棚卸資産がキャッシュフローに与える影響とは?改善方法について解説

最終更新日:2023年09月20日
竹中啓倫税理士事務所
監修者
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
棚卸資産がキャッシュフローに与える影響とは?改善方法について解説
この記事で解決できるお悩み
  • キャッシュフローとは何?
  • キャッシュフローの改善方法はある?
  • 棚遅資産はキャッシュフローにどう影響する?

棚卸資産がキャッシュフローに与える影響を解説します。キャッシュフローとは、現金の増減を数値化した財務諸表です。

本記事では、棚遅資産により影響を受けたキャッシュフローを改善する方法について説明しています。最後まで読めば、棚卸資産の増減により影響を受けたキャッシュフローの改善方法がわかります。ぜひ参考にしてください。

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キャッシュフロー計算書で現金の増減がわかる

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キャッシュフロー計算書とは、ある期間における企業の現金の収入と支出を表す財務諸表の1つです。キャッシュフロー計算書は、現金の流れを3つの活動に分類しています。

営業活動 商品やサービスの売上や仕入れなど、企業の本業に関する現金の流れ
投資活動 設備投資や有価証券の売買など、企業の資産に関する現金の流れ
財務活動 借入金や株式発行など、企業の負債や資本に関する現金の流れ

キャッシュフロー計算書は、企業の経営状態や収益力を分析するために重要な指標です。キャッシュフロー計算書を見ることで、以下の内容がわかります。

  • 現金が増えたか減ったか
  • 現金がどこからどこへ流れたか
  • 企業が将来的に現金を生み出せるか
  • 企業が現金をどのように使っているか

キャッシュフロー計算書は、棚卸資産という項目とも密接な関係があります。棚卸資産とは、商品や原材料など、企業が販売するために保有している在庫です。棚卸資産は、キャッシュフロー計算書にどのように影響を与えるのか詳しく見ていきましょう。

キャッシュフローと棚卸資産の関係

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キャッシュフローと棚卸の関係には以下の2つが挙げられます。

  • 営業キャッシュフローに影響が出る
  • 投資活動と財務活動のキャッシュフローには影響が出ない

営業キャッシュフローに影響が出る

営業キャッシュフローとは、企業の本業から生じる現金の流れです。営業キャッシュフローは、売上高から営業費用や減価償却費などを差し引いたもので、企業が安定的に利益を生み出せるかどうかを判断する指標です。営業キャッシュフローには以下の2つがあります。

  • 直接法
  • 間接法

1. 直接法

直接法とは、現金で受け取った営業収入から現金で支払った営業費用を差し引く方法です。直接法では、以下の項目を計算します。

  • 営業収入
  • △仕入の支出
  • △人件費の支出
  • △経費の支出

直接法では、棚卸資産の増減が営業キャッシュフローに影響を与えます。棚卸資産が増加すると仕入高が増えることになり、仕入高が増えると、現金で支払った営業費用が増えます。現金で支払った営業費用が増えると営業キャッシュフローは減少し、棚卸資産が減少すると営業キャッシュフローが増加します。

2. 間接法

間接法とは、当期純利益から非現金項目や営業外項目を除いたり、売上債権や棚卸資産などの変動を加えたりする方法です。間接法では、以下の項目を計算します。

  • 税引前当期純利益
  • 減価償却費
  • △営業外収益
  • 営業外費用
  • △売上債権の増加(減少の場合は+)
  • △棚卸資産の増加(減少の場合は+)
  • 仕入債務の増加(減少の場合は−)

間接法でも、棚卸資産の増減が営業キャッシュフローに影響を与えます。棚卸資産が増加すると当期純利益から棚卸資産の増加分を差し引くことになり、棚卸資産の増加分を差し引くと営業キャッシュフローが減少します。

棚卸資産が減少すると、当期純利益に棚卸資産の減少分を加えることになります。棚卸資産の減少分を加えると、営業キャッシュフローが増加します。

投資活動と財務活動のキャッシュフローには影響が出ない

棚卸資産の増減は、投資活動や財務活動に関する現金の流れには影響を与えません。投資活動や財務活動に関する現金の流れは、設備や有価証券などの固定資産の増減や、借入金や株式などの負債や資本の増減により決まります。

投資活動のキャッシュフローとは、企業の設備投資や有価証券の売買など、企業の資産に関する現金の流れで、企業が将来的に収益を生み出すために必要な投資を行っているかどうかを判断する指標です。

財務活動のキャッシュフローとは、企業の借入金や株式発行など、企業の負債や資本に関する現金の流れで、企業が自己資本や外部資本をどのように調達しているかを判断する指標です。

棚卸資産がキャッシュフロー計算書に与える影響を計算式で解説

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直接法で営業キャッシュフローを求める場合の計算式は以下のとおりです。

  • 営業キャッシュフロー=営業収入-仕入れの支出-人件費の支出-経費の支出+営業外収入-営業外支出-法人税等の支払い

この式からわかるように、仕入や人件費、経費の支出が営業キャッシュフローに影響を与えます。

間接法で営業キャッシュフローを求める場合の計算式は以下のとおりです。

  • 営業キャッシュフロー=税引前当期純利益+減価償却費-営業外収益+営業外費用-売上債権増加-棚卸資産の増加+仕入債権の増加+営業外収入-営業外支出-法人税等の支払い

