえます。

法定相続情報証明制度を利用することで、必要書類を集める経費を節約できることもポイントの1つです。戸籍謄本や住民票は1通ごとに費用がかかりますが、法定相続情報一覧図の写しは無料で交付してもらえるため、経費を減らせるでしょう。

法定相続情報証明制度が利用できない場合もある

法定相続情報証明制度が利用できない主なケースは以下のとおりです。

  • 相続放棄により相続人に変動があった
  • 相続手続き以外の証明書として使用したい
  • 被相続人もしくは相続人に日本国籍ではない人がいる

法定相続情報一覧図の写しは、相続手続きに使用できる証明書です。相続ではなく不動産の名義変更の際に、住所の証明書として使用することはできません。法定相続情報証明制度の利用は、被相続人と相続人全員が日本国籍であることが条件です。日本国籍の経歴があり外国籍に帰化した方がいる場合も利用できません。

金融機関によっては対応していない場合もある

法定相続情報証明制度は平成29年に始まった比較的新しい制度であるため、金融機関によってはまだ対応していないケースがあります。対応していない金融機関で相続手続きを行う場合は、従来どおり被相続人・相続人の戸籍をすべて提出しなければなりません。

金融機関の一部でしか法定相続情報証明制度を利用できない場合、法定相続情報一覧図の写しの作成や認証に見合ったメリットが得られない場合もあります。あらかじめ金融機関に制度を利用できるか確認しましょう。

4. 法定相続情報一覧図の写しの作成と交付に時間がかかる

法定相続情報一覧図の写しの作成や交付には、1週間ほどかかります。法務局ごとに差があるため、申請時にどの程度の時間がかかるか確認しましょう。

とくに被相続人がさまざまな場所を転々としていた場合、戸籍謄本や除籍謄本を集めるのに時間がかかります。法定相続情報証明制度の利用では、時間に余裕を持って準備を始めるといいでしょう。

5. 相続人に養子がいる場合は記載に注意する

相続人に養子がいる場合、法定相続情報一覧図の写しには実子か養子か記載がなければなりません。養子の数は、相続税額に大きな影響をおよぼすためです。相続税の基礎控除は養子1人につき600万円ですが、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までしか法定相続人として認められません。

法定相続情報一覧図には続柄を単に「子」と記載することも可能です。ただし、実子か養子か続柄が明記されていない一覧図は相続税申告書の添付書類として認められないため、注意が必要です。相続税の申告では、養子の戸籍の提出も求められます。

まとめ

財産や手続きの数が多い場合、相続を少ない労力で効率的に進める証明書として、法定相続情報一覧図は非常に有効です。

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監修者のコメント
上仲パートナーズ税理士事務所
所長 上仲 孝明

1987年 東京都府中市出身。みずほインベスターズ証券、KPMG税理士法人等を経て開業。個人事業主、営利法人、公益法人等の税務顧問等を行っている。常にお客様の立場に立って考え、長期的な視点で寄り添うパートナーを目指して活動。リモート対応可能な税理士として全国エリアでお客様を支援している。

不動産の所有者に相続が発生した場合、所有権の移転の登記(相続登記)が必要になります。

近年、相続登記が行われずに放置されている不動産が増加して、所有者不明土地問題や空き家問題が話題になりました。不動産だけでなく、銀行口座など様々な相続手続きを行う必要があり、相続手続きを行う相続人や銀行等の担当者の双方に負担が生じていました。

これまで、相続登記を行うためには戸籍の束を持参して手続きを行っていましたが、法定相続情報証明制度を活用することで相続手続きの負担が軽減されることになり、活用するメリットは大きいと思います。

法定相続情報証明制度を活用することで、相続手続のために発生する手数料の削減や手続きにかかる時間の短縮が期待されます。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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