この式からわかるように、棚卸資産が直接的に営業キャッシュフローに影響を与えます。

棚卸資産の増減は、直接法でも間接法でも営業キャッシュフローに影響を与えます。影響の大きさは、直接法と間接法で異なります。直接法では仕入高や経費などの変動も考慮する必要があり、間接法では当期純利益や減価償却費などの非現金項目も考慮しましょう。

どちらの方法でも棚卸資産の増減は営業キャッシュフローに影響を与えます。

キャッシュフロー計算書方法【ケース別】

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棚卸資産が増加した場合と減少した場合について、キャッシュフロー計算書方法を以下の2つから紹介します。

  • 棚卸資産が増加した場合
  • 棚卸資産が減少した場合

棚卸資産が増加した場合

棚卸資産が増加した場合は、以下のケースが考えられます。

  • 企業が商品や原材料を多く仕入れた場合
  • 企業が商品や原材料を多く生産した場合
  • 企業が商品や原材料を売れ残った場合

棚卸資産は現金ではなく在庫として保有されます。現金ではない在庫はキャッシュフロー計算書においては現金の流出とみなされ、現金の流出は営業キャッシュフローを減少させます。営業キャッシュフローが減少すると、企業の収益力や安定性が低下することになるでしょう。

棚卸資産が減少した場合

棚卸資産が減少した場合は、以下のケースが考えられます。

  • 企業が商品や原材料を少なく仕入れた場合
  • 企業が商品や原材料を多く販売した場合
  • 企業が商品や原材料を廃棄した場合

棚卸資産は在庫ではなく現金として回収されます。現金として回収される在庫は、キャッシュフロー計算書においては現金の流入とみなされ、営業キャッシュフローを増加させます。営業キャッシュフローが増加すると、企業の収益力や安定性が向上するでしょう。

キャッシュフローを改善できる3つの方法

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企業はどのようにして棚卸資産を適切に管理し、キャッシュフローを改善できるのか、キャッシュフローを改善できる3つの方法を紹介します。

  • 在庫を削減する
  • 棚卸資産の調整をする
  • 棚卸資産の減損をする

1. 在庫を削減する

在庫を削減することは、棚卸資産を減少させることにつながります。在庫を削減する方法には、以下の5つがあります。

  • 需要予測や在庫管理を正確に行う
  • JIT(ジャストインタイム)方式やカンバン方式などの生産管理手法を導入する
  • 在庫回転率や在庫期間などの在庫指標を分析する
  • 在庫の品質や数量を定期的にチェックする
  • 不良在庫や余剰在庫を処分する

在庫を削減することで、以下のメリットがあります。

  • 現金化能力が高まる
  • 在庫保管費や在庫損失リスクや在庫損失リスクが減る
  • 生産効率や品質が向上する
  • 顧客満足度や競争力が高まる

2. 棚卸資産の調整をする

棚卸資産の調整とは、棚卸資産の評価方法や計上時期を変更することです。棚卸資産の調整方法には、以下の2つがあります。

  • 先入先出法や後入先出法などの在庫評価法を変更する
  • 期末調整や月次調整などの在庫調整時期を変更する

棚卸資産の調整をすることで、以下のメリットがあります。

  • 税負担や利益率を最適化する
  • 在庫管理や会計処理を簡素化する
  • 市場環境や業種特性にあわせる

3. 棚卸資産の減損をする

棚卸資産の減損とは、棚卸資産の価値が低下した場合、その減少分を損失として計上することです。棚卸資産の減損原因には、以下があります。

  • 在庫の品質や性能が劣化した場合
  • 在庫の需要や価格が低下した場合
  • 在庫の保管期間が長くなった場合

棚卸資産の減損には、以下のメリットがあります。

  • 財務諸表の信頼性や透明性が高まる
  • 税金や利益率に影響を与える
  • 在庫処分や廃棄に伴うコストを削減する

まとめ

棚卸資産は、営業キャッシュフローに影響を与えます。棚卸資産が増加すると営業キャッシュフローが減少し、棚卸資産が減少すると営業キャッシュフローが増加します。キャッシュフローを改善するためには、在庫を削減したり棚卸資産の調整や減損をしたりする方法があります。

棚卸資産の管理やキャッシュフローの見方に疑問がある方は、税理士をはじめとする専門家に相談することをおすすめします。「自分に合った専門家がわからない」という方には、比較ビズがおすすめです。比較ビズでは、多くの税理士の中から自分に合った税理士を見つけられます。この機会に1度検討してみてください。

監修者の一言

会計や税務をかじったことがある方ほど、キャッシュフロー計算書はわかりにくいものかもしれません。

なぜなら、貸借対照表や損益計算書は複式簿記で仕訳を起票し転記作業を行えば、作成できますが、キャッシュフロー計算書はそういうわけにはいきません。損益計算書で利益が計上されても、キャッシュフロー計算書では同額の現金が残っているわけではありません。

売り上げても、現金で回収されるとは限らず、売掛金としいて残っている場合もあります。商品を仕入れても、その商品が売れず、在庫として残っている場合もあり、現金は減っているかもしれません。

損益計算書の結果だけでなく、計算期間中の貸借対象表の動きを見ることによって、その会社の内容をよく知ることができるのです。

竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
監修者

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

比較ビズ編集部
執筆者
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
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